「アッシュウッド コレクション」のナイフに込められたストーリーたち – UPI OUTDOOR
「アッシュウッド コレクション」のナイフに込められたストーリーたち

モーラのナイフの歴史を紡ぐ「4人のAnders」のストーリー

モーラナイフの故郷、スウェーデンのモーラ地方では鉄鉱石や木材などが豊富だったこともあり、モーラナイフが誕生するよりもずっと昔から、400年以上にわたってナイフを作り続けてきました。
このモーラでは、両親や祖父母の名前を受け継ぐことが多く、同じ名前を持つ人が多くいたため、それぞれを呼び分けるために、ルーツとなる人物の職業や先祖の名前、出身地などにちなんだ「ファームネーム」が名前の前に付けられるようになりました。

2023年4月に販売のモーラナイフの新シリーズ「アッシュウッド コレクション」 。その4本のナイフには、モーラの地で、ナイフづくりの歴史に大きな影響を与えた「4人のAnders(アンデシュ)」のファームネームが付けられており、モーラナイフにとって重要な意味を持つこの人物たちへの偉大さや尊敬の念など、特別な想いが込められています。


◯Finn-Anders Andersson (フィン=アンデシュ) 

1870年、モーラ地方のナイフづくりの先駆者で、フィンによってモーラの地に初めてのナイフ工場が設立されました。当時フィンはミシン製造の工場に勤めていましたが、数年後、海外との競争に敗れ、工場が閉鎖したため、ナイフ製造がモーラの工業の第一線となり、成功を収めました。

<フィンの逸話:目を輝かせながら>
1848年、時計職人の家に生まれたフィンは、工学の才能に恵まれており、20代前半にはすでに父の工房でナイフの作り方を習得していましたが、ナイフのブレード材を加工するのに7キロも離れた研ぎ場まで運ぶ必要があり、難儀していました。その姿を見た周りの人々が「そろそろ自転車を買ったらどうだ」と問いかけたところ、フィンは目を輝かせながら「自転車まで一緒に運べないよ」と答えたと言います。

フィン ブラックブレード (S)
キャンプやハイキングなどで活躍、シリーズ最小フルタングナイフ

>詳細を見る


◯Wit-Anders Eriksson (ウィット=アンデシュ) 

ウィットは、モーラにある「Frosts Knivfabrik」で道具職人として日々働いていました。腕の立つ熟練した職人であった彼は、造形のセンスにも秀でており、ナイフのデザインへの関心も高かったことから、後に美しいデザインのナイフの開発にも貢献しました。

<過去の資料より>
“ウィットは20世紀初頭、モーラの町の全世代のナイフ職人に影響を与えた尊敬すべき職人でした。デザインとエンジニアリングに対する彼の稀有な好奇心は、後にカーリーバーチ材を使った美しいハンドメイドナイフのシリーズを生み出すことになります”

ウィット ブラックブレード (S)
サイズ、刃厚、バランスの取れたマルチに活躍するフルタングブッシュクラフトナイフ

>詳細を見る


◯Lok-Anders Mattsson (ルーク=アンデシュ) 

20世紀初頭、ナイフビジネスに希望を求めたもう一人のアンデシュであるルーク=アンデシュは、Krång-Johan Erikssonと共にナイフ工場「Eriksson & Mattsson’s Knivfabrik」を設立しました。ルーク=アンデシュのクリエイティビティとKrång-Johanのビジネスマインドによって、私たちが今日知るモーラナイフの繁栄の礎が創られたのです。

<ある村の記録より>
“ルークはその特殊な技術的才能で伝説的な存在となりました。地元の人々は、彼が工房に向かいながら、その距離を定規を使わず、手尺で測っている姿を見たという。信じられないことですが、彼の計測は驚くほど正確であったとのことで、現在のモーラ地方でも語り草となっています”

ルーク ブラックブレード (S)
シリーズ最大のフルタングモデル。3.2mm厚のタフなブレードを備えたウィルダネスナイフ

>詳細を見る


◯Rombo-Anders Eriksson Storöm (ロンボ=アンデシュ) 

ロンボは、地元でも定評のある靴職人でしたが、のちにバルカンファイバー(原料となる紙を薬品処理することで強度を高めた繊維)を用いた、耐久性のあるナイフシースを作る職人となりました。しかし、成功までの道のりは想像以上に長く、当初はナイフ職人たちから懐疑的な目で見られていました。そののち、この新素材の経済的なメリットが実証され、本格的に普及するようになりました。

<村の資料室から>
モーラのナイフを語る時、熟練の職人ロンボとその革新的な精神に触れずにはいられません。19世紀末のとある昼下がり、彼は息子の新しいおもちゃ箱がバルカンファイバーで作られていることに気がつきました。すぐにその可能性を感じた彼は、箱の一部を切り取ってナイフのシースを作ったのです。彼が息子に新しいものを代わりに買ってあげたかは不明ですが、彼の功績は永遠に生き続けています”

ロンボ ブラックブレード (S)
アウトドアクッキングに特化した、ユニークなフルタングナイフ

>詳細を見る