農業資材審議会農業機械化分科会 第24回(平成27年9月29日)議事要旨:農林水産省
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農業資材審議会農業機械化分科会 第24回(平成27年9月29日)議事要旨

日時及び場所

平成27年9月29日(火曜日)10時00分~12時00分
農林水産省 第2特別会議室

議事及び要旨

基本計画の策定等を受け、農業資材審議会農業機械化分科会において、5月14日より今後の農業機械化政策に関する議論を開始。
第5回となる今回は、「今後の農業機械化政策の展開方向(中間論点整理)(案)」について議論。
意見交換の際の委員の発言概要は以下のとおり。

 

農業機械の開発・改良・普及

○開発のニーズを的確に捉える観点では、単に農業者の要望をアンケート調査するだけでなく、繰り返し話を聞くなどによって本質的なニーズを引き出すことができるのではないか。

○工業分野では一定程度進んでいるが、農業分野でも、業務分析を行って開発ニーズを集約できる者が必要。また、研究プロジェクトを実施する前に、時間をかけてフィージビリティスタディを行って提案をまとめることが、結果的にプロジェクトの成功に繋がるのではないか。

○工業分野では、プロトタイプで試験を行いながら商品化に繋げており、農業機械もそうしたアプローチが有効ではないか。
また、イノベーションを起こしていくためには、「重いものを運ぶ作業をなくす」など、ある課題を解決するために様々な分野の者が知恵・意見を出し合うオリンピックのような場を設定することが重要。
さらに、農業機械を含む栽培体系の確立を検討するに当たっては、スピード感が重要。

○開発された機械が導入されるか否かは最終的にコスト次第というところもあるので、研究開発を開始するに当たっては、経営改善効果を分析する必要があるのではないか。
また、農業者は真に改善すべき点に気づかない面もある。異業種とコラボレーションすることで発想の転換につながり、効率的な機械の開発に繋がることを期待。

○経済産業省では、ロボットの効果を実感できず導入に躊躇している事業者に対し、コンサルティングを含むフィージビリティスタディの実施を支援している。

○ある地域の機械開発ニーズに応えたとしても、他の地域では使えない場合もある。機械作業に適した栽培体系を全国的に提案するとともに、現場からは改善に向けた意見をもらうなど、キャッチボールができるような仕組みがあればありがたい。

○今既に普及している農業機械でも、土壌条件などで能力を発揮できない場合もある。全てを開発するのではなく、既存の機械を改良・強化するといった観点も必要。
また、現在の作業体系を分析することにより非効率な作業が見える化ができて、はじめて機械化の検討が始まることから、農業者のニーズ提案を求めるに当たっては、まずは作業の分析手法を教えるところから始めるべきではないか。

○機械の開発を開始するに当たっては、政策の役割として、メーカー間で協調すべき領域と、独自性を発揮して競争すべき領域を分けることが必要ではないか。

○地域レベルの機械開発の取組においては、地域農業研究センターが現場のニーズをいかに吸い上げるかが重要。また、現場の法人には他地域の取組に関する情報がないので、農業者と地域農業研究センターが交流する際に技術情報を把握するとともに、全国レベルに発信してもらえるとありがたい。

○農業者は普段の作業の中で機械開発のニーズを把握することは難しいと考えられ、また、そのニーズも千差万別。現場のニーズの把握に当たっては、普及指導員や農業生産からやや離れた作業体系の研究者などが気付くニーズの方が普遍性があるかもしれない。

 

農業機械に係るコスト低減

○今後は担い手が作業受託するなどで農業機械の年間稼働率は上がることになると思うが、機械のコストを追求するあまり耐久性が下がってしまったのでは本末転倒なので、最近では耕耘作業など耐久性が求められる機械については海外製が増えている。

○本州でも100haを超えるような担い手が出てきたが、担い手への農地集約により農業機械の販売台数が減少する傾向にある中で、コスト低減と耐久性の向上の両立という難しい課題が存在。

○単純に考えれば、稼働率を2倍にすればコストは半分になる。耐久性を上げるべき箇所を特定しつつメンテナンス性を向上し、また、汎用利用するなどでトータルのコストを削減していきたい。また、メーカー間で協調すべき機能を、農研機構の指導の下で標準化していけば、農業機械業界も対応しやすいのではないか。

○適時適切にメンテナンスを行えば、農業機械は長く使うことができ、結果的にコストダウンに繋がるが、その際に問題になるのは、古い機械の部品が入手できないこと。各社共通で使う部品などは共通化するとともに、農業者の求めに応じて製造してもらえるなどの対応が望ましい。

○リース方式での農業機械の導入に魅力を感じているが、農業者自らがメンテナンスを行うための技術を培う仕組みが必要ではないか。
また、排ガス規制強化に伴う尿素の供給や軽油等の保管など、法令に照らして潜在的なリスクが存在。そうしたリスクを軽減するためのコストをいかに地域の中で按分していくかを考える必要。

○農業者自らがメンテナンスを行う際に困るのが、部品の仕様が分からないこと。身近なルートから部品が調達できるよう、メーカーには、仕様に関する情報提供をお願いしたい。

○業界団体が主導して、これまで各メーカーでバラバラであったオイルの共通化に取り組んでいるところ。他方、メーカーが推奨する部品・オイル等を使ってもらわないと思わぬトラブルにもなりかねないので、農業者自身がメンテナンスを行う際には、取扱説明書に記載された内容を守って頂きたい。

○メンテナンスに係る農業者の技術向上は重要な要素であり、そのための研修などをいかにシステム化するかを検討する必要。その際、農業生産法人は対応できるかもしれないが、家族経営では難しいということを考慮する必要。

○女性の視点から見ると、農業機械を構成する部品は重たいので自らメンテナンスを行うことは難しい。頼りになるのは地元の農業機械販売店などであり、そうした整備体制を維持することも考慮する必要。
また、機械そのものを使いやすくメンテナンスしやすくするという観点も考慮する必要。

○部品の標準化を進めるとともに、自動車のように、地域の市場規模・ニーズに応じて、機械の開発から製造、メンテナンスまでを担えるような地域の農業機械メーカーが出てくるようになれば、機械に係るコストは低減されることになるのではないか。

 

農作業安全対策の推進

○一般の機械メーカーでは安全教育にコスト・時間をかけ、安全パトロールやKYT(危険予知訓練)などを徹底することにより、先輩から後輩に安全意識が連鎖していく。意識啓発と情報収集、教育といった取組を有機的に融合させることが、安全対策を確立する上で有効ではないか。

○安全に関する意識を常に持つことが重要だが、個人レベルでその意識を維持することは難しいので、安全確保に関する措置を義務化したり、もしくは取り組むことに対するモチベーション向上の仕組みが必要ではないか。

○援農など非農家が農作業を行うことも増えていくことが予想される中、例えば畦畔の草刈りなど、必ずしも生産性に直結しない環境整備のような作業において、機械を使う際の基準などを設定する必要があるのではないか。

○農業体験を希望する者にはレクレーション保険に加入してもらっているが、その契約の中で、例えば刈払機作業を保険の対象外として明記するなどにより、危険な作業への意識を高めることも考えられるのではないか。

○農業機械士は、地域の危険箇所をまとめたマップを配布したり、補助事業で作成された事故事例のDVDを高齢者に見せるなどの注意喚起等を実施。また、収穫を祝う場などで体力測定を行い、場合によっては「トラクターの運転は控えた方がいい」等の助言も行うなど、農作業安全の確保に向けた取組を展開しているところ。

○安全に関する意識を維持・向上する上では、国土交通省が主導する「Gマーク制度」(貨物自動車運送事業安全性評価事業)のように、事業者の取組を評価・プレイアップし、インセンティブを与えるような仕組みが有効ではないか。
また、危険な行動であってもこれまで慣習的に見逃されているものについて、法令・制度と実態を合わせていく必要があるのではないか。

 

 

- 以上 -

 

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