ゾウリムシ・インフゾリアの培養方法 | AQUALASSIC

ゾウリムシ・インフゾリアの培養方法

活用テクニック
活用テクニック

どうも、ほにゃらら sp.です。

今回紹介するテーマはインフゾリアの増殖方法について。
「インフゾリア」とは、ゾウリムシなどをはじめとした微細な生物群の通称です。
特に、アクアリウムの世界ではエサ用として用いられるものを指すことが多いです。

なお、一口にインフゾリアといっても様々な種類がいます。
その中で最も流通量が多く、入手しやすいといえるのは「ゾウリムシ」でしょう。
ここでは、ゾウリムシの培養方法を中心に紹介します。

ゾウリムシ(顕微鏡イメージ)

基本的な増殖方法

ゾウリムシは以下のアイテムを揃えることで簡単にふやせます。

用意するもの
  • ペットボトル(500ml~1Lくらい)
  • エアーポンプ一式
  • 原材料に「ビール酵母」を含む錠剤または粉末
細いエアーストーンがセットに
なっている製品が◎
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基本的には水を入れたペットボトルにエアーポンプを入れ、ビール酵母を含む錠剤類を入れるだけです。

他にも、お米のとぎ汁、牛乳、導入、キャベツ、薄めたお茶でも代用可能です。
これらを利用する場合、慣れないうちは失敗の少ないお米のとぎ汁やお茶を使うのがおすすめです。

まずペットボトルのキャップに穴を開けてエアーチューブを通し、ボトルの中にエアレーションができる状態を作ります。

もし、ペットボトルの加工が難しい!と感じる場合は、以下のようなブラインシュリンプの孵化器を代用することでも培養可能です。

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このとき、エアレーションはそのままだと強いのでごく弱めでOKです。
エアーチューブを結んで吐出量を弱めるか、または一方コックを接続すると調節しやすいです。

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錠剤の必要量は種となるゾウリムシ、水量により大きく変動するため一概に言えませんが、通常は水1Lに対し1錠程度が目安です。

豆乳や牛乳を利用する場合は腐敗しやすいため、水に色が付くかわからないくらいの量を入れ、慎重に扱ったほうが良いでしょう。

水はカルキを抜いたものをペットボトルに入れましょう。

カルキ抜きがない場合はペットボトルに水道水を入れた後、1日汲み置けばそれを利用できます。


安定して増やすには

上述の培養方法を守っていれば、基本的にゾウリムシは培養可能です。
そのうえで以下の2点を意識して管理すると、さらに安定的に長期間の培養に成功しやすくなります。

水温

水温15~25℃の範囲でよく増えます。
それより水温が低かったり、また逆に高かったりする場合は増殖スピードが落ちます。

人が生活する部屋の温度であれば、基本的には常温で問題なく増やせます。
夏場はエアコンの効く部屋に置いておくと良いでしょう。

植え継ぎ(水換え)

ゾウリムシを培養していると、数が増えすぎることがあります。
1本のボトルで培養していると環境が良ければ通常1~2週間程度で最大まで増殖し、その後は水質の悪化によりだんだん減っていきます。

異臭がしてきた場合は飼育水が傷んでいますので、そのタイミングで植え継ぎ(水換え)を行ってください。
※ゾウリムシは非常に小さな生物ですが、よく見ると目視可能なので、動いていればその少量のゾウリムシを種として再び培養しましょう。

このため2週間程度培養したら、その培養液の半分を種として新しいペットボトルに移し、再び同様の手法で培養を続けていくと良いでしょう。
残ったほうの古いペットボトルはそのタイミングで極力使い切るようにして、異臭がしてきたら破棄してください。

一本のボトルで培養を続けるよりも時々入れ替えたほうが、はるかに長期間の培養に成功しやすくなります。


与え方

培養液ごとスポイトで吸って稚魚に与えます。
培養液は飼育水に混入してもごく微量であるため、基本的にはそのまま与えて構いません。

もし、水質の変化に敏感な魚種の稚魚を育成している場合などで、飼育水の混入が気になる場合は、メッシュのついた漉し器を用いると培養液の混入を減らせます。

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ゾウリムシが有効な場面

ゾウリムシの培養は比較的簡単ですが、それでも活き餌である以上管理の手間がかかります。
手間をかけてでもゾウリムシを与えることが有効な場面は以下の通りです。

  • ブラインシュリンプ幼生では大きくて食べられないほど口が小さい稚魚の育成
  • 人工飼料に比べ成長率が良いため、早く大きく育てたいときに
  • 飼育水中でも数日程度生き延びるため、自由給餌させたいときに

主にこの3点がゾウリムシを与えることが有効な場面となります。

基本的には生まれたての稚魚がブラインシュリンプ幼生を食べられないサイズで生まれてくる魚種において、それに代わる選択肢としての使い方が一般的でしょう。

ふ化直後の稚魚がブラインシュリンプ幼生を食べられない主な熱帯魚
カラシン(小型テトラ類)
卵生メダカの仲間
ベタの仲間
グラミーの仲間

▼参考:ブラインシュリンプ幼生のわかし方

ブラインシュリンプ幼生を食べられないサイズで生まれてくる魚種については、食べられるサイズになるまでゾウリムシなどのインフゾリアを与えて育てましょう。

その後、食べられるサイズになったらブラインシュリンプに切り替えることで、ブリードに成功しやすくなります。

熱帯魚の稚魚育成の他にも、近年ではメダカ稚魚の育成にも人気が高いです。

メダカの稚魚は人工飼料での育成も可能ですが、インフゾリアを与えると成長率が良くなり、早く大きくなりやすいといわれています。

このため特にブリードに重きを置いて飼育する方には重宝されています。

メダカ稚魚育成への有効性が
注目されています!

▼参考:メダカの稚魚の基本的な育て方


その他のインフゾリア

インフゾリアといえばゾウリムシが最も入手しやすいですが、その他にも「マイクロワーム」「ビネガーイール」などもインフゾリアとして流通しています。

マイクロワーム

自家繁殖が比較的容易でサイズも小さく稚魚や小型魚の使い勝手の良いインフゾリアの一種です。

ブラインシュリンプよりも栄養価が高いともいわれています。

ビネガーイール

リンゴ酢を薄めた培養液で増殖できるインフゾリアの一種です。

水面付近に集まる傾向が強いため、特にメダカ類の繁殖に有効です。

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こちらも基本的な利用方法はゾウリムシと同じく、特にベタや卵胎生メダカの稚魚育成に有効です。
ただし培養方法は異なりますので、それぞれの餌生物に合った方法で管理していく必要があります。

グリンダルワームは別物
グリンダルワーム
線虫類とされることもありますが、
ヒメミミズの仲間です。

マイクロワームに外観がよく似た活き餌として、「グリンダルワーム」も市販されています。

こちらも広義のインフゾリアの一種ではありますが、マイクロワームと比べてサイズが大きく、ブラインシュリンプ幼生を食べられないサイズの稚魚育成には不向きです。

一方で、稚魚が成長してブラインシュリンプを食べられるサイズになってきたら、それ以降のサイズアップを狙う目的では「グリンダルワーム」のほうが有効です。

目的に応じて使い分けましょう。

マイクロワームの培養方法

長期ストックの場合には、押し麦や観賞魚用の餌に水を足して電子レンジで加熱殺菌し、荒熱が取れてから発送時のプリンカップや空気穴を開けたタッパー等に入れます。

その後、市販のイースト菌を押し麦等の上に撒き、これを培地としてワームを投入し培養します。

培養容器は高温と直射日光を避け、冷暗所での保管が適しています。
20~25℃程度が理想的です。

培地の発酵が進み液状になったり、イースト菌よりも雑菌が優勢になった場合は、培地を継ぎ足すか新規で作り直す等の処理を行い、上記同様の手順で再生します。

また腐敗臭がした場合は培地が腐っている場合があります。
この場合は新規で培地を作り生きているワームを少量とり、培地ごと移して再生を試みましょう。

ゾウリムシに比べると、培養の難易度は高めです。
その一方で、ブラインシュリンプよりも小さく栄養価も高いといわれています。

ビネガーイールの培養方法

長期ストックの場合にはリンゴ酢と水を2:1、もしくは等倍で割った培養液を用意し500mlペットボトルに溶液とビネガーイールを入れることで長期ストックが可能になります。

その際にリンゴの欠片を少量いれることで、より状態良く保つことができます。
ただし酸欠には弱いので、必ず容器のフタには空気穴を空けるか、キャップを外した状態で保管してください。
エアーレーションまでは不要です。

培養容器は過度な高温と直射日光を避けて保管してください。
15~27℃程度が理想的です。

エアレーションが不要なため、ゾウリムシよりも培養の難易度は低めです。


インフゾリアの培養方法 まとめ

インフゾリアの一種として最も入手しやすいゾウリムシは、ペットボトル内に弱めのエアレーションとビール酵母を原材料に含む錠剤または粉末を与えることで培養可能です。

安定的に殖やすにはビール酵母が理想的ですが、魚用の人工飼料や添加物のない栄養補助食品でも代用可能な場合があります。

ここではゾウリムシを中心に取りあげましたが、餌生物の種類により培養方法は異なります。
また、魚種によっても食べる場合もあれば、食べてくれない場合もあります。

人気魚種に関しては有効な餌生物がわかっていることも多いですが、繁殖事例の少ない魚種については試行錯誤していくことも必要です。

様々な種類の餌を試し、知見を重ねていくことも餌生物の培養やブリードの醍醐味の一つともいえるでしょう。

投稿者
ほにゃらら sp.

福島県産のワイルド個体。
ロカリティの詳細は残念ながら記録がない模様。
アクアリウム歴はだいたい20年くらい。
「同属内で多様なバリエーション」が好き。若干コレクター気味。
つまりコリドラスや、ミクロソリウムが最高。ということですね。

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