高校時代の演劇部
僕にとって、昨日の11月13日は特別な日だ。一度、このWelluluブログで、無二の親友の死について書いた。その親友の誕生日が昨日だった。彼が生きていたら47歳になる年だ。
僕は、高校のサッカー部に入っていたが、左ひざの靭帯断絶の大怪我を負ったので、サッカーをするにはもう一度手術が必要だった。好きなスポーツができないので、どうやって自分の居場所を探ろうか考えたときに、ニュージーランド留学で知った「演劇」の授業だった。僕は美術系のクラスばかり取っていたが、表現という意味では演技も面白い。
早速、帰国した後、僕は高校の「演劇部」に入ろうと考えた。けれども、僕の高校に演劇部はなかった。そこで僕は「演劇部」をつくるところからはじめたのだ。とはいっても、高校2年の終わり頃に、急に演劇部やりませんか、と言っても部員は集まらない。
僕はクラスの友だちでサッカー部・ラグビー部・バスケ部の男友達、あと留学した仲間に声をかけた。みんな掛け持ちで「面白そう」と乗ってくれた。そして、ほぼ男だけの演劇部ができた。高校3年生の春に、僕らは全校生徒の前で演技をすることが決まった。場所は、大阪の河内長野ラブリーホール。(1200人くらいは生徒がいたのだろうか?)
演題は「走れメロス」。
言い出しっぺの僕はメロス役だ。そして、一番仲が良かったバスケ部の友だちがセリヌンティウスだ。彼のまわりには、常に人が集まっていた。みんなに愛される人だった。彼が僕の発案に乗ってくれて、仲間を増やしてくれたのだ。
僕は、その頃太宰治ばかり読んでいたような気がする。そして、高校生で「走れメロス!」をなぜ選んだのか分からないが、熱い友情物語を演技したかったのだ。僕は30年近く経った今でも、セリフを言えるくらい鮮明にその記憶がある。演出は、セリヌンティウスがほぼやってくれた。
まず、彼がアイデアフルなのが、全員「白のズボンと黒いTシャツ」で演じよう。と衣装のところから変なところではじまった。王様は、そこに赤いマントをかぶるだけだ。兵隊はそこに槍をもっているだけ。小さな小道具でそれぞれの役割を分けていった。
メロスが山賊に会い、川で濁流にのまれているシーンでは、なぜか大阪人ぽいギャグをいれたかったのか、おじさんが溺れて流されているシーンが入った。(スケボーを使って、スケボーを紐で引っ張って、そのおじさんは流されている演出をしたのだが、全然受けなかった)
セリヌンティウスとメロスが、無二の親友としてお互いを信じていたのに、一度だけお互い裏切ろうとしたことを伝え、殴り合うシーンは、本気で殴りかかり、そこに斜め後ろにぶっ飛ばされるというシーンがあって、何度もそのタイミングを練習した。
僕は、最後、自分で破った黒いTシャツを脱いで、白い短パン一丁で、セリヌンティウスと抱き合った。最初で最後の演劇部の活動「走れメロス」は、拍手喝采。スタンディングオベーションで終わった。最高の思い出である。
僕は、セリヌンティウスがいたから、高校生の時間を楽しむことができた。そして、彼には感謝しかない。
僕は、彼にもう一度感謝の気持ちを伝えたい。彼の誕生日である11月13日。僕は特別な想いで、彼の思い出を一人で懐かしがった。本当は、彼の実家で、高校のときの想い出を仲間といっしょに語りたい、と思っていたが、今年は難しかった。来年こそは、11月13日に大阪で彼のお墓参りに行きたい。
プレイフルネスの生き方
今日は、博報堂のセンタードットマガジンの「ウェルビーイング連載」の取材日だった。そこで、社内のウェルビーイング関連に携わっている人たちを交えて、ウェルビーイング組織や、ひとりひとりの社員のウェルビーイングの話などをすることができた。
面白かったのが、博報堂は「仕事と遊び」の垣根をなくして、プレイフルネスな働き方をしている人が多いという発見だ。孫泰蔵さんとの対話で、プレイフルネスという言葉をいただいた。まさに、仕事において、フロー状態を楽しんでいるような感じだ。
フローとは、人間がそのときしていることに、完全に浸り、精力的に集中している感覚に特徴づけられ、完全にのめり込んでいて、その過程が活発さにおいて成功しているような活動における、精神的な状態をいう。
泰蔵さんと話をしていて、目の前のことに対して知的好奇心や興味を持ち、夢中になってワクワクドキドキする心を指す、というニュアンスも含まれているとのことだ。この言葉には他に「真剣に物事に向き合う姿勢」という意味が含まれていると同時に「自分はもちろん、周囲をも楽しませようとする態度」も含まれている。
フロー状態であり、プレイフルネスな状態。働いている中で、自分がよだれがたれるくらいに楽しいと思える状態。ウェルビーイングな生き方を探求している中で、こんな仕事の仕方ができたら、もっともっと楽しい人生になるだろう。
セリヌンティウスと分かれて、10年。僕は、また自分がプレイフルネスな生き方をしていた彼のことを想いながら、新しいウェルビーイング共創社会実現に向けて歩き続けようと思う。
写真は関係ないけれど、普段お世話になっているジン好きの家族へプレゼント。(一緒に富士山に登ってくださった家族です)
堂上 研 Wellulu 編集部プロデューサー