続・一度は言ってみたい感謝の言葉
<昨日の続きです>
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「警察に包囲されたモーテルから脱出すること」
「しかるのち、非常線をかいくぐって、ハリウッドの有名レストランで待つ自分に会いに来ること」
でした。そのときの台詞もふるっています。
「私は君を知らないし、君もまた私を知らない! 知らない同士が、互いに信頼しあって約束するためには、知り合うことが必要だ! 君が脱出できることによって、私は君を知ることができる。 ・・・不可能を可能にできる男だとね!」
・・・シブ過ぎます。
モーテルでガス爆発を起こし、みごと(?)脱出した暮海ですが、人目の多いハリウッド大通りを通ることは、殺人犯として追われる彼には困難です。
その彼に手を貸すのが、たまたま近くでライヴを行っていた、大物ロックバンドのザ・フー(実名)でした。
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熱狂のライヴを終えてザ・フーの4人がドレッシング・ルームへ帰ると、そこには暮海が侵入していました。バックステージ・パスはどうしたんだ、セキュリティは何をやってたんだ、という疑問を挟む間も無く、
「ブラウン・ダービー(レストラン)で夕食を付き合ってくれないか」
と切り出す暮海。
自分が殺人犯として追われていることも正直に告白した上で、彼らが一緒ならばファンの人垣ができて、自分が隠れられる、君たちはスターだからギャラも払う、と強引に札束を渡すと、暮海は逃亡生活の疲れでその場に倒れ、眠ってしまいます。
この、殺人犯の不審な頼みを、なぜかザ・フーの4人は快諾します。
「こいつは、俺たちが引き受けたことを信じたから眠っているんだ。 男の約束を信じられる男なんだ!」
・・・異様にアツイです、ピート・タウンゼンド。
そして5人が連なり、大勢のファンを引き連れてハリウッド大通りを練り歩き、みごと非常線を突破します。ファンの誰一人として、不審な男がついてきていることに気付かないことにはあえてツッコミは入れないことにします。
ついにブラウン・ダービーにたどり着いた暮海とザ・フー。待っていたギラムに、暮海は「私の友人たちを紹介します。ここに来れたのは彼らのおかげです」と4人を紹介。もうダチ呼ばわりです。
骨付き肉を手づかみで喰うというワイルドな食事を終えると、ザ・フーの4人は帰っていきますが、そのときに、先にもらった札束を返します。このときの台詞のかっこよさはもはや悶絶必至です。
「あんたは俺たちを友達だと言った!だからさ。ダチから銭はもらえねぇ」
・・・ニッコリ笑う4人の姿にノックアウトされていると、暮海がさらに追い撃ちの一撃を加えます。
「死ぬときはあんたたちの顔を思い出す・・・必ず!」
・・・この物騒な感謝の言葉に対し、ロジャー・ダルトリーは
「キザだよ、かなり。でもいい線いってる」
と、Vサインを出しながら去るのでした。
わたしは、友達と食事をしたときなんかに、端数を自分が出して(自分のオゴリじゃないんかい)この「ダチから銭はもらえねぇ」という台詞を言うのを楽しみとしています。読んでいる人には猛烈にウケます。
昨年、40年近いキャリアの中でついに初来日を果たしたザ・フー。最後の大物と言われた彼らが、若かりし頃はこんなにアツイ男だったことを知る人は少ないでしょう。ていうか多分本人たちも知らないと思います。
当時のメンバー4人のうち2人は既にお亡くなりになっていますが、自分たちがこんないい役で漫画に描かれていることを知らずに亡くなったのかと思うと、人の世の無常に思いを馳せて切ない気持ちになるわたしなのでした。
・・・男らしさでお腹いっぱいになりましたので、口直しに「下妻物語」でも借りてこようかな。
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