ISBN | 9784750342511 |
---|---|
判型・ページ数 | 4-6・384ページ |
出版年月日 | 2015/10/25 |
セルビアを知るための60章
バルカン半島中部の内陸国セルビア。コソボ問題などユーゴ解体後の混乱はまだ未解決な部分があるものの、大きなポテンシャルを有し更なる発展を目指している。東西文明の十字路に位置し様々な側面を持つ国の魅力を、あますところなく伝える概説書。
【執筆者一覧】
阿部俊哉(あべ・としや)
独立行政法人国際協力機構(JICA)バルカン事務所長、日本国際政治学会会員
専攻: 国際政治学、開発援助、中東、バルカン
主な著書・論文:「パレスチナにおける信頼醸成・和解支援の課題と展望」(『広島平和科学』2006年)、『パレスチナ 紛争と最終的地位問題の歴史』(ミネルヴァ書房、2004年)。
岩田昌征(いわた・まさゆき)
千葉大学名誉教授、セルビア科学芸術アカデミー外国人会員
専攻:ユーゴスラヴィア・ポーランドの政治経済
主な著書・訳書:『ハーグ国際法廷のミステリー――旧ユーゴスラヴィア多民族戦争の戦犯第一号日記』(翻訳、社会評論社、2013年)、『20世紀崩壊とユーゴスラヴィア戦争――日本異論派の言立て』(御茶の水書房、2010年)、『ユーゴスラヴィア多民族戦争の情報像――学者の冒険』(御茶の水書房、1999年)。
上畑史(うえはた・ふみ)
大阪大学大学院文学研究科・音楽学博士後期課程、日本学術振興会特別研究員
専攻:セルビア音楽史・文化史、ポピュラー音楽研究
主な論文:「セルビアにおけるポピュラー音楽史概観――「新たに作曲された民俗音楽」と「ターボフォーク」を中心に」(『民族藝術』30号、2014年)、「セルビアにおけるロマのブラス――民俗文化からの逸脱」(『民族藝術』27号、2011年)、「セルビアのポピュラー音楽――バルカン熱に浮かされて」(『アリーナ』第11号、2011年)。
上山直英(うえやま・なおひで)
在大阪セルビア共和国名誉総領事、大日本除虫菊株式会社代表取締役社長、日本家庭用殺虫剤工業会会長
遠藤嘉広(えんどう・よしひろ)
東京大学大学院総合文化研究科博士課程
専攻:ユーゴスラヴィア現代史
主な訳書・論文:「ユーゴスラヴィア解体と人民軍――1980年代後半以降の国内政治の関わりを中心に」(『年報地域文化研究』第12号、2008年)、「教科書の中の地域史――アルバニアの事例」(翻訳、柴宜弘編『バルカン史と歴史教育』明石書店、2008年)。
大塚真彦(おおつか・まさひこ)
通訳、フリージャーナリスト。1989年よりベオグラード在住。
岡島アルマ(おかじま・あるま)
セルビア語講師(外務省研修所、朝日カルチャーセンター、国際交流センター)、ヨガインストラクター
専攻:中国現代文学
奥彩子(おく・あやこ)
共立女子大学准教授
専攻:ユーゴスラヴィア文学
主な著書・訳書:『東欧地域研究の現在』(共編著、山川出版社、2012年)、『境界の作家ダニロ・キシュ』(松籟社、2010年)、ダニロ・キシュ『砂時計』(翻訳、松籟社、2007年)。
亀田真澄(かめだ・ますみ)
東京大学文学部現代文芸論研究室助教
専攻:ロシア・東欧文化
主な著書・論文:『国家建設のイコノグラフィー――ソ連とユーゴの五カ年計画』(成文社、2014年)、“Language Ideologies of the Bunjevac Minority in Vojvodina: Historical Backgrounds and the Post-1991 Situation” in The Multilingual Society Vojvodina: Intersecting Borders, Cultures and Identities (Slavic -Eurasian Research Center, 2014).
唐澤晃一(からさわ・こういち)
早稲田大学文学学術院・杏林大学外国語学部非常勤講師
専攻:中世バルカン半島史、ビザンツ・スラヴ史
主な著書・論文:『中世後期のセルビアとボスニアにおける君主と社会――王冠と政治集会』(刀水書房、2013年)、「ボスニア王冠とコナーヴリ戦争――一五世紀のバルカン西部における地域統合と共生」(森原隆編『ヨーロッパ・「共生」の政治文化史』成文堂、2013年)。
小山洋司(こやま・ようじ)
新潟大学名誉教授
専攻:比較経済体制論、東欧経済論
主な著書:The EU's Eastward Enlargement: Central and Eastern Europe's Strategies for Development, Singapore: World Scientific, 2015,『EUの東方拡大と南東欧――市場経済化と小国の生き残り戦略』(ミネルヴァ書房、2004年)、『ユーゴ自主管理社会主義の研究――1974年憲法体制の動態』(多賀出版、1996年)。
品田光彦(しなだ・てるひこ)
大臣官房人物交流室長。在ユーゴスラヴィア、オーストリア、セルビアの日本大使館、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ上級代表事務所、国際連合日本政府代表部、東京大学教養学部非常勤講師(セルビア語)、外務本省経済局、総合外交政策局、国際協力局等を経て現職。
柴宜弘(しば・のぶひろ) ※編著者プロフィールを参照。
鈴木健太(すずき・けんた)
日本学術振興会特別研究員PD
専攻:ユーゴスラヴィア現代史、東欧・バルカン地域研究
主な著書・論文:『アイラブユーゴ』(全3巻、共著、社会評論社、2014~15年)、「結合と分離の力学――社会主義ユーゴスラヴィアにおけるナショナリズム」(柴宜弘・木村真・奥彩子編『東欧地域研究の現在』山川出版社、2012年)、「ユーゴスラヴィア解体期のセルビア共和国――政治勢力の差異化とナショナリズム」(百瀬亮司編『旧ユーゴ研究の最前線』溪水社、2012年)。
鐸木道剛(すずき・みちたか)
岡山大学教授
専攻:美術史
主な著書・訳書:『山下りん研究』(岡山大学文学部研究叢書、2013年)、『イコン――ビザンティン世界からロシア、日本へ』(共著、毎日新聞社、1993年)、『ヒランダル修道院』(田中一生と共訳、恒文社、1995年)。
竹下史子(たけした・ふみこ)
セルビア在住アコーディオニスト。2004年からベオグラードでアコーディオン演奏の傍らツァーレ・ミトロヴィチ氏に師事。2013年9月より在ベオグラード民族舞踊団グラディミルの音楽団に所属し演奏活動中。
辰巳知行(たつみ・ともゆき)
独立行政法人国際協力機構(JICA)バルカン事務所企画調査員
専攻:国際公共政策
バルカン地域の国際機関およびJICAにおいて約7年間勤務。セルビアにおける野球の普及と発展についても支援中。
角崎悦子(つのざき・えつこ)
公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン理事、特定非営利活動法人SEEDS Asia 理事
角﨑利夫(つのざき・としお)
有限会社ファーストウッド・プリモリエ代表取締役社長、日本セルビア協会理事、元在セルビア兼モンテネグロ日本大使、元在カザフスタン兼キルギス日本大使主な著書:『カザフスタン――草原と資源と豊かな歴史の国』(早稲田出版、2007年)。
坪田哲哉(つぼた・てつや)
外務省国際協力局専門機関室首席事務官。外務省入省後、在ユーゴスラヴィア日本国大使館(当時)、在セルビア日本国大使館等で勤務。
津本英利(つもと・ひでとし)
古代オリエント博物館研究員
専攻:西アジアとヨーロッパの考古学
主な著書:『アジアの王墓』(共著、アジア考古学四学会編、高志書院、2014年)、『Excavations at Tell Ali al-Hajj, Rumeilah: A Bronze-Iron Age Settlement on Syrian Euphrates』(共編著、The Ancient Orient Museum, Tokyo、2014年)、『古代オリエントの世界』(共著、古代オリエント博物館編、山川出版社、2009年)。
長島大輔(ながしま・だいすけ)
東京経済大学・東京都市大学非常勤講師
専攻:ユーゴスラヴィア地域研究(ナショナリズムと宗教)
主な著書・論文:「 人口調査の政治性――ボスニア・ヘルツェゴヴィナのムスリム人をめぐって」(柴宜弘・木村真・奥彩子編『東欧地域研究の現在』山川出版社、2012年)、「ボスニア社会におけるイスラーム――1945年から1970年代まで」(百瀬亮司編『旧ユーゴ研究の最前線』溪水社、2012年)、「地雷除去・不発弾処理活動を巡る政治――コソヴォ・セルビアを例に」(林明仁氏と共著、『社会科学研究』第29巻第2号、中京大学社会科学研究所、2009年)。
中島由美(なかじま・ゆみ)
一橋大学名誉教授
専攻:言語学・スラヴ語学
主な著書:『ニューエクスプレス セルビア語・クロアチア語』(共著、白水社、2010年)、『バルカンをフィールドワークする』(大修館書店、1997年)。
濱田靖子(はまだ・やすこ)
早稲田大学美術史学会会員、一般社団法人国際文化研究所代表理事
専攻:ロシア・東欧中世美術
主な著書・訳書:『イコン体系』(翻訳、講談社、1982年)、『ルーマニアの教会壁画』(監修、恒文社、1981年)、『イコンの世界』(美術出版社、1978年)、『ロシア美術史』(共訳、美術出版社、1976年)。
平野共余子(ひらの・きょうこ)
明治学院大学大学院非常勤講師
専攻:映画史
主な著書:『日本の映画史――10のテーマ』(くろしお出版、2014年)、『天皇と接吻――アメリカ占領下の日本映画検閲』(草思社、1998年)、Mr. Smith Goes To Tokyo: Japanese Cinema Under the American Occupation, 1945-1952, Smithsonian Institution Press, 1992.
百瀬亮司(ももせ・りょうじ)
立教大学兼任講師
専攻:バルカン地域研究、ユーゴスラヴィア近現代史
主な著書・論文:「1980年代セルビアにおける歴史認識とコソヴォ――イリュリア人起源論をめぐって」(『歴史研究』2013年)、『旧ユーゴ研究の最前線』(編者、溪水社、2012年)、『セルビア語読解入門』(大阪大学出版会、2012年)。
柳澤寿男(やなぎさわ・としお)
指揮者。バルカン室内管弦楽団音楽監督、コソボフィルハーモニー交響楽団首席指揮者、セルビア・ニーシュ交響楽団首席客演指揮者、ベオグラード・シンフォニエッタ名誉首席指揮者。
主な著書:『バルカンから響け! 歓喜の歌』(晋遊舎、2015年)。
山崎佳代子(やまさき・かよこ)
ベオグラード大学文学部教授、詩人
専攻:比較文学、セルビア文学
主な著書・訳書:『ベオグラード日誌』(書肆山田、2014年)、ダニロ・キシュ『若き日の哀しみ』(翻訳、東京創元社、2013年)、『解体ユーゴスラビア』(朝日選書、1993年)。
山崎信一(やまざき・しんいち) ※編著者プロフィールを参照。
山崎洋(やまさき・ひろし)
翻訳家、ベオグラード大学文学部講師
主な著書・訳書:『セルビア語常用6000語』(大学書林、2001年)、『おくのほそ道』(Tanesi、2012年)、『古事記』(共訳、Rad、2008年)、『ブランコ・ヴケリッチ 日本からの手紙』(翻訳、未知谷、2007年)、ドラゴスラヴ・ミハイロヴィッチ『南瓜の花が咲いたとき』(翻訳、未知谷、2005年)、ニェゴシュ『山の花環』(共訳、ニェゴシュ財団、2003年)。
Ⅰ セルビアってどんな国?
第1章 多様性の国セルビア――地理的特徴と地域の多様性
第2章 セルビアとセルビア人――国内外のセルビア人とマイノリティ
第3章 セルビアとユーゴスラヴィアの複雑な関係――南スラヴ統一国家をめぐって
第4章 セルビアのシンボル――国旗、国章、国歌とその意味
【コラム1】紙幣にみるセルビア
Ⅱ 歴史
第5章 セルビア人以前のセルビア――東西ローマの境界地域
第6章 中世王国の時代――史実と伝説
第7章 オスマン帝国のバルカン進出――何が変わったか
第8章 セルビア蜂起の展開――独立か自治か
第9章 近代セルビア王国の建設――「大セルビア」か南スラヴの統一か
第10章 第一次世界大戦とセルビア王国――南スラヴの統一に向けて
第11章 パルチザンとチェトニク――内戦としての第二次大戦
第12章 社会主義ユーゴスラヴィアにおけるセルビア――高まる「不平等」への不満
第13章 ミロシェヴィチ政権とナショナリズムの高まり――「統一」の達成とその論理
第14章 連邦解体とユーゴスラヴィア紛争――民族の自決と「セルビア人問題」
【コラム2】ギリシアの中のヒランダル修道院
【コラム3】ドナウ川に佇む遺跡
Ⅲ 政治・経済・国際関係
第15章 政治制度の概観、諸政党の概観――現在のセルビア政治
第16章 社会主義からの転換――難航する民営化
第17章 見直される農業――農業立国に向けての期待と課題
第18章 中小企業振興――セルビア経済の鍵を握る中小企業
第19章 紛争とセルビアの責任問題――ICTYとの関係
第20章 コソヴォ問題――錯綜する歴史と現在
第21章 NATO空爆――疑問視される「動機」と「成果」
第22章 10月政変と民主化――2000年以降の政治概況
第23章 対外関係――EUとロシアのはざまで
第24章 存在感を強める中国――経済がおよぼす太い絆
第25章 旧ユーゴスラヴィア諸国との関係――内戦の傷跡を乗り越えて
【コラム4】シャルガンスカ・オスミツァ――観光鉄道の試み
【コラム5】ベオグラードの黄色いバス
Ⅳ 多様な地域、多様な人びと
第26章 首都ベオグラード――セルビア/南スラヴの都となった要塞の町
第27章 ヴォイヴォディナ自治州――民族の博物館
第28章 シュマディヤ――セルビアの心臓
第29章 サンジャク地方――ムスリム文化の色濃く残る地
第30章 アルバニア人マイノリティ――プレシェヴォ渓谷
第31章 セルビアに暮らすロマ――ロマ賛歌発祥の地
第32章 ボスニア、クロアチア、コソヴォのセルビア人――マジョリティからマイノリティへ
第33章 セルビア人ディアスポラ――西欧、北米、豪州などへの移民
【コラム6】ジェルダップ峡谷――多彩な顔をもつ最大の国立公園
【コラム7】知られざる温泉大国――お薦めの温泉地をご紹介
【コラム8】気軽に楽しもう、セルビア・ワイン
Ⅴ 社会と生活
第34章 宗教事情――さまざまな宗派と政教関係
第35章 スラヴァ――守護聖人の祝日
第36章 クムとクムストヴォ――家族と並ぶ強い絆
第37章 家族――人の愛をはぐくむところ
第38章 セルビアの衣食住――素朴という美学
第39章 進む教育改革――ボローニャ・プロセスと高等教育
第40章 メディアの状況――多様化と娯楽コンテンツの全盛
第41章 自然と環境――国立公園や環境保護
第42章 セルビア人の姓名――ミリツァを追うサラ、レナ、アナ
第43章 現代の社会問題――女性差別、同性愛差別
【コラム9】ジョーク大国セルビア
【コラム10】セルビア俳句雑感
Ⅵ 文化と芸術
第44章 南スラヴの口承文芸――グスラールの世界
第45章 ノーベル賞作家の数奇な後生――イヴォ・アンドリッチ
第46章 セルビア語とその方言――豊かな民族文化の源
第47章 民謡と民族舞踊――村の歌と踊りが、人びとに親しまれる芸術になるまで
第48章 修道院――ビザンティンにつながるセルビア人の心の拠り所
第49章 セルビア映画――パルチザン戦から黒い波、そして混乱
第50章 クラシック音楽と大衆音楽――「オリエント」の受容と拒絶
第51章 セルビアの詩人たち――過酷な歴史に咲いた言葉
第52章 スポーツ――対立の舞台、共生の結晶
第53章 スポーツとしてのチェス――過去の栄光をどう活かすか
【コラム11】ベオグラードのオーケストラ
【コラム12】ストイコヴィチ――セルビアのヒーロー、ナゴヤのヒーロー
【コラム13】ジョコヴィチ――「テニス大国(!?)」セルビアの立役者
【コラム14】セルビアの野球事情
Ⅶ 日本とセルビアの関係
第54章 日本とセルビアとの交流史概観――支援活動の積み重ね
第55章 ドゥシャン・トドロヴィチ――ロシア語を教えたセルビア人
第56章 ブランコ・ヴケリッチ――日本にやって来たセルビア人
第57章 ベオグラード大学日本学専攻課程とデヤン・ラジッチ博士――日本の心を伝えて
第58章 日本とセルビアの経済関係――潜在性を生かし切れていない分野
第59章 セルビアの花ベララーダ――蚊取線香との意外な関係
第60章 セルビアから見た日本――七人の侍からナルトへ
【コラム15】音楽を通しての交流
【コラム16】草の根文化交流50年
【コラム17】セルビア語を教えて
セルビアについてさらに知りたい人のための文献案内
同じジャンルの本
関連記事
- ~を知るための…章 エリア・スタディーズ - 2014.05.22