シードルで香り豊かに。自宅で手軽に本格クレープ

――　冷水先生、こんにちは。いよいよ12月ですね。今年もあと少しです。

冷水　はい、師走です！

――　今月はクリスマスもありますし、ワクワクしますね。

冷水　手料理を振る舞う機会も増えるシーズンですから、張り切ってまいりましょう。

――　今回はクリスマスも見据えて、甘いものでもどうかなと思っているのですが、いかがでしょうか？

冷水　何がいいですかね？

――　デザートにもなるし、朝食とか、ちょっとした軽食になるようなものがいいなと思っているのですが……。

冷水　じゃあ、クレープはどうですか？　野菜やハムを添えれば食事にもなりますし、もちろんバターとお砂糖をかけて甘くもできますし。

――　わ〜、クレープ大好き！　自宅で作ったことがないのですが、特別な調理器具がなくても大丈夫でしょうか？

冷水　はい、フライパンがあれば問題ありませんよ。

――　おお、ぜひ教えていただきたいです！

冷水　今日はひと手間加えて、生地にシードルを入れて作りたいと思います。

――　シードルはりんごを発酵させたお酒ですね。またどうしてシードルを？

冷水　今日は小麦粉で作るクレープですが、本場フランスにはそば粉で作るガレットというお料理があります。ブルターニュ地方の郷土料理なのですが、シードルも有名な地域なんです。

――　へ〜。

冷水　ブルターニュ地方ではガレットを食べる時はシードルを飲む習慣があると聞いて、じゃあ生地に入れてみようかなと思い立ちまして（笑）。

――　素敵な発想ですね！

冷水　シードルを生地に入れると、焼き上がった時に、パンのような発酵のいい香りがするんです。

――　シードルの発酵パワーですね。

冷水　もしシードルが手に入らなければ、シードルの分量を牛乳に置き換えて作っていただければいいので。

――　わかりました！

冷水　じゃあ生地を作っていきましょう。最初にバターを湯煎にかけて溶かしておきます。

――　せっかくだからおいしいバターを使いたいですね。

冷水　次にボウルに薄力粉、砂糖、塩を入れてふるいます。ふるい器がない場合はざるで代用しても問題ありません。

――　砂糖はどんな種類でもいいんですか？

冷水　はい、大丈夫です。続いて、ふるった粉類に牛乳を少しずつ加えながら混ぜていきます。一度に全部牛乳を入れるとダマになってしまうので、少しずつ。

――　ここは丁寧にですね。

冷水　次に溶いた卵とシードル、溶かしバターを加えて混ぜます。よく混ざったら1時間ほど冷蔵庫で休ませます。長い分には問題ないので、ひと晩置いてもいいですよ。夜に生地を作っておいて、翌朝の朝食にするのもおすすめです。

――　生地を休ませるのは、どうしてですか？

冷水　小麦粉を水分となじませるためです。そうしないと生地を焼いた時にちぎれやすくなってしまうんです。

――　へ〜、初耳です！

冷水　1時間ほど休ませたら、いよいよ焼いていきます。フライパンに油を引いて、おたま1杯分くらいの生地を入れます。

――　ドキドキします……。

冷水　薄く仕上げたいので、生地を入れたらフライパンを大きく回して生地を広げるようにしてください。

――　おお、きれいに広がりました！

冷水　あとは中火で様子を見ながら焼きます。慣れていない方はテフロンなどのフッ素樹脂加工のフライパンがおすすめです。

――　そうするとひっつく心配がなくていいですね。

冷水　手で端っこをひっくり返してみて、焼き色がついていたら裏返してもう片面も焼きます。

――　おいしそうな焼き色！

冷水　はい、これで完成です。あとはお好みでバターや砂糖、レモン汁をかけて食べましょう。もちろん野菜を添えても。

――　レモンを添えるのが本場っぽくて素敵ですね。

冷水　焼きたてのクレープ、どうですか？

――　おっしゃる通り、ほのかに天然酵母パンのような香りがあって、なんだか大人っぽい感じがします。

冷水　よかったです。

――　日本でクレープというと、生クリームとかチョコレートか、甘いものやフルーツをどっさり巻いて食べるというイメージが強いので、シンプルにバターと砂糖、レモンで食べるのは新鮮です。

冷水　もちろん色々添えてもらってもいいんですけどね。まずはシンプルに。

冷水　はい、今日のレシピは10枚分くらいあるので、焼き加減を変えて楽しんでみてください。

――　トッピングを色々用意して、みんなで楽しむデザートにしても盛り上がりそうです。

冷水　パーティーの最後に出しても喜ばれると思います。お子さんも食べられますしね。ぜひホリデーシーズンに作ってみてください。

シードルのクレープ