学校給食を食べる子どもたち
学校給食を食べる子どもたち
キルギスの多彩な給食メニュー
キルギス共和国のタラス州コク・ドボ村の小学校では、給食のメニューは調理師と地元住民たちが毎月相談して決めています。ロールキャベツやかぼちゃの餃子、ボルシチ、そばの実のおかゆ、キャベツとにんじんのサラダ、マッシュポテト…。地元の農家が丹精込めて作った食材が、様々なメニューになって子どもたちの元に届きます。2013年から始まった学校給食支援は、900校以上で実施されていて、昔はパンと紅茶だけだった給食が、彩り豊かで栄養満点な食事に変わりました。子どもたちも、給食を楽しみに学校に通っています。「全部とても美味しい!」と、1年生のアイペリ・クバニチベコワさんも大絶賛です。
支援で変わる学校給食
WFPは学校給食の一環として地元の人たちと協力して、食堂を建てたり調理器具を新しくしたりして、環境を整えています。また、調理師のトレーニングにも力を入れていて、これまでに約1,700人が栄養や衛生について学びました。コク・ドボ村の調理師ルナラ・サダバエワさんは、「今まで使っていたセモリナ粉から、栄養価の高いオートミールに変えました」と教えてくれました。キルギス全体でも子どもの成長に合うよう、給食は1食あたり335キロカロリーから550キロカロリーに増えました。
給食が子どもたちの唯一の食事
この村では、給食が唯一の食事という子どもも多く、家庭で栄養のある料理を食べるのが難しい現実があります。実際、学校で出されるメニューを家庭で食べたことがない子どもたちも多いです。校長は、「前は集中力がなくて疲れやすい子どもが多かったけれど、今はみんな夢中になって勉強や遊びに取り組めるようになった」と実感しています。
WFPの学校給食支援の最終目標は、各国政府が自立して運営できるようになること。過去60年間で100か国以上支援を行っていて、そのうち44か国が運営を政府に引き渡しています。
国連世界食糧計画(国連WFP)とは?
飢餓のない世界を目指して活動する国連の食料支援機関。緊急時には命を救う食料を届ける共に、紛争や災害などのショックから立ち直り、豊かで持続可能な未来を築くための支援を実施しています。世界の120以上の国や地域で、年間1億5000万人以上を支援。2020年にノーベル平和賞を受賞。
国連世界食糧計画(国連WFP)特集
バックナンバー
国連WFPニュースレター
Vol.73 :
紛争、洪水、相次ぐ地震、そして過酷な冬/危機に見舞われる人びとへ、今日を生きるための食料を
Vol.72 :
特集:国連WFP親善大使の杏さん チュニジアを訪問 ― 学校給食支援、女性主導の農業開発団体の現場を視察 ―
Vol.71 :
特集・実を結び始めた国連WFPの自立支援 ― アフリカ サヘル地域の緑化、戦火のウクライナ・地震被災のシリアでの自立支援