圃場ごとに記録をタイムラインで振り返り、効率的に芝の生産管理を行えるようになりました。
茨城県下妻市有限会社 中田造園
この事例のポイント!
- 記録をタイムライン表示でチェック。効率よく圃場ごとの記録を確認
- モバイルアプリを活用して、現場で作業記録を確認
- 品種ごとの栽培履歴を出力して、取引先への提出に活用
アグリノートで芝の生産管理をやっている!?真相を解明すべく現場へ!
芝の生産量が日本一の茨城県。今回ご紹介する中田造園様は、茨城県内の芝の生産者の中でもいち早くアグリノートを導入し、以来8年以上活用されています。
芝の生産とはどのようなものなのか、そしてアグリノートでどのように記録・管理されているのか、私たちサポートチームスタッフも興味津々です。
芝一筋で品質向上に注力して取り組まれている中田造園の取締役 中田美穂様に、芝でのアグリノートの活用方法をじっくりお伺いしました。
アグリノートとの出会いはイベントだった!今では効率よく作業指示、事務作業の負担も軽減
– 本日は中田造園さんのアグリノートの活用内容をお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。
はじめに、芝の生産管理は通常の農作物と流れが異なると聞きました。芝の1年の流れをご説明いただけますか?
「芝は他の作物と違って、ある程度まで生育したら一年間いつでも出荷できます。春と秋が繁忙期で、3月から6月と9月から10月の間が特に出荷が増えて忙しくなります。繁忙期中も全圃場に対して葉刈り(葉を短くする)をおおよそ2週に1回行い、それを追いかける形でスイーパー(刈りくずの掃除)をかけていきます。同時進行で肥料や除草剤・殺虫剤散布も状況をみて年に3~4回行います。
繁忙期以降も作業はあって、11月から2月いっぱいまでは必要な圃場を耕運して、芝植え(芝の植え替え)をしていきます。」
– 芝は一度収穫したら、再度植え直さないといけないと思っていましたが、ずっと収穫できるんですね。
「下の方に根っこが残っているので、そこから芝が生えてきて再び成長すれば収穫作業が行えます。ただし、ずっと収穫していると地力がなくなるため、数年に1回は収穫後に有機肥料を入れて耕運して、芝植えから作業を始めます。収穫時の芝の状態を見極めたうえで、芝を切り終わったら、耕運するのか肥料を打つかを決める必要がありますね。」
中田造園さんの芝の生産サイクルとアグリノートで記録している作業項目
– 芝の生産サイクルがよくわかりました。それでは芝の管理にアグリノートを導入することになったきっかけを教えてください。
「私達の管理圃場は400箇所ほどあり、200箇所は他の生産委託農家にまかせていますが、もう半分の200箇所は自社で管理しています。私は中田造園に入社した当時、土地勘もなく、ちんぷんかんぷんだったんですよね。アグリノートを始めるまでは作業員のみんなが頭の中で管理していたので、私は圃場の場所もわからないし、どこの圃場の芝が余っているとか、どこの圃場の芝が出荷したばかりなのかとかわからないことだらけで。それが400箇所もあるのでどうやって管理したらよいのか模索していました。
何かいいツールはないものかと思い、千葉の幕張であったイベントに行ったときにアグリノートに出会いました。」
– 農業WEEKのブースにお越しいただいたんですね。ありがとうございます!
タイムライン表示で圃場ごとの記録を時系列で確認して、作業効率を向上
– それぞれの作業行程で指示する内容は多岐にわたると思いますが、そこではアグリノートをどのように使われていますか。
「圃場での作業は①葉刈りチーム、②スイーパーチーム、③肥料チーム、④薬剤散布(除草剤・殺虫剤等)チームの4チームに分かれて稼働しているのですが、その4チームの連携がとても重要です。
例えば、肥料散布されたばかりの圃場に葉刈りに入ってしまうと、肥料をスイーパーで吸い取ってしまうので意味がないんですね。
なので、現場長が作業の進捗を常にアグリノートで確認しながら指示出しをしています。いつ・どこで・どの肥料を投入したなど畑1枚1枚の情報を確認して、[ここは肥料をまいたから葉刈りしちゃいけない]とか、[次はどこの圃場に肥料散布して]とか。」
– 記録のタイムライン表示をうまく使われていますね。
「あとアグリノートの導入前は、肥料・除草剤の担当が現場で行った作業を紙に記録して、夕方に事務員が受け取って入力していたため、事務所でも記録作成の作業が発生していました。アグリノートをはじめてからは従業員がリアルタイムでアグリノートに記録をしてくれるので、事務作業がぐっと減りました。」
– 芝の生産管理で事務作業が軽減されたとのことですが、ほかにもアグリノートで便利に感じる点はありますか
「芝は外観品質で出荷できるかが決まるため、圃場単位での管理が必要になります。また、前回の収穫したタイミングから次の収穫まで12~14ヶ月程度かかり、その間の生育管理も重要です。
そのため、タイムライン表示だと圃場単位でいつ芝を収穫したのか、どのくらい肥料を散布したかといった情報を把握して作業指示ができるのは便利ですね。私は地図からタイムラインを見ることが多くて、圃場の検索欄から圃場を検索して作業記録を振り返っています。
例えば、収穫までの肥料の散布回数が多い圃場があれば、地力が落ちてきている証なのでそろそろ耕運して植替えしないといけないな~とか、現場長と会話しています。」
中田造園様のタイムラインの画面
肥料の散布作業は回数毎に作業項目を作成し、何回散布したのかわかるように工夫されています
出力機能を使って取引先に栽培帳票として提出。栽培帳票の見やすさに取引先の方からも好評でした。
– 記録のデータはどのような形で活用されていますか?
「取引先への栽培記録の提出に活用しています。アグリノートから出力した栽培帳票をメールで提出しているのですが、取引先の方から『どうやって(この栽培帳票を)出したの?』と聞かれました(笑)。取引先の会社さんは、手書きの栽培履歴を受けとることが多いようで、栽培履歴の見やすさに驚かれていました。芝は農薬や品質の管理が厳しくて、記録の確認を強く求められるので大変重宝しています。」
– 農薬の記録も付けられているんですね。
「はい。農薬の有効成分の情報は不要なので、農薬の設定項目は使用せずに作業記録のメモ欄に使った農薬の名称と散布量だけ記録しています。昨日も虫でだめになった畑があって、その対策のための栽培指導を受けるためにアグリノートの記録を指導員と一緒に確認しながら、細かい指導を受けることができました。」
今後は自動記録機能を活用して、作業チーム間での情報共有に取り組みたいです。
– 今後アグリノートで取り組んでみたいことがあれば教えてください。
「葉刈りはほぼ毎日どこかの圃場で実施していて、作業頻度が高く、記録づけにかかる手間が多くなってしまうことからこれまでは記録してきませんでしたが、そのよう省いていたことも記録できたら良いなと思っています。
葉刈り作業の後にスイーパー作業が必ず入るんですけど、葉刈りチームとスイーパーチーム間での情報のやり取りが、直接会って会話しないと難しいんですね。そこは非効率だな~と思っているので、アグリノートアプリの自動記録を使うなど工夫して細かく記録付けを行い、チーム間で共有できるようになるといいですね。」
– そういった使い方であれば自動記録機能が便利に使えそうです。昨年リニューアルされたのでぜひ使ってみてください!
「そうなんですね。改めて使ってみたいと思いました。人ごとにどんな作業をしたか、作業記録の下書きができるのは便利ですね。葉刈りは一箇所に必ず何分かいて一日にたくさんの圃場を回るので、自動記録機能との相性も良さそうです。」
– 記録づけを従業員の方にお願いするときになにか工夫はされていますか?
「当社の社員誰でもアグリノートを使っている方には携帯代5,000円/月を支給しています。アグリノートを使わない方はその支給はなしという形にしています(笑)」
– 携帯代の支給は従業員の方にとっては嬉しいですね!最後に、生産管理にお困りの芝の生産者の方に向けてメッセージをお願いします!
「やっぱり記録って大事なんですよね。芝の品質を上げていくためには、肥料や薬剤散布・葉刈り作業、そして最終的な出荷記録にしても年度が変わればまた1から始まるというわけではなく、前の作業からずっと続いている作業工程があります。
過去の記録を見ながらそれを参考にしつつ薬剤を変えたりダメな原因を考えたり、次に出荷する圃場を決定したりして動いていくのが芝生産だと思いますので、記録の重要性を感じています。
芝生産者の方にはぜひアグリノートでの芝の生産管理をしてみてほしいなと思います。」
– 貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました!
(取材:2024年6月28日)