新型コロナワクチン後遺症『救済制度』の障害年金って?一般の障害年金と何が違う?
新型コロナワクチンを接種して、障害が残っている状態の人は、『予防接種健康被害救済制度』の障害年金について調べたことがある人も多いと思います。
しかし、救済制度の書類案内には『障害年金』について詳しく解説されていないことも事実ですよね。
そこで実際に、救済制度の障害年金を申請した経緯をもとに、一般的な障害年金との違いや併給について、詳しく解説しようと思います。
いつ、どんな場合に救済制度の障害年金を申請できる?
障害年金は、後遺症が遺った場合に年金として受け取ることができる制度です。
後遺症が出たらすぐ申請したらええんやな!?
新型コロナワクチンを接種して、後遺症が出てしまった場合、収入が途絶え、治療費がかさみ・・・旦那くんが言うように「すぐ請求しよう!」と思い立って早く申請したくなってしまいますが、担当の医師とよく相談して診断書を記入してもらうことが大切です。
救済制度の障害年金は、いつ申請できる?
切断など永久的な障害でなければ、すぐに症状固定にはなりません。特に、新型コロナワクチン接種による後遺症は、回復に向かうのか症状が固定されているのかについて、医師も首をひねるケースが多いことも事実です。
原則として、症状が出てから症状固定の診断が行われるのは「1年6か月を経過してから」と言われています。
確かに、交通事故の症状固定は1年6か月程度・・・
しかし例外として、1年6か月を経過していなくても、症状固定として診断書を書いてもらうことも可能です。これ以上の治療効果が見込めないと判断された場合は、症状固定として認定されることがあるのです。
診断書を記入してもらう時点の回復度合いが大きく影響するので、医師とは必ずコミュニケーションを取り、感情的にならず「なぜ障害年金の診断書が必要なのか」について、上手に伝えて相談することが大切となるのです。
救済制度の障害年金を申請できる「障害」ってどんな症状?
一般的な「障害基礎年金」や「障害厚生年金」とは、少し基準が違うので必ず確認したうえで申請を検討しましょう。
救済制度の障害年金では1~3級があり、それぞれに対する障害の状態を確認しましょう。(参照:「予防接種法施行令 別表2」)
また通常、初診日において、厚生年金に加入している人が対象となる「障害厚生年金」しか障害年金の3級を受け取ることができませんが、救済制度の場合は予防接種によって健康被害を受けた人なら1~3級の申請が可能です。
等級:1級
- 両眼の視力が0.02以下のもの
- 両上肢の用を全く廃したもの
- 両下肢の用を全く廃したもの
- 前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、労働することを不能ならしめ、かつ、常時の介護を必要とする程度のもの
- 精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
- 身体の機能の障害もしくは病状または精神の障害が重複する場合であって、その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの
等級:2級
- 両眼の視力が0.04以下のもの
- 一眼の視力が0.02以下で、かつ、両眼の視力が0.06以下のもの
- 両耳の聴力が、耳殻に接して大声による話をしても、これを解することができない程度のもの
- 咀嚼または言語の機能を廃したもの
- 一上肢の用を全く廃したもの
- 一下肢の用を全く廃したもの
- 体幹の機能に高度の障害を有するもの
- 前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が、前各号と同程度以上と認められる状態であって労働が高度の制限を受けるか、または労働に高度の制限を加えることを必要とする程度のもの
- 精神の機能であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
- 身体の機能の障害もしくは病状、または精神の障害が重複する場合であって、その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの
等級:3級
- 両眼の視力が0.1以下のもの
- 両耳の聴力が、40cm以上では通常の話声を解することができない程度のもの
- 咀嚼または言語の機能に著しい障害を有するもの
- 一上肢の機能に著しい障害を有するもの
- 一下肢の機能に著しい障害を有するもの
- 体幹の機能に著しい障害を有するもの
- 前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が、前各号と同程度以上と認められる状態であって、労働が著しい制限を受けるか、または労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
- 精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
- 身体の機能の障害もしくは病状、または精神の障害が重複する場合であって、その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの
救済制度の障害年金を申請する方法は?
新型コロナワクチン後遺症で障害が残り、救済制度の障害年金を申請する場合は、医療費や医療手当と同様、以下の4つの書類が必要となります。
- 請求書
- 診断書
- 接種済証明証または母子健康手帳
- 診療録(カルテ)など
診断書は、障害に対する治療や診断を行った病院のみですが、診療録(カルテ)などは、ワクチン後遺症となり診察を受けた初診日からのものが必要となります。
つまり医療費や医療手当の申請時に必要となる書類と、重複することになります。
またお金かかるやん・・・
そう。診断書だけじゃなくカルテ開示にも費用が発生してしまうので、できれば医療費・医療手当の申請と同時に行うことが、節約に繋がることになると言えるでしょう。
請求書や診断書を準備してくださいね。
厚生労働省「予防接種健康被害救済制度について」から請求書や診断書をダウンロードすることが可能ですが、以下から直接ダウンロードページに入ることができるので、ぜひ役立ててください。
資料が揃ったら、各自治体の救済制度の申請先(保健センターなど)へ相談し、提出しましょう。
『一般の障害年金』との違いは?併給できるの?
新型コロナワクチンの後遺症で障害が残ってしまったら、申請できる障害年金は2種類あるので覚えておきましょう。
ただし、それぞれ認定される基準に違いがあるので、必ずしも認定されるとは限らないので注意が必要です。
一般の障害年金ってどんな制度?
日本では、20歳になると『国民皆年金制度』によって、必ず公的年金に加入しなければなりません。
本来65歳に到達した時点で、『老齢基礎年金』として受け取る日本年金機構の制度です。しかし、老齢基礎年金を受け取るまでに障害を負ってしまった場合は、障害基礎年金を受け取ることが可能となっているのです。
さらに、初診日において厚生年金に加入していた会社員や公務員の人は、障害厚生年金として受け取ることが可能となります。
また、配偶者や子供がいる場合は、障害年金に加算があるため、よく窓口で相談するようにしましょう。
- 初診日に国民年金へ加入しており、障害基礎年金を請求する人は、年金事務所または地区町村役場
- 初診日に厚生年金へ加入しており、障害厚生年金を請求する人は、年金事務所
別の記事で、障害年金について詳しく解説しているので、金額や障害状態について知りたい人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
救済制度の障害年金と一般の障害年金は併給できるの?
結論として、『救済制度の障害年金』と『一般の障害年金』は、それぞれ申請し認定されれば併給することが可能です。
同じ障害年金でも、救済制度と一般の障害年金では認定基準に違いがあるため、同じ等級が適用されるわけではないということも覚えておきましょう。
救済制度の医療費・医療手当と障害年金の併給はできない!
新型コロナワクチンで後遺症を患った人が困っていることは、家計へのダメージとともに積み重なっていく医療費ではないでしょうか。
救済制度では、医療費や医療手当の申請が認定されれば、自己負担した分の医療費は医療手当とともに払い戻しされます。
しかし新型コロナワクチン後遺症を患い、障害が出てしまった人は医療費・医療手当の申請後も通院を余儀なくされているは多いですが、実は、救済制度の障害年金の認定有無によって、医療費・医療手当の追加申請に違いが出てしまうので、覚えておいてください。
救済制度の障害年金が認定された場合は、医療費・医療手当は再申請できない
救済制度の障害年金は、認定されると障害年金を受給することができますが、医療費・医療手当の追加申請はできなくなります。
お見舞金という存在である救済制度の障害年金のため、追加で医療費・医療手当の申請を行って併給することはできませんので、注意しておきましょう。
例えば、医療費・医療手当、障害年金が認定されたあと、高額な医療費を支払って治療した場合は、すべて自己負担となります。高額療養費制度などを利用して、医療費の軽減に努めましょう。
救済制度の障害年金が不支給となった場合は、医療費・医療手当の再申請ができる
救済制度の障害年金が不支給となってしまった場合は、前回の医療費・医療手当の申請以後の請求が追加で可能となります。
お見舞い金となる障害年金が不支給の代わりに、医療費・医療手当がお見舞金となるため、追加で申請することが可能となるのです。
しかし、この場合は原則として改めて領収書やカルテなどの資料の提出が必要となります。後遺症で苦しむ人にとって、救済制度の申請は非常に辛い手続きとなっています。今後、このシステムがどのように変化するのか、国の対応力に期待したいところですね。
まとめ
新型コロナワクチン後遺症を患っている人で、障害が出てしまった場合は、予防接種健康被害救済制度による障害年金と一般(日本年金機構)の障害年金を申請することができます。
救済制度による障害年金は、医療費・医療手当に代わる『お見舞い金』です。そのため、救済制度の障害年金を受給すると、医療費・医療手当は追加で申請できなくなります。
一般の障害年金は、20歳以上で受給資格があれば、障害状態によって日本年金機構による障害年金を受給することが可能です。ただし、初診日において加入している公的年金種類が、国民年金か厚生年金の違いによって受給できる金額や等級にも違いがあるので注意しておいてください。
救済制度と一般の障害年金では、障害の状態において認定基準に違いがあるため、必ず申請先や担当医と相談しながら申請するようにしておいてくださいね。
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