身体の中でも大きな筋肉群のひとつである「背筋」。背筋を鍛えることは、厚みのある背中をつくるだけでなく、ウエストにメリハリを出したり、姿勢が改善されたりと、女性のスタイルアップにも嬉しい効果がたくさんある。また、腰痛の予防・緩和などの効果も期待できる。
この記事では、自宅やジムで実践できる背筋のトレーニング方法と、女性や腰痛持ちの人にとくにおすすめのメニューを厳選して紹介。背筋を鍛えて、美しい背中や姿勢を手に入れよう。
この記事の監修者
関根 綾さん
パーソナルジムDecision 代表トレーナー
「背筋」の部位とその役割
背中の筋肉はおもに「僧帽筋」「広背筋」「脊柱起立筋」「菱形筋」「大円筋」の5つに分けられる。トレーニングの目的や理想の体型、現在の身体の状態によって、鍛えるべき筋肉は変わってくる。
それぞれの筋肉の位置と働き、鍛えることで期待できる効果をみていこう。
- 僧帽筋(そうぼうきん)
- 広背筋(こうはいきん)
- 脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)
- 菱形筋(りょうけいきん)
- 大円筋(だいえんきん)
僧帽筋(そうぼうきん)
「僧帽筋」は、首の後ろから肩、背中の中央にかけて広がっている大きな筋肉。
上部・中部・下部に分かれ、上部は首の後ろから肩甲骨の上まで、中部は肩甲骨の内側の縁に沿うようにある。下部は肩甲骨の下から脊椎の中央までを覆っている。
肩甲骨の動きに大きく関わる筋肉で、上部は肩甲骨を上方に引き上げる動き、中部は肩甲骨を内側に寄せる動き、下部は肩甲骨を下方に引き下げる動きを担っている。
僧帽筋を過度に鍛えると、ゴツくなってしまうケースもあります。筋肉を大きくしたくない女性などは、過度なトレーニングには注意し、目的に合わせてトレーニングや負荷を選択しましょう。
広背筋(こうはいきん)
「広背筋」は、背中の中心部から脇の下あたりの上腕骨の内側までに広がっている、背筋の中でもっとも大きな筋肉。腕を身体側に引き寄せたり、腕を身体の後ろ側方向に引く動作で働き、懸垂や腕の動きに大きく関わる。
それだけでなく、「物を持ち上げる」「引っ張る」「押す」などの日常生活のさまざまな動作にも関わる重要な筋肉。
また、姿勢を保持する働きもあるため、広背筋が発達すると背中が大きく厚みのある印象に。「懸垂」などの背中のトレーニングで鍛えることができる。
広背筋や僧帽筋を鍛えることで、巻き肩や猫背解消にも効果が期待できます。大胸筋や小胸筋とあわせて鍛えましょう。
脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)
「脊柱起立筋」は、首の後ろから骨盤にかけて、脊柱に沿って走行している背骨の両側に位置する筋肉群。「最長筋」「棘筋(きょくきん)」など複数の筋肉で構成されていて、脊椎の動きに関わる。
おもな働きは体幹の伸展で、背中を反らす動作や、体幹の回旋にも関わる。
また、姿勢の維持にも重要な役割を果たす筋肉で、鍛えることで姿勢改善効果も。「デッドリフト」や「バックエクステンション」などの背中のトレーニングで鍛えることができる。
菱形筋(りょうけいきん)
「菱形筋」は、肩甲骨と脊椎の間にある筋肉で、肩甲骨の内側縁から脊椎の間にある「大菱形筋」、その上部に位置する「小菱形筋」の2つの筋肉で構成されている。
おもな働きは肩甲骨の引き寄せ。肩甲骨を脊椎側に引き寄せる動きや、肩甲骨の回旋、肩甲骨を内側に回す動作などに関わる。
また、肩甲骨の安定に重要な役割を果たす筋肉で、弱いと肩甲骨が不安定になりやすく、鍛えることで肩甲骨の動きが安定する。「ケーブルロー」などのトレーニングで鍛えることができる。
大円筋(だいえんきん)
「大円筋」は、肩甲骨の下角から上腕骨の間にある筋肉。おもな働きは「肩関節の伸展」や「内転内旋」で、腕を身体側に引き寄せる動作のほか、腕を身体の後ろ方向に引く動作に関わる。
また、肩関節の安定化にも重要な役割を持ち、大円筋が弱いと肩関節が不安定になりやすい。鍛えることで、肩関節の動きを安定させることができる。「ラットプルダウン」などの背中のトレーニングで鍛えることができる。
背筋を鍛える効果・メリット
背筋を鍛えることで、基礎代謝の向上や肩こり・腰痛の改善など、さまざまな効果が期待できる。おもなメリットは以下の4つ。
- 肩こりや腰痛の予防・緩和
- 姿勢が改善して身体のラインがきれいに見える
- 基礎代謝が向上する
- スポーツパフォーマンスが向上する
肩こりや腰痛の予防・緩和
背筋を鍛えることは、肩こりや腰痛の予防・緩和に効果が期待できる。
現代社会では、長時間のデスクワークやスマートフォンの使用で、同じ姿勢を続ける時間が長く、肩や腰に負担がかかりやすい。肩や腰に余計な負担がかかると、こりや痛みの原因となる。背筋を鍛えることで、正しい姿勢を保ちやすくなり、肩や腰への負担を軽減できる。
また、血行もよくなるため、こりや痛みを改善する効果も。デスクワークが多い人や、肩こりや腰痛に悩んでいる人は、背筋を鍛えてみよう。
可動域が狭く、狙った筋肉を上手く動かすことができない場合もあります。トレーニング前後に、動的なストレッチや筋膜リリースなどをおこない、可動域をしっかり確保してから取り組みましょう。
姿勢が改善して身体のラインがきれいに見える
背筋は、身体を支える重要な筋肉のひとつで、背筋が弱いと「猫背」「巻き肩」など、姿勢が崩れやすくなってしまう。背筋を鍛えることで、背骨を支える力が強くなり、姿勢改善の効果も期待できる。
姿勢が悪いと見た目の印象が悪くなるだけでなく、身体の不調の原因になることも。姿勢がよくなると、身体の各部位に負担がかかりにくくなり、身体の不調を予防することができる。
正しい姿勢を維持したり、トレーニング時に正しいフォームを保つためには、体幹の力が必要不可欠です。姿勢改善を目的とする場合は、背筋だけでなく体幹も一緒に鍛えることが大切です。
基礎代謝が向上する
筋トレをして筋肉量が増えると、それを維持するためにエネルギーが必要となるため、基礎代謝が向上する。また、身体の中でも大きな筋肉が集まっている「背中」を鍛えることで、より基礎代謝が上がりやすい。
ただし、バランスの取れた身体をつくるためには、背筋だけでなく、身体全体の筋肉をバランスよく鍛えることが重要。ほかの大筋群をあわせて鍛えることで、効率よく基礎代謝を上げることができ、痩せやすい身体づくりにつながる。
背中の筋肉の中でも、「広背筋」と「僧帽筋」は多くの背中のトレーニング種目で同時に使われることが多く、比較的アプローチがしやすい筋肉です。優先的に鍛えることで、基礎代謝の向上に役立つでしょう。
スポーツパフォーマンスが向上する
背中の筋力は、さまざまな競技で重要な役割を果たすため、背筋を鍛えることは「スポーツパフォーマンスの向上」にもつながる。
野球の打撃やゴルフのスイングをはじめ、背中の筋力が推進力に直結する水泳でも、背筋トレーニングは欠かせない。
また、背筋を鍛えることで、肩甲骨の動きがよくなるため、動作の際に肩や腕などの末端の筋肉に頼ることが少なくなる。関節への過度な負担が減り、ケガのリスクも低減する。
背筋は、姿勢を維持するのに重要な役割を持つ筋肉でもあります。鍛えることで、動作の安定感にもつながります。
【自宅編】背筋トレーニングメニューおすすめ5選
「忙しくてジムに通う時間がない」「まずは簡単な種目から始めたい」などの人には、自宅でできる筋トレから挑戦するのがおすすめ。ここでは、自重でできるものから、ダンベルでしっかりと負荷をかけられるメニューまで紹介。
- タオルを使った「ラットプルダウン」
- 器具なしでおこなう「バックエクステンション」
- ダンベルを使った「ベントオーバーロウ」
- ダンベルを使った「ワンハンドローイング」
- ダンベルを使った「ショルダーシュラッグ」
タオルを使った「ラットプルダウン」
- バンザイをした状態で、両手でタオルを引っ張るようにして握る
- 姿勢を保ったまま、ひじを曲げ、タオルが肩のラインにくるまで手を下ろす
- ゆっくりと元の位置に戻し、これを繰り返す
器具なしでおこなう「バックエクステンション」
- うつ伏せになり、両手を頭の後ろで組む
- 足を肩幅程度に開く
- できるだけ高く上半身を上げ、3秒ほどキープする
- ゆっくりと元の位置に戻し、これを繰り返す
ダンベルを使った「ベントオーバーロウ」
- 腰幅に足を開いたら、両ひざを軽く曲げ、上半身を約45度前傾させる
- ダンベルを両手に持ち、ダンベルを床に向かっておろす
- 脇を締め、ひじを身体に近づけるようにして、ダンベルを引き上げる
- ゆっくりと元の位置に戻し、これを繰り返す
ダンベルを使った「ワンハンドローイング」
- ダンベルを持つ方とは反対側の片ひざと手のひらをベンチにつく
- 上半身を床と平行にし、ダンベルを持った手をまっすぐ床に向けておろす
- ひじを身体に近づけるイメージで、ダンベルを引き上げる
- ゆっくりと元の位置に戻し、これを繰り返す
ダンベルを使った「ショルダーシュラッグ」
- 足を肩幅に開き、ダンベルを持った両腕を身体の横に下ろす
- ひじを伸ばしたままで首を縮めて肩を耳に近づけるイメージで、僧帽筋を収縮する
- ゆっくりと元の位置に戻し、これを繰り返す
【ジム編】背筋トレーニングメニューおすすめ5選
ジムでしっかりと鍛えたい人に向けた、本格的な背筋トレーニングメニューを紹介。手順やポイントを解説しているので、取り組みやすそうなものから挑戦してみよう。
- バーを使用した「チンニング(懸垂)」
- ケーブルマシンを使った「ラットプルダウン」
- バーベルを使った「デッドリフト」
- バーベルを使った「ベントオーバーロウ」
- マシンを使った「シーテッドローイング」
バーを使用した「チンニング(懸垂)」
- 肩幅より少し広めにバーを握る
- 足を床から離し、バーに対して胸を張った姿勢をつくる。
- あごがバーと同じ高さになるまで身体を持ち上げ、2〜3秒キープする
- ひじが伸び切らない程度まで状態を下げ、この動作を繰り返す
ケーブルマシンを使った「ラットプルダウン」
- シートに座り、バーを肩幅より少し広めに握る
- 胸を張って背筋を伸ばし、肩甲骨を寄せるイメージでバーを胸の高さまで引き下ろす
- ゆっくりと元の位置に戻し、これを繰り返す
バーベルを使った「デッドリフト」
- バーベルの前に、足を腰幅に開いて立ち、ひざを曲げてバーを握る
- 肩甲骨の真下のポジションにバーが来るようにセット
- すね、太もも、脚の付け根に沿うようにして、身体がまっすぐになるまでバーを引き上げる
- ひざと股関節を伸ばし切ったら、お尻を引いてバーを下ろしていく
バーベルを使った「ベントオーバーロウ」
- 肩幅に足を開いてバーベルを握り、床から持ち上げる
- ひざは軽く曲げ、上半身を約45度前傾させて、背筋をまっすぐにする
- バーをひざの下にセットする
- ひじを身体に近づけるイメージで、バーベルを引き上げる
- ゆっくりと元の位置に戻し、これを繰り返す
マシンを使ったシーテッドローイング
- マシンに座り、上体を少し前に倒してハンドルを握る
- ひざは軽く曲げて背筋を伸ばしたら、胸を張るようにしてハンドルを腹部に向けて引き寄せる
- ゆっくりと元の位置に戻し、これを繰り返す
女性におすすめの背筋トレーニングメニュー3選
ここでは、すでに紹介したメニューの中から、女性でも取り組みやすい効果的な背筋トレーニングメニューを厳選。
- ワンハンドロー
- ラットプルダウン
- シーテッドロー
ワンハンドロー
- 腰幅に足を開いたら、両ひざを軽く曲げ、上半身を約45度前傾させる
- ダンベルを両手に持ち、ダンベルを床に向かっておろす
- 脇を締め、ひじを身体に近づけるようにして、ダンベルを引き上げる
- ゆっくりと元の位置に戻し、これを繰り返す
このトレーニングでは、首の後ろから背中にかけての「僧帽筋」上部が、発達しすぎることがないため、肩周りを大きくしたくない女性、ごつくなりたくない女性向けのトレーニングとして適しています。
ラットプルダウン
- シートに座り、バーを肩幅より少し広めに握る
- 胸を張って背筋を伸ばし、肩甲骨を寄せるイメージでバーを胸の高さまで引き下ろす
- ゆっくりと元の位置に戻し、これを繰り返す
ワンハンドローと同様に、「僧帽筋」上部が発達しすぎないトレーニングです。正しい姿勢でおこなうことで、効果的に背筋を鍛えることができます。
シーテッドロー
- マシンに座り、上体を少し前に倒してハンドルを握る
- ひざは軽く曲げて背筋を伸ばしたら、胸を張るようにしてハンドルを腹部に向けて引き寄せる
- ゆっくりと元の位置に戻し、これを繰り返す
「ワンハンドロー」「ラットプルダウン」にプラスアルファとして取り入れるのにおすすめの種目です。女性の背筋トレーニングでは、肩の上げ下げが入る動作や、重い負荷を使ったメニューは避けるのがおすすめです。
腰痛改善におすすめの背筋トレーニングメニュー2選
背筋を鍛えることで、「腰痛の予防、痛みの緩和」が期待できるが、腰痛を感じている場合は筋トレ中に気をつけるべきポイントも多い。
とくに、いきなり重い負荷でトレーニングをおこなうことは避け、正しいフォームを守った上で、自身の体力に合った負荷で取り組むように。また、腰痛持ちの人は可動域が制限されていることが多いため、無理な動作は避けるようにしよう。
ここでは、すでに紹介したメニューの中から、腰痛改善におすすめの背筋トレーニングメニューと、腰に負担をかけないポイントを紹介。
- ワンハンドロウ
- ラットプルダウン
ワンハンドロウ
- 腰幅に足を開いたら、両ひざを軽く曲げ、上半身を約45度前傾させる
- ダンベルを両手に持ち、ダンベルを床に向かっておろす
- 脇を締め、ひじを身体に近づけるようにして、ダンベルを引き上げる
- ゆっくりと元の位置に戻し、これを繰り返す
トレーニング中は、腹圧が抜けてしまうことがないように、常にお腹に力を入れることを意識しましょう。既に腰痛の方や、初心者の方はベルトを着用することで、腹圧を維持しやすくなります。
ラットプルダウン
- シートに座り、バーを肩幅より少し広めに握る
- 胸を張って背筋を伸ばし、肩甲骨を寄せるイメージでバーを胸の高さまで引き下ろす
- ゆっくりと元の位置に戻し、これを繰り返す
腰痛の方は反り腰の傾向が強いことが多いため、トレーニング中の姿勢にも気を配りましょう。反り腰にならないように意識しながら、動作をおこなってください。
背筋トレーニングにおすすめのストレッチ4選
背筋のトレーニング前後にストレッチを取り入れることで、可動域を広げたり、筋肉痛を軽減する効果が期待できる。ここでは、トレーニング前後におすすめのストレッチを4つ紹介。
- 肩甲骨のストレッチ(筋トレ前)
- 肩回し(筋トレ前)
- 猫背ストレッチ(筋トレ後)
- 筋膜リリース(筋トレ後)
肩甲骨のストレッチ(筋トレ前)
- 背筋を伸ばし、両手を肩の高さで前に伸ばす
- 手のひらを下に向け、肩甲骨を寄せるように、腕を前後に動かす
- 10〜15回繰り返す
肩回し(筋トレ前)
- 背筋を伸ばし、両肩を大きく回す
- 前方向に10〜15回、後ろ方向に10〜15回おこなう
※両方向とも、できるだけ大きく肩を回すこと
猫背ストレッチ(筋トレ前)
- 四つん這いの姿勢になり、背中を丸める
- 頭を下げ、肩甲骨が天井に向くように背中を丸める
- 15〜30秒間維持し、ゆっくりと元の姿勢に戻る
猫背のポーズで息を吸いながら背中を丸め、吐きながら肩甲骨を寄せるように背中を伸ばす「キャット&ドッグ」と組み合わせると、より効果が高まります。
筋膜リリース(筋トレ後)
- ひざを立てて座り、上体を倒して背中の中心部にフォームローラーを当てる
- 両腕を胸の前で組み、背筋を伸ばして前後に動かす
- 左右に動かして、刺激を与える
背中は自分でストレッチをするのが難しい部位でもあるため、グッズを活用することがおすすめです。フォームローラーやマッサージボールを使うことで、トレーニングで使った筋肉を緩めることができ、より効果的なストレッチが期待できます。
背筋を効果的に鍛えるための4つのポイント
効果的に背筋を鍛えるためには、自分に合った負荷とセット数を意識しながら、バランスよく鍛えることが大切。また、しっかりと休息期間を設けることで、トレーニングの効果を高めることができる。おもに以下の4つのポイントを意識しよう。
- 適切な負荷とセット数を意識する
- 前後の筋肉をバランスよく鍛える
- 2~3日の休息期間を設ける
- ストレッチをして可動域を広げる
適切な負荷とセット数を意識する
背筋を効率的に鍛えるためには、適切な負荷とセット数を意識することが大切。負荷が軽すぎると筋肉に十分な刺激を与えられず、重すぎるとフォームが崩れやすくなりケガのリスクが高くなる。
セット数の目安は、初心者は「1セット15回程度」から始め、「正しいフォームの習得」と「狙った筋肉を動かすことに慣れていく」ことを目的に取り組もう。慣れてきたら、「1セット10〜12回」に減らしながら負荷を上げていく。
筋肉を効果的に鍛えるには、少なくとも3セット以上おこなうことが理想的。複数セットおこなうことで、筋肉により大きな負荷をかけ、成長を促すことができる。
健康維持や運動習慣をつけることが目的の場合でも、軽い負荷で3セットおこなうことがおすすめ。
トレーニングを始める際は、難易度の高い種目よりも簡単な種目から始めることがおすすめです。たとえば、「デッドリフト」は多くの筋肉や関節を使う種目なので、初心者や腰痛持ちの人にはケガのリスクも高まります。難しい種目は、トレーニングに慣れてから、徐々に取り入れるようにしましょう。
前後の筋肉をバランスよく鍛える
背筋を効果的に鍛えるためには、前後の筋肉のバランスを意識することが大切。身体の中で大きな部位に入る「胸の筋肉(胸筋)」も忘れずに鍛えるようにしよう。
ただし、トレーニングの目的によって、前後の比重は変わってくる。たとえば、猫背や腰痛などの悩みがある場合は、胸よりも背中のトレーニングを優先的におこなう方が効果的。
また、必ずしも同じ日に前後の筋肉を鍛える必要はなく、とくに初心者の場合は、運動習慣をつけるために、複数日に分けておこなうことがおすすめ。
トレーニングの目的や身体の状態に合わせて、適切な頻度でトレーニングをおこなうことが大切です。
2~3日の休息期間を設ける
背筋に限らず、筋肉を効果的に鍛えるためには、適切な休息期間を設けることが大切。
トレーニングで傷ついた筋肉は、休息期間にその傷を修復して成長していく。そのため、十分な休息を取っていない場合、筋肉が回復・成長できず、追加で損傷してケガをするリスクが高まってしまう。
休息期間は筋肉の部位によって異なるが、背筋のトレーニングをおこなったあとは、2~3日の休息を取るのがおすすめ。
休息期間中に筋肉は「超回復」と呼ばれる状態になり、トレーニング前よりも強くなっていく。休息期間を考慮すると、背筋のトレーニングは「週に2~3回」のペースが理想的。
ストレッチをして可動域を広げる
背筋を効果的に鍛えるためには、トレーニング前後のストレッチも重要。ストレッチをおこない、背筋が関わっている「肩甲骨」や「脊椎」などの可動域を広げるのがおすすめ。
筋肉の可動域を広げることで、より大きな動作が可能となり、効率的に筋肉を鍛えることができる。
ストレッチの流れは、動的ストレッチから始め、軽い負荷での種目練習でウォーミングアップをするのが効果的。ストレッチは1種目あたり30秒程度、トータルで5分ほどを目安におこなおう。
ストレッチをおこない、鍛える部位の筋肉を使いやすい状態にしておくことで、ほかの部位へ負荷がかかることを防げます。トレーニング中のケガのリスクを減らす効果もあるため、しっかりとストレッチをおこないましょう。
背筋の筋トレに関するQ&A
自宅で背筋を鍛えるのにおすすめのグッズは?
A:筋トレ初心者の方が最初に購入するグッズは「ダンベル」がおすすめ。
ダンベルを使ったトレーニングは、バリエーションが豊富で、背筋のトレーニングにおいても、「ワンハンドロー」や「ベントオーバーロー」など、さまざまな種目をおこなうことができます。
また、筋肉は同じ負荷に慣れてしまうと成長しにくくなる傾向があるため、自分の体力に合わせて負荷を変えられる「可変式」のダンベルを選ぶのがおすすめ。
種目によっても適切な重さは異なるため、可変式のダンベルを使うことで、より効果的にトレーニングをおこなうことができます。
高齢の人が背筋を鍛える際のポイントや注意点は?
A:負荷は抑えめにし、ゆっくりとしたペースでおこなうことを意識しよう。
年齢とともに、筋力や柔軟性が低下するため、背筋に限らず、急な動作や高負荷のトレーニングはケガのリスクが高まります。とくに、「デッドリフト」や「ベントオーバーロウ」は、ケガのリスクが高いため、実践する際は注意が必要です。また、トレーニング前後には、ストレッチを丁寧におこない、関節の可動域をしっかりとケアしましょう。
背筋トレーニング後の筋肉痛は必ず起こるもの?
A:トレーニングの負荷や内容によって、起こる場合と起こらない場合がある。
筋肉痛は、負荷が大きかったり、普段使わない筋肉を使ったりすることで起こるため、ある程度の負荷をかけて筋肉を追い込んだ場合は、筋肉痛が起こる可能性が高くなります。また、習慣的にトレーニングをおこなっている人は筋肉痛が出にくく、逆にまったく運動をしていない人は、少しの負荷でも筋肉痛になることがあります。
筋肉痛の有無は、トレーニングの良し悪しを判断する基準にはならないので、筋肉痛の有無で悩む必要はありません。自分の体力や目的に合わせて、適切な負荷でトレーニングをおこないましょう。
ほかの部位のトレーニングとの組み合わせ方は?
A:背筋と一緒に鍛えるべき部位は、トレーニングの目的や理想の体型、現在の身体の状態によって異なる。
基本的には、「胸筋」や「腹筋」などの前面の筋肉とのバランスを意識しながら、全身の筋肉をバランスよく鍛えていくことが理想です。 全身のバランスを整えるためには、身体の中でもとくに大きな筋肉群である下半身のトレーニングも大切です。
週にどのくらいの頻度でトレーニングをおこなうかを考慮し、全身をバランスよく鍛えられるようにメニューを組んで取り組みましょう。週に多くのトレーニングができる方が、大きな筋肉だけでなく、細かい筋肉にもアプローチすることができ、より総合的な身体づくりができます。
背筋トレーニングは有酸素運動も組み合わせたほうがいい?
A:筋トレと有酸素運動を組み合わせるかどうかは、トレーニングの目的によって異なる。
筋トレ直後に有酸素運動をおこなうと、筋肉の分解が進んだり、筋肉の成長を妨げてしまう可能性があります。そのため、筋肉をつけたり、筋肥大を目的とする場合は、筋トレ後すぐに有酸素運動をおこなうことは好ましくありません。
有酸素運動には脂肪燃焼効果が期待できるため、ダイエットを目的とする場合は、有酸素運動を取り入れることが効果的ですが、筋肉の分解を防ぐためには、筋トレ直後ではなく別の時間帯におこなうことがおすすめです。
年間約1000セッションを指導。経営者や芸能関係者の指導経験も多く、ダイエット・ボディメイク・健康維持など、さまざまな悩みに幅広く対応している。2021年より大原学園大宮校スポーツトレーナー科講師としても活動。
【保有資格/実績など】全米エクササイズ&フィットネス協会認定トレーナー(NESTAーPFT)/IMBF公認ファスティングカウンセラー/関東オープンメンズフォジーク選手権入賞