実は「ビフィズス菌は一部のヨーグルトにしか入っていない」という事実を知っている方は、そう多くないのではないでしょうか。

今回は、ビフィズス菌に注目して50年以上、「ビヒダス」をお客さまにお届けしている森永乳業株式会社でマーケティングを担当している岡田祐美子さんに、ビヒダスがお客さまに長く愛され続ける理由を語ってもらいました。

ビフィズス菌の虜になるきっかけは、母乳研究

1917年(大正6年)、当時は栄養価が高く「おいしい栄養源」として知られていたキャラメルに使う練乳の製造からスタートした森永乳業。人々の健康に役立ちたいという想いを抱いて乳を取り扱う中、育児用ミルクの開発に着手しました。

育児用ミルクの成分を母乳に近づけるために母乳を研究する過程で、母乳育ちの赤ちゃんのおなかに“あるヒント”を見つけたそうです。

ビフィズス菌に注目することになったきっかけ

ビフィズス菌に注目することになったきっかけについて、「さまざまな角度から母乳研究を行う中で、『赤ちゃんのおなかの健康』という部分に着目するようになったため」と岡田さんは語ります。

——母乳研究を行う過程で、森永乳業がビフィズス菌に着目することになった理由を教えてください。

岡田祐美子さん(以下、敬称略):当時の研究で、赤ちゃんの腸内にはビフィズス菌の量が多いという発見がありました。この「赤ちゃんのおなかの健康を守っているのはビフィズス菌かもしれない」という気づきが、森永乳業がビヒダスなどのビフィズス菌入り製品を作り、人々の健康に貢献したいという想いを持ち続けるきっかけとなりました。

なぜ乳酸菌ではなくビフィズス菌!?
森永乳業がこだわる理由

岡田祐美子さん2

「ビフィズス菌」と聞くと、同時に頭に浮かぶのが「乳酸菌」というフレーズではないでしょうか? ある調査では、ビフィズス菌は乳酸菌の一種であると誤解している方の割合はなんと7割にものぼるという結果に。

しかし、ビフィズス菌と乳酸菌は似ているようでまったく違うものなんです。その違いは、大きく分けて2つあります。

ビフィズス菌と乳酸菌は「すむ場所」が違う!?

岡田:1つ目の違いは菌のすむ場所です。

おなかに良い菌として知られているビフィズス菌と乳酸菌ですが、分類学上は全く別の菌で「ヒト」と「クラゲ」くらい違います。乳酸菌は自然界に広く存在しています。その一方、ビフィズス菌は酸素が少ないヒトや動物の大腸の中にすんでいます。

ビフィズス菌は生み出す「成分」が違う

岡田:もう1つの違いは、ビフィズス菌と乳酸菌が生み出してくれる成分の違いです。

菌も私たちと同じ生き物なので、なんらかの成分を取り込んで、生み出すという動きをします。乳酸菌はその名の通り乳酸を生み出すのに対し、ビフィズス菌は、乳酸に加えてさらに短鎖脂肪酸の一種である酢酸を生み出します。この酢酸が私たちに様々なメリットをもたらしてくれます。

——酢酸は私たちに、どのような良いことをしてくれるのでしょうか?

岡田:酢酸は悪い菌を抑制して腸内細菌のバランスを整えたり、大腸を刺激して便を押し出す「ぜん動運動」を活発にしたり、腸管の「バリア機能」を高めたりする力があります。腸内環境を整える、ということを通じて、体の健康全体に役立てるのではと考えています。

——酢酸はお酢の主成分なので、口から摂取したお酢にも効果があるのでしょうか?

岡田:お酢は古くから食されており、健康に良いとされてきました。一方で、残念ながら口から摂取した酢酸は小腸で吸収されてしまいますので、大腸の中で酢酸に働いてもらうには、ビフィズス菌などが大腸で働き、酢酸を生み出してくれることが大切なのです。

森永乳業が「ビフィズス菌」にこだわる理由

——「ビフィズス菌」にもいくつか種類があるのでしょうか。

岡田:ヒトにすむ種類のビフィズス菌と、そうでない種類のビフィズス菌があります。森永乳業では、ヒトにすむ種類のビフィズス菌にこだわって研究を続けています。

——あえてヒトにすむビフィズス菌にこだわる理由はどこにあるのでしょうか。

岡田:研究の結果として「ヒト常在のビフィズス菌は母乳と相性がよい」ということが発見されたのがその理由ですね。母乳には2つの大きな役割があります。1つは栄養を与えること、もう1つは有害な菌やウイルスから赤ちゃんを守ることです。

赤ちゃんの腸内にいるビフィズス菌は、母乳に含まれる「ヒトミルクオリゴ糖」を栄養源として増殖します。その増えたビフィズス菌が産生する短鎖脂肪酸の酢酸などが赤ちゃんのおなかを守っています。母乳にいろいろな種類のビフィズス菌を入れて培養すると、赤ちゃんのおなかにいるビフィズス菌は増える一方で、ヒトにすんでいないビフィズス菌は死んでしまいます。同じビフィズス菌の仲間であっても、ヒトとの相性の良し悪しがあるんです。

森永乳業は“ビフィズス菌にもヒトと相性の良い種類がある”との考えから、ヒトのビフィズス菌にこだわって研究しています。

「より多くの方へ届けたい」想いが
ヨーグルト製造への第一歩

森永乳業のビフィズス菌は、育児用ミルクをきっかけに現在ではヨーグルトをはじめとした乳製品に幅広く展開しています。その経緯と想いについて、うかがいました。

岡田:当時の開発者は「乳という素材を食生活に取り入れる習慣を作ることで、おいしさと健康に貢献できるのではないか」という想いを持って研究・開発を進めたと伝え聞いています。「より多くの方へ届けたい」この想いを実現するため、赤ちゃんだけでなく、生涯を通じて乳を食生活に取り入れられるようにする必要があると考え、カテゴリやラインナップを増やすことに繋がっていきました。

——ビフィズス菌入り製品のラインナップとしてヨーグルトを選んだ理由はなんでしょうか?

岡田:もともと「おなかの健康によいもの」というイメージがあるヨーグルトに、同じくおなかに対してよい作用があるビフィズス菌をセットにしてお客さまにお届けできないか、という想いからですね。おなかによいというヨーグルトへの期待に、さらに上回る形でお応えしたいという気持ちから「ビフィズス菌入りのヨーグルトを出そう!」という想いに至ったと聞いています。

ビフィズス菌入りヨーグルトは他と何が違う?

読者の皆さんはヨーグルトにも「ビフィズス菌が入っているもの」と「入っていないもの」が存在することをご存知でしょうか?

岡田:ヨーグルトは乳を乳酸菌で発酵させてつくります。したがって、乳酸菌は全てのヨーグルトに含まれていますが、「ビヒダス」のようなビフィズス菌入りヨーグルトは、乳酸菌でつくったヨーグルトにさらにビフィズス菌を加えるという形で製造しています。

——ビフィズス菌入りヨーグルトを作る上での工夫やこだわりはあるのでしょうか?

岡田:ビフィズス菌は酸や酸素に弱いという性質があります。ヨーグルトは発酵によって酸度が上がってしまいますので、ヨーグルトに入れるためには高い技術が必要です。ビヒダスをはじめ、当社のビフィズス菌入りヨーグルトでは、ビフィズス菌を生きた状態でお届けするために中身やパッケージなどで様々な工夫をしています。

「ビフィズス菌ファースト」の開発は苦労の連続

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元来、酸や酸素に弱いビフィズス菌を生きて大腸まで届くようにヨーグルトに入れる技術を確立するまでは、失敗や苦労の連続だったそう。

岡田:開発段階においてビフィズス菌をヨーグルトに入れることと同様に、ヨーグルトらしさを保つという部分も課題でした。ビフィズス菌を優先させるとヨーグルト本来の風味やおいしさが維持できないという問題が起きたそうです。それでも当時の開発者は「より多くの方にビフィズス菌をお届けしたい」という想いを持って研究開発を進め、製品化を実現しました。

デリケートなビフィズス菌を食卓に届ける技術力

岡田:開発の過程では、ヨーグルトの爽やかさを維持しつつも、ビフィズス菌が生きられる酸度を実現させるため、発酵させる温度や時間に試行錯誤を重ねたようです。それが、ビヒダスの特徴である酸味を抑えたまろやかな味わいにもつながっています。

——「ビヒダス」に入っているビフィズス菌の種類にもこだわりがあるのでしょうか?

岡田:はい、その点にもこだわりがあります。ビヒダスには、ビフィズス菌BB536というビフィズス菌を配合しています。ビフィズス菌BB536はヨーグルトの中でも元気に生きて、腸内でもしっかり働いてくれることから選定されました。

——ビフィズス菌を守る容器や運搬方法などには何か工夫をしているのでしょうか?

岡田:ビヒダスプレーンヨーグルトはビフィズス菌が嫌う酸素を通さないよう、多層構造・酸素バリア構造になっています。

——ビフィズス菌入りのヨーグルトが食卓に届くまでには、あらゆる試行錯誤や技術力が結集されているのですね。

岡田:ビヒダスのポリシーは「常に進化をやめないこと」だと考えています。ビフィズス菌をよりよい状態でお客さまにお届けするための苦労や試行錯誤は、今後も続いていくと考えています。

ビヒダスが提供する価値は「笑顔」

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ビヒダスヨーグルトが生まれて半世紀近く。「ビフィズス菌を多くの方々に届けたいという想いを貫いたこと。それがロングセラーのビフィズス菌入りヨーグルトブランドであり続けている理由」と、岡田さんは語ります。

岡田:ビヒダスはさまざまなシーンで、年代を問わずに食べていただいていますね。特定保健用食品であるプレーンタイプをはじめ、ドリンクタイプ、フルーツタイプなど、豊富なラインナップも、お客さまに支持していただいているポイントだと感じています。あとはやはり味わいではないでしょうか。ビヒダスは、クセがなく酸っぱすぎずまろやかな味わいです。お料理へのアレンジでの使いやすさやメニューのバリエーションの豊富さがあるのもこのためです。酸度を上げすぎない、というのはビフィズス菌を元気な状態で保つと同時に、ビヒダスが多くの方に愛されることにもつながっていると感じます。

ビヒダスを通して「かがやく“笑顔”」を届けたい

「現在ビヒダスのラインナップには機能性ヨーグルトも加わっています。このように、時代によって変化する健康課題に寄り添ったラインナップを提供していきたいですね」と話す岡田さん。

岡田:私たちが応えていきたいニーズは多様です。健康課題だけでなく、「味わいが好きだから」「家族皆で食べられるから」などの目的でヨーグルトを食べてくださる方のニーズも、大切にしていきたいですね。今後さらに力を入れて取り組みたいと考えているのが、「ビヒダスはビフィズス菌入りのヨーグルトである」ことを、もっと多くのお客さまに知っていただけるようにする、ということです。今回お話したような、ビフィズス菌と乳酸菌の違い、ビフィズス菌入りヨーグルトを食べることでおなかにどんなよい影響があるのかなどをしっかりとお伝えしていきたいと思っています。今後も、ビヒダスを通して、楽しく健やかな毎日のために貢献し続ける存在になりたいですね。

発売以来、離乳食が始まった赤ちゃんから大人まで、生涯を通じて私たちの食生活と腸の健康に寄り添ってくれているビヒダスヨーグルト。岡田さんは、「ビヒダスが皆さんの毎日の笑顔につながる存在でありたい」と話します。腸の健康を通して私たちの健康や充実した毎日をくれるビヒダスヨーグルトは、森永乳業が掲げるコーポレートスローガン、「かがやく“笑顔”のために」の重要なピースを担っています。

「腸活」ブームの何十年も前から人々に愛され続けるのには理由があります。

ビフィズス菌を元気な状態で私たちの腸に届けてくれるビヒダスヨーグルトを、毎日の習慣にしてみませんか。