レインボー認定とは
PRIDE指標 「レインボー」認定について
PRIDE指標では、2021年より日本社会でのLGBTQに関する理解促進や権利擁護において、企業や団体が果たす役割や存在感が増していることも視野に入れ、国・自治体・学術機関・NPO/NGOなどとの、セクターを超えた協働を推進する企業を評価する、「レインボー」認定を新設しました。
「レインボー」認定は、自社単独の取り組みでできる範囲を超えて、他のプレイヤーと力を合わせながら、LGBTQの人々が自分らしく働ける職場・社会づくりの実現に中長期的にコミットメントする企業を後押しするものです。
ある問題に対してさまざまなプレイヤーが連携・協力することは日本でも海外でも新しい話ではありません。しかし、課題解決や社会システム変革につながっている取り組みもあれば、必ずしも成果が十分ではない取り組みもあります。理想の実現に向けて、企業や団体がリーダーシップを取り、他のセクターとも力を合わせて取り組みを進めていただくことを期待しています。
「レインボー」認定への応募について
2021年のレインボー認定の取得については、『PRIDE指標』への応募とは別に、2022年7月1日に公開予定の『「レインボー」認定専用の応募フォーム』に必要事項をチェック、ご記入の上、応募が必要となります。
※応募方法および、対象期間、応募受付期間は、「PRIDE指標2022」と同様となります。
※レインボー認定専用応募フォームは2022年7月1日にこちらのページにて公開いたしますので、もうしばらくお待ちください。
- 評価対象期間:2022年1⽉1⽇〜2022年12⽉31⽇(12ヶ⽉間)
- 応募受付期間:2022年7⽉1⽇〜2022年8⽉31⽇
- ※応募受付専用のPRIDE指標/レインボー認定応募ページよりご応募ください。
「レインボー」認定の要件について
採点および、審査の結果、以下の内容を全て満たしていると認められた企業・団体のみなさまが認定を取得できます。
<「レインボー」認定の要件>
- 1.『PRIDE指標2021』において、「ゴールド」認定を獲得していること。
- 2.日本におけるLGBTQに関する法制度の実現に、企業・団体として公に賛同表明していること。
- 3.LGBTQに関する理解促進や権利擁護のために、自社・自団体のみならず、セクターを超えた主体と協働するコレクティブ・インパクト型の取組を推進していること。
認定の各要件についての補足
1.『PRIDE指標2022』において、「ゴールド」認定を獲得していること。
レインボー認定応募に関して、「PRIDE指標2022」への応募が必要となります。
また、応募いただいた内容を採点した結果が、「ゴールド」を受賞した場合、こちらの項目を満たしていることとなります。
2.日本におけるLGBTQに関する法制度の実現に、企業・団体として公に賛同表明していること。
現在、日本において、下記LGBTQ関連の法整備の実現へ向けた活動について、企業、および団体として、公に少なくとも一つ以上、賛同表明をしている場合に、こちらの項目を満たしていることとなります。
- 婚姻の平等を実現する法制度の実現(Business for Marriage Equality)
WEBサイト:https://bformarriageequality.net/ - LGBT平等法の実現(ビジネスによるLGBT平等サポート宣言/Business Support for LGBT Equality in Japan)
WEBサイト:https://equalityactjapan.org/
3.LGBTQに関する理解促進や権利擁護のために、自社・自団体のみならず、セクターを超えた主体と協働するコレクティブ・インパクト型の取組を推進していること。
コレクティブ・インパクトは、「(企業や行政、NPOなどの)異なるセクターから集まった重要なプレイヤーたちのグループが、特定の社会課題の解決のため、共通のアジェンダに対して行うコミットメント」と定義されています。
この定義には、連携・協力がインパクトにつながるために重要な点が3つ含まれています。
- (1)特定の課題解決に対して重要なプレイヤーがセクターを超えて集まっていること
- (2)共通のアジェンダ(=共通の問題認識に基づくビジョン)が設定されていること
- (3)単発や一過性の取り組みではなく、中長期的なコミットメントがあること
このコレクティブ・インパクトの定義に基づき、用意された「レインボー」認定専用応募フォームの項目に取り組み内容を記入いただき、確認の上、下記審査基準を基に審査し、評価します。
<審査基準>
- 課題設定(15%):課題の重要度や緊急度・影響度
- 戦略・解決策(15%):課題・目標設定に対する有効性・革新性・新規性
- パートナーシップ(15%):変革に重要なプレイヤーの参画
- リーダーシップとコミットメント(15%):変革へのイニシアティブ・中長期的なコミットメント
- インパクト・成果(40%):設定した課題に関する現時点でのインパクトの度合いと今後の目標・見通し
※審査時には、さまざまな評価基準を考慮し、上記( )内の%のとおり重みづけを行います。
※重要で大きな変化が起きるには時間がかかると考えています。インパクト・成果については、現時点での成果だけではなく、将来的な見通しも含めて評価します。
※「コレクティブ・インパクト」型の取組についての評価については、事務局である特定非営利活動法人グッド・エイジング・ エールズ、特定⾮営利活動法⼈エティック、および、経済・教育・報道などの分野で活躍される専⾨家による委員会を設置し、評価する予定です。
「レインボー」認定についてのFAQ
- コレクティブ・インパクトについて、もう少し詳しく教えていただけますでしょうか。
A.コレクティブ・インパクトは、スタンフォード大学が発行するStanford Social Innovation Review誌上にて2011年に発表された社会変革のアプローチです。「(企業や行政、NPOなどの)異なるセクターから集まった重要なプレイヤーたちのグループが、特定の社会課題の解決のため、共通のアジェンダに対して行うコミットメント」と定義されています。
コレクティブ・インパクトに関する論文は、異なるセクターのプレイヤーが力を合わせて大きな成果を実現するための鍵となる5つの要素を、調査に基づいて示したことから注目を集めました。
具体的には、(1)課題解決のために重要なプレイヤーたちが参画し、問題認識やビジョンを共有していること、(2)成果の測定手法をプレイヤー間で共有し、学習や改善に活かしていること、(3)それぞれのプレイヤーの活動を互いに補完・補強し合う形で進めること、(4)プレイヤー同士が信頼関係を構築していること、(5)プレイヤー同士の協働を支える事務局役が存在することです。
ただし、上記の5つの要素はあくまで参考です。全てを満たしていることを求めるものでないこと、また、全てを満たしていれば必ず認定されるものではないことにご留意ください。大切なことは、設定頂いた課題の解決に向けて、誰と力を合わせる必要があるのか。何に取り組む必要があるのかを検討いただき、取り組みを進めて頂くことだと考えています。
『PRIDE指標2021』から新設した「レインボー」認定は、LGBTQの人々が自分らしく働ける職場づくりのため、自社単独の取り組みや従来の連携・協働でできる範囲を超えてリーダーシップを取り、中長期的にコミットメントする企業を後押しするものです。コレクティブ・インパクトのアプローチは、こうした願いに通じるものと考えています。 - セクターを超えた主体と協働するというのは、単体企業ではなく、複数の企業同士が、一緒に取り組んだ場合は、コレクティブ・インパクト型の取り組みとなりますでしょうか。
A.企業セクター内での取り組みでも「レインボー」認定となる可能性はあります。
「課題やビジョンの共通認識に基づいた、中長期的なコミットメントを伴う取り組みであるかどうか」や、「ありたい姿の実現に必要なプレイヤーの参画を促し、力を合わせているかどうか」が、従来型の連携・協働ではなく、コレクティブ・インパクト型の取り組みであるといえるためのポイントになります。
同時に、行政やNPOなど、他のセクターのプレイヤーと連携・協働することが、より大きなインパクトの実現につながる可能性がないかどうかも、適宜検討いただければと思います。 - 複数の企業や団体と、LGBTQの理解促進のために一緒に研修をした場合は、コレクティブインパクト型の取り組みに該当しますか。
A.素晴らしい取り組みではあります、「レインボー」認定に該当するかどうかは、取り組み内容や規模によるとお考えください。
「レインボー」認定にあたっては、セクターを超えるプレイヤーが参加しているかどうか(コレクティブであるかどうか)に加えて、どのようなインパクトが創出されているかどうかを判断材料とさせていただきます。
単純な規模や広がりはもちろんですが、取り組みが進んでいない領域(業界、テーマ、地域など)での取り組みや、従来と比較してより効果の高い取り組み、少数であっても困難度の高い層に対する支援なども評価の対象となります。
また、設定した課題の解決や目標の実現に対して、単発のキャンペーンやイベントではなく、継続的にコミットメントしているかどうかも重視します。 - 団体への寄付や、取り組み支援を行った場合は、該当となりますでしょうか。
A.素晴らしい取り組みではありますが、団体への寄付や取り組み支援を行っただけでは原則として該当しません。
一方で、設定した課題の解決やビジョンの実現に向けた複数の取り組みの一部として、重要な取り組みを行うNPO等に寄付や支援を提供することは、アプローチの一つとして有効であると考えています。 - セクターを超えた主体と協働するということは、例えば自社とNPO、または自治体など2つの主体の場合でも該当となりますでしょうか。
A.設定した課題の解決に向けて必要なプレイヤーの参画が実現できていると言える場合は、該当する可能性があります。
その上で、「レインボー」認定に該当するかどうかは、審査基準や他の質問への回答もご参照ください。 - 取り組むテーマは、LGBTQに関する取り組みであれば、全て該当となりますでしょうか。
A.「LGBTQの人々が自分らしく働ける職場づくり」につながる取り組みであれば該当します。従業員の理解促進といった直接的な取り組みに限らず、将来の働き手である子どもへの啓発活動やキャリア教育など、将来に向けた間接的な取り組みも該当します。
- これから取り組みを検討する予定ですが、評価期間である12月末までに成果が出ない場合があります。具体的な成果が、評価期間の間に出ない場合でも、想定している計画のみで問題ないでしょうか。その場合、評価のために提出資料など必要でしょうか。
A.中長期的なコミットメントに基づく対外的な取り組みを始めていただければ、対象になり得ます。重要で大きな変化は、成果が出るまでに時間がかかることが多いと考えています。そのため、開始間もない取り組みのエントリーも予想される2022年度は、資料提出時点での成果と、計画に基づく将来の見通しを評価の対象とします。
審査にあたって、追加の資料提出や聞き取りを求める場合もございます。その際は、事務局より個別にご連絡を差し上げます。 - 該当する取り組みについて、具体的な事例があれば教えてもらえますでしょうか。
A.LGBTQ関連での取り組みでは、以下のような事例がありますので、参考までにご紹介します。
「PRIDE指標」で示す基準を一定満たせば認定となる「ゴールド」「シルバー」「ブロンズ」と異なり、「レインボー」は、様々な取り組みの形がありうると考えています。
そのため、下記の事例もあくまでコレクティブ・インパクトのアプローチを理解いただくための一例として挙げているに過ぎないことをご了解ください。
◇事例(海外)
海外では、5年以上前より企業がLGBTQの人々の働ける職場づくりの重要性や企業全体の生産性への影響等を認知し、様々な観点で取組が広がっています。
例えば、テクノロジー業界での採用促進やキャリア支援(世界最大の技術者のLGBTQのコミュニティであるLesbians Who Tech&Alliesと企業等の協働(*1))、メンタルヘルス支援への資金提供・NPOへの技術等支援・企業サービス開発等実施(Johnson Family FoundationとNPO・企業・医療機関等との協働(*2))、LGBTQであり難民の方の受入と企業スタンスの開示(TD Bankでの採用。記事中の方は21年現在まで7年勤務し同支店の顧問や人事を経験(*3))などが挙げられます。
なお、問題に対する重要なプレイヤーとの協働のみならず、企業によるサプライチェーン全体への体系的な組み込みも、近年求められています(*4)。
参考URL
(*1)A League of Their Own
(*2)Ending LGBT Health Inequities
(*3)3 ways businesses can support LGBTQ refugees in the workplace
(*4)What is intersectionality and how can it help businesses tackle diversity and inclusion?
◇事例2(国内)
「にじいろ子育て」啓発プロジェクト(2020年度 ベストプラクティスを受賞)
企業の広報担当者や記者に「LGBTQハンドブック」を配布したり、セミナーを開催するなど、今日のLGBTQへの理解促進に寄与してきた同社。「LGBTQ当事者の子どもと保護者に寄り添う母子手帳のような子育て手帳を作りたい」というアイデアから生まれた「にじいろ子育て」啓発プロジェクトを、他の企業やNPO等と協力し推進しました。
子育てに関わったことのある全ての人を対象に調査を設計し実施。その結果をもとに「らしさ」を押し付けないこれからの子育てのヒントを届け、子育てをするLGBTQ当事者の困難をサポートする「にじいろ子育て手帳」を制作しました。調査結果の発表と 子育てに関わる人の座談会とメディアイベントを実施し、“LGBTQと子育て”というテーマを深く伝えた記事は大きな反響を得ました。
参考資料:「PRIDE指標2020」レポート
(上記事例につきましては、レポート内ベストプラクティスのページをご覧ください)