ガス給湯器の種類
一口に給湯器と言っても、多くの種類があり機能やシステムが異なります。それぞれの特長を押さえて、使い方や環境、ニーズに合ったものを選ぶことが大切です。まずは基本的な給湯器の分類について解説します。
1.【機能別】ガス給湯器の種類
ガス給湯器とは、ガスを熱源にして水の温度を高くする機器です。お湯を使う際に、配管の中を流れる水をバーナーで加熱して供給するというシンプルな仕組みが採用されているため、お湯が必要な時に必要な量を使えるというメリットがあります。ポピュラーなタイプで、1台の給湯器で浴室、キッチン、洗面所など家中の給湯をまかなっているのが一般的です。
ガス給湯器は省スペースで導入コストも低くできますが、ガスの消費量が多くなる点と水温が低い季節や地域では、バーナーによる加熱に時間がかかる点がデメリットです。また、ガス給湯器の中にも機能によっていくつか種類があり、使用環境に応じたタイプを選ぶ必要があります。以下がガス給湯器の代表的な4つの種類です。
風呂給湯器
一般的なガス給湯器に、お風呂を沸かすための機能が加えられています。自動湯張りや追い焚き機能が代表的な機能で、お風呂への給湯中にもシャワーやキッチンでもお湯を使える点が優れています。
ガス風呂がま
こちらは、お風呂にお湯を張るため専用に使われるものです。お風呂に特化した給湯器であるため、浴槽に張った水や残り湯を沸かすこともでき、湯を無駄なく使える点が優れています。
給湯暖房熱源機
浴室への給湯に加えて、床暖房や浴室暖房乾燥機への熱源の供給も想定した機能が備わっています。浴室やキッチンなどに給湯や風呂湯沸かし・追いだきをするとともに、給湯器でつくったお湯を各部屋に循環させ、床暖房や浴室暖房乾燥機、ミストサウナなどの暖房機器を利用することができます。
東京ガスでは「東京ガス温水システムTES」という名称で、東京ガスグループ独自の基準や資格制度に基づき、設計・施工・アフターサービスまでワンストップで対応しています。
給湯専用
追い焚き機能がなく、給湯に特化した専用機です。浴室への給湯はもちろん、キッチンや洗面所などへの給湯も1台でまかなうことができます。
2. 省エネ性能に優れたガス給湯器
近年では、従来のガス給湯器に代わって、より熱効率に優れた省エネ性能に優れた給湯器も普及しています。ランニングコストが大きく下がる可能性が高いと同時に、環境性能にも優れているため、導入する家庭が増えています。ガスを熱源にする省エネ給湯器で代表的なのがエコジョーズとエネファームです。
エコジョーズ(省エネ高効率給湯器)
エコジョーズの特長は、従来は排出していた排熱を回収して利用することで、熱効率を大幅に向上させている点にあります。機種によって異なりますが、この仕組みによってガスの使用量を約15%ほど抑えることができ、ランニングコストの面で大きなメリットがあります。また、エコジョーズは瞬間式が採用されているため、貯湯タンクが必要なく、お湯を使いたい時に使いたい分だけ給湯できる仕組みです。
エネファーム(家庭用燃料電池)
エネファームは、ガスで給湯する点では同じですが、同時に電気も作れる点が最大の特長となっています。ガスから取り出した水素を酸素と化学反応させることで発電し、発電の際に生じた熱でお湯を沸かすという仕組みです。CO2の排出量を大幅に削減すると同時に、電気とガスのトータルの光熱費を低くできる点で、高い人気を集めています。
3. ハイブリッド給湯器
ガスと電気の2つの熱源を切り替えながら給湯するのがハイブリッド給湯器です。使う条件に応じた熱源を使用することで効率的に給湯できるため、ランニングコストを抑えられる可能性があります。
ガス給湯器の仕組み
ガス給湯器は、お湯を沸かすために水、ガス、電気の3つの要素が必要です。
水道管、ガス管、電源線が給湯器に接続され、沸かしたお湯は給湯管やお風呂の追い焚き管を通って住宅内の蛇口や浴槽に供給されます。
お湯の生成プロセスは次の通りです。
・水の通水: 蛇口のお湯ハンドルをひねるか、リモコンでお風呂へのお湯はりボタンや追い焚きボタンを押すと、給湯器内部に通水が始まります。
・水量センサーの感知: 給湯器内部の水量センサーが通水を感知し、 ガスの燃焼による水 の温めが開始されます。
・熱交換器による温め: 通水した水は、ガスの 燃焼で温められた 熱交換器 を通じて お湯に温められます。
・給湯管と追い焚き管からの供給: 温められたお湯は給湯管や追い焚き管を通って蛇口や浴槽に供給されます。
なお、給湯器は電気で動いているため、停電時にはリモコンがあってもお湯を出すことができません。
後悔しない給湯器の選び方
さまざまなタイプがある給湯器ですが、熱源やシステムの違いによってメリットとデメリットがあります。それぞれの特長を理解した上で、どのタイプを採用するかを考えれば、適切な給湯器を選ぶことができるでしょう。
ここからは一般家庭での使用を想定して、どんな点に注意して給湯器を選べばよいのかを解説していきます。
1. 自宅の給湯器の設置タイプを確認する
給湯器の設置タイプによって、選べるものと選べないものがあります。まずは、現在設置されているご自宅の給湯器のタイプを確認しましょう。戸建ての場合とマンションの場合で、設置できるタイプが異なります。
戸建ての場合
戸建て住宅の給湯器には、「壁掛けタイプ」「据置きタイプ」「浴槽隣接タイプ」3つの設置タイプがあります。
なかでも一般的なのは、外壁面に固定されガス管とつながっている壁掛けタイプです。給湯器の下からキッチンやお風呂への給水管が接続されていて、化粧カバーなどで覆われている場合もあります。ガスメーター付近などの地面や床に設置されている、据置きタイプの給湯器もよく見られます。
また、古いタイプの浴槽で、お湯が供給される循環口が2つある場合に使われているのは、浴槽隣接タイプです。浴槽隣接タイプは現在の給湯器の主流ではないため、壁掛けタイプや据置きタイプに交換する際は、1つ穴への対応工事が必要になります。
マンションの場合
設置スペースに制限が多いマンションの場合は、「壁掛けタイプ」「PS(パイプシャフト)タイプ」の2つのタイプがあります。壁掛けタイプはベランダに設置されているのが一般的です。また、PSタイプは給水管やガス管と一緒に壁に埋め込まれています。PSタイプには、給湯器本体が外に出ている標準設置タイプと、外からは本体が見えない扉内設置タイプがあります。
2. 給湯器の種類を確認する
次に、現在お使いの給湯器の種類を確認しましょう。基本的には、現在お使いのものと同じ種類のものを選べば、大掛かりな追加工事などが必要なく、初期費用を抑えることが可能です。
3. 給湯器の号数を確認する
給湯器には、お湯を出す能力を数値で区分する号数があります。
給湯器の号数で一般的なのが、16号・20号・24号です。型式の中にいずれかの数字が記載されていることが多いです。号数の数字は1分間に水温+25℃のお湯をどれだけ給湯できるかで表されています。16号であれば16L、24号であれば24Lです。基本的には給湯器を利用する家族の人数に応じて、号数の大きな機種を選ぶことになります。
【給湯器の号数の目安】
- 16号/1人
- 20号/2~3人
- 24号/3~4人
基本的には、現在お使いの給湯器と同じスペックの給湯器への交換となりますが、給湯する量が少ないと感じる場合は、上記を目安に号数を大きくすることを検討してみてもよいでしょう。注)
注)現在お使いの設備によっては号数を変更できないこともあります。
4. 追い焚き機能の有無を決める
浴室に給湯することを前提とした場合で、給湯器の機種を選ぶ際には、追い焚き機能の有無を決めておきましょう。追い焚き機能があれば、自動でお湯張りができる他、お湯が冷めてしまないように自動保温されたり、必要に応じて追い焚きができたりと大変便利です。一方、追い焚き機能がないタイプを選ぶ際は、給湯のみの機能となり、お風呂が冷めた場合は差し湯で対応することになります。
現在お使いの機器が追い焚き機能なしの場合、追い焚き機能ありをご利用いただくには追い焚き配管の増設工事が追加で必要となります。注)
注)現在お使いの設備によっては、追い焚き配管の増設工事ができない場合があります。
追い焚き機能ありの場合
追い焚き機能がある給湯器にはオートタイプとフルオートタイプがあり、フルオートタイプには、自動湯張り、自動保温、自動追い焚きの他に、さらに多くの機能が搭載されています。
【オートタイプの機能】
自動湯張り、自動保温、自動追い焚き
【フルオートタイプの機能】
自動湯張り、自動保温、自動追い焚き、自動足し湯、自動沸き揚げ、配管自動洗浄
現在お使いの給湯器がオートタイプの場合、フルオートタイプへの交換が可能です。家族が多く入浴の時間がバラバラでも、追い焚き機能がある給湯器にしておくことで、長時間にわたってお湯の温度を保つことができます。
追い焚き機能なしの場合
追い焚き機能が必要ない場合は、給湯専用タイプと高温水供給タイプのいずれかから選ぶことになります。給湯専用タイプは、蛇口からお湯を出すだけの機能です。高温水供給タイプであれば、約80℃のお湯を差し湯することで、冷めたお風呂のお湯を温かくすることができます。
給湯器の交換・設置はプロに依頼する
近年では、ECサイトやオークションサイトでも給湯器の購入ができるようになっていますが、ご自分で設置・交換の作業をするのはあまりおすすめできません。
給湯器の交換にはさまざまな関連資格があり、作業内容によっては有資格者でなければ対応してはいけないものもあります。DIYが得意な方でも少しのことで事故のリスクにつながりかねませんので、信頼できる業者へ依頼しましょう。
東京ガスでも給湯器の交換・見積もりを承っています。Webから24時間365日、お好きなタイミングで簡単にお申し込みいただけます。ご使用中のガス給湯器の写真を撮影、必要事項を入力頂ければ、数ある給湯器の中からお客さまに合った商品をご提案いたします。
現在の給湯器を使い続けたい場合は修理を依頼する
給湯器が故障した場合は、修理をして使い続けるというのも選択肢の1つです。比較的新しい給湯器であれば、交換ではなく修理した方が費用面での負担が軽くなる可能性が高いでしょう。ご自身で修理か交換の判断が難しい場合は、どちらも対応できるガス会社などに、修理が可能かどうかご相談してみるのがおすすめです。
修理を依頼する場合のポイント
1. 賃貸住宅の場合は大家や管理会社へ事前に相談する
賃貸の住宅にお住いの際は、まずは管理会社や大家の方に、給湯器の故障を報告して、その後の対応方法を確認してください。物件によっては修理やメンテナンスを依頼している決まった業者があります。
2. 資格制度があるなど信頼できる業者かを確認する
給湯器の交換と同様、修理についても、作業内容によっては有資格者でなければ対応できないものがあります。関連する法律や基準を守らずに工事をすると、不完全燃焼による一酸化炭素の発生など、健康にも悪影響を及ぼすおそれもあるため、信頼できる業者を選ぶことが大切です。
東京ガスでは、社内資格制度を設けており、ガス機器修理に必要な知識・技能を有したスタッフが対応しますので安心してお任せいただけます。
修理を依頼する場合の作業時間の目安
給湯器の修理にかかる時間は、症状や作業内容によって異なります。
メーカーから交換用部品を取り寄せて対応する場合は、在庫の確認や調達までに1週間程度の時間が必要となるケースもありますが、部品在庫がある場合や汎用性の高いパッキン・配管等の交換で済む場合は、訪問当日に2~3時間程度で作業完了するケースが多いです。
東京ガスでは、給湯器をはじめとしたガス機器のトラブルに最短で当日ご訪問し対応いたします。お困りの際はぜひ検討ください。
修理を依頼する場合の料金の目安
ガス機器の修理費用は、出張費、故障診断料、技術料、部品代で構成されるのが一般的です。故障箇所によって作業内容や費用が異なるため、まずは故障箇所の診断・見積もりを依頼しましょう。
料金の目安としては、東京ガスにてふろ給湯器の部品交換修理をいただいたうち、25,000円以下で納まるケースは7割以上、25,000円を超えるケースは3割以下となっています。注)
注)2022年度のガスふろ給湯器における部品交換時の修理費用(東京ガスグループ調べ)
修理か交換かは利用年数で判断することがおすすめです!
給湯器の耐用年数注)は約10年です。10年以上経過している場合、故障の頻度も増えていきます。
トラブル発生時は「修理」と「交換」の要望はほぼ同じですが、最終的な解決方法は10年を境に差が出てきます。ご利用年数が10年以下なら修理、10年以上なら交換することをおすすめします。
注)各メーカーが定める、安全上支障なく使用できる標準使用期間を指します。
まとめ
給湯器は、種類によって使用するエネルギーや性能に違いがあります。古くなった給湯器から新しく機能性の高い製品へ交換することで、給湯器の不具合に関する悩みから解放されるだけでなく、さらに快適な暮らしを実現することができます。
給湯器が壊れたままでは浴室やキッチンの使用が制限されてしまうので、給湯器の種類を急いで決める必要があるものの、ご自分の選択を後悔しないか不安を覚える方もいるでしょう。また、今の給湯器を使い続けるか、交換が必要かもお迷いになる方もいるかもしれません。
そんな方におすすめなのが、東京ガスのガス機器修理サービスです。Webや電話から簡単に修理予約でき、最短で当日に訪問します。東京ガスグループの確かな技術力を持ったスタッフが対応しますし、修理価格は作業前にすべて提示します。
修理か交換かお迷いの方も、東京ガスは使用年数と利用状況、修理・交換の費用などを総合的に評価し、お客さまにとってベストなご提案をいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。