1日早く70歳になる50年来の親友へ
〈依頼人プロフィール〉
相馬洋子さん 69歳 女性
米国テキサス在住
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トンちゃんとの出会いは、高校1年生のとき。今から半世紀も前です。彼女の旧姓は田中で、私は野崎。出席番号が並んでいたので、席が前と後ろでした。
彼女の成績はいつも上からトップ10で、私は下からトップ10。遅刻ばかりしていた私のためにしょっちゅう代弁してくれたり、「こんなのもわからないの?」と言いながら勉強を教えてくれたり。いいときも悪いときも、いつも変わらず友達でいてくれました。
2月21日に彼女は70歳になります。私も、その翌日に70歳になります。私は、前の主人の仕事の関係でアメリカへ来て、そのまま40年以上こちらに住んでいます。それでも、今も季節の変わり目や誕生日など、折に触れて手紙やメールを送り合い、年1回帰国すると、必ず当時の同級生で集まっています。みんなでお酒を飲んだり温泉へ入ったり……。9歳上の兄には「まだ高校の友達と付き合ってるの?」と半ば呆れられていますが、つかず離れず、ずっと仲がいいんです。
彼女は高校卒業後、すぐに東京海上で働き始め、高校の同級生と結婚。しばらく仕事を続けていましたが、子どもを産んで専業主婦になりました。今は旦那さまと2人、逗子で暮らしています。一緒に住んでいた旦那さまのご両親、自分の両親、20代の頃から病気を抱えている妹の面倒をみるだけでなく、介護のボランティア活動までしていて、本当に頭の下がる思いです。あまり自己主張をしない性格なので、「何もやってない」なんて言い張りますけれど。
そんなトンちゃんのために、70歳のお誕生日をお祝いするお花を作っていただけたら嬉しいです。これが好き、あれが好きと言うタイプではないのですが、かわいらしいお花が似合うような気がします。
追伸:実は私も20年ほど前、アメリカのサンフランシスコで花屋を経営しておりました。今でも花屋で働いています。いつか東さんにもお会いしてみたいです。どうぞこれからのご成功をお祈りいたします。
花束を作った東信さんのコメント
相馬さんのメッセージを読み、なんだかとてもチャーミングな印象を受けました。文章全体のイメージからすぐに“ピンクだな”と感じ、濃い目のピンクと薄目のピンクを合わせ、ピンクのグラデーションでまとめました。
少女時代の思い出、会えば今も変わらない気持ちの華やぎや高揚感……そんな雰囲気をピンクの花で表現しています。70歳のお誕生日なので、祝祭感も意識しました。
使用した花は大輪のガーベラ、ラナンキュラス、ダリア、チューリップ、カーネーションなど。一風変わった長細い形の花はベロニカです。贈り主さんがお花屋さんとのことで、お花にもお詳しいでしょうから、ちょっと変わったアネモネも加えました。
中心に差したのは、エアープラントのテクトラム。白いフワフワした感じがピンクと相性がいいんです。春の花だけでまとめると、どうしてもぼけた感じになってしまいますが、こうやってワンポイント入れると全体が落ち着きます。エアープラントですので、花が終わってもこちらはずっと育てられますよ。
ライター・宇佐美里圭
こんな人に、こんな花を贈りたい。こんな相手に、こんな思いを届けたい。花を贈りたい人とのエピソードをお寄せください。毎週ひとつの物語を選んで東さんに花束をつくっていただき、花束は物語を贈りたい相手の方にプレゼントします。その物語は花束の写真と一緒に、&wで紹介させていただきます。
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