1. 少額短期保険会社と保険会社って何が違うの?
「少額短期保険業者」と「保険会社」の相違点は次のとおりです。
項 目 | 少額短期保険業者 | 保険会社 |
---|---|---|
免許制、登録制 | 登録制(保険業法第272条) (申請先は「財務局」) |
免許制(保険業法第3条) (申請先は「金融庁」) |
取扱商品の制約 | あり(保険金額、保険期間) (制約内での「生損保兼営」可) |
特になし (生損保兼営不可) |
事業規模の制約 | 小規模事業者であること (収受保険料規模50億円を超えない) |
特になし |
保険契約者保護 | 保険契約者保護機構の対象外 | 保険契約者保護機構の対象 |
(供託金制度) | 供託金が必要(事業開始時1,000万円) | |
資本金・基金 | 1,000万円以上 | 10億円以上 |
監督指針 | 少額短期保険業者向けの監督指針 | 保険会社向けの総合的な監督指針 |
2. 保険金額に関する制限(上限)について
少額短期保険業においては、次のとおり、保険の区分に応じて1被保険者についての保険金額の上限が設けられています(注)。なお、①~⑥の保険の保険金額の合計額は1,000万円が上限となります。
①死亡保険(下記⑤を除きます) | 300万円 |
②傷害疾病保険(下記③④を除きます) | 80万円 |
③重度障害保険(下記④を除きます) | 300万円 |
④特定重度障害保険(傷害による重度障害保険) | 600万円 |
⑤傷害死亡保険(調整規定付傷害死亡保険の場合は、600万円) | 300万円 |
⑥損害保険(下記⑦を除きます) | 1,000万円 |
⑦低発生率保険 | 1,000万円 |
3. 保険期間に関する制限(上限)について
少額短期保険業においては、次のとおり、保険期間に上限が設けられています。
①生命保険、傷害疾病保険(第三分野の保険) | 1年 |
②損害保険 | 2年 |
4. 少額短期保険業で引受けることができない保険
少額短期保険業においては、保険金額、保険期間に関する制限とともに、次の保険は引受けることができません。
- 人の生存に関し、一定額の保険金を支払うことを約する保険(個人年金保険、貯蓄保険など)
- 保険期間の満了後満期返れい金を支払うことを約する保険(積立型の保険など)
- 保険料を主として株式や債券などの有価証券に投資し、その運用実績に応じて保険金額が変動する保険―運用実績連動型保険契約(変額保険など)
- 再保険
- 保険料または保険金、返れい金その他の給付金の額が外国通貨をもって表示されている保険(外貨建て保険など)
- 保険金の全部または一部を定期的に、または分割払いの方法により支払う保険であって、その支払いの期間が1年を超えるもの
5. 生損保兼営
少額短期保険会社は、保険金額の制限、保険期間の制限、取扱商品の制限を充足している少額短期保険商品であれば、生命保険、損害保険、傷害疾病保険(第三分野の保険)のいずれも取扱うことができます。
少額短期保険業の「自在性」を発揮できる土壌があるといえます。
6. 保険契約者保護のしくみ
生命保険業免許、損害保険業免許の対象となる保険商品については、保険契約者保護のしくみとして、それぞれ「保険契約者保護機構」が設けられていますが、少額短期保険業はこの制度の対象外となっています。