イカの産卵
卵特集となると外せないのが丁度これからシーズンインするアオリイカの産卵でしょう。
水温が19℃になると産卵期突入となるので、晩春から初夏がアオリイカの産卵期となります。
TOP写真のように雌雄セットで産卵床に近付いて、♀が卵を産み付けるのを♂がサイドからガードするという神秘的な光景がこれからの時季はがんがん見られますよ。
産みたての卵はまだポコポコしていない一本鞘で表面もツヤツヤしています。
産み付けられた卵は20日程で孵化するのですが、後半になると空豆の鞘みたいにポコポコが並んだ房になり表面もくすんでいきます。
ハッチアウト間近の卵は4~10匹並んだチビイカが中でうごめいているのが見えてとってもキュート。
機が熟した卵鞘(ランショウ)に出会ったら、是非ライトを当てて覗いてみて下さい。
栄養たっぷりの卵の塊が何故外敵に狙われないか不思議に思われる方もきっと多い事でしょう。
卵鞘に棲み付くバクテリアがこれを狙う魚達が嫌う物質を出して遠ざけていると考えられているようです。
イカの仲間の産卵期は種によってそれぞれ違っています。
ヤリイカの産卵期はアオリイカより早い冬から早春の頃なので、その時季になると岩陰等に産み付けられた卵を見掛けるようになります。
ケンサキイカは初夏から晩夏に掛けて広い砂地にポツンポツンと産み付けられるので、スナイソギンチャクを模しているのかなって感じで中々興趣深いです。
岩肌にこんな感じのポコポコが張り付いているのを見掛けた事があるかもしれません。
その時にはきっと、何かの卵かなくらいの感じだった事でしょう。
コイツの正体は、
ナイトダイビングの人気者ミミイカの卵です。
ミミイカの産卵期は初夏から夏に掛けてなので、卵もミミイカ自体も遭遇はこの時季が狙い目となります。
産卵、ハッチアウト、生命誕生の神秘のシーンを目の当りにしたいとなれば、一番のターゲットはやはりスキューバダイビングで一番遭遇機会の多いアオリイカです。
今、正にシーズンイン。
海中世界でイカやその卵鞘が視界に入ったら、そんな期待を込めて是非意識して見てみて下さいね。
をかしだらけの卵ワールド
抱卵育卵って事で言うとパッと浮かぶ、一風変わった習性を持つ興趣深い奴がいます。
秋になるとあちこちで見掛けるようになる擬態魚、カミソリウオです🐟
三匹並ぶ中の一番上のヤツ⇧
これが♀なんですが、この個体、腹鰭が妙にデッカイですよね。
ここをアップにしてみると・・・
お分かりですね。
プツプツ卵がぎゅう詰めになっています。
同じカミソリウオ科で同じく秋になるとよく見掛ける魚、
ニシキフウライウオも、
腹鰭のスケルトン部分にプツプツ卵が透けて見えますね。
同様に卵を抱えています。
トゲウオ目カミソリウオ科の魚達は変形した腹鰭で形成された育児嚢で♀が受精卵を保護するという不思議な習性を持つので、卵の様子を外から見られるというとっても稀有な魚なんです。
魚類の大多数が体内に卵を抱えるので、外からの観察は難しいって事を考えると実に興趣深いですね。
同じトゲウオ目なのに、タツノオトシゴ等のヨウジウオ科の奴らは♀が産んだ卵を♂が育児嚢で保護するので、まるで真逆。
とは言え、育児嚢で受精卵保護をするという点では一緒。
うーん、進化の過程ってホント❝いとをかし❞ですね✨
抱卵育卵ではないですが、海中世界で見掛ける興趣深い卵と言えば、やっぱりコレ⇩
ヘンテコな形状のこの二つ。
こう見えてどちらも同じ科の魚の卵なんですが、それぞれ何の卵かお分かりです?
答はコチラ⇩
ネコザメとナヌカザメです🐟
知らないで出会すと「なんじゃこりゃ⁉」ってなる一見卵とは思えない不可思議なこのフォルム、実に興趣深いですね。
生物界の生命の神秘、その始まりとも言える卵遭遇、海中世界はいとをかしき光景でイッパイです。
クマノミに出会ったら・・・
イソギンチャクにクマノミ。
その愛らしさで人気の光景ですが、ある程度潜り込んだダイバーになると視界に入ってもスルーって方も多いんじゃないでしょうか。
ですが・・・
こんな光景に遭遇したら、一々膝を突かなくとも泳ぎながらで充分なので、ちょっと意識の向かう先を変えてみて下さい。
岩の上にオレンジの絨毯が敷かれたみたいになっているところがありますよね。
コレ、クマノミの卵だ!ってきっと気付く筈です。
クマノミの育卵光景🐟
ただ視界に入れただけだと岩の一部がオレンジ色になっているだけで特段感じるところはきっと無いでしょう。
ですが、知識の土台があった上でクマノミが棲むイソギンチャク周りでオレンジの部分が目に入ったら・・・
ちょっと意識しただけで、その部分がオレンジの粒々が集まって出来ているって事を認識するに至るでしょう。
因みにハッチアウト(孵化)間近になると発眼(卵の中で稚魚の眼が出来上がる事)状態になるので、
黒目が一杯並ぶ事で、卵絨毯は黒み掛かった色に変わっていきます。
スズメダイ科の魚達はいずれも似たような生態を持っています。
セダカスズメダイの育卵光景(グレーの粒々は先に産んだ卵、黄緑の粒々はまだ新しい後から産んだ卵)🐟
この仲間の魚達は、育卵期間に入るとダイバーが近付いてもテコでもそこを動かず卵を守り続けます。
なので、「何だかこの魚この場所から離れようとしないなぁ」そんな違和感をそのたたずまいに感じたら、チャンス到来!
この時ばかりはフィンキックを止め、ちょっと意識して見てみて下さい。
パタパタと胸鰭で水をあおぎ、卵に酸素を送り続ける育卵光景その仕種はとっても微笑ましく、一見の価値あり。
それと認識して見た記憶がまだ無い方には、是非見て頂きたいシーンですね。
あ、最後に・・・
因みになんですが、この卵のハッチアウト光景に遭遇したければ・・・
これも実は狙えるんです。
ハッチアウトは夜🌙
そう、ナイトダイビングです👍
いとおかしき生態~育卵光景
ネンブツダイのドアップ正面顔です。
ポカンと開いた口の中をよく見ると、薄い桃橙色のプチプチが一杯に詰まっているのが見えますよね。
このネンブツダイという魚、マウスブルーダー(口内保育する魚)なんです🐟
なので、御馳走の卵を頬張って食事中かのように見えるこの写真、実はネンブツダイの♂が口の中で一所懸命卵を保護しているいとをかしき光景なんです。
こんなに口の中がパンパンじゃ、この期間どうやって御飯を食べるのか、気になりますよね。
実はネンブツダイの♂は卵が孵化するまでの一週間、何にも食べずただひたすら卵を守り続けるんです。
健気ですねぇ。
因みに、♂が食事も摂らず健気に頑張っている間、♀はどうしていると思います?
調べてみたらなんと・・・
産卵したら直ぐこの♂との関係を解消し、たちまち別の♂とまた産卵行動に入るんだそうです。
ネンブツダイと言えば、いつも番(ツガイ)で並んでいる仲睦まじい魚ってイメージでしたが、これはとんだ番狂わせですね 💦
この口内育卵はネンブツダイが含まれるテンジクダイ科の魚達全般に見られる生態です。
咥え切れずに口許から卵を食み出させているオオスジイシモチ🐟
種によって違う産卵時季や時間もそれぞれに分かっているので、♀が産卵した卵を♂がそのままパクっと咥える決定的産卵シーンも意外と狙って遭遇出来るんですよ。
イソギンポ、ホシギンポ等のギンポの仲間は住処の周壁に卵を産み付けて孵化まで見守り続けます🐟
こんな風に穴から顔を出している魚と出会った事はある。
けど、その卵はまだ見た事がない。
って方、結構いらっしゃるんじゃないでしょうか?
もしかしたらその時・・・
認識出来ていなかったっていうだけで、自身のその瞳孔はさり気にちゃんと卵を映していたかもしれませんよ。
この辺の知識の土台が自身の中にありさえすれば、そこに意識が向き、こういういとをかしき光景をしっかり認識するに至れていたのかもしれませんね👆
次もしこういうシチュエーションと遭遇したら、ちょっと期待しながら、意識して覗いてみて下さいね。
2022.0424~西伊豆・大瀬崎、岬の先端の海中世界報告
早速届いた❝海のおかし屋さんMEMBER’S PHOTO❞で日曜日の海中世界報告をさせて頂きますね。
水温は高い所と低い所で3℃の差があり17~20℃。
浅場のカギケノリエリアはキンギョハナダイでイッパイ🐟
深度を落とした先ではぐっちゃりと群れるナガハナダイ群🐟
今回のナガハナダイ群は矢鱈と活性が高く、この上なく美しかったですね。
流れは殆ど無かったものの潮向きが良く、
ハナダイに塗れながらのコーラルダイブ、とっても心地好かったですね✨
イトヒキコハクハナダイ、トウカイスズメダイ🐟
前回視界には入れながらしっかり認識出来なかったこの美しい二種。
色、形、環境等の知識の土台が生まれた事で、認識リベンジにも成功したようですね☝
❝海のをかし屋さんMEMBER’S PHOTO❞が届く度毎に、御参加下さった皆さんの視界がそのDIVEでどんな光景を捉えたか、これからはそんな紹介をさせて頂こうと思います。
蛸壺の中身は・・・
蛸壺の中のマダコ🐙
ダイバーならずとも馴染みの深い生き物なので、遭遇時には誰もが「お!タコ!!」ってなる人気者です。
ですが・・・
あ、タコがいた。
このシーンに遭遇し、それで認識が終わってしまうと、そのまま通り過ぎる事になってしまいちょっと勿体ない。
これはそういう光景です。
よーく、見て下さい。
上から房のようなものがぶら下がっていませんか?
この部分です。
お分かりですね!
そう、実はコレ、マダコの抱卵シーンなんです。
しかも、房の中にチビダコがズラッと並ぶハッチアウト間近卵っていう、とってもいとをかしきシーンなんですよね。
昨日開催されたツアーの中で遭遇した光景なんですが、産みたてだとチビダコは並んでいないし、もうちょっと経っちゃうとハッチアウトして卵はなくなっちゃいますし、自分が海に入った日とこのタイミングが被らなければ遭遇出来ないとってもLUCKYな遭遇です🎵
神秘的ですねぇ✨
貴重な生態シーンと遭遇出来た昨日のツアー、その詳細報告はまた後日させて頂きますね。
魚達のお食事シーン
結構衝撃的なTOP写真。
オキエソがカワハギを丸呑みにして平らげるシーンです。
ダイバーになって海中世界に飛び込む醍醐味の一つに生態シーンとの遭遇があります。
特にこういった捕食シーンは弱肉強食の自然の摂理を垣間見られるっていうのもあって、遭遇時のテンションUP具合はどうしたって半端ないですね。
この時も、オキエソに頭から咥えられた事により、エラが塞がれ呼吸が出来なくなって身をくねらせてもがき苦しむカワハギの断末魔の叫びが聞こえるようでした。
もう一枚は同じエソ科のアカエソがクロホシイシモチを丸呑みにしたシーン。
エソ科の魚達は海中世界で捕食シーンをしばしば見させてくれるエース級ハンターの代表格です。
マハタの幼魚も頭から丸呑み、尾鰭だけがまだ口から食み出していますね。
お腹のぽっこりなっている辺りにまで頭はいっているのでしょうか、そこから推測すると自身の体長の半分以上もある魚を丸呑みにしているって事になりますね。
マハタは成長すると深海に行って数メートルの巨大魚になる魚らしいですが、幼魚期のこんな大食漢っぷりを見ると何だかそれも納得ですね。
カサゴがレア魚セグロイトベラをバクッ。
レア魚遭遇でオッと思った瞬間の出来事で、一瞬はあぁあって感じにもなりましたが、やはり捕食シーン遭遇の感動の方がすぐさま勝りましたね。
カサゴがカサゴを丸吞みで平らげている⁉
いいえ、これはそうではなく、カサゴの♂同士の闘争シーン。
捕食とはまた別のいとをかしき生態シーンです。
ここまでド迫力のものばかりではなく、もうちょっと穏やかな感じで眺めていられる摂食シーンも海中世界には勿論あります。
ホタテウミヘビは口から顔を砂地にねじ込んで、砂中で暮らす甲殻類や多毛類をムシャムシャと食べるシーンを見させてくれます。
好物のハネウミヒドラの群生を見付けたソウシハギ達はダイバーに寄られてもお構いなしにパクパクパクパク。
あまり群れで遭遇するタイプの魚ではないソウシハギですが、この時は五匹が一所に群がるという中々珍しい光景に出会せてとってもラッキーでした。
『捕食』。
ダイバーなればこその遭遇と言える生態シーンの中でも取り分け人気の高い興趣深い光景。
瞬間で繰り広げらるものというその性質上、まだ視野を広く取れない内のダイバーはその遭遇率を中々上げられません。
「あ、生き物いた」でセンサーを途切れさせる事なく、その後起こり得る状況を想定してその動向から目を逸らさない。
そんな意識を常々抱きながら、広い視野で海中世界を泳いでみて下さいね。
ナイトダイビング~軟体類~
ナイトダイビングの魅力を語る中、欠かせないと言えばやはり様々な軟体動物達でしょう。
TOP写真はアオリイカの夜の姿なんですが、日中よく見掛ける姿とは随分違いますよね🦑
よく知れた名前ながらダイビングでは出会わないなっていうイカが色々といますよね。
ケンサキイカ、スルメイカ🦑
こういう奴らとも夜の海でならば出会う事が出来るんですよね。
イカを語るであれば次に登場するのはやっぱりコイツ、タコですよね。
サメハダテナガダコ、マメダコ🐙
タコの仲間はいずれも夜行性なので、穴ぐらや砂中から全身を出し体色を変化させ8本の腕を縦横無尽に動かしながら動き回る姿と遭遇出来ます。
貝の仲間も軟体類ですよね。
夜の砂地のあちこちで殻の綺麗なウラシマガイが這い回る姿を見掛けますが、奴らは捕食の為に砂中から出て来ているのでそのディナータイムシーンにもちょくちょく出会せます🐚
食われているのは大概こちらも夜行性のブンブク(ウニの仲間)です。
「飛ばぬなら飛ばせてみせようツキヒガイ」で有名なホタテに近い種の二枚貝ツキヒガイもナイトダイビングを盛り上げてくれる興趣深い奴です🐚
お泊りで海に赴いた時にしか基本出来ないものながら、その分潜っても潜ってもまだ見ぬいとをかしき光景が尽きる事がない、それがナイトダイビングです。
西伊豆・田子~レアモノポイント~
西伊豆・田子でダイビング🌊
そうなると、やっぱり最強ポイント沖の浮島根を潮が掛かる中で潜る!というのが問答無用の鉄板コース、これは間違いありません。
ですが・・・
他ポイントではそう出会えない珍しい生物との遭遇率が矢鱈と高い、一風変わった興趣深いポイントがこの海には実はあるんですよね。
TOP写真のソフトコーラル群を始めとして、
ヒメエダミドリイシからクシハダミドリイシ等のテーブル珊瑚まで、伊豆では珍しいハードコーラルが水底一面を覆う光景が広がるポイント白崎です🌊
南方域の珊瑚が普通に繫殖しているだけあって、
ヒレナガスズメダイ、ブチブダイ、ニシキブダイ🐟
潮流に乗って様々な南方種がここには流れ着き、そして居着きます。
行く度毎に違う顔ぶれがその枝間から姿を見せてくれるので、のんびりポイントながらそのワクワク感はかなりのものです。
サンゴエリア以外でも興趣深い出会いは色々とあり、
珍しいコジカイソハゼ(古い図鑑ではイソハゼsp‐4で紹介)がここではレギュラー🐟
半島北部には余り顔を出さないウミウサギもここにはゴロゴロいて産卵シーンまで見させてくれます🐚
ノミノクチ、スジアラ等、遭遇機会の少ないある程度型のあるレアモノにもここでは結構な頻度で遭遇し得ます。
そしてもう一つ、白崎から一つ沖側に出た近場ポイントの弁天島も絶好のレアモノポイント🌊
特筆すべきは浅場に点在するコユビミドリイシ等のハードコーラルの枝間。
ザクザクのフタスジリュウキュウスズメダイにホシゴンベ、そしてセダカギンポ🐟
定番死滅からレア死滅まで、シーズンになるととっても賑やかです。
砂地では人気の共生ハゼ等も見られるのですが、
岩陰に潜むマルスズメダイを覗いた後に中層を泳ぎ出すと、クロユリハゼ群の中にホカケハナダイが混泳しているところに出会してビックリ、等とにかくサプライズの多い海です🐟
西伊豆随一のボートダイビングポイント田子🌊
これから更に潜り込んでいとをかしき光景にイッパイ感動していきたい、そんなポイントなので皆さん是非御一緒しましょうね。
西伊豆・田子~沖の浮島根~
群れ、コーラル、ハナダイ。
伊豆のダイビングの楽しさを語るにおいて欠かせないこの三大要素を全て兼ね備えたボートダイビングポイントが西伊豆・田子にあります。
それがこの沖の浮島根です🌊
ダイナミックにそびえ立つ根にはいつ潜ってもキンギョハナダイがぐっちゃり群れていて、オーバーではなく「ここはオレンジ色の根か⁉」と見紛う程です。
潮通しが良く、そもそもが魚影の濃いポイントなので、
イサキ、タカベ、スズメダイ等のプランクトンイーターで中層はいつだって賑やかです。
そうなると当然、それらを狙って飛び込んで来る、
回遊魚の群れも充分に期待出来ます。
深度を落として行くと、
色とりどりの珊瑚が繁茂するエリアが始まるので心地好くコーラルダイブが楽しめます。
Sacura margaritaceaと学名の中に日本語で❝桜❞と入る人気魚サクラダイが大きなコロニーを作るエリアは正しくとっておきの場所。
コーラルエリアで舞うここのサクラダイ群は本当に美しいです。
ここではカシワハナダイ♂位であれば最早普通種、
フタイロハナゴイは勿論、アカボシハナゴイも!
深場には未知の部分も多いので、更に潜り込んでいけばきっと色んなレアハナダイと遭遇していけるでしょう。
西伊豆随一のいとをかしきボートポイント、田子・沖の浮島根🌊
こうして綴っているだけで、潜りたくてウズウズしてきちゃいます。
ナイトダイビング~魚類・甲殻類~
ほぼ全てのダイバーにとってダイブキャリアの大半はデイダイブ。
ですが、機会を作らなければ中々出来ないナイトダイブの面白さは周知のところですよね。
普段からよく見慣れた魚が夜闇の中では同じ魚とは思えない程に様相を変えていて驚かされます。
細長ボディでデイダイブでも存在感を発揮するアオヤガラはその代表格で、夜の海で出会すと縞々模様の夜行色で佇む姿を見させてくれます🐟
特徴的な大きな胸鰭と背鰭の眼状斑がよく目立つハチ🐟
サカナウミヒドラというやがてクラゲとなって遊離する無脊椎動物を全身に張り付ける姿がまるで蓑でもまとっているかのようで愛らしい夜行性の魚ヤセオコゼ🐟
これらはナイトダイビングならではの遭遇です。
このように昼間のダイブでも見掛ける生物の夜の生活を垣間見たり、そもそも夜行性で昼のダイビングでは遭遇し得ない生物に出くわせたり、昼と夜では海中世界は全くの別物です。
その興趣深さは魚類に留まるものではありません。
日中幾らでも見掛ける縞模様のムチカラマツエビは夜行色だとスケルトンボディにキンキラのラメ入りでとっても綺麗🦐
対してロウソクエビは日中は砂の中に潜っているので、頭を下にして逆立ちしながらクルクル回る興趣深い姿は夜にしか見られません🦐
同じく甲殻類では、
昼間は穴の隙間でじっとしているところを覗ける位のベニツケガニですが、ナイトダイビングでは穴から出て来て大好物のガンガゼをハサミでバリバリと棘を落としながら食する姿を見られたりします🦀
テナガコブシガニ🦀
興趣深い形状で人気のコブシガニの仲間達もロウソクエビ同様日中は砂の中で暮らしているので、ナイトダイビングでしか出会えないですね。
移動性の珊瑚の仲間であるウミサボテンやウミエラも、夜になると砂の中から出て来て元気一杯ポリプを伸ばす姿を見せてくれます。
それに出会せば、
覗き込むと結構な確率で、異尾類のウミシャボテンカニダマシやウミエラカニダマシと遭遇出来ます。
ナイトダイビングは夜の海という特性上、出来る状況が限られるのでどうしても、デイダイブ程には容易く経験を増やしていく事が出来ません。
だからこそ、その機会が作れた暁に重ねる貴重な一本一本を思いっ切り満喫、堪能して下さいね。
大瀬崎・岬の先端~レアハナダイ遭遇への道~
ただ潜るだけで美しく心地好い岬の先端の海中世界。
そこに更にワクワク感を添えてくれるのが幾種ものレアハナダイの存在です。
キンギョハナダイ、アカオビハナダイ、ナガハナダイ、サクラダイ🐟
そういった普通種ハナダイが物凄い数で群れる姿を視界に入れ、その視界の中から混泳するレアハナダイの存在を認識する、その二段階の処理の先でレアハナダイ遭遇は果たされます。
陸の生活の中では❝見る=視界に入れる❞なのでその感覚をスライドさせるのは中々難度の高いスキルとなりますが、❝先ず見る→その次に認識という脳内処理をする=そこで初めて遭遇❞となるのです。
では、この過程を解り易くする為に、マクロモードでの個体写真ではなく、ワイドモードで景色ごと撮った岬の先端海中世界の写真で見ていきたいと思います。
カワリハナダイ、シキシマハナダイ🐟
アカイサキ、アカボシハナゴイ🐟
当然ですが、実際はこのフレームよりずっと広い範囲を瞳孔は映しています。
コロニー単位で混泳するアサヒハナゴイ🐟
混泳とは言え混ざる個体数が多い分、視界に入ってしまえば認識率はかなり高くなりますね。
ミナミハナダイはそれ自体で大きなコロニーを作っているので、瞬時に認識出来る位このボディラインを熟知してしまえば認識自体そう難しくはないですが、そのスキルの習得以前だと、この群れに遭遇するまでに潜り抜けてきたナガハナダイの群れとの違いに気付かず、これもナガハナダイって感じで案外スルーしてしまうものだったりもします🐟
そうやってスキルを磨いていきさえすれば、
シロオビハナダイ婚姻色、イトヒキコハクハナダイ成魚🐟
これらの人気者との遭遇も岬の先端でならば充分期待出来ます。
レアハナダイ=ディープエリアと思いがちですが、
ホカケハナダイはポロっと浅場にまで上がってきて、暫く間居着いてくれる事もあります。
そこにいさえすれば見られる、って程には意外と容易くないレアモノ遭遇。
だからこそ、そういった事を意識しながら重ねる経験が活きてくるんですね。
これが必須ってスキルではないからこそおざなりにされがちの視点ですが、どうせ楽しむならその幅を拡げた方が折角ならお得かも、って位の軽い気持ちで皆さんもちょっと意識してみて下さいね。
2022.04.16~ 西伊豆・大瀬崎海中世界報告
大瀬崎で潜ってきました🌊
前日透視度1~8m、その上南海上を通過した台風から寄せてきたウネリが残る可能性もある状況。
その辺の情報を鑑みてバッドコンディションに備えたブリーフィングをした後にエントリーした海中世界は・・・
良い方に予想を覆し真っ青✨
コンピューターに表示される水温は18~19℃、黒潮です!
ゴロタ際のクロホシイシモチ群、水面下のツバメウオ、のんびりと眺めているだけで心地好い最高の海でした🎵
ケラマハナダイ混じりのアカオビハナダイのコロニーを見たり、何度も越冬し成魚模様がほんのり出始めるまでに成長した南方種アザハタに遭遇したり、前浜で慣らしがてらののんびりDIVE。
2nd、3rdダイブは岬の先端🌊
ソラスズメダイ、キンギョハナダイが群れる浅場はマメダワラ、カギケノリ等の海藻が繫茂する季節ならではの光景になっていてとても綺麗。
深場へと深度を落としていくと、
よく育ったソフトコーラル群といつもながら美しく群れるナガハナダイ群。
毎度の事ながら岬の先端のこの光景、本当に素晴らしい✨
ディープエリアではスジチガイの異名で知られるイトヒキコハクハナダイや愛らしいトウカイスズメダイ等に出会えました🐟
深度復帰しながらもムナテンベラ、ウスバハギ等様々な魚達と遭遇出来ました🐟
ダイバーでいられる幸せを実感出来る最高の海で、素敵なダイブ仲間とよく遊びよく学ぶ事が出来ました✨
御参加下さった皆さん、有難うございました😄
大瀬崎・岬の先端~レアハナダイ~
大瀬崎・岬の先端で潜るようになると、それまで他ポイントでは名前を聞く事もなかった魚達と様々遭遇するようになります。
その最たるものがレアハナダイ、美しい体色や鰭で人気の高いハナダイ達の中でも更に遭遇率の低い魚達です。
ベニハナダイ♂🐟
サクラダイ、ナガハナダイ等の普通種の中に混泳するところで出会すのがレアハナダイ遭遇の王道となります。
因みに今回のTOP写真にあるのが同じベニハナダイの♀。
雌性先熟といって♀が♂に性転換するといういとをかしき生態を持つハナダイの仲間達。
別種としか思えない程に体色差のある雌雄を同時に楽しめるのもその魅力の一つです。
ケラマハナダイの♂と♀🐟
南方域では普通種のケラマハナダイもこちらの海ではレアハナダイ。
ですが、岬の先端ではこういう魚が普通にコロニーを作っていて、潜れば遭遇を楽しめてしまいます。
フタイロハナゴイ、スミレナガハナダイ等の南方種もこちらの海ではレアハナダイ🐟
ですが、岬の先端海中世界においてはこの辺の種があちこちで見掛けられます。
更に遭遇率の低いレアハナダイがこの海には色々といて、沢山潜る中でポロっと出会せてしまう事が間々あります。
次はどんな希少種に出会えてしまうのか、そんなわくわく感を抱えて潜る海中世界は最高です。
伊豆海洋公園~コーラルDIVE~
伊豆海洋公園海中世界へのエントリー口は一つしかありません。
ですが・・・
そこから何処に向けて泳ぎ出すかでそのDIVEでの遭遇はがらりと変わります。
二の根、三の根、四の根、五番、ブリ待ちetc…
窒息コントロール、泳力、エア持ち、バディシステム、これら全ての技量が足りた時初めて見られる光景がそこにはあります。
次はどう潜ろう、何処へ泳ごう、そんな事を考えるだけでわくわくしてしまう非常に興趣深いポイントなのです。
伊豆海洋公園の醍醐味でもあるディープエリアへと向けて移動する光景。
移動中も回遊魚の群れに巻かれたり、アオウミガメと並走したりと様々なサプライズが起こり得ます。
辿り着いた先は絶好のコーラルDIVEエリア。
よく育ったトサカがあちこちに点在し海中世界を美しく彩ります。
リュウコツハネウチワやその仲間の珊瑚の多さがここの深場ならではの光景でもあります。
コーラルエリアはイコールハナダイエリアでもあるので、珊瑚が咲き誇るワイドの光景には常に彩りが添えられ、心地好い事この上ない水中時間を楽しめます。
このエリアを潜られる際には是非、そんな事を意識しながら視界を取ってみて下さいね。
大瀬崎・岬の先端~ハナダイのコロニー~
岬の先端ディープエリアは基本的に砂地で構成された海中地形なのですが、そこには水深10m前後から深場へ向けて丈の低い生え根が幾つも伸びています。
このそれぞれの根が深場ならではの美しい魚達の住処となっている事が、ここを潜るダイバーにアメージングな遭遇をもたらしてくれる要因となっているのです。
これらの根の浅い深度域はいずれもキンギョハナダイが群れているのですが、そのラインを超えると矢庭にキンギョハナダイは姿を消し、ある魚の群れが視界を覆います。
それがこのナガハナダイ群です。
岬の先端ディープエリアをナガハナダイ群が埋め尽くす光景は本当に圧巻の一言に尽きます。
塩分濃度、水温等の要素やその日の潮の種類、掛かり具合により、群れの濃さや高さ、動き等の活性が変わってくるので、そのダイブでどの根を選んで降りていくかもとても重要になってきます。
ナガハナダイのコロニーと隣接する形でアカオビハナダイ、サクラダイもしっかりとコロニーを形成しています。
根によりですが、全体的にはアカオビハナダイの方がサクラダイより上にいて、がっつり深度を落とした先のサクラダイ♀の群れは混泳レアハナダイ遭遇の宝庫となっています。
ミナミハナダイがでっかいコロニーを作るミナミの根、伊豆では珍しいアサヒハナゴイがコロニーを成すアサヒの根等、そこに棲み付いたハナダイの名を借りて根の呼称にしていたりもする程、ここのハナダイはしっかりと根に定着しています。
まだ潜った事のない方は勿論、既にここを潜った事のあるダイバーの方にとっても、視界を大きく取る事で、そして視点を変える事で、まだ見ぬ光景との遭遇を無限に拡げていく事が出来るいとをかしきダイビングポイント、それこそが大瀬崎・岬の先端なのです。
大瀬崎・岬の先端~コーラルDIVE~
エントリーして直ぐの浅場から賑やかな魚影でダイバーを楽しませてくれる西伊豆・大瀬崎にあるダイビングポイント❝岬の先端❞。
その魚影と彩りは圧巻で、浅場で潜っていても余りに心地好くて「あぁ、これだけで充分」と思ってしまうレベルのものです。
ですが・・・
❝岬の先端❞がいかに興趣深いポイントかを語るにおいて欠かせないのはむしろそこではなく、そこから深度を下げていった先に広がるディープダイビングエリアである事に、充分に腕を磨き好奇心を少しまた少し掘り下げながら潜れるようになったダイバーであれば直ぐに気付きます。
よく育った美しいソフトコーラルが所狭しと繫茂するその様は正に絶景。
伊豆随一のコーラルDIVEポイントと言っても過言ではない光景がそこには広がります。
更にそのコーラル群に、
華麗に舞うハナダイ達が絡む光景は目を見張る程の美しさです。
浅場から中深度域まで続くキンギョハナダイが群れるライン、そこから更に深度を落としていくと、
ナガハナダイ、サクラダイのコロニーが視界を覆うエリアに。
❝岬の先端❞
その奥深さに一度惹かれたダイバーは、ここばかりを何度も何度も潜り込んでしまうという不思議な魅力を持ったポイントですが、いとをかしき遭遇に溢れるこの深度域の海中世界こそが、この岬の先端の真髄と言えるでしょう。
次回はそのエリアにスポットを当てて綴ってみたいと思います。
東伊豆・伊豆海洋公園~浅場~
相模灘に臨む城ヶ崎海岸、その一角にあるビーチダイビングポイント伊豆海洋公園を今日は紹介してみたいと思います。
ここは外洋に面する上に流れ込む川もないポイントなので、年間を通して見ると他のビーチダイビングポイントよりもスコンと青く抜ける日の率はかなり高くなります。
魚影も濃いポイントなので、
よく晴れた日には水面から射し込む光の中で密度の濃い群れに塗れて遊ぶというシャローダイビングならではの楽しみも存分に満喫出来ます。
遥か昔にあった大室山の大噴火の際に溶岩流が相模灘に流れ込み、それが冷えて固まった事で出来たここの地形は独特で、柱状節理の岩肌を眺めながら海中世界を飛び回る事が出来る楽しみも、この海の興趣深さを語るにおいて欠かせないファクターですね。
ちょっと泳ぐとすぐそこにある近場の根は一の根と呼ばれますが、その根周りで遊ぶだけでも楽しみは尽きません。
とは言え,、伊豆海洋公園の最大の魅力は何と言ってもちょっと泳いだ先にあるディープダイビングエリアでしょう。
ディープダイビングをするとなると必ずや付き物となるダイビング後半の減圧エリアとしても重宝するオクリダシと呼ばれるエリアは、イグジット口の直ぐ傍にある上に、
季節来遊魚を始めとした興趣深い生物達が色々と見られる為、潜水時間の最初から最後、エントリーからイグジットまでフルに楽しむ事が出来ます。
また後日のブログの中で、この海で遭遇した様々な生物達も色々と紹介させて頂きますね。
大瀬崎・岬の先端~浅場~
日本で一番深い湾である駿河湾に突き出した大瀬岬の先っちょ。
そこが潜水地として開かれている事により、欧米ダイバーが言うところの『コーナー』と呼ばれる地形におけるそれとよく似た潮流がもたらす濃い魚影の中で通年潜る事が出来るスーパーポイント、それが西伊豆・大瀬崎にあるダイビングポイント❝岬の先端❞です。
ビーチからエントリーし、
フラットな棚上を泳いで際に出ると、
早速お出迎えしてくれるのがソラスズメダイのブルーとキンギョハナダイのオレンジ、そのツートンの世界です。
中層に出ると直ぐ型の良いメジナが群れ、キビナゴを始めとした銀鱗系の群れはほぼほぼ某かいます。
斜面ではキンギョハナダイ、イトヒキベラが雌雄で大きなコロニーを作っているので、少し降りただけのシャローダイビングで群れに巻かれながら求愛シーンを楽しんだりも出来るんですよ。
という訳で・・・
始まったばかりの海のをかし屋さんブログ。
ここから暫くはホームグラウンド紹介を綴ってみたいと思います。
こんにちは、❝海のをかし屋さん❞です😄
魚や珊瑚等の生物、
生態行動シーンやダイナミックなランドフォーム、
ダイバーがエントリーする海中世界にはいとおかしき光景がイッパイです。
伊豆、房総、東京都の島々・・・首都圏から気軽に行ける距離にある海中世界🌊
そこに散りばめられたいとをかしきもの達をイッパイ集めるようにして遊ぶのがscuba diving pro shop❝海のをかし屋さん❞です。
スキューバダイビングの魅力は文章や写真ではとても表現しきれませんが、このブログではその触りを紹介していけたらなと思います。
海中世界に興味のある方、これからもっともっと楽しみを掘り下げていきたいダイバーの方、そんな皆さんが陸上時間に頭の中でダイビングが出来るような空間を、そんな思いで綴る❝海のをかし屋さん❞のブログ、お付き合い頂けると幸いです。