Aging Gracefullyカフェ
お灸でセルフメンテナンスしよう!〈大阪〉
AG世代の「学びとネットワーキングの場」として定期的に行っているAGカフェ。14回目の4月16日は 「わたしメンテナンス~お灸編~」と題して、大阪・天神橋の「せんねん灸ショールーム大阪」で開催しました。
2年以上のマスク生活や、寒暖差の大きい季節の変わり目のモヤモヤをすっきりさせようと企画したもので、午前の部と午後の部、計33名の方にご参加いただきました。また、会場では、消毒や換気など新型コロナの感染予防対策を施して行いました。
講師は、せんねん灸セルフケアサポーターで鍼灸師の東川みゆきさん。祖父母の代から鍼灸師の一家に育ち、子どもの頃からお灸は身近な存在だったそうです。
東川さんは、お灸には温熱のレベル、煙の有無、香りの違いなど、様々なタイプがあることを紹介し、「 初めての方は、温熱レベルの低いものを使ってください」と説明しました。
ちなみに、お灸の原料である「もぐさ」は、「よもぎ」の葉の裏の綿毛だけを集めたものです。よもぎはもともと、世界各地で薬草として使われてきました。乾燥させたよもぎをくだいて、葉や茎を取り除く作業を繰り返すと、綿毛だけが残ります。その量は全体の200分の1という、大変貴重なものです。
この日は、AG世代が知っておきたい三つのツボを取り上げました。鎖骨のそばの 「気舎(きしゃ)」、ひじに近い 「手三里(てさんり)」、くるぶしの上の 「三陰交(さんいんこう)」です。
そもそもツボとは、私たちの体をめぐるエネルギーの通路である「経絡(けいらく)」の上にあり、体の変化を示すポイントです。ツボを探すコツは、肌を優しくなでることだそうです。
「手の指を肌に添わせて、 優しくなでてください。押したらダメです。基本的に少しへこんでいるところで、皮膚がざらついていたり、指のすべりが悪く、ひっかかりを感じたりするところがツボです」と東川さん。
続いて、お灸に挑戦しました。
最初のツボは「気舎」。鎖骨の内端の上側にあるくぼみです。お灸を貼ると、じんわりと温まってきます。ただし、肌がぴりぴりするように感じたら、すぐに外します。
2カ所目のツボは、「手三里」。ひじを曲げたときにできるしわから手首の方に指3本分の辺りを、優しくなでるとへこみがあります。
お灸の台座の裏のシールをはがして指にのせ、もぐさ部分にライターで着火します。そして、台座部分を横から持って「手三里」のツボにのせると、徐々に温まります。
熱く感じたり、肌がぴりぴりしてきたりしたら、すぐに外しましょう。
「もったいないと思うかもしれませんが、熱いと感じたら、据えた時間が短くても必ず外してください。やけどをする恐れがあります。皮膚の薄いところは特に注意して、我慢しないでください」と東川さん。
台座を横から持ってひねると、外しやすいです。
「体が冷えていると、なかなか熱さを感じられないこともあります。その日の体調にもよるので、規定の時間で熱さを感じられないときは、 同じ場所に連続で3回まで据えても大丈夫です。それでも熱さを感じないときは、次の日に同じ場所でまた試してみてください」と説明しました。
外したお灸は、水を張ったコップなどに入れ、火を完全に消してから捨てます。
最後のツボは、内くるぶしの上にある「三陰交」です。例えば左足の内くるぶしに右手の小指を当てると、人さし指の位置にあります。「 女性のツボ」とも呼ばれています。
なお、お灸には避けるべき時間帯があるそうです。「 食事と入浴の前後30分にお灸をすることは避けてください」と東川さん。
そして、「毎朝、あるいは毎晩寝る前に10分間、自分の体のことを考えて、自分自身と向き合う時間を持つことをおすすめします。リラックスのお供に、お灸を取り入れてみてください」と話しました。
午前の部は10時半、午後の部は16時半から、それぞれ約1時間。どちらもあっという間に時間が過ぎました。午前の部はお灸初心者が大半でしたが、午後は半数近くが経験者でした。明るい日差しの入る店内で、参加者たちはメモを取りながら、熱心に聴き入っていました。
参加者アンケートでは、「お灸には難しいというイメージがありましたが、日常に取り入れられるものと印象が変わりました」「思っていたより手軽で、普段使いできそう」「煙がもくもく出て、もっと臭うと思っていました。煙が少ないものはマンションでも使えそう」といった感想が寄せられました。
ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。
取材&文=朝日新聞社 Aging Gracefully プロジェクトリーダー/編集長 坂本真子
写真=朝日新聞社 井上雄一郎、坂本撮影