楽しく学び、おいしく食べる!子どもと一緒に食べたい四季折々の魚料理【大日本水産会】 - Wellulu

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楽しく学び、おいしく食べる!子どもと一緒に食べたい四季折々の魚料理【大日本水産会】

世界に約3万7000種もいるという魚。ヘルシーで栄養も満点、身近な食材であるはずなのに、家庭での調理は気が進まない人も多いのでは? 魚を知ることが、魚をもっと食べることにつながるハズ…ということで、本記事では大日本水産会の早武さんに、食育や親子間コミュニケーションの1つとしての魚との関わりについてお話を伺った。ぜひこの記事を読んで、丸魚を買い、子どもと一緒に魚との触れ合いや調理に挑戦してみてほしい。

早武 忠利さん

一般社団法人 大日本水産会 魚食普及推進センター

魚食文化の普及・伝承に努める。琉球大学卒、東京大学大学院農学生命科学研究科修了・専門は保全生態学・生態学・形態学。水産庁長官任命お魚かたりべ、(一社)キッズキッチン協会理事、官民連携フォーラム江戸前ブランド育成PT副PT長、函館イカマイスター、名誉海老大使

著書:ハヤタケ先生の魚食大百科(少年写真新聞社)

本記事のリリース情報

ウェルビーイングに特化した「Welulu」にてインタビューを受けました。

目次

魚は世界に約3万7000種!まだまだ新種が見つかる可能性あり

── 魚は全体でどのくらいの種類がいるのでしょうか?

早武さん:世界には約3万7000種の魚が存在するとされています。しかしまだまだ新種が毎年数百種見つかっていて、その数は変動しています。

── そんなに新種が見つかるんですか? なんだか夢がありますね!自分がいつの日か新種を見つける、なんてこともあるような、ないような…。

早武さん:ですよね。やはり、とくに深海や洞窟など、人があまり入らない場所で新種が発見されることが多いです。たとえば、140センチ、25キロの「横綱鰯(ヨコヅナイワシ)」という深海魚は3年前に発見されたばかりなんですよ。まだまだ多くの新種が見つかる可能性が残っています。

── そんなに大きな魚でも、長い間見つかっていなかったのですね! 日本には何種類くらいの魚がいるのでしょうか?

早武さん:日本には約3700種の魚がいて、実際に食べられているのは約600種類です。ザックリですが、全体の約6分の1が食用として利用されています。食べられている魚の種類は、地域や季節によっても異なりますね。ただ、普段私たちが食べている魚を考えてみると、マグロ、イワシ、アジ、ブリなどといった限られた魚、約10-30種類くらいなのではないかなと思います。

── フグのように毒を持っていて食べれない魚も多いのでしょうか?

早武さん:そうですね、フグの毒は有名です。フグはプランクトンを食べることで毒を持つようになりますが、毒を含まない餌で育つ陸上養殖の場合だと、毒を持たないフグもいます。食べるのとは別に、ミノカサゴのようにヒレに毒があり刺さると危険な魚もいますが、これは毒部分を切って調理すれば美味しく食べられるんですよ。

── 本当にさまざまな特徴を持つ魚がいるんですね。

赤身と白身、青魚と赤魚の違いとは?

── 食べる魚といえば、赤身、白身がありますよね。何が違うのですか?

早武さん:赤身というのは、色素タンパクが多く含まれている部分です。色素タンパクは筋肉の中の酸素を運んだり蓄えたりする役割があり、これが多いと身が赤っぽく見えます。

たとえば、マグロのように長距離を泳ぐ魚は、身体をたくさん動かしますよね。そうなるとたくさん酸素が必要になるので、赤身が多い体に進化した魚種です。

白身魚はゆっくり泳いだり、瞬発的な動きをする魚です。例えばフグは毒を持っているのでゆっくり泳いでいても敵に食われる事はありません。また、ヒラメは、海底でジッと餌を待ち、一瞬で食らいつきます。カワハギのようにヒレをよく動かす魚は、その部分だけ筋肉が赤身のようになっています。

── カワハギのヒレをみれば、運動量と赤身の関係性がわかりやすいですね!身質にもそれぞれ特徴があるのでしょうか?

早武さん:白身は熱を加えても硬くなりにくいのですが、赤身は熱を加えると硬くなりやすいです。このような特性も踏まえて調理の際は工夫するといいですよ。

── 青魚、赤魚もよく耳にしますが、それぞれどのような魚なのでしょうか?

早武さん:青魚は外から見たときに青っぽい色をしている魚のことです。たとえば、サバ、アジ、イワシが代表的で、おもに海面近くを泳いでいることが多いです。青魚は背中が青っぽく見えることで、海の中で見えにくくなるため、捕食者から身を守る役割があります。

赤魚は金目鯛やカサゴなど、外見が赤っぽい魚のことです。赤い色は深海だと目立ちにくい色なので、深海に住んでいると分かります。深海魚は油で浮力を得ている事も多く、赤魚は油が多く、おいしいものが多いですよね。

魚はどう寝るの?

──魚の特長は身を守る延長としてあるのですね。ちなみに魚も寝るのでしょうか?

早武さん:目を閉じてぐっすり。人によっては呼ばれても起きない…というヒトの眠りと比べると、「寝る」という表現が正しいかはわかりませんが、魚は魚の方法で寝るというか休んでいるようです。

たとえば、おもしろいものだと、沖縄に生息するブダイという青や黄色が入った熱帯魚は、粘膜を袋状にしてその中で眠るんです。夜に潜ると、岩場の陰で鮮やかなブダイが寝ている様子が見れたりします。魚は、まぶたが無いので目を開けているように見えます。

── ええ!まさに海の中のベッドですね!なんだか水に揺られて気持ちよさそうです。マグロはよく止まると死んでしまうと聞きますが、寝ないのでしょうか……?

早武さん:マグロは泳いでいる最中に口を開け、口からエラに流れる水から酸素を取り込んでいるため、止まる事ができないと言われています。そして、寝るというか休んでいる時間帯は、スピードを落としているそうです。

── 魚たちも個性豊かで、知っていくとおもしろいですね。ちなみに最も大きい魚と最も小さい魚ってどんな魚なんでしょうか?

早武さん:最も大きい魚はジンベエザメです。日本の水族館でも見れますが、そのサイズは20メートルにも達すると言われています。よくシロナガスクジラでは?と言われるのですが、クジラは魚ではなく、哺乳類に該当します。でもその体長は25メートルと言われているので、大きいですよね!

一方、最も小さい魚は約7~8ミリメートルで、メダカの赤ちゃんほどのサイズで小さいんですが、これでも成熟して卵を産むことができます。海外の魚なので日本名はありません。

── 約7〜8ミリメートルの魚の卵…なんだか想像つきません!

エラや内臓、骨は牛乳パックに入れてゴミの日まで冷凍

── 続いては、魚の調理について聞かせてください。魚を家庭で調理しない人も多いのではないかと感じているので、この機会にいろいろと質問させていただければと思います。

早武さん:魚の調理は苦手分野になっている人が多いと思います。たとえばスーパーで鰯が1匹30円だったとして買いますか? 安いですが、買わない人は多いですよね。手間はもちろんですが、魚を焼いたときの掃除や部屋の臭いなど、そういった点も気になる人が大半だと思います。

── 焼くだけでおいしく食べれるので、調理はシンプルではあるのですが、私自身なかなかやらないですね…。

早武さん:そうですよね。いくつかおすすめしたいコツは、まずは捌いたあとのエラや内臓、骨の処理。これは牛乳パックに入れて冷凍するとよいです。こうすることで、燃えるゴミの日まで腐る心配なく衛生的に保管できます。「燃えるゴミの日の前日にしか魚料理はしない!」という人もいるかと思いますが、冷凍すると日を気にせず魚を調理できますよ。

── 袋に入れると骨で破れてしまったりしますが、牛乳パックなんですね! 頑丈で液漏れも心配なしですね。

船形にしたアルミホイルで焼いてそのままお皿代わりにも

早武さん:あとは焼き方についてですが、アルミホイルを船形にして、そこにのせて魚を焼くのがおすすめです。グリルが油で汚れる事を防げますし、焼き上がったらそのままお皿に移せるので便利なんです。
ヒレは真っ先に焦げるので、邪魔な場合はキッチンバサミで切ってしまうと焦げ臭さが軽減されます。または、ホイルで蒸し焼きもおすすめで、野菜なども一緒に調理できます。どれも我が家で実際にやっている方法です。

── アルミホイルの一工夫で、こんなに便利になるんですね。

早武さん:そうなんです。もう一つのポイントが、焼きたての熱々の状態で食べてほしいということ。焼き魚は冷えると油や身が硬くなってしまうため、おいしさが損なわれます。実際に出前授業では、給食で冷えてしまった焼き魚を食べて「焼き魚が嫌い」と言っていた子どもに、熱々焼きたての鯛の塩焼きを食べさせることがありますが、大抵「おいしい!」と大好きになってくれます。家庭でこそアツアツの魚を食べて欲しいので、おいしく食べるためには、食べる直前に焼き始めるのがおすすめです。

── 熱々が一番おいしいのですね。

魚の火加減と調理のコツ

── 自宅で魚を焼くときの火加減や、火の通り具合を確認する方法を教えてください。

早武さん:グリルの火加減は、強火ではなく、弱火から中火でじっくり焼くことで、表面が焦げずに中までしっかり火が通ります。目安として、様子を見ながら10分程度焼くのがいいと思います。これもそれぞれの好みによるのですが、私の場合は弱火でゆっくり焼いています。

火の通り具合で失敗例が多いのは、ヒレが焦げてきたからひっくり返そう!とまだ十分に身に火が入っていない状態でひっくり返してしまうことです。ヒレはハサミで無くしてじっくり焼き、皮がある程度パリッとしてからひっくり返酢のがおススメです。

── どうしてもヒレが焦げてしまうと慌ててしまうんですよね。ヒレが焦げやすいのはどうしたらよいのでしょうか?

早武さん:何度でも繰り返しますが、邪魔なだけなので調理前にハサミでヒレを切ってしまいましょう。焼き魚ではなくても、たとえば鯖の味噌煮を作る際も、先にヒレを切ってしまったほうが身を切り分けやすかったりするので、個人的にはバッサリとハサミで切ってしまうのがおすすめです。
ただ、鯛の塩焼きでヒレが無いとカッコ悪いので、その場合はヒレに飾り塩をしたり、ホイルを巻いて焦げにくくできます。手間ですが、見た目も重要ですよね。

── どちらにせよ食べない部分ですもんね。では臭みが気になる場合は、どのようにしたらよいでしょうか?

早武さん:煮付けの場合は生姜を使ったり、刺身の場合はわさびや生姜、にんにく醤油を合わせることが多いですね。好みは人それぞれですが、潮の香りが強い魚にはレモンなどの酸味がよく合います。これは臭みを消すというよりも、ほかの香りで覆い隠す「マスキング」という手法になります。

刺身の場合は、わさびやドレッシングを使ってカルパッチョ風にするのもありですね。

── 酸味のある柑橘系を合わせると香りがすっきりしますよね。魚は調理前に洗ったほうがよいのでしょうか?

早武さん:丸魚の場合は、必ず水洗いが必要です。内臓を取り除いたあとも綺麗に洗ってください。水洗いすることで、外側についた汚れや水草、内臓の中のバイ菌を洗い流す事ができます。水道水でしっかりと洗い、水気を拭いてからまな板の上に載せましょう。

切り身の場合は、鮮度によって判断します。ドリップ(魚から出る水分)が出ている場合は臭みにつながるため、キッチンペーパーで拭き取るか、塩をかけて5〜10分おいてから水で流してから調理してもよいでしょう。ドリップが出ていない、鮮度が良い切り身ならそのまま使っても問題ありません。

缶詰のカルシウム量は、切り身の約43倍!

── 魚の栄養素を効率的に取るために、おすすめの食べ方はありますか?

早武さん:これはやはり缶詰が一番です。缶詰は高温高圧で調理されているため、骨が柔らかくなっていて、たとえば、サバの缶詰であれば太い骨もまるっと食べることができ、カルシウムを豊富に摂取できます。切り身と比べると摂取できるカルシウム量はなんと43倍なんですよ。

── カルシウム量がそんなに多いんですか!?

早武さん:はい、そして缶詰の汁の上の方に浮いている魚の油はぜひ摂取してほしいです。これにはDHAやEPAなどの不飽和脂肪酸が含まれていて貴重な栄養源になります。缶詰の裏の原材料を確認して、魚と塩のみであれば飲んでしまいましょう。ツナ缶や味付け缶の場合、油を添加していたり、汁の塩分が高いのでそのまま飲むのではなく、炒め物やドレッシングとして使うと無駄なく使い切ることができます。
イワシも鮮魚は細かい骨が面倒ですが、缶詰だと骨は全て食べる事ができて一口サイズなので、サバ缶ブームの次はイワシ缶ブームが来ると予言させてください。

── 缶詰は手軽に取り入れられますし、栄養もたくさん取れるなんて、食べない手はないですね。

早武さん:ほかにも、煮干しやシシャモみたいな小さな魚は丸ごと食べられるので、骨も食べられますね。私は、サンマを三枚おろしにしたあとの骨を揚げ、骨せんべいとして食べたりもします。手間がかかりますが、家族で一緒においしく海の栄養を食べる事ができます。

── 缶詰では骨もおいしく食べられますが、焼き魚や煮魚で魚を食べ、骨が刺さってしまった場合、どうしたらよいでしょうか?

早武さん:基本的には病院に行くのが最善です。ただし、深夜や病院までの距離がある場合など、すぐに行けないときには、咳払いをしたり、唾を飲み込んだり、水をゴクンと飲むなどの悪化しない程度自分でできる対処法があります。お米を飲み込む等の骨をさらに押し込む方法はおススメできないです。とくに鯛のような鋭い骨の場合は避けるべきです。
心配になりますが、そうならないための方法があります。
しっかり噛むことで、骨が歯に当たって必ず発見できます。
焦って飲み込まずに、味わいながらしっかり噛んで食べてください。

四季折々で楽しめる季節ごとにおすすめの魚

── 魚にも四季折々、旬があると思いますが、季節ごとにおすすめはありますか? 子どもと一緒にたのしむ方法も教えてほしいです。

早武さん:そうですね、春にはわかめがおすすめです。わかめって、もともとは何色か知っていますか? 実は茶色で、茹でることによって緑色に変わるんです。乾燥わかめや塩蔵わかめとしても手に入りますが、春先には生のわかめを手に入れてぜひ調理しながら、色の変化も見つつ、楽しんで食べてほしいです。しゃぶしゃぶだとわかりやすいのでおすすめです。

── 色が変わる様子が見れてたのしそうです! 夏はどうですか?

早武さん:初夏や夏には飛び魚が楽しめます。あまり買う人もいないので値段も安めなので、もし鮮魚コーナーで見つけたらぜひ手にとってみてください。飛び魚のヒレってすごく大きいんですよ。ヒレを開いてみて、どんなふうになっているか見てみてください。ただし、調理の際は、ヒレが焦げやすいので、切ってから調理してくださいね。

── 飛び魚は大人でも見たことない人が多そうですね。秋冬にはどんな魚がおすすめですか?

早武さん:初夏の初鰹はまだ脂がのっていないためさっぱりとした楽しみができますが、北の海で餌を食べて戻ってくる秋の戻り鰹は太って脂がのっていて、非常に美味しいです。

また、自家製いくらもおすすめです。生の筋子を購入し、網で揉んでバラバラにしたあと、60〜70度のお湯で一分ほど泳がせると、アニサキスも死ぬので安心です。これを醤油漬けにして、家族みんなでいくら丼として楽しんでほしいです。

── 自家製いくらですか! 自宅で作るイメージはありませんでしたが、楽しそうですね。

早武さん:小さな卵が割れてしまいそうで怖いなって方も多いかと思うんですが、もともと鮭って産卵したあと尻尾で砂利を被せるんです。なので意外と丈夫なので心配しないでください。ぷちぷちの食感や実際に自分で作って食べる経験は子どもにとってよいものになるはずです。

そして年末年始はエビでしょうか。おせち料理にも使われる長い触角と腰が曲がった様子がおじいさんのようで長寿の象徴です。茹でると赤くなりおめでたい感じなので、見て嬉しくなります。

魚は採れたてが一番じゃない?時間とともに旨みが増える?

── ちなみに、魚を食べ過ぎることのデメリットはありますか?

早武さん:特にないと思います。基本的にどの食べ物も過度の摂取はよくないですが、常識の範囲であれば問題ありません。妊婦さんは水銀が大丈夫か等気になると思いますが、毎日同じ魚を食べるわけではないので、常識的な範囲であれば心配ありません。それよりも、体を作るたんぱく質としてのメリットの方が断然大きいと思いますので、そちらも考えてバランスよく食べてほしいです。

──魚を食べると頭が良くなると耳にしたことがあるのですが、これは本当ですか?

早武さん:魚の脂にはDHAやEPAが含まれており、これが脳の回転を良くする潤滑油になります。頭の回転は良くなりますが、勉強しなければ頭はよくなりません。そのため、半分本当という回答でしょうか。

実際にDHAが不足したマウスと十分に摂取したマウスの比較実験では、不足しているマウスの迷路を解く時間が倍かかったという結果もあります。
DHAが多く含まれるのは魚の目玉やあん肝、大トロなどの部位で、食べて後悔する事は無いので、ドンドン食べましょう!

── 先ほどのお話では、缶詰でもDHAが取れるとのことでしたが、どのくらい食べるとよいのでしょうか?

早武さん:DHAは1日あたりの推奨量が1000ミリグラムとされていて、缶詰1つで3人家族が分けて食べれば十分な量が摂れます。そのまま飲むのはチョット・・・という場合は野菜と一緒に炒めてしまうなどもおススメです。鮮魚では骨が心配で野菜と炒める等は難しいですが、缶詰で骨が柔らかくなっているので、心配なしなのです。

── 魚はやはり採れたてが一番美味しいのでしょうか?

早武さん:美味しさをどう考えるかですね。
獲れたての魚は身が硬く、時間が経つにつれて、分解が進むことで魚の旨味が増え、同時に身も柔らかくなります。
美味しさは味だけではなく食感も大事なので、それぞれの好みの問題です。

例えば私はとれたてのブリブリした歯ごたえのある硬い食感も好きですし、時間が経って柔らかくなり旨味が増した状態も好きです。

たとえば、ブリの柵を買って、半分は今日食べ、もう半分はキッチンペーパーを巻いて冷蔵庫で保管して翌日食べると、一日分解された食感と旨味の違いがわかり、自分の好みがわかりますので試してみて下さい。

── 意外でした! いままでは鮮度命だと思っていましたが、旨味の観点で変わるんですね。ヒラメの刺身はよく見かけますが、カレイのものはあまり見かけないのですが、何故なのでしょうか?

早武さん:刺身で食べられない鮮度でも塩焼きならバッチリ美味しかったりしますので、工夫して魚を美味しく食べてくださいね。

これもザックリですが、日本ではヒラメは1種類で、大きく成長しやすいため刺身として食べることが多いのではと思います。カレイでも大型のマツカワガレイやサメガレイのようにヒラメと同じくらい大きな種類は刺身でも食べられています。
一方、カレイには多くの種類があり、小さなものは煮付けや干物として利用されることが一般的です。これは効率の観点から、大きな魚をさばくのと、小さなカレイをたくさんさばくのとでは手間が異なる事も関係しています。一尾で沢山刺身がとれる大きなヒラメが刺身で食べられることが多いのかなと思います。
ヒラメは肉食で大きな口を持ち、一方カレイは小さな口で多様な食べ物を摂取するため、おちょぼ口です。肉質も異なるのも面白い特徴です。

丸魚の調理で楽しく食育、子どもとの新たなコミュニケーション

── 早武さんの好きな魚を聞いてもいいですか?

早武さん:私が好きな魚は南マグロ、とくに好きなのは南マグロの尻尾の方で、筋が多い部分。大トロよりも安いのですが、しっかり噛んで食べることで、味をじっくり楽しめるのが好き。
マグロは大きく6種類おり、大型なので部位でも味や値段も異なります。

── 南マグロは初めて聞きました。私たちが普段よく口にしているマグロとは違うんでしょうか?

早武さん:南マグロ=インドマグロなので聞いたことがあると思います。脂が多いのはクロマグロ(大西洋クロマグロと太平洋クロマグロ)や南マグロでお刺し身用がほとんどで高めです。流通量が多くて一般的に食べられてるのはメバチマグロやキハダマグロが多いです。刺身でも食べられますが、ツナ缶用にはメバチマグロやキハダマグロ、ビンナガマグロ、そしてカツオが使われます。
脂が多いほどイイのではなく、たくさん食べたい時は脂が少なめ、少量を楽しむなら大トロのような脂の多めなど選ぶといいですね。あとは・・・お財布と相談でしょうか。

── なるほど!マグロと一言で言っても、部位だけではなく、種類もさまざまなんですね。早武さんは普段からスーパーでも魚をチェックされるんですか?

早武さん:スーパーでは必ず鮮魚コーナーをチェックします。並んでいる魚によって季節も感じられますし、台風が来ているから今日は魚種が少ない等の自然の様子が分かることもあり、見ていて楽しいです。
魚料理にチャレンジしたい人は、スーパーや市場で魚を選ぶときに、種類だけでなく天然か養殖かを確認するのもおススメです。天然と養殖を比較すると、養殖は一年中安定して脂が多いので、当たり外れがないです。天然は大漁の場合は驚くほど安い等、値段も味も差があります。

やはり魚を買うなら、魚屋さんや市場で丸魚を買うのが一番で、出前授業では子どもたちにも丸ごとの魚を見せ、触る機会を持ってもらうようにしています。

── 知育の一環のような感じでしょうか? 考えてみると丸魚を触った経験がない人も多いかもしれませんね。

早武さん:そうなんですよ。知らない魚を触ることで、魚に対する恐怖心もなくなる。これが将来、自分で魚を買うという行動のきっかけになると思うんです。子どもたちは魚の口を開けるだけでも興味を持ちますし、たとえば歯の違いを見ることで魚が何を食べているか学ぶこともできます。

魚を捌くと、その魚が食べた小さな魚やエビが胃袋から見つかる事もあります。命を頂いている魚を頂くのだと残さないで食べようとしたり、それ以前にワクワクする発見もあるので丸魚は楽しいですよ。

── 親子でできて、子どもの学びにもつながり、よい経験になりそうですね!

早武さん:一緒に料理することで、子どもたちとのコミュニケーションにもなります。我が家では、ヒレが特徴的な飛び魚を開いて飛ぶ仕組みを見てみたり、イカ墨で遊んだり、ハマグリの成長過程を観察したりと、いろんなことをしています。
それが楽しいので、魚食普及推進センターのHP上でその様な食育プログラムを発信しています。
全国で楽しみながら続けた結果が食料自給率の改善につながり、漁師さんや地域が元気になったら皆幸せだと思っています。

── 子どもとのコミュニケーションの新しい形としても提案できそうですね。

Wellulu編集後記
今回、魚の知識全般について、生態の面も交えながらおいしく食べる方法までたくさん教えていただきました。調理のしやすい切り身の状態では、魚のことを十分には知れていない……たしかにそうだと感じました。また、子どもたちと実際に魚とふれあいながら関わっていく方法もたくさんあり、食育もしつつコミュニケーションのきっかけにもなり、とすばらしいアプローチだと思いました。ぜひ家庭で試してほしいです!

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