成果を上げる人と上げられない人、両者の違いはどこにあるのか? 『時間最短化、成果最大化の法則』(ダイヤモンド社)の著者で東証プライム上場企業社長の木下勝寿さんが、「タイパ」(タイムパフォーマンス=時間対効果)を上げるための法則を紹介する本連載。最終回では、チームで成果を目指すとき、相乗効果を生む人員配置のポイントと適材適所の見極め方についてお伝えします。

(1)一代で時価1000億企業に!成果を上げる人のタイパ術
(2)スケジュール管理能力が低いチームのタイパは上がらない
(3)「指示待ち部下」が自ら動き出す、適材適所の見極め方 ←今回はココ

 第2回では、スケジュール管理能力の磨き方や伝達事項の理解度チェック、顧客視点を持つことの重要性について紹介しました。組織運営においては、いかに自分と異なる個性と能力を持つ部下の力を伸ばしながら、チーム力を発揮するかが重要です。しかし実際には、自ら考えて仕事をつくり出すのが得意な人がいる一方で、細かく指示を出されないと自分から動かない、いわゆる「指示待ち」タイプの部下に悩んでいる人は少なくありません。自発的に動いてくれない部下や後輩にどのように働きかけると、チームがもっとスピーディーに動くようになるのでしょうか?

“やらされている感”は仕事と適性のミスマッチから生まれる

 仕事へのモチベーションが上がらない大きな要因として考えられるのは、興味の持てないことに無理やり取り組んでいるからです。“やらされている感”が強いと、言われたことをただこなせばいいという発想になってしまう。上司の叱咤(しった)激励など、外部からの働きかけでモチベーションを引き出そうとしても大きな効果は期待できません。

 自発的に動くようになる一番の対処法は、本人の適性がある仕事を見極めてアサインすることです。私は起業してから東証プライム上場企業へと組織を成長させていく過程で、一緒に働く人たちに適材適所の環境を整えることを重要視してきました。好きなことや得意なことならモチベーション高く取り組め、本人のスキルアップにつながりますし、周りも刺激を受けて社内は活性化します。チームがうまく回らないという悩みを持っている人は、自分が誰にどんなアサインをしているのか振り返ってみるといいでしょう。

 適材適所を見極めるには、その業務に求められる能力を細分化することが欠かせません。例えば、「文章力のある人に任せたい仕事がある」とします。しかし、ある仕事において「文章力がある」という基準で適任者のふるい分けをするには不十分。もう一段階絞り込んで解像度を上げていく作業が必要です。なぜなら、上手な文章の基準は「何を目的としているのか?」によって変わってくるからです。

「『組織がうまく回っていない』『自分の熱量が空回りしている』。自走する組織をつくりたいときは、まず任せたい仕事で求められる能力を細かく因数分解したうえで、『この仕事は誰が得意?』と適任者の顔を思い浮かべるといい」と木下さん
「『組織がうまく回っていない』『自分の熱量が空回りしている』。自走する組織をつくりたいときは、まず任せたい仕事で求められる能力を細かく因数分解したうえで、『この仕事は誰が得意?』と適任者の顔を思い浮かべるといい」と木下さん