十脚目からカニの仲間達~モガニ科 イソバナガニ属から3種
サビカラマツの枝上で♀♂で向き合うこのカニは、モガニ科イソバナガニ属のナカザワイソバナガニ🦀
額角が長い手前の個体が♂、短い方は♀です。
普段は枝上ではなくその基部(枝分かれの部分)にしがみ付いている事が多い種なので、もしかしたら求愛行動に向けて動いているシーンだったのかもしれませんね。
結構珍しい光景だったので、とても印象的な遭遇でした。
植物ライクな見た目のこのサビカラマツを初め、ウミカラマツ科の珊瑚の中でも枝分かれが多い種をホストにしています。
ホストに合わせる為体色は様々で、色は特徴になりません。
最大の特徴は長く伸びる額角がやや下向きに長く伸びる事。
額角先端が小さく二叉するのも特徴の一つなのですが、この写真の個体のように付着物で覆われてそこは見えない事も多いです。
甲面の正中線上に淡色の縦帯が入るのはイソバナガニ属全般に見られる傾向ですが、甲面が扁平なのでこの種はそれがよく目立ちます。
こちらは紫色の個体。
ホストのカラマツと色が合っていないので、移ってきたばかりでこれから体色を変えていくのかもしれませんね。
イソバナガニ属と言えば、
いつでも誰でも直ぐに出会える圧倒的普通種がコイツ、イボイソバナガニです🦀
額角が短いのでこの個体は♀ですね。
ナカザワイソバナガニと同じくカラマツに付くカニですが、イボイソバナガニは枝分かれの無いカラマツであるムチカラマツにしがみ付いている種なのでとても簡単に見付かります。
多くのムチカラマツは黄緑色なので、必然的に黄緑色の個体との遭遇が殆どですが、
違う色のムチカラマツを狙えば、当然ながらイボイソバナガニも別のカラーバリエーションが楽しめます。
ムチカラマツなんてうじゃうじゃ生えていてどれを覗けばいいか分からないんじゃないかと思われそうですが、同じムチカラマツでも群生するムチカラマツではなく、1本単独でぴょろんと伸びているようなぼっちのムチカラマツがこの種のお好みなので、当りが付け易く、遭遇は尚更容易なんですよね。
こちらは珍しくオドリカラマツに付いていた個体。
額角がとても長いのでこの個体は♂ですね。
イボイソバナガニはホストのポリプを切り取ってボディに張り付ける習性を持つのですが、ムチカラマツよりもポリプがふさふさしているオドリカラマツなだけに何だかとっても格好良いですね。
普段はスルーする普通種でも、ホストやそこへの擬態の組み合わせによって、途端に目を惹く存在になったりもします。
イソバナガニ属のtheイソバナガニはこちら🦀
前2種と同じく珊瑚に付くカニではありますが、カラマツ類ではなく、ヤギ類(八放サンゴ亜綱ヤギ目)のイソバナという珊瑚の仲間がホストとなります。
艶やかなイソバナに付くので、必然的に鮮紅色の綺麗な個体が多いです。
南方種なのでこっちの海で出会えるのは無効分散で訪れて来てくれた個体のみ。
遭遇はとても珍しいです。
古い図鑑にクモガニ科と書かれている為、それをコピペしただけのネット記事にはしばしばクモガニ科と書かれてしまっているモガニ科のイソバナガニ属、そこから3種を今日は紹介してみました。