"稲"の育成から、新規就農者という"人"の育成へ | SEADS-鶴岡市立農業経営者育成学校

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運営スタッフ 2021.03.29

“稲”の育成から、新規就農者という”人”の育成へ

結城和博(ゆうきかずひろ)

鶴岡市新規就農者研修受入協議会
シニアアドバイザー


| history

山形県新庄市の農家出身。皆のために働くという幼少からの夢を叶えるべく公務員に。山形県の農業技術職員として38年間勤務、27年の試験研究期間のうち、水稲の品種開発に19年間携わり、その間フリーダとして、つや姫・雪若丸・雪女神・出羽の里などを育成。ブランディングにも携わり、数々の品種を山形ブランドへと育てた。2020年、県職員を退職後、『鶴岡市新規就農者研修受入協議会」に従事し、現在に至る。


SEADSに関わることになったきっかけ

2020年4月から「鶴岡市新規就農者研修受入協議会」に所属していますが、同年にSEADSが開校し、業務のひとつとして関わらせていただいてます。これまで長年携わった「イネの育成」から、今度は新規就農者という「人の育成」を担うということで、なにか縁があったのかなと思っています。庄内には品種育成の仕事をするために来ましたが、最初の10年は全く成果が出ず思い悩む時期もありました。当初は一定の成果を上げれば帰るつもりでしたが、そのうちに子どもも成長し、今ではすっかり安住の地のようです。


山形県農業総合研究センター水田農業試験場にて
出典:つや姫 10 anniversary メッセージより

SEADSで何を担当しているのか

実践研修先(通称・受入農家)の調整、カリキュラム編成のほか、環境整備などを担当しています。研修生が就農に向けた研修を有意義に受けられるよう、寄り添った対応に努めています。受け入れ農家さんの選定には、時代的な傾向も考えながら園芸にフォーカスし、安定度を考慮して野菜、露地より施設野菜を中心に展開している方々を主としています。また、現場で有機農業を実践されている農家はまだまだ少ない現況ではありますが、有機栽培と慣行栽培*は、共通する部分がたくさんあります。作物を育てるというポイントに焦点を当て、栽培管理技術をマスターするという意味で、有機栽培に至るまでの過程として慣行栽培を学ぶというスタンスです。カリキュラムに関しても、見直しをかけながら改善を続けています

農業を始めたい人へのメッセージ

作物そのものによる生長を、自分たちが求める方向に上手に手助けをしていくこと、それが栽培技術です。品質・食味・収量を追求することはもちろんですが、水やりなどの手助けには、常日頃の観察がなによりも重要です。日々試行錯誤しながら、漠然とではなく意識して見ていれば、作物が喜んでいるかどうか実感できるようになるし、知らない間に観察眼はついてくるものだと思います。鳥のように俯瞰し、虫のようにいろんな方向から、そして魚のように世の中の流れをしっかりと、この「3つの眼」をもって取り組んでほしいと思います。

庄内のおすすめスポット

庄内から見る鳥海山と月山:国道345号線のカーブを曲がり真正面にいきなりパッと現れる鳥海山が美しい、とくに朝方の姿は格別です。


*慣行栽培:世界で最も普及している現代の栽培法。量産のため化学肥料を投入し、病虫害や除草のために農薬を使用し、大規模かつ効率的に栽培する。日本では戦後に普及し、国内作物の99%以上がこの方法によるもの


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