Q6.かぜ薬の成分と選び方・服用法について教えてください?
A: 市販の総合感冒薬には「かぜ」のさまざまな症状をやわらげるために、鎮痛・解熱薬、抗ヒスタミン薬、鎮咳薬などろいろな成分が配合されています。
したがって、総合感冒薬は1剤だけでさまざまな症状をやわらげる利点があます。
おもな成分と薬効は次の通りです。
おもな薬効成分
1.鎮痛・解熱薬:
熱を下げ、喉・筋肉・関節の痛みを改善する成分です。
アスピリン、エテンザミド、アセトアミノフェン、イブプロフェン、イソプロピルアンチピリンなどがあります。
イブプロフェンは、他の成分に比べ炎症をおさえる作用が強い成分です。イソプロピルアンチピリンはピリン系の成分で解熱作用は強力です。小児にはアセトアミノフェンを使います。
2.ヒスタミン薬:
鼻水、くしゃみをやわらげる成分です。主なものにはクロルフェニラミン、ジフェンヒドラミンがあります。眠気や口の渇きが出るのはこの成分のためです。
3.鎮咳・去痰:
デキストロメトルファン、ノスカピン、チペピジンが一般的な咳止めの成分です。
リン酸コデイン、ジヒドロコデインは麻薬系鎮咳薬で効き目が強力です。12歳未満の小児はコデイン類を含む製剤を服用してはいけない(禁忌)ことになりました。メチルエフェドリンは気管支を広げる作用があり、喘鳴(ぜいぜい)があるときに有効です。
4.カフェイン、生薬、トラネキサム酸:
①カフェイン:疲労感の回復、眠気予防の目的で配合されています。
②生薬:鎮痛・解熱作用があるゴオウ、ケイヒ、ショウキョウや鎮咳作用のあるキキョウ、カンゾウが含まれているものもあります。
③トラネキサム酸:炎症をおさえ、止血する効果を持っています。
5.漢方薬:
葛根湯(発汗、解熱、鎮咳作用があり、かぜの初期に適切)が主に使われますが小青竜湯、桂枝湯にも類似の作用があります。
かぜ薬の選び方と服用法
かぜ薬は対症療法なので症状に合った薬を選ぶようにします。
喉の痛み、咳、鼻水、熱、頭痛などの一般的なかぜの症状があるときには総合感冒薬なら有効です。
熱や喉の痛みがなく咳と鼻水くらいのときには、抗ヒスタミン薬が配合されている咳止め(鎮咳・去痰)の服用でも十分です。
副作用と服用中の注意
- 副作用で多いのは皮膚の発疹などアレルギー反応です。ひどいとショックを起こし、冷や汗、血圧低下、息苦しさが出る場合があります。ピリンアレルギーや薬剤アレルギーの多い方は非ピリン系かぜ薬の方が無難です。
- 眠気が起きることが多いので、車の運転には注意が必要です。
- 鎮痛・解熱薬で胃腸の具合が悪くなることがありますので、何か食べたあとに服用しましょう。
- 抗ヒスタミン薬でまれに排尿障害や閉塞隅角緑内障の方では眼圧上昇が見られる場合があります。
- リン酸コデイン、ジヒドロコデインを含む製剤で便秘になることがあります。
- 長期に服用しない限り、アレルギー反応以外の重大な副作用はありません。しかし、かぜの症状が続くからといって、長期にわたって服用を続けると胃腸障害が出ることもあります。4~5日服用しても改善しない場合には、医師に診察してもらいましょう。特に細菌感染が疑われるとき(黄色の鼻汁、痰やリンパ腺の腫れ、高熱)は受診しましょう。また、かぜ薬をお酒と一緒に服用するのはやめましょう。薬が効きすぎて副作用を起こしやすくなることがあります。
他の病気で治療中の方の注意
- 心臓機能障害、不整脈治療中の方、重症喘息患者の方:メチルエフェドリンなど気管支を広げる成分で症状がひどくなり、胸苦しくなることがあります。このような方は、気管支拡張薬以外の咳止めが配合されている製剤を選ぶようにします。
- 喘息発作(アスピリン喘息)のある方:アスピリン、イブプロフェンで喘息発作が誘発される方がいます。鎮痛・解熱薬はアセトアミノフェンに気管支拡張薬が配合されている薬が適当です。
- 全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病の方:イブプロフェンを含有する薬は無菌性髄膜炎(発熱、激しい頭痛)を起こすことがあります。アセトアミノフェンを含む薬を選ぶようにします。
- 閉塞隅角緑内障、排尿障害の方:抗ヒスタミン薬や抗アセチルコリン薬は、排尿障害、眼圧上昇に注意が必要です。