また「追伸」には、大久保から受け取った肖像写真について「醜体」とからかうなど2人の親密さも伺える内容とのことです。おそらく西郷は西洋かぶれした大久保の姿を揶揄したのでしょうが、逆に西郷の肖像写真がない理由もそこからわかります。
西郷隆盛と大久保利通の2人は、ともに薩摩藩出身で生家も近く同じ藩校で学んだ幼馴染でした。
鹿児島にある西郷隆盛像は台座を含めて8mの高さがあり、桜島を見据えるようにして立っています。
一方、大久保利通像は鹿児島中央駅から歩いて数分の甲突川近くの公園にあります。
2人は征韓論などで対立して西郷は政界を去ります。その後不平士族によってリーダーに担ぎ出された西郷は、西南戦争で大久保が指揮する明治政府軍と対決し、敗れて自害します。最後まで西郷の命を助けようとした大久保は、西郷の死を聞いて大変嘆き悲しんだと言われています。
鹿児島に来るとよくわかりますが、薩摩の英雄は圧倒的に西郷隆盛です。
しかしながら大久保利通も近代日本の礎を築いた維新三傑の一人です。金銭に潔白で、公共投資にも私財を投じていたということで、今の政治家とは真逆です。にも関わらず、ドラマなどでは西郷隆盛が英雄視され、大久保利通は悪役的に扱われることが多いのは気の毒です。
この2人で私の記憶に残っているのは、2018年NHK大河ドラマ「西郷どん」の西郷隆盛(鈴木亮平)と大久保利通(永山瑛太)です。とくに西南戦争で死ぬ決意をしている鈴木亮平演じる西郷隆盛と、西郷と戦いながらもどうにかして命を救おうとする大久保利通演じる永山瑛太の2人の演技は見応えがありました。
今回、西郷隆盛が大久保利通に宛てた実物の書簡が発見されたニュースを聞いて、「西郷どん」の2人のそんなシーンが思い出されたのでした。
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