MEMBER'S PHOTO GALLERY~2024.1103-04 西伊豆・大瀬崎海中世界①-Ⅰ
ダイバーが海中世界に普段エントリーするのは昼間。
昼行性の魚達の様々な光景を楽しむ事が出来ますが、海の中で暮らす生き物達の中には夜行性のものも実はとても多く、それらにはデイダイブでは出会う事すら能わないものが多いです。
テンジクダイ科ヒトスジイシモチ属のカスリイシモチ🐟
この魚も夜行性で、昼間は岩の隙間奥深くで暮らしているので、デイダイブではまず滅多に出会えません。
今回はお泊りツアーでナイトダイビングが出来たので、この遭遇にありつけました。
同属のヒトスジイシモチは昼間でも岩の下や亀裂の隙間の目が届く範囲で見られるんですが、カスリイシモチとはそういう遭遇がほぼないので、かなり奥深くで暮らしているんでしょうね。
ヒトスジイシモチは尾柄部の黒斑が体側中央に入る暗色縦帯と同じ高さの尾柄部中央にありますが、このカスリイシモチは暗色縦帯より少し上にズレた位置に黒色斑があります。
同属ユカタイシモチも尾柄部の黒斑が上にズレている等似ている部分が多いですが、そちらはもっと体高が低いテンジクダイです。
この写真を見ても、カスリイシモチの体高の高さがよく分かりますね。
テンジクダイ科魚類にも勿論、昼間でも表に出ている普通種もいますが、この魚に限らず暗くならないと表に出て来てくれない遭遇貴重種が結構多いのもこのグループの特徴の一つです。
今回はそこをテーマの一つに置いて夜の海を潜ったので、色んなテンジクダイ科貴重種と出会えました。
その中でも美麗筆頭だったのがこの魚、テンジクダイ科カクレテンジクダイ属のヨコスジイシモチです🐟
真っ白ボディに黒色横帯2本、尾柄部の斑まで含めて黒白で統一されたお洒落さんで、見蕩れる程の美しさでしたね。
こちらはヤライイシモチ属のリュウキュウヤライイシモチ🐟
幼魚期の個体に見られる尾柄部の黒色帯もすっかり消失した滅茶苦茶大きな個体でした。
一緒に写っているキンセンイシモチ成魚と比較してもその大きさがよく分かりますね。
幼魚であれば死滅シーズンになるとこっちの海でもちょくちょく見られる南方種ですが、こっちの海での成魚遭遇はとても貴重です。
ですが、西伊豆・大瀬崎では越冬個体が繁殖活動までしています。
本当ここはスペシャルな海ですね。
とは言え、表に出ている幼魚とは違い大型成魚は岩の隙間の奥深くで暮らしているようで、昼間には出会えないんですよね。
因みに、この魚にはカスミヤライイシモチというそっくりさんがいますが、そちらであれば体側に複数入る縦帯がもう少し細いです。
昼間でも出会える種との遭遇では、昼間との体色の違い、つまりは夜行色を楽しむ事が出来ます。
スジイシモチ属のアオハナテンジクダイ🐟
全体に透け感のあるピンク色で頭部から腹部が明黄色、それが通常体色なんですが、そこからガラッと変わり、全体に白み掛かっていました。
テンジクダイ科に限らず、夜行色を呈して水底で爆睡する魚とは色々出会えましたよ。
アイゴ科アイゴは夜行色の典型例としてよく挙がる魚ですね🐟
昼間は黄銅色の単色魚ですが、夜行色になるとこんな風に模様が浮かび上がります。
胸鰭後部上方の円形斑が特に目立ちます。
夜行色は魚類に限らず、
テナガエビ科エボシカクレエビ属のキミシグレカクレエビも夜行色になっていました🦐
帯模様以外の部分は透明になっていて、その透明部やハサミ脚に金色のラメが出ているのがとっても綺麗でしたね。
デイダイブでも出会えるものの暗がりになったちょっと見にくい場所での遭遇となってしまう事が多いキンメダイ目イットウダイ科の魚達。
夜になると平然と表に出ているので、実に観察・撮影がし易いんですよね。
アカマツカサ属のナミマツカサと、イットウダイ属のアヤメエビスです🐟
ナミマツカサはずっとアカマツカサと混同されていたものが1996年に新種記載された種なので、未だに知識更新せずアカマツカサと呼んでいるガイドさんも見掛けますが、こっちの海で出会えるのはこのナミマツカサの方。
もし無効分散でアカマツカサがこっちの海で出現すれば大騒ぎです。
アヤメエビスもそっくりさんの多い種ですが、体側の縦帯が背鰭基底後方と臀鰭基底で褐色斑になるのが特徴の魚です。
南方では普通種ながらこっちの海での遭遇はとても少ないのですが、西伊豆・大瀬崎ではもう何年も越冬個体が暮らし続けています。
夜の海で砂地を泳ぎ回っているとちょくちょく目に入って来るのがウミヘビ科の魚達。
今回もモンガラドオシとダイナンウミヘビが砂地から顔を出していました🐟
ウミヘビと名前に付く事で勘違いされがちですが、これらはウナギ目ウミヘビ科というグループの歴とした魚類です。
爬虫類のヘビ亜目に分類されるウミヘビ達は鱗があり、陸でも出会うあの蛇の仲間と同じグループの生物です。
それに対して、ウナギ目に分類されるウミヘビ科の魚達には鱗がありません。
同じウナギ目でもウツボ科の魚達には胸鰭がありませんが、このウミヘビ科の魚達にはちゃんと胸鰭もあります。
軟骨魚類からはエイ区のサカタザメ🐟
サメと名前に付くけれどサメ区の魚ではなく、実はエイ区の魚だという事で知られた魚ですね。
甲殻類からは、
異尾類ヤドカリの仲間から、ソメンヤドカリです。
背負った貝殻にベニヒモイソギンチャクをたっぷり付けた豪勢な個体が元気に歩き回っていました。
こちらはロクセンフエダイの成魚と幼魚🐟
幼魚の方には通常色模様である縦帯に被る形で、白く疎らな斑が入っていますね。
これがこの魚の夜行色になります。
お泊りで海に出向くと楽しみなのが、やっぱりナイトダイビング。
という訳で本日のMEMBER'S PHOTO GALLERYでは、今回の西伊豆・大瀬崎で潜った夜の海での遭遇をまとめてみました。