人間関係リセット後に襲ってくる「不安」
人間関係リセット症候群の特徴として、突然すべてのつながりを断ち切ることが挙げられる。しかし、リセットした後に「本当にこれで良かったのか?」と不安を感じるケースも少なくないと思う。やはり今までの関係性においても悪いことばかりではなかったという後悔の念もあるだろう。
リセット直後は解放感を覚えるかもしれないが、その後時間が経つにつれて、「ひとりになってしまった」「今後どうやって生きていけばいいのか」といった焦燥感や孤独感が募ることは十分にありえる。
不安感が増す主な要因
① 社会とのつながりを断ったことによる孤独
人間関係をリセットすると、当然ながら周囲とのコミュニケーションが途絶える。その結果、孤独を感じる時間が増え、次第に「自分はひとりぼっちなのでは?」という不安が募ってくる。パートナーがいたり、他にも友人がいればいいのだが、完全な孤独には太刀打ちできない。それに比べてネットでの関係性は希薄だが、ココロはリアルに記憶を保持する。
② 未来への漠然とした不安
「これから新しい人間関係を築くことができるのか?」という疑問や、「次にまたリセットしたくなったらどうしよう」といった将来への不安が生じることがありそうだ。人付き合いに苦手意識を持っている人ほど、新たな関係を築くことに対する恐れが強くなる。
③ 仕事や生活に支障が出る可能性
例えば、職場の人間関係を突然リセットしてしまった場合、仕事上のやりとりが難しくなり、結果的にストレスが増す。ましてや家族や友人との関係を断つことで、いざという時に頼れる相手がいないことに気づき、強い不安を感じることもあるだろう。時間は止まったままでなく、栄枯盛衰。誰もが老化するからだ。
リセット後の不安感を和らげる方法として
① 小さなつながりを持つ
すべてをリセットするのではなく、「本当に信頼できる人」とのつながりを少しでも残しておくことが大切だ。完全に孤独にならず、必要なときに支えとなる関係を確保することで、不安感は軽減する。その小さなつながりを保持する意味でも定期的に会ったほうが気分転換も含めて前向きになる。ココを面倒くさい、と感じてしまった時には実際に会わなくとも電話やメールでもつながりは保持できる。
② 新たな趣味やコミュニティに参加する
リセット後の不安を軽減するためには、新たな環境に身を置くのも一つの方法。趣味のサークルやオンラインのコミュニティなど、気軽に関われる場所を探してみるのも良い。ただメジャーなSNSではなく、セグメントされた世界でやりとりできるようなものがいいと感じる。例えば「30代 映画 コミュニティ」とか、「50代 登山 コミュニティ」とかでググると意外と健全なネットサークルはみつかるもの。
③ 専門家に相談する
少しハードルが高くはなるが、不安感が長期間続く場合は、カウンセラーやメンタルヘルスの専門家に相談するのも効果的だ。自分一人で抱え込まず、適切なアドバイスを受けることで気持ちが整理されることはある。相手は「不安のプロ」だと思って一回だけと決めて行ってみるのもいいだろう。
うつ病の可能性
人間関係リセットと「うつ病」の関連
人間関係リセット症候群は、しばしば深刻な心理的な影響を引き起こす。特に、リセット後に感じる「孤独」や「社会的な疎外感」は、うつ病を引き起こす要因となることがある。人は社会的なつながりがあることで安心感や安定を感じ、心理的なバランスを保っているが、このつながりを突然断つことで、感情的な不安定さが増し、うつ病のリスクが高まるのだ。
うつ病に至る過程
リセット直後は一時的に解放感を感じるかもしれないが、時間が経つにつれて精神的な不調が少しづつ現れてくる多い。特に、リセット後に社会的孤立を感じるようになると、次第に以下のような症状が現れやすくなるという。
① 持続的な悲しみや空虚感
人間関係の断絶によって、以前のように「誰かと話したい」「誰かに頼りたい」という感情がわいてくるのだが、その一方でその欲求が満たされないことから、やがて持続的な悲しみや虚しさを感じるようになる。これが長期間続くと、うつ病の兆候となる可能性が出てくる。
② 自尊心の低下
過去の人間関係のリセットが「自分がうまくいかなかった証拠」だと感じてしまうと、自己評価が低くなり、自己肯定感が失われる。自分に対して否定的な感情が強くなることで、うつ病が進行することがある。
③ 生活意欲の減少
うつ病の特徴的な症状として、興味や楽しみがなくなり、日常生活に対する意欲が失われる。リセット後の孤独感や不安から、外出することや人と会うことに対して嫌悪感を抱くようになると、生活全般に支障をきたしてしまう。仕事上このような方と接する機会は沢山あるのだが、ある程度共通して言われることは、「なんかおかしい」と自分で自分の異常がわかるようなのだ。ため息の頻度や身体的疲労感含めてカラダとココロが重だるくなったら、遠慮せず一回だけメンタルヘルスへ飛び込む方がいい。ただ、薬の服用に関しては慎重に。
うつ病を予防するために
① 生活リズムを整える
とにかく、好きなものを沢山食べて、グッスリ寝る事。その後に基本的な「早寝・早起き」の習慣に変えていくという流れ。そのうえで、リセット後に完全に一人でいることは心の健康に良くないため、少しずつでも信頼できる人との関係を再構築していくことからはじめてみる。無理に大勢とつながろうとせず、あくまでも少人数での交流を大切にするんだ、という意識をもって。少しつっかえたら、また好きなものを食べて寝る事。
② カラダを動かす
ココロを変えよう、とは思わなくていい。まずは日常生活でのちょっとした動きを積極的にやってみる。食欲、睡眠欲は満たされているので、あとは運動。いちいちウェアに着替えなくてもいいので、普段着でサクッと外にでる。近所の公園や遊歩道を20分から30分ただ歩く。ポイントは何も持たない事。特にスマホ。「もし何かあったら困る」などと考えずに手ぶらで周りの風景も一緒に楽しむ気持ちで外に出る。そして、うつ病の予防には、自己肯定感を高めることが必要なので、自分を責めたり、過去の失敗を引きずったりしないように心がけ、前向きな思考で歩く。
③ 書く
なんでもいいので、
書くこと。リセットについても客観的に自分を見つめて語りかけるように書いてみる。でっかい無地のノートに絵でも、詩でも感想でも、日記でも、なんでもいいので書くこと。重要なのは「手書きで書く」ということ。そしてセルフクエッションとして、自分自身に質問しながら書いていくと案外思っても見なかった自分が見えたりして面白い。
ストレスやパニック症の関連
人間関係リセット症候群が引き起こすストレスの増加
人間関係を突然リセットすることで、一時的には解放感を得られるかもしれないが、リセット後に孤独を感じたり、新しい環境に適応するストレスが増すこともある。このような別角度からのストレスが蓄積すると、精神的な不安定さが増し、最悪の場合、パニック症やその他のストレス関連障害を引き起こす可能性も出てくる。
人間関係のリセットは、「問題からの逃避」として行われることが多いため、根本的な解決にならず、時間が経つにつれて新たなストレスが発生することがあるのだ。
ストレスが増大する原因
① 孤独による心理的負担
人は社会的な生き物であり、適度な人間関係があることで安心感を得られる。しかし、人間関係をすべてリセットすると、「誰にも頼れない」「誰も自分のことを理解してくれない」と感じやすくなり、強い孤独感がまたまたストレスとなる。
② 新しい環境への適応負担
リセット後に、新たな人間関係を築こうとした場合、「またうまくやれるのか?」という不安やプレッシャーがかかり、これが更にストレスになり、次第に人付き合いそのものが苦痛になってしまうこともあるから要注意だ。
③ 自己否定の感情
「自分は人間関係を続けることができない」「また同じことを繰り返してしまった」という自己否定の気持ちが強まると、ストレスが増大し、さらに心が不安定になり、負のサイクルへ入ってしまう。この状態が続くと、対人関係への恐怖心が強まり、孤立は益々深まってしまうことになる。
パニック症との関連性
人間関係リセット症候群によるストレスが慢性化すると、パニック症(パニック障害)を引き起こす可能性も出てくる。パニック症とは、突然の強い不安や恐怖を感じ、動悸・息苦しさ・めまいなどの身体的症状を伴う疾患だ。
パニック症の主な症状としては、
- 突然の強い不安感
- 動悸・息切れ
- めまいやふらつき
- 発汗や震え
- 胸の痛みや息苦しさ
- 死の恐怖やコントロールを失う感覚
人間関係リセット症候群の影響で孤独や不安が強まり、慢性的なストレスが続くと、自律神経が乱れ、これらの症状が引き起こされることがある。
ストレスやパニック症を防ぐ方法
① ストレス発散の方法を見つける
人間関係をリセットした後のストレスを和らげるために、自分に合ったリラックス法を見つけることが重要だとよくいわれる。例えば、前述した運動、趣味、瞑想など、心を落ち着かせる活動を習慣化すると、ストレスの蓄積を防ぐことができると。ただ、その反面、ストレスはある程度必要なのでそのストレスを上手く踏み台にすればいい、という意識も大切。ストレスを意識するとろくなことにならない。生きている限りストレスは一緒についてくる。なのでストレスは親友だと思うことも手。
② 一人の時間を楽しむ
先ほど書いた、「書くこと」は一人で誰も居ない空間で行う。リセット後の孤独感を和らげるために、「一人の時間を充実させる」工夫として、完全に一人きりの空間で「書く」こと。そして読書感想や映画感想、カフェ巡り記録など、自分だけの楽しみを持つことで、孤独を前向きに捉えられるようになればしめたもの。
③ 無理のない人間関係を築く
「つまらない」「やだね」「疲れた」などを自然に言える人間関係ほど楽なものはない。人間関係をすべてリセットするのではなく、「自分が安心できる関係」だけを残すということはそんな関係性だと思う。そもそも負担のある交流がおかしいのだ。心がけることは「自然体」ストレスと共存して適度な自然なつながりをゆっくり、まったり作っていけば良いと思う。
まとめ
人間関係リセット症候群として書いてきたのだけれど少し話がズレたかな。このように一時的にストレスを軽減する手段はいろいろとある。それにしても見方を変えれば、リセット後の孤独感や新しい環境への適応負担なんかも振り返ってみれば貴重な学びだったりする。こんなこと書いていいかどうかよくわからないけど、(書いてしまうけどね)心の不調を引き起しても、ストレスが慢性化しても、いいや、と思ってしまうと強くなる。パニック症でもなんでも来やがれ、みたいな。覚悟を決めて自分と向き合うと自然と自分に合ったストレス管理法がみつかるかもしれない。自分の心のケアは自分でしかできないけれど、サプリのように他の人の言葉も栄養になったりするから。