相続人申告登記の申出制度を活用すべきケースの検討 | 渡辺和也司法書士事務所(地域公団OB)
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相続人申告登記の申出制度を活用すべきケースの検討

本年の4月1日から、相続登記の申請義務化とともに、相続人が申請義務を簡易に履行することができるようにする観点から「相続人申告登記の申出」制度が開始しました。

  1. 所有権の登記名義人について相続が開始した旨と、
  2. 自らがその相続人である旨を申請義務の履行期間内(3年以内)に登記官に対して申し出ることで、

申請義務を履行したものとみなすこととされました。登記記録に氏名・住所が記録された相続人の申請義務のみ履行したことになります。※ただし、相続登記をしたことにはならず、いずれは相続登記を申請する必要があります。

この「相続人申告登記の申出」の利用場面ですが、

義務に伴う10万円の過料という厳しい措置とのバランスをとるために、その救済措置として創設されたのだとは思いますが、実務上は、

相続登記が申請できる状況なら申請をすればよいわけですし、正当な事由(後述)があれば10万円の過料通知を回避できるようになっているので、ギリギリまで手続を放置しておいた人のための措置なのかなと感じてしまいます。

それでも、利用場面を敢えて検討してみると、次のようなケースでしょうか。

  • 正当な事由に該当するかどうかよく分からないので、念のため申出する。
  • 忘れていたところ、気がついたら期限が間近になっていて、日数的に遺産分割協議及び相続登記の申請ができそうにないので、取り急ぎ申出する。
  • 相続人に認知症者がいるが、成年後見の申立てに時間を要するため、日数的に期限内に遺産分割協議及び相続登記の申請ができそうにない(今のところの私見ですが、認知症者等判断能力を欠く相続人の存在だけでは、正当な事由に該当しないような気がします。)ので申出する。
  • 相続人に認知症者がおり、遺産分割協議ができなため、当人の相続開始まで相続登記を保留したい(同上)ので申出する。
  • 相続人に未成年者がいるが、遺産分割協議のための特別代理人の選任申立て(親子の利益相反)に時間を要するため、日数的に期限内に遺産分割協議及び相続登記の申請ができそうにない(今のところの私見ですが、未成年者の存在だけでは正当な事由に該当しないような気がします。)ので申出する。
  • 相続人にもう少しで成年に達する未成年者がおり、遺産分割協議のための特別代理人の選任申立て(親子の利益相反)を回避すべく、成年に達するまで遺産分割協議を保留したいが、成年に達する前に期限がきてしまう(同上)ので申出する。

なお、正当な事由は以下のとされています(法務省HP「相続登記の申請義務化に関するQ&A(令和5年10月31日)」)。

  1. 相続登記の義務に係る相続について、相続人が極めて多数に上り、かつ、戸籍関係書類等の収集や他の相続人の把握等に多くの時間を要する場合
  2. 相続登記の義務に係る相続について、遺言の有効性や遺産の範囲等が相続人等の間で争われているために相続不動産の帰属主体が明らかにならない場合
  3. 相続登記の義務を負う者自身に重病その他これに準ずる事情がある場合
  4. 相続登記の義務を負う者が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号)第1条第2項に規定する被害者その他これに準ずる者であり、その生命・心身に危害が及ぶおそれがある状態にあって避難を余儀なくされている場合
  5. 相続登記の義務を負う者が経済的に困窮しているために、登記の申請を行うために要する費用を負担する能力がない場合
相続登記の義務化ってどういうこと? 相続人申告登記って何?
令和6年4月1日から相続登記の申請が義務化されました。 「義務化」をごく簡単に説明すると以下のとおりです(詳細は こちら)。 『不動産を取得した相続人は、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をすることが義務付けられ、 正当な理由が...
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