VMware Cloud Director(VCD)の小規模なラボ環境を構築します。まずは、基盤となる vSphere、DNS サーバ、VCD の転送サービス ストレージとして利用する NFS サーバを準備します。
前回(全体の流れ)はこちら。
今回の内容です。
今回は、下記の赤枠あたりを準備します。
1. DNS サーバの準備
DNS サーバは、あらかじめ用意してあるものを利用します。今回構築するサーバは、管理ネットワークの A レコードと PTR レコードを登録して、名前解決できるようにしておきます。
分類 | サーバ | FQDN | IP アドレス |
vSphere | vCenter | lab-vc-31.vcd.go-lab.jp | 192.168.30.11 |
vSphere | ESXi | lab-esxi-31.vcd.go-lab.jp | 192.168.30.21 |
NSX-T | NSX Manager | lab-nsx-31.vcd.go-lab.jp | 192.168.30.31 |
NSX-T | NSX Edge | lab-edge-31.vcd.go-lab.jp | 192.168.30.41 |
VCD | VCD Appliance | lab-vcd-31.vcd.go-lab.jp | 192.168.30.61 |
VCD | VCD NFS | lab-vcd-nfs-31.vcd.go-lab.jp | 192.168.30.69 |
ちなみに、今回の DNS サーバは下記のように Photon OS で作成してあります。
2. vSphere の準備
vCenter Server をデプロイして、DRS を有効化した vSphere クラスタを作成してあります。クラスタには、ESXi ホストを登録してあります。
2-1. vCenter Server の準備
今回は、vCenter Server 7.0 U3f を使用しています。
vCenter Server Appliance は、VCD で管理する ESXi に相乗りさせます。
2-2. vSphere クラスタの設定
vSphere クラスタを作成して、DRS を有効化しておきます。これは、リソース プールを作成するために必要です。そして、あとで VCD での管理対象として登録するためのリソース プールを作成しておきます。
- vSphere クラスタ名: lab-cluster-31
- DRS: 有効
- リソース プール名: rp-lab-vcd-01-system
2-3. ESXi の設定
このラボのホストでは、ESXi 7.0 U3f を使用しています。vSphere クラスタには、1台のESXi ホストを追加してあります。
ESXi には、DNS サーバ、NTP サーバのアドレスを設定しておきます。このラボの、DNS サーバと NTP サーバのアドレスは下記です。
- DNS サーバ: 192.168.30.10
- ドメイン: vcd.go-lab.jp
- NTP サーバ: 192.168.30.10
2-4. データストアの準備
データストアと、仮想マシン ストレージ ポリシーを用意しておきます。
2-4-1. データストアの作成
今回のラボでは ESXi ホストが1台のみなので、ローカル データストアを使用します。
ESXi に搭載してある SSD で、VMFS データストアを作成しておきます。
- ストレージ 容量: 1 TB
- タイプ(ファイルシステム): VMFS 6
- データストア名: ds-vmfs-infra-esxi-31
2-4-2. ストレージ プロファイルの作成
VCD では、仮想マシンの配置先をストレージ ポリシーで指定します。そこで、タグ ベースで VMFS データストアを選択して仮想マシンを配置する、ストレージ ポリシーを作成します。
まず、vCenter のカテゴリとタグを作成して、ローカル データストアにタグを割り当てておきます。下記のカテゴリを作成します。
- カテゴリ名: vcd-storage
- オブジェクトあたりのタグ数: 1つのタグ
- 関連付け可能なオブジェクト タイプ: データストア
そして、そのカテゴリを使用するタグを作成します。
- 名前: local-vmfs
- カテゴリ: vcd-storage
このタグは、ローカル データストアに割り当てます。
「タグ ベースの配置ルール」を設定した、仮想マシン ストレージ ポリシーを作成しておきます。
- 仮想マシン ストレージ ポリシー: sp-local-vmfs
- タグ ベースの配置ルールを有効化: 有効
- ルール1: 以下のタグ付をされたストレージを使用
- vcd-storage カテゴリの local-vmfs タグ
2-5. 仮想スイッチの準備
分散仮想スイッチを作成して、ESXi のアップリンクを接続しておきます。そして、使用する分散ポートグループは事前に作成しておきます。
2-5-1. 分散仮想スイッチ(vDS)の作成
NSX-T のインストール準備として、vDS を作成しておきます。
- 仮想スイッチの名前: vds-31
- バージョン: 7.0.3
- MTU: 1600
このラボでは、ESXi の物理 NIC は 1ポートのみ使用します。ESXi を vDS に接続して、物理 NIC(vmnic0)をアップリンク(uplink1)に割り当てます。
2-5-2. 分散ポートグループの作成
外部ネットワーク用の分散ポートグループを作成しておきます。
ポートグループ | VLAN | おもな用途 |
dvpg-vlan-30 | 30 |
|
dvpg-vlan-31 | 31 |
|
dvpg-vlan-35 | 35 |
|
dvpg-edge-trunk | 0-4094 |
|
下記のように、分散ポートグループを作成してあります。
3. NFS サーバの用意
VCD アプライアンスでは、転送サービス ストレージとして NFS サーバが必要です。
今回はラボ構築なので、ストレージ機器ではなく、下記のように VMware Photon OS で構築してあります。
root@lab-vcd-nfs-31 [ ~ ]# cat /etc/photon-release VMware Photon OS 4.0 PHOTON_BUILD_NUMBER=2f5aad892
NFS サーバーのサービスが起動されています。
root@lab-vcd-nfs-31 [ ~ ]# systemctl is-active nfs-server active
NFS として、300 GB程度のボリュームを用意してあります。
root@lab-vcd-nfs-31 [ ~ ]# df -h /nfs/ Filesystem Size Used Avail Use% Mounted on /dev/sdb1 295G 65M 280G 1% /nfs root@lab-vcd-nfs-31 [ ~ ]# cat /etc/exports /nfs *(rw,sync,no_subtree_check,no_root_squash) root@lab-vcd-nfs-31 [ ~ ]# exportfs/nfs <world>
つづく。