自分を責めてしまう人へ。「SELF LOVE CARD」で、人生への向き合い方を考える
「あ〜あ、マジで私って本当にしょうもない」
仕事も恋も、人並みに頑張っているはずなのに、些細なことで簡単に傷つけられる私の自己肯定感。SNSを見ていると、私だけが周りと比べて劣っている気がする。土日に養った英気も、週の真ん中には枯れ果てて、いつか生きることすらも嫌になるんじゃないかなんて、不安に押しつぶされそうになりながら眠りにつく。
それでも寝つけない長い夜に「自己肯定感 低い」なんて、人には言いづらい検索ワードを検索窓に入れてみる。そんなこと、インターネットに聞いてみたって解決するわけない、そう思っていた。
だけど、眠れないのをいいことに色々なページを見ていくうちに、あるワードにたどり着く。「セルフラブ」ができるようになると、自分自身を肯定的に捉え、ありのままを受け入れることができるようになるのだという。
「我慢ばっかしてた」私が出会ったセルフラブ
色々調べてみたところ、セルフラブとは、その名の通り自分に愛を向けることなんだとか。日常的に「自分らしく生きられていない」「我慢が多い」と感じる人は、自分に対する愛が希薄になっている可能性があるらしい。
たしかに、自分のことをどれくらい好きかと聞かれれば、不満もあるなと感じる。もっと痩せていればとか、もっと頭が良ければとか、周囲と比べてしまっては、ないものねだり。だけど社会に出れば、それなりに順応して生きていくしかない。我慢せずに生きることができる人なんて、一握りの人だけなんじゃないか。最初は、そう思ってしまった。
「セルフラブ」の本質が分からなかった私は、とある人物に話を聞くことにした。セルフラブに関するセミナーやプロダクト開発を行う、クリエイティブデザイナーでセルフラブガイドのMutsumi Leeさん。彼女に話を聞いてみて、はじめて「自分を愛すること」がどういうことなのか分かった。
今の自分が苦痛に感じることには、何かしらの原体験がある。私は何が嫌で、なぜそのことを嫌と思うのか。自分を深く知らなければ、自分を受け入れることもできないのだという。自分に問いかけを繰り返していくと、意外にも、自分のことを知ろうとしていなかったのは、他でもない自分自身なんだと知ることになる。
セルフラブなんて考えたこともなく、なんとなく自分を否定し続けていた私。そんな私がセルフラブを始められたきっかけは、Lim Loveのプロダクトである「SELF LOVE CARD」との出会いだった。
セルフラブ習慣で、初めて知る今までの“偽りの自分”
“世界から不必要な痛みをなくす”をコンセプトに設立されたLim Loveが作った「SELF LOVE CARD」には、自己肯定を促すきっかけを作る、50の質問が書かれている。
カードの質問は、自分のパーソナリティを掘り下げるようなものが多い。幼少期や思春期に心に残っていることはどんなことか、最近悲しかったこと、人生でつらかったことは何かなど、人生を振り返るような内容も。
説明書によれば、質問に対しては素直な気持ちで回答を考えるだけでいいという。善悪をジャッジする必要はなく、ただ自身がこれまで生きてきた中で培ってきた価値観を、見つめ直すだけでいい。
まずは、1日1枚カードを引くことから始めた。最初は、カードに書かれている内容を重く受け止めてしまい、つらいと感じることもあった。「人にかけてほしいと感じる言葉を、自分にかけてあげられているか」。「育った環境は、自分を愛することにどんな影響を与えていると思うか」。自己否定と一緒に、蓋をして自分の奥底に閉まっておきたくなるような深い質問。
SELF LOVE CARDを日常に取り入れてみるまで、自分の深いところに潜ることは、むしろ自分を傷つけるだけだと思っていた。自分のダメさを思い知ることになるだけだと……。けれど、1日1枚カードを引き続けるうちに、私の中にある感情が芽生えるようになっていった。
自分の価値観や、これまでの人生と向き合ってみると、自分に対する捉え方が変わった。
「なぜこうじゃないんだろう」という考えが少なくなっていき、「もともとこうだったのだから、しかたない」と考えられるようになったのだ。
しかたないというのは、自分に対する諦めじゃない。「あ〜、私って、こういうの昔から嫌だったもんね」と、自分に対して客観的な視点が芽生えた感覚。
SELF LOVE CARDを引き続けてみたら、質問に対して明確な経験やエピソードを引っ張り出せるようになっていった。最初はぼんやりとしていた答えが、何度か同じカードを引いて、同じ質問に対し考えを深めていくうちに、どんどんと鮮明になっていった。
逆に、こんなに何度も真剣に問いかけないと、自分の本当の性質に気づけなかったことに驚きも感じた。そして、今まで私が自己否定していた自分は、よそ行きの自分だったことに気がついた。
今までの私の価値観は「社会人なんだからちゃんとしなきゃ」とか「仕事なんだから我慢しなきゃ」とか、わがままな自分に言い聞かせてどうにか大人ぶってみせるようなものばかりだった。我慢してでもちゃんとして見せることができる自分が、自分なのだと思っていた。
けれど、そうじゃない。本当は、我慢できない自分もいる。だから、涙があふれて止まらなくなる夜だってあったはずなのに。私は、そんな私の「本当の気持ち」を、ずっと無視し続けてきたのだ。
セルフラブは「頑張っている私」を認めてあげるための習慣
SELF LOVE CARDを引くようになってから、私は少しだけ生きやすくなった。そりゃ生きていれば、嫌なことはあるし、我慢をすることもある。けれど「我慢している私って偉い」とは思わなくなった。
急に涙があふれて止まらなくなることがあったあの頃は、なぜ自分がこんなにも苦しいのか分からなかった。だけど今は、その理由が分かる。
だから、本当に苦しいことからは「逃げちゃえ!」と思える気楽さが生まれたし、我慢をする時はそんな自分を「おうおう、頑張ってるねえ」と客観視するようになった。
社会人として生きていれば、面の皮を厚くして、本当に思っていることと違うことを言う時もある。だけど、そういう自分は「本当の自分」とは違う、社会人モードの自分なのだと割り切れるようになった。
だから、仕事が終われば甘いものだって食べちゃうし、ベッドで動画を見て終わる休日もある。だってしょうがない、社会人モードの自分は、頑張っているんだから。自分に対して常に厳しく「ダメなやつめ」と責め立てることもなくなった。
自分を受け入れて愛するということがどういうことなのか、言葉で説明するのは難しい。けれど、SELF LOVE CARDを生活に取り入れてみれば、人生に対する捉え方はきっと変わる。
1日10分の瞑想ルーティン。今では、出張先にカードを持っていくほど大切な、私の習慣。
(文:ミクニシオリ、写真:鈴木麻葉/マイナビウーマン編集部)
Information
「SELF LOVE CARD」
自分との対話のきっかけ、セルフラブへのヒントや気づき、日々の自己肯定をうながす50の質問が書かれたおしゃれなカード。一人でふとした時に引いてみたり、友人やパートナーと引き合って楽しむこともできます。
※この記事は2023年07月26日に公開されたものです