【カズ中西のもりまち安全運転研究所】1 | 株式会社デイトナの最新情報がわかるオウンドメディア、デイトナウ!

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【カズ中西のもりまち安全運転研究所】1
2022.08.23 見るできごと

デイトナファンの皆様、こんにちは。モータージャーナリストのカズ中西です。

早速ですが、バイクと共にある生活、

満喫できていますか?

僕がバイクに乗り始めた80年代とは

楽しみ方が随分と変わってきたというか、

最近人気のキャンプツーリングも含めて

かなり多様化したように思います。

その一方で、悲惨なバイク事故の情報も

数多く見聞きするようになりました。

特に僕と同世代の

バイクブームを経験してきたであろう50代のライダーが、

バイクで命を落とすニュースを目にすると、

悲しい・寂しい・むなしい気持ちになります。

バイクが好きでバイクに乗り始めたであろう皆様が、

安心安全なバイクライフを末永く楽しめることを願いつつ、

それについて少しでも役に立つ話題を提供できたらいいなと思います。

状況を四次元的にとらえる

今回のテーマは

「目の前の状況を四次元的にとらえる」です。

最近のナビゲーションシステムでは、

3D表示なんて仕様もありますが、

地図やガイドブックはもちろん、

交通教育の場で使う資料も

ほとんどが2Dですよね。

でも、乗っているバイクや走っている場所は3Dの世界で、

移動している=時間の要素も加味すれば、

立体+時間という四次元的なとらえ方が、

安心安全なバイクライフにつながると思います。

伊豆スカイラインの事故現場

この写真は、伊豆スカイラインの死亡事故現場になります。

さほどきつくないカーブ区間の後半で曲がり切れず

ガードレールにぶつかって命を落とした単独事故です。

単にこのカーブでスピードを落としていれば

避けれた事故ではないのかな?というのが

一般的な考え方だと思います。

しかし、事故発生までの目撃情報や

監視カメラ情報を見ていくと、

現場までの走行リズムや加減速の増大が

影響しているとわかります。

例えば、緩やかなS字カーブが連続した後に深いカーブ区間になるとか、

きついカーブ区間を抜けたら比較的長い直線区間があって、

次に大きく回り込むカーブ区間になる、

そんなワインディングロードは全国各地にあると思います。

この事故も、そんな現場でした。

 

ブレーキング、コーナリング、加速の連続で

リズムよく走れる場所では、

「さっきのワインディング区間と同じように行けるはず」と勘違いしがちで、

いざコーナリングとなった時に、先ほどとは違って

カーブに対してスピードが速すぎる!曲がれない!

そんなヒヤリハットとした経験はないでしょうか?

 

この現場では、

手前のワインディング区間は難なく通過できていたのに、

現場直前でのアプローチ速度が速すぎた結果、

事故につながっていると思います。

それまでは、かなり速く走っていたわけですから、

過信と慢心が無ければ、防げた事故だとも言えますね。

 

1秒間にどれだけ進むか?

走行イメージ1 一つ前の画像から、40km(仮)で走行した場合の1秒後 バイクが置いてあるところが1秒前の位置です

では、もう少し具体的に

四次元的なとらえ方をしていきたいと思います。

これは40km/hで走行していたと仮定して、

1秒間にどれだけ進んでいるか?を表す写真です。

前方をとらえている写真では、

さほど違いはないように見えますが、

40km/hで走行時は1秒間に約11m進みますので、

11m前方からバイクを撮ってみました。

僅か1秒ですが、これだけ進んでしまうわけです。

逆に言えば、1秒前に観た景色と状況は

たった1秒で大きく変わります。

T字路での判断

スマートインターチェンジから広域農道へ出てきたところです。 向かって右側は木や草で、奥から来る車やバイクが見つけにくい。 向かって左側は比較的見通しが良いが、カーブの先が下っているため、登ってくる車やバイクのスピードは分かりづらい。

デイトナ最寄りの遠州森町PA(ぷらっとぱーく)から

広域農道(俗称・お天気山)に出るところです。

一時停止線から左側はわりかし見通しが良く、

右側は雑草が生い茂っていて見通しが悪いです。

一時停止して左右の安全確認、

その時に車やバイクがいなかったとしても、

1秒後には状況が変わっているかもしれません。

逆に広域農道を走ってきたとしたら、

1秒後に車やバイクが出てくるかもしれない。

なので、この手の場所では、

自車が優先道路を走行中であっても

いつでも止まれるスピードまで減速進行することが、

身を助けることになります。

見通しが良いと思っても・・・

バイクから見た視点 「バイクからみた視点」画像から1秒後の状況。向かって右側にある側路の入口がかなり近くなっています。

ここはデイトナから広域農道を少し北進した場所です。

僅か11mで見え方が大きく違うと思います。

逆に言えば1秒間でこれだけ現場に接近するのですから、

「さっきは出てくる車がいなかった」とアクセルを開けていくと

1秒後に車が出てきて衝突するという危険性をはらんだ場所でもあります。

ここでは40㎞/h想定ですが、

制限速度は50㎞/hの道路ですから、

現実には1秒間に約14m進むことになり、

飛び出す車を発見した時には

ブレーキが間に合わない!となります。

一時停止の場所と同じく、

エンジンブレーキを活用して

減速体制で通過することが

身を助けることになりますね。

「バイクからみた視点」を逆側から走行してみました.。 50km走行の1秒後には、側路の入口がかなり近づいています。

ちなみに、逆方向(南進)から50㎞/hで進行すると

路面標示の「交差点エリア」から

約4秒で「止まれ」の看板に近づきます。

たった4秒で状況は大きく変化していますね。

優先道路の看板がありますが、側道から出てくる車やバイクがいないとは限りません。油断は禁物です。

直線区間の優先道路なので、

人によってはアクセルを開けたくなる場所ですが、

実はそんな場面こそ用心するに越したことはないです。

ドットライン区間

お天気山にもいくつかありましたが、

ワインディングロードでは

ドットライン区間をよく見かけます。

これは道路を幅狭く見せることで

スピードを落とさせる効果を狙ったペイントですが、

過去に死亡事故を含む重大事故が発生したとか、

この道路を利用する人々から

通行する車両のスピードが速すぎて危険という申し出から、

ドットライン区間になることが多いです。

つまり、ドットラインが「無い」区間より、

「ある」区間は様々な危険要素が潜んでいるということになります。

中央と区画線に沿ってドットラインが引かれています。 上の画像の1秒後の様子(こちらは停止しています)。自動車が近づいてきました。

これは、1秒前には通行車両なしでしたが、

その直後に対向車が現れたことを表す写真です。

右カーブ区間なので、

自車はスピードを落としていれば、

曲がり切れずに路外へ飛び出す心配はないですが、

仮に対向車がカーブを曲がり切れないくらいのスピードを出していたら

巻き込まれて大事故になるシチュエーションでもあります。

また、この手の場所でよく起こる事故としては

マスツーリングの先頭が追い越しをかけて

それに追従していく3台目のバイクが

対向車と正面衝突する事案があります。

ここは、そもそも追い越しできない区間ではありますが、

先頭が通過した時には運よく対向車無しだったとしても、

後続車がその場所に到達した時には、

対向車が来ていることがあります。

その時間差は、僅か1秒2秒です。

なので、追い越し可能な場面だったとしても、

先頭が行けたから自分も…という安易な考えで追従しては事故の元です。

まとめ

ワインディング区間で快走するのは、

バイクに乗る醍醐味の一つではありますが、

目前の状況は刻一刻と変化しているという意識を

忘れてはならないと思います。

ソロでもマスツーリングでも、

乗って出かけた愛車で無事に帰ることが大切です。

 

 

ライターProfile

KAZU中西

モーターサイクルジャーナリストを始め、イベントのMCやラジオDJなどマルチに活躍!

伊伝株式会社の広報担当であるとともに、伊豆スカ事故ゼロ小隊の中隊長、静岡県二輪車安全運転推進クラブ伊豆地区会長など、積極的に交通安全推進活動を行っている。

※文中に記載の品番/価格は、記事作成時のものです。