船上で偶然に発酵が始まったという逸話のある紅茶(それって、ホントなの?)。イギリスで発祥したアフタヌーンティなどの紅茶文化や現代の国内外の紅茶事情についてなど、日本紅茶協会の田中さん・酒井さんにお話を伺った。紅茶消費量が一番多い国って実は…、世界三大料理でも有名なあの国でした!
田中 哲さん
日本紅茶協会名誉顧問
酒井 裕子さん
日本紅茶協会職員/日本紅茶協会認定シニアティーインストラクター
海上輸送中に偶然誕生したってホント?紅茶の歴史や成分
紅茶の歴史と紅茶文化の誕生
── まず、紅茶はどのように誕生し、現在の人気に至っているのでしょうか? ぜひその歴史を教えてください。
田中さん:紅茶の誕生にはさまざまな説がありますが、詳しくは日本紅茶協会HPの「紅茶見聞録」(4紅茶は発明品?それとも偶然の産物?)に記載されていますので、ぜひご覧いただければと思います。一般的な俗説では、中国からヨーロッパに向かう船上で発酵がはじまったとされていますが、これは後付けの話に過ぎません。
紅茶の発祥は中国とされており、茶の木が最初に発見されて飲まれはじめたのも中国です。今はさまざまな国で紅茶が生産されていますが、19世紀初めまでは中国でしか紅茶は生産されていませんでした。
中国で作られるお茶は緑茶が主流でしたが、できた茶の中に発酵して紅茶のように黒くなった茶葉ができ、17世紀頃にオランダの商人によって最初にヨーロッパに持ち込まれたのです。その後18世紀には東インド会社が中心となってオランダやイギリスにも大量に運ばれ、次第に紅茶の人気が高まっていきました。
── 緑茶のうちの一部が発酵して紅茶が生まれたのですね。紅茶の発酵についても詳しく教えていただけますか?
田中さん:紅茶の発酵は、茶の生葉の中のカテキン類がポリフェノールオキシダーゼという酵素によって、酸化重合して行く現象です。これによって茶葉が着色し、紅茶特有のコクと渋みが生まれるんです。摘採された茶の生葉が工場に運ばれ、萎凋(しおれさせる)・揉捻(もむ)・発酵の各工程の後、最終的に熱風による乾燥の工程で酵素が失活し発酵が止まることによって、紅茶が出来上がります。
── 紅茶といえばイギリスのイメージがありますが、イギリスでの紅茶の人気はどのようにして広まったのでしょうか?
酒井さん:イギリスでのお茶の人気は、1662年にポルトガルの王女・キャサリン・オブ・ブラガンザが、イングランド国王チャールズ2世に嫁いだことからはじまります。お嫁入りの持参品として、中国茶や茶器、当時とても高価であった砂糖を持ち込んだことがきっかけです。
はじめは王妃が寂しさを紛らわすために、1人でポルトガルで馴染んでいたティータイムを過ごしていたところ、徐々にポルトガルから来たお付きの人たちと一緒にお茶をするようになったそうです。そこから、お茶を楽しむという文化がイギリスの貴族の間で広がり、やがて紅茶が広まっていったとされています。
── イギリスのティータイムといえば、アフタヌーンティーが有名ですが、アフタヌーンティーがはじまったのはいつごろでしょうか?
酒井さん:アフタヌーンティーは1840年ごろにはじまりました。当時、イギリスの貴族の食事は朝食と夕食の2回だけで、とくに女性たちは夕食までの長い時間、空腹を感じていたそうです。そうした中、ベッドフォード侯爵夫人・アンナ・マリアが、夕方ごろにお茶とバター付きのパンを食べ始めたことで、だんだんと人を呼んでお茶の時間を楽しむようになりました。これが貴族の間で広まっていき、アフタヌーンティーの習慣が定着したといわれています。
── 貴族からはじまった文化だったのですね。
酒井さん:当時は、高価な紅茶をおもてなしとして使うことがステータスでしたが、次第に階級の下の人々にも広がり、庶民にも受け入れられるようになりました。紅茶文化が根付くには長い時間がかかりましたが、現在でもイギリスでは紅茶を通じて人々が交流する文化が続いていますよ。
── 17世紀ごろに持ち込まれた紅茶の文化が、現代でも続いているのはすばらしいことですね。
酒井さん:そうですね。「一緒にお茶をしよう」という誘いが自然と生まれ、より人々とのつながりを深められるという点も、紅茶文化の大きな魅力だと感じます。
紅茶を世界で一番飲むのはどこの国?
── 日本では5月の新茶の季節になると、緑茶の葉がニュースなどでよく取り上げられますが、紅茶の木についてはあまり見かけません。紅茶の木とはどのようなものなのでしょうか?
田中さん:紅茶の木は、学名ではカメリア・シネンシスといい、実は日本茶の木も、ウーロン茶の木も同じ種類です。ただし、品種によって、紅茶向き、緑茶向き、ウーロン茶向きと、異なる特徴があり、それぞれの国でよりよい品種に加工されていきました。
── どのような品種があるのでしょうか?
田中さん:紅茶の品種はおもに中国種とアッサム種に分けられます。
中国種が一番古い歴史をもっており、雲南省(うんなんしょう)が起源といわれています。中国種のカメリア・シネンシスは、繊細な風味と香りがのよさが特徴です。
現在、紅茶の木として世界中に広まっているのはアッサム種で、1800年代にインドのアッサム地方で発見されました。ポリフェノール量が多く、しっかりとしたコクと渋みが特徴です。1823年イギリスの植民地時代にアッサムの奥地に入植調査に入ったイギリス人のブルース兄弟によって発見され、現在ではインド国内の他、スリランカ、ケニア、インドネシアなど多くの国で栽培されています。
── 中国種とアッサム種…。品種によってさまざまな特徴があるんですね。
田中さん:はい、一般的には、世界の紅茶の大半はアッサム種が使われており、緑茶やウーロン茶は中国種がメインです。
ただし、インドのダージリン紅茶や中国のキーモン紅茶は中国種主体ですし、南インドのニルギリ、スリランカの高地産などで一部の高品質な紅茶には、この2つの中国種とアッサム種を掛け合わせたハイブリッド(雑種)も存在します。
このように、これは完全に100%アッサム種、これは100%中国種というようなものではありませんが、傾向のようなイメージで捉えていただけたらと思います。
── 紅茶生産量が多い国はどこなのでしょうか? また、生産量が多い国では消費量も多いのでしょうか?
田中さん:消費量は、1人あたりの消費量でみるのか、国全体の消費量でみるのかによっても違ってきます。国全体でみるとすると、インドは世界最大の紅茶生産国であり消費国でもあります。年間130万トン以上の紅茶を生産しています。
ちなみに、近年の世界全体のお茶生産量の約650万トンのうち、およそ55%(350万トン程度)が紅茶と推定されており、残りは緑茶やウーロン茶、プーアル茶などが含まれます。
── インドは生産量も消費量も多いんですね。1人当たりの消費量ではどうでしょうか?
田中さん:1人当たりの紅茶消費量で見ると、トルコが世界一です。かつてはイギリスがトップでしたが、現在は大体5位くらいです。また、イギリスの隣にあるアイルランドも、とくに紅茶の消費が多い国として知られています。
──トルコが1人当たりの紅茶消費量でトップなのは意外でした。歴史的な背景が影響しているのでしょうか?
田中さん:そうですね。紅茶の消費量が多い国には、旧大英帝国領であった国が多く、紅茶が日常的な飲み物として親しまれてきた歴史があります。またトルコや中東諸国のようにお酒を飲まない回教国(イスラム教国)は紅茶をたくさん飲む傾向があります。
── ちなみに、日本での紅茶の消費量はどれくらいですか?
田中さん:日本での紅茶の消費量は世界的にはそれほど多くありませんが、上質な紅茶を輸入する国として紅茶生産国では有名で今後の消費拡大が期待されています。直近の輸入量は年間約1万6000トン程(過去20年間では1万5千トン~2万トン)。日本では緑茶の消費が多いため、紅茶の消費量は比較的少ない状況です。
ちなみに、緑茶の消費量を合わせると年間約9万トンになりますが、緑茶の消費量も過去15年間で減少傾向にあります。15年前には約10万トンあったのが、現在では7万5000トン程度に減っています。
── 紅茶の消費量があまり増えない理由は何でしょうか?
田中さん:日本では歴史的に緑茶が日常的に飲まれるお茶として広く親しまれてきました。そのため、紅茶は知名度は高いものの、緑茶ほど普及していないのが現状です。紅茶の消費量は大きく増加してはいないものの、過去10年間でほとんど変わっておらず安定しています。
日本で人気の種類は? おもな紅茶の種類と選び方
── 紅茶の種類や味、風味の違いについて教えていただけますか?
田中さん:日本人にとって知名度の高い紅茶の1つに、インドで生産される「ダージリン」が挙げられますが、実は生産量が非常に少ない紅茶です。インド全体の紅茶生産量は年間130万トン以上ですが、ダージリン地方で採れるお茶は1万トン以下で、全体の1%にも満たないのです。
── ダージリンもアッサムも、カフェやスーパーでよく見かけます。日本で飲まれている紅茶はインドのものが多いのですか?
田中さん:日本で消費される紅茶のおよそ99%以上は輸入品で、最大の輸入先はスリランカです。次いでインド、ケニア、インドネシアが続きます。
日本の市場では、生産国名や産地名で販売される紅茶と、複数の産地の茶葉をブレンドした紅茶があります。アッサム、ダージリン、セイロンなどの地名で売られている紅茶は、基本的にその産地のものが使われています。たとえば、イングリッシュブレックファストやアフタヌーンティーブレンドなど、地名以外の名前が付けられているものは、スリランカ産、インド産、ケニア産などの複数の産地の紅茶をブレンドした商品が多いです。
── 日本人にとくに人気のある紅茶はありますか?
田中さん:日本ではスリランカ産の紅茶がとくに親しまれていますね。スリランカ産の紅茶はセイロンティーとも呼ばれ、すっきりとした味わいが特徴です。輸入量の半分近くを占めており、その風味に多くの人が慣れ親しんでいます。
飲み分けのススメ!朝と夜におすすめの紅茶
── いつも紅茶選びに悩んでしまうのですが、アフタヌーンティーを食べる際に、どんな紅茶を選べばいいか教えていただけますか?
田中さん:アフタヌーンティーは午後のティータイムなので、香りがしっかりとしていて、食後の眠気を覚ますようなお茶がいいのではないでしょうか。スイーツも楽しむ場合は、スイーツに負けない風味のものを選ぶといいでしょう。
スイーツにも負けないコクがあり、香りも強いものとしては「アフタヌーンティーブレンド」と呼ばれるお茶がおすすめですね。販売しているメーカーによって、ブレンドの内訳は異なりますが、ダージリンとスリランカ産の紅茶、ケニア産とスリランカ産の紅茶をブレンドしたものなどが一般的です。
また、ホテルのティールームでは独自のブレンドを提供していることも多いので、そこでしか楽しめない紅茶を味わってみるのもいいですね。
── とても参考になります。朝に紅茶を飲む場合は、どのような紅茶がおすすめでしょうか?
田中さん:朝に飲まれる紅茶は、手軽で一般的なティーバッグが消費の中心ですが、リーフティーのブレンドとしては「イングリッシュブレックファスト」などがよく知られています。目覚めのお茶としてもおすすめで、朝食の味も邪魔しません。香りを楽しむというよりは、活動開始の朝にふさわしいすっきりとした味わいを求める人に向いています。
こちらも製造メーカーによって異なりますが、セイロンとアッサムのブレンドや、ケニアとアッサムのブレンドが一般的です。ミルクティーとして楽しんでもおいしいですよ。
── 紅茶を選べるようになると、ティータイムの楽しみが大きく広がりますね。
田中さん:そうですね。朝にはすっきりした味わいの紅茶、おやつどきにはスイーツに負けないコクのある紅茶など、シーンにあった紅茶を選ぶことで、紅茶を飲む楽しみがさらに広がります。紅茶の知識を深めることで、より豊かなティータイムを楽しむことができますよ。
──続いて、紅茶に含まれる成分について教えていただけますか?
田中さん:紅茶の主成分はポリフェノールです。緑茶のポリフェノールであるカテキンが、紅茶になる過程で発酵(酸化重合)し、テアフラビンやテアルビジンといった紅茶ポリフェノールに変化します。
紅茶には一般にカテキンが約1割残っており、残りの約9割が紅茶ポリフェノールであると考えられます。発酵の度合いによって色や味わいが異なり、たとえばダージリンのファーストフラッシュやスリランカのヌワラエリヤのような浅い発酵の紅茶は色が薄く、カテキンの含有量が多いです。一方で、発酵が進んだ紅茶は色が濃くなり、紅茶らしいコクも強くなります。
── ポリフェノールが豊富に含まれているんですね。
【紅茶の入れ方】ゴールデンルールとは?
おいしい紅茶をいれるための4つのポイント
── おいしい紅茶のいれ方も、ぜひ教えてください!
酒井さん:もちろんです。それでは、おいしい紅茶をいれるための「ゴールデンルール」をご紹介しようと思います。全部で4つのポイントがあります。
まず1つ目は、蓋のできるティーポットを用意すること。
2つ目は、茶葉の量をきちんと量ること。
3つ目は、完全に沸騰した熱湯を使うこと。
4つ目は、時間を計りしっかりと蒸らすこと。
── ありがとうございます。2つ目の茶葉の量について詳しく教えていただけますか?
酒井さん:ティーカップ1杯あたり(約150ミリリットル)のお湯に対して、適切な量の茶葉を使うことが重要です。茶葉が多すぎても濃くなりますし、少なすぎても薄い紅茶になってしまいます。
茶葉の大きさには違いがありますが、大きい茶葉の場合、ティーカップ1杯あたりティースプーン1杯。小さい茶葉であれば、ティースプーンに軽く盛るぐらいが目安です。
──適切な量を守ることが大切なんですね。3つ目は完全に沸騰した熱湯を使うことでしたが、紅茶は温度が重要なんですか?
酒井さん:そうですね。紅茶ポリフェノールは高温で抽出されるため、100度の熱湯を使うことが大切です。とくに冬場はポットが冷たくなっているので、最初に温かいお湯をポットに通して温めておくことで、熱湯を注いだときに温度が下がらず、おいしく淹れられますよ。
また、ポットにかぶせるティーコージーや、ポットの下に敷くポットマットを使うと、保温効果があるため冷めにくく、温かい紅茶を長く楽しめます。
── できるだけ高い温度を保つことが、おいしい紅茶をいれるコツですね。
酒井さん:また、蒸らす時間もポイントです。大きい茶葉は2分半〜3分、小さい茶葉は2分半ほど蒸らします。できあがったら、均一な濃さになるように回し注ぎをするか、一度別のポットに移して茶葉を取り除くと、味が濃くなることがありません。
── 茶葉ではなく、ティーバッグを使った場合のいれ方についても教えていただけますか?
酒井さん:もちろんです。ティーバッグでも十分に美味しい紅茶を楽しむことができます。基本的にはリーフティーと同じ方法と考えてもらって構いません。
まずは、ポットを湯通しして温めます。ティーバッグは1つで1杯分の紅茶をいれられますので、たとえば3杯分の紅茶をいれる場合はティーバッグを3つ用意し、温めたポットに入れます。必要な数を使ってください。
そのあと、しっかりと沸騰した熱湯を注ぎます。1杯あたり約150ミリリットルですので、3杯分であれば450ミリリットルの熱湯を注ぎ、蓋をします。ティーバッグには細かい茶葉が使われていることが多いので、蒸らし時間は少し短めにしましょう。ティーバッグのパッケージに蒸らし時間が書かれている蒸らし時間を参考にしてください。一般的には1分半〜2分程度が多いです。
蒸らし終えたら、ティーバッグを軽く数回振ってからすっと引き出します。ティーバッグを絞ると渋みが出てしまうので、優しく取り出してくださいね。
── 茶葉よりは蒸らし時間を短めに、最後は優しく取り出すのがポイントですね。マグカップの場合はどうしたらいいでしょうか?
酒井さん:ティーカップやマグカップで1人分をいれる場合も、ポットと同じように蓋ができるものを用意するといいですね。たとえば、小皿などで蓋をするだけでも、味がぐっとよくなりますよ。
── マグカップとティーバッグなら、オフィスでも手軽に飲めそうです。
酒井さん:そうですね。オフィスでは熱湯を用意するのが難しいこともあるかもしれませんが、なるべく温度の高いお湯を使うようにしてください。また、ティーバッグをマグカップに入れたままにしておくと、時間が経つほど渋みが強くなってしまいます。蒸らし時間をきちんと計り、蒸らし終えたらティーバッグを取り出しておくと、できあがった紅茶を美味しく楽しめます。ぜひ試してみてくださいね。
季節を取り入れたアレンジや、お菓子・料理での活用法
── ミルクティーも好きなのですが、ミルクティーを飲む際のポイントもありますか?
酒井さん:そうですね。ミルクティーにもいくつかのポイントがあります。
まず、茶葉の選び方ですが、ストレートティー向きのさっぱりしたものと、ミルクティーに合うコクのあるものがあります。ミルクティーにはアッサムやディンブラなどの茶葉がとくにおすすめです。スーパーで購入する際は、パッケージに「ミルクティー向き」や「コクがある」といった表示を確認するといいですね。
また、茶葉でいれる場合は茶葉を少し多めに使って濃いめに淹れ、ティーバッグを使う場合は、少し長めに蒸らすとしっかりとした味が出ます。
── ミルクを入れることを踏まえて、紅茶を選び、濃さを調整するのがポイントですね。ミルクの選び方はありますか?
酒井さん:ミルクは一般的な高温殺菌牛乳で十分ですが、冷たいミルクを注ぐと紅茶が冷めてしまいます。ですが、あまり温めすぎるとミルクの匂いが強くなってしまいますので、私はぬるいくらいの温度で使うことが多いです。また、低温殺菌牛乳を試してみるのも楽しみ方の1つです。
── アイスティーについても、教えていただけますか?
酒井さん:暑い季節には、アイスティーがぴったりですよね。
1杯ずつ作る場合、熱湯で淹れた紅茶を氷の入ったグラスに注いで冷ましますので、氷が溶ける分を考えて濃いめに紅茶をいれます。たとえば、アイスティーを2杯分作るときは、茶葉は2杯分、熱湯は1杯分を使って濃い紅茶を作り、氷がたっぷり入ったグラスに一気に注ぎます。
紅茶が急激に冷えると「クリームダウン」と呼ばれる現象で白く濁ることがありますが、味には影響がないので安心してください。見た目が気になる場合は、アイスミルクティーにして楽しむのもおすすめです。渋みの少ない紅茶を選ぶと、この濁りが起きにくくなります。
── この夏には、ぜひアイスティーも試してみますね。
酒井さん:ぜひ試してみてください。
日本紅茶協会のホームページでは、季節に合わせたレシピも紹介しています。たとえば、春にはイチゴを使ったフルーツティー、夏にはマンゴーやパイナップルを使ったトロピカルなフルーツティーが人気です。フルーツを添えることで見た目も華やかになり、おもてなしにも喜ばれます。
そして、クリスマスの時期には、スパイスを使った紅茶がおすすめです。シナモンやクローブなどのスパイスを加えると、身体を温める効果もありますよ。
── 想像するだけで、おいしそうですね。素敵なティータイムを過ごせそうです。
酒井さん:紅茶を使ったお菓子作りも楽しいですよ。紅茶を使ったクッキーやシフォンケーキ、ゼリーなどが人気です。とくにアールグレイを使うと香りがよくておすすめです。
さらに、紅茶を使った料理として「紅茶豚」があります。豚肉のブロックを紅茶で煮ることで、柔らかく香り豊かな仕上がりになります。作り方は簡単で、鍋に豚肉とティーバッグを入れて煮るだけです。煮込んだ後は、砂糖、醤油、お酢、ごま油を混ぜたタレに漬け込み、薄くスライスして白髪ネギを添えると美味しくいただけます。
紅茶豚は豚肉の他に、鶏肉でも作ることができますが、豚肉の方が紅茶の色がよく染まり、見た目も美しく仕上がります。ぜひ、いろいろなレシピを試してみてください。
── 飲むだけでなく、お菓子や料理にも活用できるんですね。ご紹介ありがとうございます。
Wellulu編集後記:
今回の取材を通じて、紅茶の奥深い歴史や魅力について多くを学びました。紅茶が中国で発祥し、オランダやイギリスを経由して世界に広まっていく歴史やイギリスのアフタヌーンティー文化など興味深い話を伺うことができました。
また、紅茶は単なる飲み物にとどまらず、人々をつなげる文化的な役割も果たしていると感じました。ティータイムのひとときは、忙しい日常の中で心を豊かにする大切な時間です。ぜひ、皆さんも紅茶の歴史や成分に触れながら、豊かなティータイムを楽しんでください。