【KDDI】同性パートナーの子を、社内制度上“家族”として扱う「ファミリーシップ申請」
ColumnwwP実行委員会参画企業の取組事例紹介
【KDDI】同性パートナーの子を、社内制度上“家族”として扱う「ファミリーシップ申請」
KDDIは、2017年4月から、KDDI社内規程における配偶者の定義を改訂し、同性パートナーも配偶者に含めることにより、配偶者に適用される全ての社内制度 (祝い金、休暇、各種手当) を同性パートナーに対しても適用しています。(「同性パートナーシップ申請」)
さらに、2020年6月、会社が認めた同性パートナーとの子を社内制度上 “家族” として扱う
「ファミリーシップ申請」を新たに導入しました。
【導入の背景】
同性パートナーシップを申請済みの社員から、「将来的に子供を持ちたいと考えている」という相談を受け、このような非常にセンシティブな情報を会社(人事)に伝えることは非常に勇気のいる行為であり、その意を受け、会社としてどこまで対応できるか、検討を開始することにしました。
【導入までのプロセス】
まずは、労基法や健康保険法上における「子の定義」や本件に関わる法的問題について、法務部等に確認をしながら、課題整理を行いました。その他、子供に関わる人事制度全てをピックアップし、関連部署と対話を重ねながら整理を進めました。また、社外の状況把握のため、同性カップルが子供を育てることを支援している団体に赴き、直接話を聞きました。
検討を進めるにあたり、幸い、社内で否定的な意見はありませんでしたが、同性パートナー同士が共同親権を持てない点についての認識がほとんどなかったことから、その点についての説明は苦慮しました。
【導入後】
現時点で、実際に適用者がいる訳ではありませんが、会社側が出来得る限り環境を整備することで、当事者社員の安心感の醸成に寄与したものと考えています。(後述の「当事者社員の声」ご参照)
また、会社の多様性を尊重する姿勢を通じ、当事者である無しに関わらず、社員のエンゲージメント向上への波及効果、そして今後、他の企業での広がりにも期待しています。
「当事者がいないから着手しない」ではなく、先行して出来ることから少しずつ進めていく。こうした会社の姿勢が、カミングアウトできずに悩んでいる当事者社員を救う一助になるかもしれません。
【当事者社員の声】
<当事者Aさん>
一社員の声を拾い、その実現に向けて動いてくださったことに大変感激しました。
制度ができたことにより、「子供を授かりたい」という思いにますます現実味が増してきました。
そういう道筋を作っていただけたことで、また一歩背中を押してもらえたという感覚になりました。
2017年に「同性パートナーシップ申請」が導入された際、このような制度を整えてくれる会社のことが本当に好きになり、「仕事を通じて会社に恩返しをしたい。そのためにもっと仕事をがんばりたい。」と思うようになりました。そこに加え、今回、「ファミリーシップ申請」を整備していただいたので、今の潮流と逆行するのかもしれませんが、「定年まできちんと勤め上げたい。そのために自分のスキルや経験値を高めていかなければ!」と強く思うようになりました。私にとって、KDDIという会社は今までも多くのチャンスを与えてくれ、応援してくれる懐の広い会社だと思っていましたが、その思いがますます強くなりました。
<当事者Bさん>
当事者の悩みに寄り添ってくれる会社の姿勢に素直に感動し、先進的な取り組みをしてくれている会社に勤めていることを改めて誇りに思いました。
当事者というのは多くの悩みを持っていると思いますが、同性パートナー同士が子どもを持つことにはひときわ高い壁があります。その中の一つとして、子育てをしながら働くことに必要な制度がないことがありますが、「子どもを育てる」ことに必要な制度・仕組みは異性も同性も関係ないと思いますので、今回の「ファミリーシップ申請」導入により、当事者たちの道がひとつ開けたのではないかと思います。
「(会社から)認めてもらえる」ということは、気持ちの面でも大きな安心感につながっています。