216鐘目の奇縁
中日ドラゴンズの森繁和監督の長女が天国に召されました。
悲しみを乗り越えて気丈に指揮を執る姿が話題になりました。
辛く悲しい、家族の死…。
でも、
乗り越えていかなければいけません。
天国から笑顔で見守られるために…。
★★★
★(1年前…)2016年8月9日の夢叶は、
『マックの株主さん』でした。
★阿部派一刀流の阿部吉弘さんが《たとえ、一生涯 逢うことがなくとも》と言う記事を投稿しました
この内容を見て…、
友と交わした約束を思い出しました。
友の父親が天国に召されたときの話…、
いつか、書いてくれないか。
約束を果たすときがやってきました。
▼▼▼約束を果たすきっかけになった記事…。
★『世界一幸せだった…、お父さん。虎は死して皮を残す…。友との約束を果たす夢叶なのだ!?』
『世界一幸せだった…、お父さん。虎は死して皮を残す…。』
父・進一が病床について10か月…。
ついに天国に召さられる時がやってきた。
10カ月間…。
1日として付き添いを休むことが無かった母・景子に向けて、感情を押し殺して担当医師が語り始めた…。
「最後のお別れをしたい方にはすぐにご連絡してあげてください」
脳血栓で緊急入院を強いられたばかりの頃は、おぼつかないとはいえ普通に話すことができた進一。
町内でも人気者だった故、次から次へと見舞客が来ては病室に笑い声が渦巻いていた。
進一の頼みを断れない仲間たちは病人だと言うことを忘れ、禁止されている甘いものを差し入れたり、お酒を水筒に入れてカモフラージュ!一緒に酒を酌み交わすこともあった。
兼ねてから
「細く長い人生よりも太くて短い人生が本望だ!」
そう豪語していた進一らしい生き方を死期が迫っても貫いていたのだ。
入院して1か月。
『太くて短い人生が本望だ!』という言葉がより現実化してきた。
脳血栓から脳梗塞へ一気に病状が悪化したのだ。
この日から…、
あれだけ明るく豪快だった進一は一切喋ることができなくなった。
言葉を失って、寝返りすら打てない…、
植物人間に近い状態になってしまったのだ。
定期便のように足を運んでいた仲間たちは大きく落胆した。
いずれ、自分にも襲ってくる未来予想図を見たような気分を味わって泣き出す仲間もいた。
代わり果てた進一の姿にすることが辛いようで…、
一人…、
また、ひとりと病室に笑顔を運ぶ仲間が減っていった。
進一には、二人の息子がいた。
父っ子と評判で人懐っこい次男・幸寛は、
一に、家族。
二に、仲間。
三、四が無くて、
五に、仕事。
と語り続けた父・進一の信条を受け継ぐ優しくて気遣いができる人気者だった。
家族や仲間のためなら仕事を投げうってでも心血を注ぐ。
そんな、幸寛は毎週欠かさず
父に会うため…、
父に語りかけるため…、
病室に足を運んでいた。
長男の光政は、弟の幸寛に対して病室に足を向けることが少なかった。
1匹狼で家族、仲間を護るためにはお金が必要。
お金を得るためには、
社会や人のためになること、
自分にしか出来ないことを創り出すが信条。
光政は、当時流行っていたTVCMのキャッチコピー
「24時間戦えますか!?」
という人生を当たり前だと思い仕事に情熱を傾けていた。
植物人間になってしまった進一。
植物人間になった父。
進一をいつまでも生かせていることに意味があるの?
そんな囁きが耳に入るようになったのは入院して半年が過ぎたころ。
点滴を通じて食事を与え排尿物の世話する。
毎日毎日、動かない進一に寄り沿って同じ1日を重ねていく。
他人にはそう見えても、家族だけは生きている証を感じ取っていた。
手を握って語りかける。
手を握って心で語りかける。
すると…、
会話ができなくても進一の想いを五感で感じることが出来るのだ。
「生きたい!もう、少し生きたい!」
そして、
「もっと…、話しが聞きたい…。」
と…。
クリスマスを間近に控えたある日…、
母・景子が涙ながらに悟った。
「お父さん…、生きたいから、逝きたいって言い始めた…」
「ありがとう…。」
って。
2日後にやってきたクリスマスイヴの夜。
進一の容態が急変、担当医が、景子に重い口調で語りかけてきた。
「最後のお別れをしたい方にはすぐにご連絡してあげてください」
この報を受けてすぐに駆け付けたのは次男・幸寛。
最後の力を振り絞って微かに握り返してくる父の掌を優しく握り返し
「お父さん!大丈夫だよ!!頑張って!!」
耳元と子が最後の絆を確認してあっている掌に母・景子の掌も重ねる。
「もうすぐ、光政も来ますから…、頑張ってね…。お父さん…。」
家族全員でおみくりしたいと願う幸寛。
何度掛けても繋がらない兄・光政の携帯の留守電にメッセージを残し続けた。
「おとうさんが危ない!すぐに病院に来て!!」
「早く!連絡ちょうだい。おとうさんもおかあさんも待っているから」
「お願い…、なんとか最後に声を聞かせてあげて…」
「何してるんだよ!!おとうさんが死んじゃうよ!!お兄ちゃんの顔を見せてあげてよ!!」
しかし…、
数時間後に残された幸寛からのメッセージは…。
「お父さんが死んじゃったよ。なにしてるんだよ。こんな大事な時に…。そんなに仕事が大事かよ…。お父さんより大切なのかよ…。」
父・進一は天国に旅立ってしまった。
天国に旅立って2時間後…、
ようやく長男・光政から幸寛に連絡が入った。
「ごめん…。本番中で電話に出れなかった…。」
父の命の鼓動が聴こえなくなってから聞こえてきた兄の声に幸寛は激高した!
「もう!遅いよ!!そんなに仕事が大切なら仕事と結婚すればいい。これから、お兄ちゃんのことを兄貴だと思って接するのは辞めるから!!」
肩を寄せ合って生きてきた兄弟にはじめた亀裂が生じた瞬間。
奈落の底で喘いでいた母・景子の悲しみが限界を超え声を張り上げ泣き出した。
返す言葉を選ぶ時間すら貰えず電話を切られてしまった光政が病室に着いたのは1時間後…。
すっかり冷たくなってしまっていた父・進一は安らかな笑顔で光政を迎えた。
一家の大黒柱として…、
父としての尊厳を保つため…、
痛みと戦った姿や家族との別れを惜しむ表情は微塵もみせない堂々とした佇まいだった。
胸元に添えられた両手にそっと手を翳す。
「ごめん…、お父さん…。」
声を震わせながら冷たい手を握りしめた。
「俺がみんなを護るから…、安心して大丈夫だよ…。」
冷静さを取り戻すと病室の白いカーテンの隙間から朝陽が射しこみ、涙に暮れるクリスマスの朝がやってきた。
進一の遺体が病室から自宅に戻されるとき、1通の手紙がベッドの隙間から見つかった。
入院して間もない頃…、
多少身体が動いた時に書かれた最後の手紙は病院の茶封筒に託されていたのだ。
光政と幸寛へ
お前たち2人は父さんにとって誇り。
父さんの最後を看取ってくれるのはきっと幸寛だろうな。
いつも家族を一番に考えてくれる幸寛。
ありがとう。
母さんを寂しがらせないように。
頼んだぞ。
きっと光政は、父さんの死に目に来れないだろうな。
でも、
家族の死に目に来れないほど、周りの人達に必要される、
代わりのいない仕事を手掛けるようになったことが父さんの誇りだ。
ありがとう。
安心してあの世に行ける。
頼んだぞ。
景子へ
仕事もろくにせず、迷惑ばかり掛けてすまなかった。
父さんの人生はほんとうに幸せだった。
これは、全て景子のお陰。
景子に出会って、結婚できて、一緒に暮らして、子供が生まれて、
家族の一員として人生が謳歌できたことに感謝している。
ほんとうにありがとう。
世界一の幸せ者
進一
この手紙の存在は偉大だっだ。
「お父さん…、俺がお母さんにそばに居てやるから心配いらないよ。お兄ちゃん、ごめんね。こらからも俺の尊敬する兄貴としてよろしく…」
涙を浮かべて語る幸寛。
「お父さんに…、天国でも…、トンビが鷹を生んだと…、言わせてみせるよ…」
力強く語る光政。
「お父さんは、ほんとうに世界一の幸せ者よね~」
と笑をみせる景子。
虎は死して皮を残す…。
核家族化によって移り変わる家族の絆…。
家族の絆が少しずつ揺らいでいるような気がする…。
溢れんばかりの絆があたりまえだった時代に製作された日本を代表する映画。
『男はつらいよ』
山田洋二監督作品が描く家族愛を確認したいと思った…。
友人と約束した作品を投稿できた夢叶。
あいつの夢が叶った作品になっているのかなぁ…。
(エムP)
「ラフ」
根詰めて生きていたって
疲れちゃうよ
誰のために生きているの
自分のため
家族のため
大切なひとのため
家族は
大切なひとは
あなたが喜ぶ姿がみたいはず
だから
ラフに考えてみれば
ラフに生きてみれば
あなたが笑顔になれば
彼も
彼女も
家族も
大切なひとは…
みんな笑顔になるはずだから…。
『ラフに過ごす…』
【BEM】(バースディー・イブ・ミュージック)
【BGM-IN】「ラフ」(たむらぱん)
★あなたが、この世に誕生したことが夢叶だった。
あなたの誕生日には、
どんな夢叶があったのでしょう…。