British steel

森薫の『エマ』を、全８巻まとめて読んだのです。

ビームコミックス エマ 8巻(通常版)

いい漫画だったなぁ。四回ぐらいじわっと涙がこみあげました。

タランティーノの『パルプ・フィクション』で、ジョン・トラボルタとユマ・サーマンがコスプレレストランで食事する場面がありますね。

パルプ・フィクション [DVD]

あそこで、トラボルタが注文するのが「ダグラス・サーク・ステーキ」。

表面はこんがり焼けているけど、切ると血がしたたるというブッチャーも垂涎の一品です。

これは、メロドラマの巨匠といわれたダグラス・サーク監督の作風にちなんだネーミング。

風と共に散る [DVD]

表面的には落ち着いた大人のやりとりでありながら、その内面には燃えるような激情を秘めている、という。

『エマ』を読んで、感じたのはこれと同様の抑制のきいた激情でした。

とくに、離ればなれのエマとウイリアムが手紙のやりとりをするあたりはすごかった。

最初はちゃんと作法に則って時候の挨拶をしながら書いてるのに、だんだん盛り上がっていって「あなたの髪の毛をください」とか言い出すあたりはハラハラさせられました。

タランティーノが言ってたのはこういうことだったんだなぁ。

あと、気になったこと。

• モニカ姉様だけ世界観が他の人と違う。こういう、何をやってもいい人物がひとりいると演出に幅が出るなぁ。
• ウイリアムの友人で「ロバート・ハルフォード」という人物が出てくるが、これってあのメタルゴッドの先祖かなんかだろか（あの人はバーミンガムの労働者階級出身だってえの）。
  • Judas Priest　"Metal Gods"

クラシック・アルバムズ:ジューダス・プリースト/ブリティッシュ・スティール [DVD]