京都弁混じりの育ちだからゆえに、逆に関西弁で書かれている話が苦手だ。自分のテンポの関西弁で読んでいると齟齬が生じてしまう。それで、数頁読んで放置していたのだけれど、ふと電子書籍版をsiriに朗読させてみたら難なく頁を追えた。つまり他人の話している関西弁に私が文句を付けることは無い、ということで、他人の声で読まれた文章なら苦手ではなかったということ。
主人公の姪「緑子」と生玉子のシーンが良かった。短編小説(しかも芥川賞受賞作)の構造でいうとお手本みたいなものなのだけれど、ちゃんと、良かった。
そして、もうひとつ収録されていた短篇「あなたたちの恋愛は瀕死」がとても面白かった。(女性の?)自意識を書くのが上手いひとなんだなあ、と思う。
単純に、デパートとデパコスを見る女性なんかの描写は、いつも好きだなと思う。前にkindleで読んだ短篇でもそこが良かった。