フィッシング対策協議会 (東京都中央区、会長:岡村久道)の認証方法調査・推進ワーキンググループ(主査:長谷部 一泰)は、フィッシング対策と関連の高いインターネットサービスの利用者認証についての 2020 年に実施した利用者へアンケート調査の追跡調査を行い、その調査結果を報告書として公開しました。
本調査は、新型コロナ感染や 2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催などを経てインターネット利用の状況も変化しており、利用者の状況や意識にどの様な変化があったのか、 2020 年の調査をもとに追跡調査を実施しました。具体的には、フィッシング詐欺に対して日頃からどのような考えを持っているか、リスク意識、当事者意識などしっかり啓発されているか、実態としてどのようなアクションをしているかなどを調査しています。
調査の実施概要は以下のとおりです。
- 実施期間 2022 年 12 月 7 日 (水)~ 2022 年 12 月 12 日 (月)
- 調査方法 調査会社による Web システムでアンケート調査を実施
- 調査対象 インターネットにてサービス利用を経験したことがある者
- 回答者数 533 名 (男性 264 名、女性 269 名)
対象年代、性別による回答数 詳細
報告書には、設問ごとに「回答結果概要」とワーキンググループによる考察を掲載しています。
報告書については、本日よりフィッシング対策協議会の Web ページで公開しています。
今後、認証方法調査・推進ワーキンググループでは本調査を定期的に実施し、利用者の認証への意識の変化を確認、考察し、安全利用へ向けた意見としてまとめ、発表することを目指します。
< 2020 年の調査と比較して、変化があった箇所、注目すべき箇所(一部抜粋)>
■ PC の利用が前回 66.2 %から 40.7 %へ大幅に減少している。特に若い年代での減少が大きい。
インターネットサービス利用が、スマートフォン内で完結できることが増加したか、スマートフォン利用だけを想定したサービスが増加したと思われる。
■パスワード文字列の長さは、長めのパスワードが嫌われている傾向がある。多要素認証が増えてきて、最初の認証のパスワード認証を緩くしても良いと考えている可能性がある。また、文字列の設定について、サービス提供者の推奨に従う傾向が若干強まっている。これは、サービス提供者側の要求レベルが上がり、それに従うことで十分と思われている傾向が想定される。認証方法やパスワードパターンについて、安全な指針を示すことが今後は重要となる。
■ 多くのサービスを利用するようになり、利便性から同じパスワードを使いまわす機会が増えていると思われ危険である。
■ 少し面倒でも安全性を重視したサービスを利用したいとの回答が 58 %から 68.9 %へ増加し、少し不安でも簡単重視が 39.5 %から 28.5 %へと減少。安全重視が増えており、望ましい傾向である。
■ コロナ禍になってからの意識の変化では、フィッシングメールの増加への反応が想定よりも少ないことが危惧するところである。
<認証方法調査・推進ワーキンググループについて>
認証方法調査・推進ワーキンググループは、フィッシング対策と関連の高いインターネットサービスの利用者認証についての実態調査を行い、より安全なサービス提供と利用に向け、認証方法関連の情報を提供する目的で 2018 年 10 月より活動しております。 2019 年 2 月に実施した「インターネットサービス提供事業者に対する 「認証方法」 に関するアンケート調査」に続き、 2020 年には利用者向けの調査を実施しインターネットサービス提供者側との意識の違いについて確認しました。今回の利用者追跡調査結果を検討し、安全利用へ向けた意見としてまとめ、より安全なインターネット利用のために提言できるよう活動します。
< 2019 年実施調査 報告書公開アドレス>
「インターネットサービス提供事業者に対する 「認証方法」 に関するアンケート調査結果報告書」
https://www.antiphishing.jp/news/info/wg_auth_report_20190701.html
<本件に関するお問い合わせ先>
フィッシング対策協議会 (一般社団法人 JPCERT コーディネーションセンター内)
Email :
<報道関係からのお問い合わせ先>
一般社団法人 JPCERT コーディネーションセンター 広報
Email :