ここ最近、同性カップルについての新条例が制定されたり、全米でも同性婚が認められたりと、LGBTに対する温度感が変わってきています。マイノリティであることを隠さない活動家も増えましたし、テレビをつければオネエタレントとして活躍している人たちもたくさん目にしますよね。
そんな彼らって、なんだかみんなキラキラしているイメージがありませんか? タレントで言えばGENKINGさんみたいに、とにかくオシャレで最先端のファッション・美容情報に明るくてイケメンって感じ。かたや未婚・彼女ナシ・金ナシ・売れないライターの筆者とは大違い。もう同じ人間とは思えないです。
......なんて思いきや、輝かしいゲイの方って実は少数派なんだとか。前述のような人たちは「シャイニーゲイ」と呼ばれ、リア充として目立っているごく一部の層。大多数のゲイはごく普通の生活をしているか、中にはカミングアウトもできずにモヤモヤを抱えたまま毎日を過ごしているんだそうです。
そこで今回は、「非シャイニーゲイ」の方たちにインタビューを敢行。彼らが一体どんな生活を送っているのか、聞いてみました。
「元」シャイニーゲイ Mさん
最初にお話を伺ったのは、数年前まで自他ともに認めるシャイニーだったというMさん(32歳/教育系)です。
確かに見た目はかなりのオシャレさん。顔面偏差値も相当高く、どことなくEXILEのTAKAHIROさんに似ている......! こりゃそうとう派手な生活をしていたに違いない。なのに、どうして非シャイニーになったんでしょう。
――非シャイニーのお話を伺う前に、シャイニー時代について教えていただけますか?
「シャイニー時代はね、とにかくギラギラしてました。毎月何十万も買い物をして、全身ハイブランドで固めて、やたらエナメルっぽいクラッチバッグを持って、アクセをじゃらじゃら身につける、みたいな。似たようなシャイニーの子とつるんでたんですけど、『二丁目の叶姉妹』って呼ばれてたんです(笑)」
――二丁目の叶姉妹......! ものすごい破壊力ですね。そんな人がどうして非シャイニーに?
「シャイニー同士の人間関係に、とにかく疲れちゃったんです。いつも着飾ってなきゃいけないって思い込んでいたし、友達に誘われて夜な夜な街に繰り出していたんで......。今ではシャイニー時代の友達とは疎遠になっちゃいました」
――休日はどんな過ごし方をしているんですか?
「映画が大好きなので、ひとりで部屋にこもってずーっと観てますね。1日に5~6本とか。それこそ昔は新宿二丁目とかクラブで遊んでたんですけど、最近はさっぱり。というか、誘われても行かないですね。面倒になっちゃって。
あ、でも、地元の友達とはよくご飯に行ったりしますよ。なんかシャイニーの人たちと離れてから、小学校・中学校時代の友達との付き合いが深くなったんです。だから、周りはノンケの人たちばっかり。ゲイの友達とも遊ぶけど、ギラギラしていない人ばかりです」
――へぇ~。それはどうしてですかね?
「シャイニーだったときは、とにかく周囲の目ばっかり気にしてて、自分を着飾ることに夢中だったんです。だから、非シャイニーの地味な子とかは見下してましたし。でも、そういうのって、無意味だって気づいたんですよね。そんな上っ面しか見ないような関係性は嫌だし。
で、結局気持ち良く付き合えるのは、本音を話せる昔からの友達とか、ゲイでもあまりギラギラしてない、あまりカースト意識を持たない子たちなんだなって気付いて。だから今はすごく楽ですね」
――なんか共感! そうやってわかり合える人がいればひとりじゃないですもんね!
「そうですね! あと、最近恋人もできたので。もちろんシャイニーではない人で」
――え、恋人いるの。僕より充実してるじゃないですか。
ノンケ出身 Hさん
続いてお話を伺ったのは、30歳でゲイの世界に目覚めたという、一見ノンケっぽいHさん(36歳/IT)。
来日3日目の韓流スターみたいな見た目で、親しみやすそうな雰囲気。ゲイの世界に染まりきっていなさそうなので、非シャイニー要素も満点な感じがします。
――非シャイニーゲイについて伺う前に、どうして30歳でゲイになったのかを聞いても良いですか?
「たまたま男性同士の出会い系サイトの存在を知って、興味本位でアクセスしてみたんです。そしたら自分に興味を持ってくれる人がいて、流れで会うことになっちゃって......。女性からはそんなにモテなかったんですけど、男性からは結構モテたんですよ。それでそのまま......って感じですかね」
――おもしろい! 自分からじゃなくて、「モテたから」って受動的な理由でゲイになる人もいるんですね。ゲイの世界を知ってみて、どうでしたか?
「初めてゲイバーに行ったときは衝撃でした。クラブミュージックがかかると、その場にいるほぼ全員が全力で踊って騒ぎ出したんです。もう呆然としちゃって......」
――彼らがまさしくシャイニーゲイですよね?
「そうだと思います。とにかく目立ってましたし。俺も『あんたも一緒にやりなさいよ』って言われたんですけど、さすがにそれは......ってお断りしました。多分、ノリが悪い奴って思われたでしょうけど」
――ゲイの世界にデビューしてみて、シャイニーになろうとは思わなかったんですか?
「すごく楽しそうですけど、自分はちょっと違うなって思いました。イベントとかパーティもそんなに好きじゃないですしね」
――普段はどんな風に過ごしてるんですか?
「平日は家と会社の往復かなぁ......。仕事柄朝が早いんで、夜に飲みに行くってこともめったにないです。休日もわりとひとりでぼーっとしてることが多いですね。趣味は、うーん、散歩とか......。ひとりで街をブラブラするのが好きです。
あ! あと、インテリアに凝っていて、部屋をコーディネートすることにハマってます。一度、インテリア雑誌に掲載されたこともあるんですよ!」
――おぉ、ちょっとリア充っぽい趣味がでてきた。
「でも、服装とかにこだわりはないので。シャイニーの人ってビジュアルにある程度こだわりを持っていそうですが、私はそうでもないんです」
――なるほど~。あ、ちなみに恋人なんかは......?
「あ、彼氏いますよ。かわいいんです。写真みます?」
――あ、いえ、結構です。
根っからの地味ゲイ Iさん
まさかのふたり連続で恋人持ちの非シャイニーだったことに驚きつつ、最後にお会いしたのは、若いころからずーっと「地味ゲイ」だったという、Iさん(28歳/広告)です。
見た目は議員秘書みたいで知的な感じ。でも、目の奥が笑っていない、ちょっと闇を感じさせる人でした。個人的に、共感度高し!
――こんにちは! 早速ですが、Iさんの非シャイニーならではのエピソードはありますか?
「うーん、周りのゲイの子たちからは、『あんたは地味すぎる』って言われます。もう少し派手にしてみても良いんじゃないかって。その子たちも決してシャイニーってわけじゃないんですけどね。......そんなに僕って地味ですか?」
――え、いや、うーん......。言われてみればちょっと地味かもしれないですけど、それも個性だと思いますよ......? ところで、普段はどんなことをして遊んでるんですか?
「家でゲームしてるか、マンガ読んでるか、寝てるか、です。人混みが苦手なので、外出するのが嫌いなんですよ。渋谷とか新宿なんて、恐ろしくて行けないです」
――非シャイニーと呼ぶにふさわしい過ごし方ですね......。
「はい。ただ、これでもシャイニーに憧れた時期があったんですよ。彼らって、オシャレだし、注目されるし、なんか特別な人たちじゃないですか。だから、僕もそうなりたいなって」
――意外! 具体的に何かしてみたんですか?
「シャイニーの人が主催するイベントに参加してみました。でも、壊滅的に話が合わないんです。僕、ゲームのことしかわかんないから、『大貝獣物語』とか『ブレスオブファイア』のパーティ編成についてなら熱く話せるんですけど、ファッションとか美容とかイケメンについてとか、そういうコミュニケーションの引き出しがないので全然話せなくて。結局ぼっちになってましたね」
――話題がコアすぎたんでしょうね......。でも、シャイニーへの憧れはあったんですね。
「そうなんです。だから、一回目の失敗を次に活かそうと思ったんですけど、それっきりお誘い自体がなくなっちゃって......。そのうち、彼らの投稿を見るのも嫌になっちゃって、SNSは片っ端からやめちゃいました。
ただ最近は、もう自分と彼らは住む世界が違うんだって思うようになったんです。僕には僕なりの人生の楽しみ方がありますし。
シャイニーを目指すのはもうやめて、ヲタ充になろうと思ってます。好きなゲームやマンガに囲まれてるときが一番幸せなので」
――幸せのカタチは人それぞれですけど、いつか関係なく交流できればいいですよね。そのうえで、あとはIさんを理解してくれる彼氏ができたら、最高ですね!
「あ、すみません、彼氏はいるんです。もう5年くらい付き合ってて」
――え、いるの。
まとめ
以上、非シャイニーゲイの実態をお届けしました!
「シャイニーじゃない」って聞いたから非モテな人たちを想像していたんですが、実際は全員恋人いたし、リア充じゃねーか! とこっちまで爆発しそうでした。
でも、そもそも「シャイニーゲイ」や「非シャイニーゲイ」という言葉も最近出てきたばかりなので、しっかり定義されていないのも事実。「非シャイニーだから恋人いないでしょ」と決めつけていた筆者の認識が間違っていたのかもしれません......。
一日中自室にこもって映画を観ていたり、ひとりであてもなく街をブラブラしてみたり、ゲームやマンガにまみれた毎日だったり、彼らの日常は非リア充な筆者にとって共感できるものでした。ゲイだからといって、誰もが芸能人みたいにキラキラした毎日を過ごしているわけじゃないんですね。まぁ、当たり前ですが。
とはいえ、非シャイニー=つまらない人生、というわけでは決してなさそう。それぞれに充実した毎日を送っていて、しかも恋人までいるんだもん。......羨ましい。
この取材を通してひとつだけ確信したことがあります。それは筆者の生活がいちばん地味だということ! 非シャイニーの調査をしている場合じゃなかった! 未婚・彼女ナシ・金ナシ・売れないライター。誰かこんな筆者に救いの手を! お願い!!
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