記事のポイント
- 大鵬薬品工業は主力製品の「チオビタ・ドリンク」の脱炭素化を強化する
- カーボンフットプリント算定で「ホットスポット」を社内で共有した
- 瓶の軽量化などに取り組み、バリューチェーン全体でGHG排出量を削減する
大鵬薬品工業は主力製品の「チオビタ・ドリンク」の脱炭素化を強化するため、カーボンフットプリント(CFP)算定を行った。生産工程で最も排出量が多い「ホットスポット」を見つけることが狙いだ。自社だけでなくバリューチェーン全体での削減に取り組む。(オルタナ副編集長=池田真隆)
チオビタ・ドリンクは、原料の調達から製造、物流、販売など各工程での脱炭素化に取り組む。製造過程では、CO2フリー電力の調達を進める。物流過程では、物流会社と協力して、輸送手段を車両から環境への負荷が少ない船舶や鉄道などに転換するモーダルシフトに取り組む。
このほど、CFP算定を行った狙いは、社内で脱炭素を強化する「ホットスポット」を共有するためだ。今回のCFP算定で出した数値は社外に公開する予定はない。社内で脱炭素化を強化するために算定した。
CFP算定は、製品の原料調達から廃棄までを表す「ライフサイクル」全体での温室効果ガス(GHG)排出量をCO2に換算して開示する方法だ。自社だけでなく、供給網(スコープ3)含めて脱炭素化が求められる中、状況を把握するためには欠かせない。
大鵬薬品工業では2009年に環境社会報告書でチオビタ・ドリンクのCFP算定した数値を開示していた。当時は外部業者に算定を依頼したが、今回は自社で算定を行った。
同社の烏谷昌平・総務部環境推進課課長はCFP算定を行うため、サステナビリティの取り組みが業務範囲の経営企画部などに声を掛け、プロジェクトチームを立ち上げた。「CFP算定をすることで、バリューチェーン全体での削減を社内に訴求していくことを狙った」と話す。
欧州などでは、環境規制が厳格化する。域内に輸入する製品には、バリューチェーン全体でのGHG排出量の算定を求める。「こうした規制が将来的に広がってきた時に、対応できる素地をつくりたかった」(烏谷課長)。
CFP算定を行った、真田博之・総務部環境推進課担当課長は、「瓶」がGHG排出量の多いホットスポットだと指摘した。瓶については、軽量化に取り組んできたが、「愛用家も多いことは事実。瓶に代わる容器包装はあるか、ゼロベースで社内で議論を起こす種として、GHG排出量を定量化した」と話す。