今日はとても美味しいウイスキーのお話です。これはあまり教えたくはないウイスキーの一本なのですが、飲んでいない方には是非とも味わっていただきたい一本です。
そのウイスキーとは、ロイヤルヘリテージ21年です。最近飲んだなかではイチオシのウイスキーです。
ご紹介したからといって、誰でもすぐに手に入る訳ではないのですが、30年くらい昔のウイスキーになります。
その当時の販売時の価格は、4万5000円。結構なお値段だと思います。
でも飲んで見ると酒飲みで良かった、と痛感するくらい美味しいのです。とろけてしまうくらい旨いのです。
最近『沼』という表現をよく耳にしますが、最初は意味が良く分かりませんでした。アニメでもヌマニメーションとか・・・
一旦ハマったらずぶずぶと抜けられなくなり、その世界にどっぷりハマるという事だと思います。
このウイスキーを飲んで、最初に思ったのはまさにこの『沼』という言葉です。
クリーミーで落ち着きのあるしっかりした味わい。最近はシェリー樽の強めのインパクトある甘さや、煙いだけのウイスキーとか・・・バランスを欠いたウイスキーも多く見受けられます。
でも、このウイスキー、21年貯蔵した原酒をブレンドして作った深みなる味わいは、こってりした甘さや、しつこいスモーキーさでは太刀打ちできない旨味があると思います。
飲みだすとまさにこの「沼」にハマってしまいます。ウイスキーブログをしていて、一番うれしく思うのはこのように美味しいウイスキーを手頃な価格で発掘ができ、それをお知らせできることです。
このウイスキーよりさらに美味しいウイスキーは、私がまだ知らないだけで、きっとたくさんあるのだと思います。
人が生きている短い人生の中で、知りうることはほんのわずかです。人との出会いもそうですが、ウイスキーとの出会いも限られたものだと思います。
昔、知人のアニメ業界の人が好きなことを本業にしてしまった悲しみを吐露されていましたが、私も同感だと思います。
ウイスキーに関しては、これを本業にしたいとは全く思いません。
好きだからこそ、絶対に好きなものを飲み、感じたまま発言したい。そしてほんとうに美味しいものを飲みたい。
有名なブロがーの方でも、メーカーや蒸留所の方と付き合い、思うように発言できなくなっている方もたまに見受けられます。
評価がみんなよくなってしまい、差別化ができなくなってしまっているように見えます。
作り手から距離を置くことによって、自分の思いを素直に言えるような立ち位置にいたい。
私は、今の日本のクラフトウイスキーメーカーさんには、厳しいもの言いをしていますが、少なくても真の評価は、あと10年~20年は生き残って、「評価に耐えうる商品を作って欲しい」と思います。
サントリーやニッカが山崎や白州、余市や宮城峡を出すまでにかかった道のりを真摯に受けてめて取り組んで欲しいと思います。
スコッチのこのようなボトルを飲むと12年、21年という年月の偉大さを感じずにはいられません。
日本のウイスキーでもそのような年数表示の商品を出せるメーカーは一握りです。
テクニカルなことをして、熟成を早めるのではなく、時間と戦いながら王道の商品開発をする。ウイスキーにはきっと近道はないのだと思います。
それでも10年以上の時を超え、時を刻むウイスキーを作り続けることが、好みに飽きっぽい日本人に出来るかが試されています。
サントリーでさえ、ウイスキーブームが去った後は大変苦労しています。
今回のウイスキーブームが去ったあとも、今のクラフトウイスキーメーカーの一体何社が生き残っているでしょうか。
お金を出すに値するものを今からしっかりと見極め、「残って欲しいクラフトウイスキーメーカーを選ぶ」ことも、ウイスキー飲みの使命なのかもしれません。
ウイスキーの沼の話からは脱線してしまいましたが、飲み手を沼にはめてくるようなメーカーは、日本ではまだごくわずかしかないと思います。
まずは、国産に限らず、美味しい飽きの来ない、素敵なウイスキーを自分で見つめ、是非ともウイスキーの沼にハマっていただければと思います。