平安神宮の神苑に入ってすぐの場所に置いてある古い京都市電の車両は京都市交通局2号電車で、明治44年製造の現存する日本最古の路面電車です。京都市電北野線が廃止された昭和36年にこの車両も引退し、平安神宮に払い下げられました。

写真でもわかるように、保存場所は屋根付きとはいえ老朽化が激しく、塗装は当時のままで退色が進んでいます。車内には入れませんが、シート生地やつり革も朽ちてボロボロだそうです。それでも2020年には路面電車初の国の重要文化財に指定されています。

平安神宮は今年で創建130年を迎えるということで、市電を現在の庭園内の有料区画から応天門西の無料区画に移設した上で、新たな見学施設を作り、車両も修繕することにしました。そして19日の雪が舞う夜に、車両を新しい設置場所に移動する作業が行われました。下は記事の写真ですが、応天門と古い市電と雪の取り合わせが味わいがあります。

直線距離でわずか80mの移動ながら、通過できない塀や貴重な建築物があるため、大型クレーンで車両を高く吊り上げる大掛かりな引っ越し作業となりました。新聞の写真も、まるで古い京都市電が夜空を飛んでいるかのようなインパクトがありました。(だから記事になったのでしょうね) 古い市電の「下ろしてれ~~」という叫び声が聞こえそうです。

車両の修繕費や見学施設の整備費など、合わせて約2億1400万円かかる見込みだそうで、そのうちの5000万円をクラウドファンディングで集める予定です。
2025年度中の完成をめざすそうですが、朽ち果てる寸前だった最古の市電車両が往時の姿に甦るのが楽しみです。

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