〈242〉夫婦それぞれのワークスペースがある、家族と個人を両立できる間取り
Kさんご夫婦(夫40歳、妻37歳、娘3歳)
横浜市 / 57.34㎡ / 築30年
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横浜で新築物件を探していたKさんご夫婦。自分たちの暮らし方や予算に合う物件となかなか巡り合えず、中古物件も視野に入れることにしました。中古物件をリノベーションした友人の家に遊びに行ったり、話を聞いたりしたことが、物件選びの参考になったと言います。
そして、リノベーションするのにちょうどいい、築30年のマンションを購入。1990年代に建てられたものなので古すぎず、値頃感があります。角部屋で窓が多く明るいことも、購入の決め手になりました。
リノベーションする前は、3LDKのオーソドックスな間取り。とはいえ、LDKの隣の和室が使いにくかったり、収納が少なかったりと、暮らしにくい要素があるマンションでした。
そこで、和室は洋室にし、3歳の娘さんの遊び場にしました。引き戸で仕切れば個室にもなりますが、今は開けておいて、広めのリビングのように。子どもがのびのびと遊べる空間になるし、キッチンにいるご夫婦から子どもの姿が見えて安心です。将来は仕切って、子ども部屋にする、もしくはご夫婦の寝室にし、現在の寝室を子ども部屋にするなど、そのときの状況に合わせてフレキシブルに使うことが可能です。
少なかった収納は、大容量のウォークインクローゼットで解決。各部屋には収納を作らずに、洋服や物は、ここにしまいます。
そして、このお宅のもう一つの特徴は、ご夫婦それぞれのワークスペースがあること。Kさんは在宅ワークをする仕事ではないので、ライフワークの音楽に没頭できる部屋です。曲作りをしたり、録音をしたりと、日常を離れて1人になれます。奥様のほうは、キッチンから続くパントリーに併設された、アクセサリーを制作するスペースです。制作したアクセサリーは、オンラインで販売しているそうです。
夫のワークスペースはスタンダードになってきましたが、妻の専用スペースを作るお宅は、それほど多くありません。今回、奥様お気に入りのアトリエは、仕切りは壁ではなくスチールサッシにしたら、開放感がある上におしゃれな雰囲気になりました。
ワークスペースが二つあるので、LDKは少し狭くなりました。そこで、LDKを有効活用するために、ダイニングテーブルとイスは、ごはんが食べられて、くつろぐこともできるものをセレクトしました。
Kさんご夫婦は、コロナ禍の前から、このようなプランにしたいという思いがあったそう。LDKでは家族の時間、それぞれの個室では1人の時間、家族も個人も大切にできる間取り。ちょうどアフターコロナの社会状況に合った、リノベーションになりました。これからの、新しいスタンダードの一つになりそうです。
間取りとリノベーションの写真(写真をクリックすると、次々とご覧いただけます)
Kさんご夫婦に聞く
リノベーションQ&A
Q1 今回のリノベーションで一番大切にしたことはなんですか?
物が多かったため、自分たちの持ち物に合わせ、物の定位置を決めて収納できるようにしました。そして、収納を集約させて生活動線を工夫し、子どもがのびのびと過ごせるように、リビングとして使用できる空間をできるだけ広くしました。
Q2 リノベーションのプロセスで楽しかったことは?
クローゼット、パントリー、ワークスペースなどの空間の構成を考えたことが楽しかったです。
せっかくリノベーションをするので、新築マンションにはない素材を使いたいと思いました。タイルや壁の色など素材のディテールについて考え、選ぶプロセスは、楽しい経験でした。
Q3 リノベーションのプロセスで大変なことはありましたか?
広さ57.34㎡に対して、盛り込みたい要素が多すぎて取捨選択に苦労しました。でも、空間を無駄なく使うことができました。
こだわりの造作部分、スチールのドアとサッシは金額が高かったのですが、インテリアの印象が変わる重要な部分だったので、採用しました。その他の部分で、金額を調整することが大変でしたが、やってよかったです。
構成・大橋史子