Aging Gracefullyオンラインイベント
「山本浩未さんと語る AG世代の心とカラダを整えるヒント
presented by Wacoal」<前編>
年齢を重ねて、心や体に変化を感じたことはありませんか。Aging Gracefully (以下、AG)プロジェクトでは、「今すぐ実践できるメイクテクニック」を発信し続けるヘア・メイクアップアーティストの山本浩未さんをゲストに迎え、オンラインセミナー「山本浩未さんと語る AG世代の心とカラダを整えるヒント presented by Wacoal」を、1月29日に開催しました。
これから何する? 私らしく年を重ねるには
美容・おしゃれ・下着で自信を
明るくエネルギッシュな山本さんをはじめ、AG世代の代表としてライターの土谷沙織さん、ワコール広報・宣伝部の福岡智亜紀さんが、美容やおしゃれ、下着を通して、前向きに年齢を重ねる方法について語り合いました。約200人が視聴し、司会は朝日新聞社Aging Gracefullyプロジェクトの坂本真子が務めました。
第1部は「さて、これから何する? 私らしい年齢の重ね方」をテーマに、心の変化について話しました。最初に、Zoomで参加している視聴者に「40代、50代へと年齢を重ねることで感じた、心の変化はありますか」と質問。「Yes」か「No」の投票では、「Yes」が9割以上でした。
続いて、申し込みの際に答えていただいた「こころをととのえるために、普段から取り組んでいること」から、主なものをスライドで紹介しました。
「私も全部、一度はやったことがある」と山本さん。何も考えたくないときによくやるのは、「キャベツの千切り。ひたすら切ると結構効果的です」。
猫、宝塚、しつらえ…「この三つがあるおかげで」
山本さん自身、30代の頃はブルドーザーのように働き、心は充実しつつ、疲れ果てていたと振り返ります。そして迎えた40代、50代は、第2の思春期ともいわれる時期。ここを乗り越えるため、山本さんはさまざまなことに取り組みました。
「猫を飼い始めたこと、宝塚に夢中になったこと、しつらえというお稽古を始めたことが大きかったですね。この三つが今の私のベースになっていて、一番不安定だったときもこの三つがあるおかげで紛らわすことができました」
その中でも、保護猫の施設から来てもらったという2匹の猫は、山本さんの生活を大きく変えました。
「私は一人暮らしなので、猫を飼うまでは、自分のことだけやっていればよかったんです。でも猫たちが来て、この子たちの面倒を一生涯見なきゃいけなくなって、ご飯をあげたりトイレの世話をしたり。それは私自身にとって、とても良い変化だったと思います」
「しつらえ」は、日本古来の季節ごとの年中行事に合わせて、調度類や季節のもので室内を装飾して祝い、感謝するというものです。
「季節を意識する良いきっかけになるので、我が家では長板(茶道で使う長方形の板)の上だけをしつらえのスペースにしていて、季節に応じて取り換えています。例えば冬至の『一陽来復』が、私は大好き。陰極まって陽になる。もうダメだと思ってもこれから日差しが出てくるし、明るい未来がまた巡ってくることを教えてくれるんです」
「おしゃれは、お守りみたいなもの」
土谷さんは今40代。「20代、30代と仕事を頑張ってきて、40代に入ってちょっと燃料切れというか、もっと頑張りたい気持ちと、少し息抜きをしたいという気持ちが共存しています」と語ります。
最近は毎月1回、ペインティングの会に参加。「何か好きなことに集中する時間を持ちたいと思って、公園に集まって描いています。自由に描いて、多国籍の仲間たちとそれぞれの作品について語り合います。うまい下手ではなく、みんなで褒め合って元気になるんです」
また、土谷さんは「おしゃれをすることは、私にとってはお守りみたいなもの」と強調。「自分の気持ちを高めたり、人とコミュニケーションをとるツールだったり。おしゃれで常に楽しんでいます。コロナ禍で人と会う機会が減って、そんなに枚数いらないわ、と思う方もいるかもしれませんが、今まで3枚買っていた分を、とっておきの1枚に費やす、みたいなお金の使い方もいいのかな、と私は思っています」
山本さんも、「ビューティーは自分に自信を与えてくれるもの」と力を込めました。
「年を重ねると、みなさん、『私なんか』って言うじゃない? でも、自分とは一生付き合っていかなきゃいけないから、自分らしさを魅力的に見せる努力をすると、大人はちゃんと成果が出るんです。なりたい自分になれるのが大人なので、例えば、スキンケアをちょっと丁寧にやるとか、自分に優しくしてあげることが大事。コロナ禍になってからインスタライブをやっているんですが、私は最近、『自分のためにリップを塗って』とよく言うんです。マスクを着けていると、見えるところしかメイクをしないかもしれないけど、口紅をつけた自分が鏡に映る姿を見て『なんか楽しい』と思う。そういうのがいいんですよ」
「毎日を心地よく、ウキウキと」
ワコールでは、女性の心の変化についてもさまざまな調査や研究をしています。「下着を整えることで自分自身に自信を持てる、というお声をいただくことがあります」と福岡さんは説明します。
「その方に合ったサイズ、デザインの下着を身につけていただくことが、心を整えることにもつながるんですね。まずは毎日を心地よく過ごしていただいて、さらに、モチベーションを上げる、ウキウキする、というようなマインドの切り替えに役立てていただけるといいなぁと思います」
山本さんも下着にはこだわりが。「きれいなレースの下着が大好きで、見ているだけでも楽しいし、身につけた自分も好き。下着は自分の心を上げてくれるものですよね」
ここで山本さんが、「下着はいつまで使えるんですか?」と質問。福岡さんは「自分自身の体に合わなくなってきたら、見直していただければ。ワコールでは不用になったブラジャーを回収・リサイクルする活動も行っています(https://www.wacoal.jp/braeco/)。1年に何回かは、ご自身の体と、下着の状態を見つめ直していただきたいです」と答えました。
お風呂に入って「水に流す」
第1部の最後は、Zoomのチャットに書き込まれた「それでもダメなときはどうしますか」という視聴者からの質問に注目しました。
「私はとりあえずお風呂に入って、徹底的に自分を磨きます。パックしたり、スクラブしたり、シャンプーを丁寧にしたり、歯を磨いたり、とにかくいろいろ磨くと、なんか、ま、いっかな、という気になってきて、ぐっすり眠れる」と山本さん。
土谷さんが「よくわかります。水に流すって言いますよね」と言うと、山本さんは「そう、水に流すんですよ。それにポカポカして温かくなるから、お風呂に入って水に流すのは手っ取り早くていいよね」。さらに山本さんは、「どうしようもできないときは、何もしなくていいから、とりあえず寝る。それがいいんじゃないかな」と助言しました。
取材&文=朝日新聞社 Aging Gracefully プロジェクトリーダー/編集長 坂本真子
写真=伊ケ崎忍撮影