私が初めて聞いたBLCDは『男子高校生、はじめての』の15弾だったのですが、それを聞いたきっかけがYouTubeが本作品の試聴動画をトップページでおススメしてきたからでした。
今から思うと『何ゆえ、突然!?』と言う気はしないこともなく、まぁ、佐藤元さんや伊東健人さんが出演されている配信番組、コンテンツの動画を見ていたのがきっかけだったんだろうなぁ、とは思うのですが。
ただそれにしても、その紹介してきたタイミングがあまりにも急だったのは、未だに謎です。ってか今も時々『何故、このタイミングで!?』と首を傾げたくなるタイミング、謎の、全く読めないタイミングでBL関連の動画を紹介してくるの、本当に不思議だしおかしいし楽しいです。ふふ。
てなことでこの話がちょろっと関係していないこともない、買ったBLの感想をお送りする記事でございます。
本日は2作品。珍しく最近、購入した作品の感想です。
ではでは早速、こちらの作品からどうぞ。
・『青と碧』ろじさん
・・・はい。早速ですが冒頭の話が関係してくるのがこの作品です。
www.youtube.com
こちらです。こちらの動画が突然、YouTubeのトップページ、しかも先頭に出てきました。BLCD、あるいはボイコミ関連の動画を視聴することはあります。が、少なくとも『ロマンシングサガ2 リベンジオブザセブン』が発売されてからは、その関連動画を視聴した記憶はない。このゲームのプレイ動画ばっかり視聴しているような有様です。
なのに何故。何故、あのタイミングだったのか。ミステリー・・・。
そんな疑問に駆られつつ、山下誠一郎さんと大塚剛央さんと言う素晴らしい組み合わせなので、そのまま視聴し、そしてそのまま息を吸うように原作漫画を購入しました。
www.cmoa.jp
タイトルの『青と碧』はメインキャラ2人の名前です。
山下さんが演じられているのが葉山青。勉強も運動も学年1位の、まさに天才優等生。しかしまるで赤ちゃんのように、感情が顔に出てしまうと言う一面も持つ少年です。
もう1人、大塚さんが演じられているのが山村碧です。
2人はひょんなことから親交を持つようになり、青は碧のある言葉から彼に好意を持つようになります。そして碧も、青の自身に対する好意に気づきながら、赤ちゃんのような彼を可愛いと思うようになります。
要は2人の気持ちは両思いなのです。両片思いと言うやつです。しかも男子高校生の両片思いだぜ、最高じゃんか!最高ですね!
最高だけど、それで済んだら誰も苦労はしないぜ!
この作品の肝は碧が自身に感じている葛藤にあります。
同性しか好きになることができない自分。それをずっとごまかしてきた自分。青の思いに気づきながらも、そして自分自身の青に対する思いに気づいていながら、碧はどうしても、その全てを受け入れること、認めることができないのです。
だからつい、青を試すような言動を彼に取ってしまうんです。そうすることで、まるで自分自身を試すようにして。
だけどそれにもめげず、青は純粋に、まっすぐに、ひたむきに碧を思い続ける。碧に『好き』と言う感情を抱き続けるんですね。
相変わらず赤ちゃんのように、その気持ちは表情に浮かんでしまう。ただそれでも碧に対しての思い。それから溢れる涙だけは、碧には見せることがないんです。
切ない。
そんなどうにも不器用な2人の、だけどととにかく純粋な恋模様。両片思いから両思いになるまでの8年間、高校時代から社会人までの8年間の物語が、作品としては綴られています。
青が何故、碧を好きになったのか。そして碧が何故、青を好きになったのか。それを描いたシーンはごくわずかなのですが、そこで描かれていることは、物語を通じてどんどん深くなっていきます。
そこが私は、読んでいてとても魅力を感じた点のひとつでした。
すごくお互いがお互いに惹かれた理由、惹かれたことに対して納得ができたと言うか。
『お勉強ができる』と言う意味で頭が良くて、でもだからこその純粋さ、素直さを持っている青。
『お勉強ができる』と言う意味でも、そしてそれ以外の意味でも。良くも悪くも頭が良すぎるからこそ、考えなくていいところにまで考えが及んでしまう。そしてそれ故に、相手の、自分の、大切な感情に踏み込めない碧。
似ているようで正反対、対照的な2人だからこそ、その『対照的』な部分が、お互いにとってはとても魅力的に思えた。強く、心を揺さぶられたんだろうなぁ。
また2人の場合、好きの感情に加えて、そうした部分に対する敬意みたいなもの。眩しさみたいなものも感じたんだろうなぁ、と思えたのも個人的にはポイント高しでした。
やっぱり男子高校生(期間は短いですが)BLは、この『眩しさ』がないとね!
先程も書いた通り8年にわたる2人物語が1冊、全7話にまとめられています。
個人的には若干の駆け足感は否めませんでしたが、本当に青と碧。2人の感情が繊細に、丁寧に、柔らかな筆致で描かれている作品です。誉め言葉として、派手さは一切ありませんが、その分、心にしっかりとしみ込んでいくような、そんな物語です。
だから全7話で8年の物語が詰め込まれていると言う紹介から感じる以上の満足感、あるいは物語の完成度の高さを感じていただけると思います。
逆を言えば全7話。2人の『全て』を描くのではなく、ポイント、ポイントを押さえた物語の構成だったからこそ綺麗にまとまっていた。そしてじんわりと、胸に染みるような味わいがあったと言えるのかもしれないなぁ。
またこの作品。BL作品ではお約束の流れと言っても良いでしょう。『おめでとう!両思いであることが判明したよ!さぁ、じゃ、やることやりましょうか!』と言う流れがありません。要はナニなシーンが一切、登場しないのです。
個人的にそう言うBL作品を読んだのが久しぶり・・・久しぶり・・・?初めてのような気もしてきたのですが、とにもかくにも久しぶりだったので『ナニはしないのか!8年ものらりくらりを続けてきた挙句、キスだけでいいのか!?』と軽く衝撃すら覚えたのですが(笑)
まぁ、青は赤ちゃんだしな。それでいいのか。それでいいのだ。
ちなみに青×碧です。
・・・誘い受けだろうなぁ(妄想)
ただし、その代わりと言ってもいいでしょう。
涙です。青が碧の前で初めて見せた涙。そして碧が青の前で流した涙。
2人が涙を見せた、流したシーンが、もうめちゃくちゃ、ぐっ、と来た。
まずは青です。碧の前では素直に感情を顔に出してきた青ですが、ただひとつ。先ほども書きましたが涙だけは、決して彼に見せることはなかった。
その青が碧に見せた涙は、高校時代。彼が願ったひとつの願い。それが叶った実感、喜びから出た涙でした。
そして碧と一緒に朝食をとっている際にも、また溢れてきた涙。その涙の源になっている感情に思いを馳せると、まっすぐに、ひたむきに碧を思い続けてきた青の、人知れない苦悩のようなもの。それを感じずにはいられなくて、ひたすら『良かったな。赤ちゃん、良かったな!』と言う思いで胸がいっぱいになるのでした。
そして碧です。2人で一緒に朝食をとっている時、碧の瞳からも、自然と涙が溢れこぼれるのです。
それを青にツッコまれた碧は『これは24年分のなんかあれだから』と答え、その涙を乱暴に拭うのですが。
その涙の出どころとなっているであろう感情。碧が、青からの好意を受け入れるまでに、そして自分自身を受け入れるまでにかかった時間。その中で抱えてきていた感情。そうしたいろーんなものを思わせる涙、あるい碧の表情、言葉で、すごく胸を締め付けられたのです。
でも、確かに、その瞬間。碧は救われたような思いを実感したんだと思います。
ずっとずっと自分を思い続けてくれていた青の感情、存在に。そしてそんな彼のことを、やっぱりずっとずっと思い続けていたのだと言う自分の感情、存在に、確かに救われたような思いを抱いたんだろうなぁ、と。
後で言及しますが。碧の友人で、事あるタイミングで彼に時に優しく、時に厳しい言葉を口にする吉田くんと言うキャラクターがいるんです。
この吉田くんが、碧が青と同居生活を始めたことを知って口にする言葉。
これがもう、めちゃくちゃ、めちゃくちゃ良い言葉だったんです。『まさにその通り!』と激しく首肯したくなるような言葉で。
誰かと出会って、誰かの『変わらない』と頑なに信じ、恐れてきていた、でも本当は『変わって欲しい』『変わりたい』と願っていた『何か』が変わる。
それによって、その誰かの人生が優しく、穏やかに救われる。深い、深い底辺から掬い上げられる。
変わらないはずの過去の、その意味が変わる。それによって変わらないままだけれど、それでも過去が、その人の中だけでやさしく変わる。
BLに限らずそう言う物語が大好物な私は、青と碧の涙に思わずもらい泣き。そして吉田くんの言葉に、またうっすら涙を浮かべると言う有様なのでした。
てなことで原作読んでから、冒頭のBLCDのCM動画を改めて聞いたら。
これ、すんごいぴったりすぎる。ぴったりが過ぎる。
『自分たちの物語がドラマCD化されることになったよ!凄いね!せっかくだし演じて下さる声優さんを紹介するよ!』と言う内容なのです。
なので要は、本編内容の試聴ではない。
ないんですけど、もうすっごい青と碧がそこにいるんですよ!
冒頭、碧の名前を口にしながら駆け寄ってきているのであろう青の姿なんか、ありありと想像できちゃうくらいだし。
なんだろ。山下さんと大塚さん、このおふたりのお声、そのお声そのものの魅力であったり個性であったり。そうしたものが、おふたりが演じていらっしゃる青、碧と言う役にぴったりはまっているなぁ、と感じたのがひとつ。
そのうえで純粋で素直で、だからこそ手に負えない部分も碧からすればあるのかもしれなくて。でもそこすらも可愛い、愛おしい、愛らしいと感じさせる青を、山下さんがほんとに、なんの違和感もなく演じていらっしゃる。
なんだ。改めて『お芝居、うっま』と驚かされたくらいです。
そして碧は、先程も書いたように、とにかく大塚さんの少し暗さを含んだようなお声が、実にハマっている。
このCM動画の内容的にはそんなことはないんだけど、でも、大塚さんのお声だからこその何かしらの含みみたいなものが感じられるのが最高。そしてその上で、碧の世話焼きな部分、青に対してのこらえきれない感情が出ちゃってる演技も、聞いていてひたすらにやにやしてしまったのです。
可愛い。
山下さんが青を、そして大塚さんが碧を演じていらっしゃることで、2人の存在がものすごく立体的に感じられた。
だからきっとドラマCDも、2人の体温、感情。そして8年と言う月日、その中で変わっていく関係性と、それでも変わらない関係性と。そう言うものがものすごく広がりと深みを持って感じられる。そんな作品になっているんだろうなぁ、とCM動画を視聴して思いました。
で。先に言及していた吉田くんです。吉田くんのCVは小松昌平さんです。わかりみしかなかったです。こー、ほんとにね。すごく良いことを言うんです。でもそれは、時に碧にとっては突き刺さってくるような、耳に痛いような言葉でもあるんです。そう言う言葉を、実にさらり、と口にする。それでいてちゃんと言葉の重みも感じさせるように口にする、そんなキャラクターなんです。
だからこその、その『優しい棘』をはらんだような吉田くんの存在感に、小松さんの、あの少しクセがありつつ、からっとした明るさのあるお声はぴったりだと思います。
そしてもう1人。大学生のお話から登場する飯田。こいつもめちゃくちゃ良い奴なんですけど。この飯田のCVは鈴木崚汰さん。まぁな。もう見た目がす!だもんな(笑)
この飯田も、多分、他のBL作品なら2人の恋路を邪魔する当て馬キャラとして登場していたように思うのですが。そうではないと言うところにも、そう言うわかりやすい障壁を登場させなかったところにも、やっぱりこの作品の魅力はあるように思います。
あぁ、当て馬キャラだったり、その登場を否定しているわけではありませんからね。そこは誤解しないで下さい。
むしろ当て馬キャラが魅力的すぎて『こっちとくっつかんかな』と思うことも少なくないし。ふふ。
あと女性キャラを演じていらっしゃる島袋美由利さんと風間万裕子さんも、実力派の、めちゃくちゃ良い演技をされる、信頼のおける声優さんでいらっしゃいます。
島袋さんは山下さんと同じく大沢事務所、そして風間さんは大塚さんと同じアイムの所属でいらっしゃいます。
ご存じない方は、どうぞお名前だけでも覚えて帰って下さい!
はい。てなことで本日はろじさんの『青と碧』の感想をお送りいたしました。
『何が何でも!私は!絶対に!BLには!えっちなシーンを求めるの!』と言う強い思いをお持ちの方には、どうあがいてもおススメできない作品ですが。
だってえっちしてないもん!
そこにこだわりがない方で、とにかくじっくり、丁寧に。自分の思いに、そして相手の思いに向き合っていく時間が描かれている物語が読みたいと言う方。じわじわ、染みてくるような思いの物語を読みたいと言う方には、ものすごくおススメしたい作品でございます。
てーなことで。あはは!本当はもう1作品、感想を書く予定だったのですが。
文字数。
なのでもう1作品に関しては、別の作品と合わせて、後日、記事にしたいと思います。
よろしければお付き合いください。
ではでは。本日の記事はここまでです。
読んで下さりありがとうございました。