「私、イビツなの、好きです。好きだと思います」
「だからきみの小説にはクロチネさんしかいないんでしょう」
「そうかも知れません。でもそれが何か欠陥であるか、私は解らないんです」
「歪んでいて?」
「歪んでいて」
「好き?」
「どうして壊れてしまうんでしょう。すごく好きだと思ったのに」
「無意味な反復運動をする癖があるね、きみは」
「それは昔からです。鑢が好きですね」
「鑢で歪にしているのは、可笑しいね」
「結局全ては可笑しいと思うしかないです」
「面白い?」
「いいえ。可笑しい」
幸せみたいなのは分からないけれど、好きと嫌いはあります。
(はてなダイアリーより転載・加筆)
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