みたかった映画が、12月に入ると隣の街のミニシアターで上映されることになった。
なんて嬉しい知らせ!
「イル・ポスティーノ」
舞台はイタリアの小さな島。
そこには国を追われた偉大な詩人、「パブロ ネルーダ」が暮らしていた。
その詩人に郵便物を届けていたのが、郵便配達夫のマリオだった。
この美しい映画は、まるで詩のよう。
周りを海に囲まれ、漁師になるよりほかに生きる手立てのない島の生活。
マリオは漁師を嫌って、臨時の郵便配達夫になる。
その仕事の中で、偉大な詩人パブロ ネルーダと知り合い友情をはぐくむ。
パブロネルーダを演じるのは名優フィリップ・ノワレ。
マリオを演じるのは、マッシモ・トロイージ。
マリオはネルーダの詩に感動して、自分自身も詩を書くようになり、
ネルーダに批評を求めたりする。
やがて月日がたち詩人は島を去ることになる。
悲しむマリオは、ネルーダに自作の詩を送り、彼の返事を待つ。
詩人は必ず手紙を書くと約束したが
いつまでたっても彼からの返事は来ない。
愛しいベアトリーチェと結婚して男の子を儲けるマリオだったが、
忘れ去られたと思うマリオは悲嘆にくれる。
しかし、そんな彼に自立の時が訪れ、
日々暮らす緑豊かな島が、どれほど大切な存在だったかを記す
活動を始める。
やがて月日が流れ、詩人はようやく約束を果たすべく島を訪れるが、
マリオはすでに亡くなっていた。
海辺を一人歩きながら、詩人は激しい後悔の念にさいなまれるのだった。
主役のマリオを演じたマッシモ トロイージは
映画クランクアップの12時間後に心臓病で亡くなる。
以前から心臓病を患っていた彼は、
医師から「映画は無理だ。治療が済んでからだ。」と
言われたという。
すでに心臓移植が急務の身体を押して、マッシモ は映画に臨んだ。
そして、撮影チームは、
いつ倒れるかわからない俳優の身体を支え労わりながら、
この映画を完成させた。
監督のM・ラドフォードは、マッシモを見続けながら
涙が止まらなかったと語る。
hibari
2024.11.27