新NISAのよくある誤解。「いい制度だからすぐに始めないと!」は間違い?
2024年より新NISAがスタートします。ニュースなどでもNISAという言葉を目にすることが多くなってきました。NISAは投資で得た利益に税金がかからない制度です。将来に向けてお金を育てようと考えている人にとってとてもよい制度です。自分のペースでうまく活用するのがいいでしょう。
ただし気を付けるべき点もあります。それは焦って始めてしまうことです。「すぐに新NISAを始めてたくさん投資しなければ」と急ぐことはおすすめしません。
資産運用はあくまで「余裕資金」で
資産運用は余裕資金で行うものです。
余裕資金とは、すぐに使う予定がないお金のことです。生活費はもちろん、近いうちに旅行で使うつもりのお金なども、資産運用にはまわさず、手元に残しておいたほうがよいでしょう。
もし自分の余裕資金を知らずに資産運用をしてしまうと、日々の暮らしに必要なお金に影響が出かねません。将来の暮らしをよくするための資産運用が今の暮らしを圧迫するのは本末転倒です。焦らずに、まずは余裕資金を把握することから始めてください。
焦らなくてよい背景はもう一つあります。NISAが恒久的な制度になったことです。
2023年までのNISAでは、年間の投資枠のうち、その年に使わなかった分は消えてしまいました。しかし2024年からの新NISAでは枠が消えることがなくなりました。つまり、ある年に投資した金額が少なくても、残った枠を翌年以降に埋めていくことができるのです。最初から無理をして大きな金額を投資する必要はありません。
自分のペースが大事。焦って「枠」を埋めなくてもいい
ではどれくらいの金額を資産運用にまわせばいいのでしょうか。
新NISAで投資できる枠は1800万円です。年間の投資枠は最大360万円なので、枠を毎年使いきると5年で埋まる計算になります。このような説明を聞くと、「たくさん投資しなければ」と焦ってしまうかもしれません。
しかし資産運用をするときに最も大切なのは、自分のペースで行うことです。
もし新NISAの枠を5年で埋めようとすると、毎月30万円(年360万円)ものお金を投じる必要があります。これは多くの人にとって難しいことだと思います。
実際には「月々数万円から始めたい」という人が多いのではないでしょうか。たとえば毎月10万円(年120万円)なら15年、毎月3万円(年36万円)なら50年で1800万円の枠を使い切ることができます。枠を使い切るのに時間がかかりますが、気にする必要はありません。新NISAの非課税期間は無期限だからです。
また、1800万円の枠を使い切れなくても問題はありません。枠のおよそ半分である1000万円まで使って、仮に30年後にリターンが2倍になれば資産は2000万円です。これは少し前に話題になった「老後2000万円問題」をクリアできる金額です。毎月3万円(年36万円)を投資すれば、30年かからずに1000万円の枠を使うことができます。
新NISAはとても使いやすい制度です。枠を使い切るのに時間がかかっても、枠をすべて使い切らなくてもかまいません。余裕資金を把握したうえで、自分が無理なく続けられる方法で始めましょう。
※この記事は2024年01月03日に公開されたものです