つちのこ更新日記 2020年09月

歩き旅は、後半戦へ

9月26日に帰宅してから、人間ドッグ、歯医者、ハローワークと野暮用をこなしました。

帰宅してしばらくは、気が張っていたのか体はまだまだ歩きモードでしたが、3日も経つと疲れがどっと出てきたのか、ダル重モード。
体のメンテナンスも必要なので、野暮用をこなす以外は昼寝をしたり、後半戦のルートを調べたり、地図をコピーしたりで毎日をのんびりと過ごしています。

さて、明後日から京都三条大橋をスタートし、西国街道から山陽道を歩きます。
10月中旬以降には定期診察や甥の結婚式があるので、今回の期間は2週間弱です。
どこまで行けるか分かりませんが、行けるところまで頑張ろうと思います。

今回はテントを持たないので、荷物は小さなサブザック一つ。
重荷にあえぐこともなく行けそうです。


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帰宅しました

21日間の歩き旅を終え、本日、北海道から帰宅しました。
長かったようで短かった三週間でした。
東北では残暑ならぬ酷暑にいじめられましたが、北海道は雨にやられた日を除いては快適な歩行ができました。

今回歩いた距離は492キロ。
これまでに歩いた総距離は、下図のように北は苫小牧から西は京都までの延べ1320キロとなりました。
これでようやく日本縦断の半分くらいです。

さて、残りの半分ですが、まずは人間ドック、ハローワーク、歯医者等の用事を済ましてから、来月早々にも京都から九州最南端の佐多岬を目指したいと思います。

冬に向かってコロナの感染拡大が気になるところですが、“感染しない”“感染させない”を念頭に、取り組んでいきたいと思います。

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日本縦断徒歩の旅【東日本編44】白老~苫小牧

秋田をスタートして21日目。
今日が最終日となった。

登別駅から普通電車に乗り、昨日ゴールした白老駅へ。
肌寒くどんよりと曇った天気のなか、ゆっくりと歩き出す。
白老には今年の7月に『ウポポイ』という、アイヌ文化を紹介する博物館がオープンした。
駅から徒歩10分ということで一瞬迷ったが、開館まで1時間待つことと、見学には最低3時間くらいかかりそうなので、見送ることにした。

白老の街を抜け国道36号線に出ると、太平洋とJR室蘭本線に挟まれて、まるで定規で線を引いたように、道は真っ直ぐに伸びていた。
ちなみに室蘭本線の白老~沼ノ端間は28.7キロの直線日本一の線路である。

果てしなく続く直線の歩道を行くが、牧場が出てくる他は風景に変化がなく退屈な歩きとなった。
しかし、そんな中でも今日も目を楽しませてくれたのが、鮭の遡上。
何本かの川で鮭を見たが、すでに力尽きているのもいて、故郷の川に戻る過酷な旅が垣間見えた。

JR糸井駅近くから国道を離れ、苫小牧駅まで線路に沿って続く道を歩く。
公園で園児たちがはしゃぎながら走り回る姿や、小学校の校舎に響く歓声を聴きながらずんずん歩いた。

苫小牧駅が近づくと、線路に沿ってかなり傷んだ老朽化した団地が並んでいた。
その距離、1キロに渡る大きな規模の団地である。

玄関ドアはボロボロで外壁はヒビだらけだ。
二階建てや平屋、煙突がついたタイプもあり、一見すると人が住んでいるように見えない。
空き家も多くあるようだ。
苫小牧市営の住宅のようだが、お年寄りが杖をついて歩いていたし、シルバーマークを付けたクルマが玄関の前に止まっているのを多くみた。

都市部ではどこもそうだが、昭和30~40年代に雨後のタケノコのように建設された公営住宅の老朽化が問題になっている。
建物とともに住人の多くが老齢化し、単身世帯が目立っている。
こうした団地は自治体の予算の関係で修繕が遅れ、取り壊すことも建て直すこともできない状態に陥っているという。
老齢化社会は加速度を増しているが、厳しい生活水準にある人々がいることを社会は忘れてはならない。
コロナ不況が拍車をかけている今だからこそ、政府や行政の責任が問われると思う。

さて、歩き旅はいよいよ終盤。
王子製紙の工場を過ぎ、午後13時半、苫小牧駅に到着した。

あと10日あれば宗谷岬に届いたかもしれないが、3日後の人間ドックとハローワーク認定が避けて通れなかった。
北海道の秋が急速に深まってきたことは、この数日の気温の変化で身をもって感じたことだ。

北海道の続きは来年に持ち越すが、それまでに今回ゴールした苫小牧からのルートでもじっくり考えてみたい。
そして、来月からはいよいよ佐多岬を目指す西日本編の旅が始まる。

■2020年9月25日 北海道白老町~苫小牧市 34313歩 22.30キロ
■千歳エアポートホテル
■曇り

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※白老駅からスタートした。

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※国道36号線に出てると、牧場を見ることができた。

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※苫小牧市に入った。

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※直線道路が続く。

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※今日も鮭の遡上を見た。錦多峰川。

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※糸井駅。レトロな駅舎。

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※王子製紙の工場を見ながら到着駅を目指す。

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※今回の旅のゴール、苫小牧駅に到着した。


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日本縦断徒歩の旅【東日本編43】幌別~登別~白老

室蘭駅から昨日ゴールした幌別駅に向かう。
電車は通勤通学客で混んでいた。

つい半年前まで毎日1時間半もの時間をかけて、会社通いをしていたことが、遠い昔に思える。
それが今は、勝手気ままな歩き旅をしている。
何のしがらみもないし、人に指図もされないし、気にすることもない、【自由】だ。

それを手したというのに、仕事に勤しむ人たちを見ると、(これでいいんだろうか…)と思ってしまう。
長く仕事をしてきた反動なのか、それとも仕事ロスなんだろうか。
まだまだ【自由】になれて(慣れて)いない、貧乏性の自分がいる。

幌別駅から国道36号線に出ると、私の右には群青の海、左には果てしない原野があった。
歩く距離や時間を気にして足を交互に動かす作業に没頭しているだけだと、まるで修行のような、訓練じみた行軍になってしまう。
顔の表情は、おそらくしかめっ面だ。

歩くという単純な作業がひたすら辛い行為になってしまっては、旅を楽しむ余裕などなく、決まって(何で、こんなことやっているんだろう)と自問自答の虚しさだけの悪循環になる。
それに連動するかのように、マメの痛みも益々憎悪するのだ。

今日は歩くことの楽しみを何度も味わう場面があった。
鮭の遡上をいくつもの川で見ることができたし、国道を避けて歩いた虎杖浜の海辺の集落では、旨そうなホッケやイカの一夜干しが並ぶ風景があった。
そうそう、ハマナスの花も見つけた。

反面、民宿や温泉ホテル、スーパー、パチンコ店など、閉店して廃墟然とした建物を多くみた。

誰もが知っている全国区の登別や白老の街ですら駅前には人の気配がなく、コンビニが一軒あるかないかという閑散とした光景だった。

人がひしめき合っている都会に住む者には、到底理解できないだろう。
東北から北海道を歩いた三週間、便利な環境よりも不便な環境のほうが遥かに多いということを実感した。

どんな環境でも、そこに住まう人は逞しく生活していた。
イカ釣り船を夜通し操る漁師、昆布を浜に干す作業を懸命にやっていた腰が曲がった老婆、熊が出そうな山の中の県道で道路工事をしていた作業員…。
便利なことばかりが幸せではないと、改めて思う。

幌別を出て白老までの27キロは、昨日の悪天候から打って変わった晴天になった。
ポジティブな気分は天気に左右されるのか、この旅一番の歩くことの楽しさを味わった一日となった。

さぁ、明日はいよいよ最終日。
苫小牧を目指す。

■2020年9月24日 北海道登別市~白老町 40718歩 26.46キロ
■虎杖浜温泉ホテルいずみ
■晴れ

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※早朝、室蘭駅から昨日ゴールした幌別駅に向かう。

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※幌別から国道36号線を歩く。

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※登別駅に到着。駅前は閑散としていた。

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※登別駅の構内に、こんなものも。かつては熊牧場の人気者。

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※熊つながりで。

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※虎杖浜の集落を歩く

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※孤高のカラスよ

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※虎杖浜で

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※ハマナスを見つけた

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※国道36号線。苫小牧が近づいてきた。

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※バス停の待合所が格好の休憩ポイントになった。


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※橋の上から川を覗くと…

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※鮭がうようよいた。

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※今日のゴール、白老の街を歩く。


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日本縦断徒歩の旅【東日本編42】伊達紋別~東室蘭~幌別

雨になった。
それもかなりの降り。
更に、風も強く吹いているとなれば、三拍子揃った悪天候である。

7時半まで待つが一向に止む様子がなく、覚悟を決めて宿を出た。
県道779号線を海岸線に沿って南下するが、傘が裏返しになるほど風が強い。
雨は横殴りに叩きつけてくる。

真っ直ぐ歩けない向かい風のなか、休む場所もなく、7キロ歩いてJR稀府駅に到着。
しかし、無情にも県道から駅舎に行く道がない。
目の前に見えている駅を泣く泣く見送り、いっそう激しくなった雨風のなかトボトボと歩く。

靴の中はずぶ濡れで気持ち悪いが、出発してからそのまま休まずに10キロ歩いて、JR黄金駅に着いた。
ようやくザックを下ろすことができ、人心地ついた。

黄金駅からは国道を避け、東室蘭に向かう海岸沿いの最短ルートを行く。
途中で大勢の釣り人が竿を出しているのを見た。
声をかけると、鮭を釣っているとのこと。
釣果を見せてもらったが、大きな鮭に驚く。

オスはリリースし、卵を持ったメスのみ持ち帰るということだった。
そういえば、八雲町の川で見た巨大な魚はやっぱり鮭だったんだろう…と確信した。

正午近くになっても雨は止まず、雨具を脱ぐこともできず東室蘭駅に着いた。
今日の宿は室蘭駅近くのホテルを予約しているが、時間もまだ早いので先に進むことにした。

ここまで雨のなか22キロを歩いてきたが、幌別までのあと10キロを頑張ることに決める。

東室蘭駅前にある『味の大王』で昼食。
昨日に続いてカレーラーメンを食す。
室蘭とくれば、やっぱりカレーラーメンである。

東室蘭から幌別までは県道782号線を忠実に辿るが、広い歩道が整備され、コンビニや飲食店も多くある歩きやすい道だった。

しつこかった雨も上がり、雨具も脱げて少し身軽になった。
すっかり忘れていたが、ザックにはバナナが4本あり、今さらだが一気に3本食べた。
少しでも軽くしたい荷物だが、食べ物に関しては割と無頓着なのである。

幌別の街が近づくと気温が一段と下がったようで、ゴアテックスの雨具の上着を羽織り、駅までの道を急いだ。

16時53発の室蘭行きに乗車。
すっかり暗くなった頃、室蘭駅に到着。

雨と風に嫌というほど虐められた長い一日が、ようやく終わった。

■2020年9月23日 伊達市~室蘭市~登別市 47980歩 31.18キロ
■第二プリンスホテル室蘭ビューホテル
■雨のち曇り

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※激しく降る暴風のなか、県道779号線を歩く。

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※海も空も鉛色だった。

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※ようやくザックを下ろすことができた黄金駅。

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※海岸で鮭を狙う釣師たち。

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※メスの鮭は筋子をたっぷり持っているという。

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※雨は一向に止まない。

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“鉄の街”室蘭に入った。

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※東室蘭駅

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※二日連続のカレーラーメン(味の大王東室蘭西口店 880円)

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※幌別に向かう県道782号線は歩道も広く歩きやすかった。

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※南天の実。秋が深まってきている、

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※幌別の街が近づいた。

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※幌別駅にゴール。


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日本縦断徒歩の旅【東日本編41】豊浦~伊達紋別

昨夜は、海から吹き上げてくる風がテントをバタバタと揺らしたが、疲れていたのかすぐに寝入ってしまった。
夜明け前にテントから顔を出すと、イカ釣り船の灯りが間近に見えた。
噴火湾ならではの光景である。

テントを撤収するにも手がかじかみ、吐く息が白い。
季節が変わったのだろうか、寒い朝となった。

午前6時に出発。
豊浦の町を抜け、国道37号線に出てすぐにあるセイコーマートに立ち寄り、朝飯代わりのカップ麺をすする。
ようやく、冷えた体が温まった。

今日もほぼ忠実に37号線を行く。
トンネルを二つ潜ると、洞爺湖町に入った。
昨日と違ってアップダウンはそれほどでもなく、リンゴやトウキビを並べた果樹園の店先を眺めたり、子供たちの歓声が響く小学校の運動場でやっていたサッカー大会を横目に、のんびりと歩いた。

『道の駅あぷた』からは有珠山の稜線を見ながら歩くが、海側に目をやると、これまで歩いてきた森町からの海岸線や駒ヶ岳が見えた。
函館をスタートしてから150キロを歩いてきたが、自分がたどった軌跡が対岸に見えることに小さな感動を覚えた。

長和の町を過ぎ長流川を渡ると、有珠山と昭和新山がくっきりと見えた。
昭和新山については過去に間近で見ているが、歩き旅でこの風景を見ていることに心の躍動がある。
歩く旅でしか味わえない、贅沢な感動と言っていい。

今日の行程は21キロなのでもの足らなくもないが、明日以降の行程を考えると無理することもない。

午後1時前に、予約した伊達紋別駅近くの旅館に到着。
宿に連絡を入れるとチェックインが早くてもOKということで、早々に入浴と洗濯を済ますことができた。

後は、糊の効いた清潔なシーツとふかふかな布団でゴロンと横になるだけ。

今の私には、これ以上の幸せはない。

■2020年9月22日 北海道豊浦町~伊達市 32273歩 20.97キロ
■錦旅館
■晴れ

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※テントを張った豊浦の海浜を後にした。

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※国道37号線に出ると、室蘭の表示が出てきた。

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※ホオズキが落ちていた。

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※たどってきた対岸が見えた。

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※駒ヶ岳がくっきりと見えた。

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※JR洞爺駅

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※洞爺の街を歩く。整備された美しい街だ。かつてのサミット開催の恩恵か。

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※無店舗販売所を覗くのは楽しい。北海道ならではの野菜が並んでいた。

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※甘いものを封印していたのに、この旅初めてのソフトクリームを食べてしまった。

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※長万部から50キロを歩いてきた。

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※JRの跨線橋を渡った。

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※有珠山と昭和新山が見えた。

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※伊達市が近づいた。

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※今日の昼メシ。室蘭カレーラーメン(伊達・じぇんとる麺 800円)


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日本縦断徒歩の旅【東日本編40】長万部~豊浦

凄い雨音で目覚めた。
4時起床5時出発と決めていたが、うまい具合に雨が上がったので予定通りに出発。
長万部温泉街から跨線橋を渡り、夜が明けたばかりの国道37号線を歩きだす。

今日の歩行距離はこの旅最長の38キロ。
コース途中にコンビニや自販機もなく、水の補給ができないということで、ビバークの可能性も考慮して、二食分の食料とペットボトル2本、登山用の1リットル水筒に水を入れたザックを担いでいる。

これまでザックの重さはテント、水・食料込みで7キロくらいに抑えてきたが、今日は軽く10キロを超えてしまっている。
ずしりと重いザックを背負って、38キロをクリアできるだろうか。

北海道を徒歩で縦断するにあたり、長万部から国道5号線を選ぶか37号線を行くかでルート・距離・日程が大きく変わる。
5号線を北上すると、余市に向かう最短の北上ルートか中山峠経由で札幌に向かうルートが取れる。37号線の場合は洞爺湖、室蘭から苫小牧へ出るルートとなる。
日本縦断をした先人の記録を見ると、5号線を選択したケースが多いようだ。

私が選んだのは37号線を行く東ルート。
距離は長いがその分、北海道を楽しむことができそうだ。

国道37号線は、北海道らしく原野を縫うように続く、するどく直進する道である。
白線の歩道部分には昨夜の雨で水溜まりができており、それを避けながら歩く。

4連休の3日目、早朝とあって交通量が少ないが、それもつかの間、静狩峠にかかる8時頃にはクルマの量が増えてきた。

おかげで熊のリスクは減ったが、静狩峠から礼文峠と続く道はアップダウンが激しく、延々と、いつ終わるともしれない登り坂に根を上げそうになった。

息を切らしながら歯を食いしばり、ひたすら登っていると、一台のクルマが傍らに止まった。
「大丈夫ですか?乗ってきませんか?」
運転席から下りて声をかけてくれたのは、人が良さそうな爽やかな笑顔の青年だった。
いつものように、歩き旅をしていると応えたが、よほど私の表情が辛そうに見えたのかもしれない。

国道37号線は豊浦に至るまでの間に8箇所のトンネルと2箇所のスノーシェードがあった。
蛍光たすきをかけ、マスクをし、点滅する懐中電灯を右手に持って小さく振りながら通過した。

トンネルの通過は歩道があればそれほどの恐怖心はないが、(今回も3箇所あったが…)歩道がないケースもあり、その場合は更に安全面の工夫が必要になると思う。
自転車でツーリング中のチャリダーは、ザックに自転車用の点滅する赤いライトを貼っていた。
私の場合はザックに蛍光反射シールを貼っているが、次回の旅では工事現場で使う赤色誘導灯やサイクリング用品も含め、検討したいと思う。

36キロ近くを歩き豊浦の町に入ると、突然のどしゃ降り。
雨具を着るまもなく、あっという間にずぶ濡れに。
傘も役に立たない降りだった。
シャッターが下りた建物で雨宿りをし、雨が止むのを待ってコンビニで買い出し。

豊浦町営の海浜公園のキャンプ場に向かう。
しかし、無情にもキャンプ禁止の立て札が…。
コロナの影響で豊浦町のすべてのキャンプ場が営業中止、閉鎖されているということだった。

それから一時間近く、こっそりテントが張れそうな場所を探し回り、海岸に近い場所に一夜の宿を見つけた。

今夜は波の音を子守唄代わりに眠ることにする。

津波がきたら一発アウトだろうな…。

■2020年9月21日 北海道長万部町~豊浦町 57820歩 37.58キロ
■海岸でテント泊
■晴れ一時雨


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※夜が明けたばかりの長万部駅の跨線橋を渡る。

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※国道37号線に出た。

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※噴火湾から陽が上った

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※国道5号線は原野の中を真っ直ぐ伸びていた。

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※静狩峠に向かう登り坂。

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※振り返ると、田園風景が眼下に見えた。

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※静狩トンネル(450メートル)

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※礼文華トンネル(1200メートル)。マスクを付けて突入した。

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※アップダウンが激しく、これでもか!と続く登り坂が辛かった。

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※時折出てくる北海道らしい風景に癒される。

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※豊浦の町が眼下に見えた。

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※今夜のねぐらは波の音を聴きながら…。

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※長かった一日、日は沈んでいく、


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日本縦断徒歩の旅【東日本編39】八雲~長万部

ボリュームたっぷりの朝ごはんを食べて、7時半に出発。

睡眠不足は解消され、小さなマメは日替わりのようにできているが、痛みは感じなくなった。

旅に出て二週間が過ぎ、体が長距離を歩くことに順応してきたようだ。
江戸時代の旅人は一日に40キロくらいふつうに歩いたというが、それを思うと、自分の柔なレベルに呆れてしまう。

国道5号線は、真っ直ぐに長万部に向かってどこまでも伸びていく。
原野の先には海が見える。

小さな川をいくつも渡るが、橋から覗いてみると、なんと、大きな鮭?イワナ?がうようよ泳いでいた。
この目で見ている現実は、マジな風景だろうか。
釣竿をもっていれば、入れ食い間違いなしである。

八雲から長万部までの今日の行程は、この旅始まって一番の、単調なコースになった。
コンビニは八雲駅前を出てから長万部の駅近くまでなかったし、飲食店もない。
そもそも集落が少なく、人に出会うこともほとんどなかった。

最高気温が21度と低い割に日差しはきつく、日陰になる建物がないので、バス停の待合所がとっておきの休憩ポイントになった。
靴下を脱いで足を乾かすのはいつものパターン。
靴底もずいぶんすり減ってきた。

長万部の町に入ると、カニ飯の看板を掲げた店がたくさん出てきたが、カニはそれほど好きでもないのでそのまま素通りし、長万部駅の近くのスーパーで食料を買い出した。

今夜は長万部温泉街にあるレトロな温泉宿に素泊まりすることにした。
理由は、『麒麟がくる』と『半沢直樹』が観たいがため。

テレビ番組のために宿に泊まるという、まぁ、いたって俗な神経に思わず、苦笑するしかなかった。


■2020年9月20日 北海道八雲町~長万部町 45772歩 29.75キロ
■長万部温泉ホテル
■晴れ


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※八雲駅前をスタートする

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※国道5号線は海岸線に沿って北上する。

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※小さな川をいくつも渡った。鮭?がいる川もあった。

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※小樽の表示も出てきた。

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※北海道らしい風景が続く

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※モンキチョウ

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※これはクツワムシだろうか。

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※広大な原野の先には海が見えた。

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※函館から100キロを越えた。

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※長万部といえば、カニ。閉められた店も多く見かけた。

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※長万部駅。三度目の訪問である。

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※長万部の商店街。シャッターが下り、人がいなかった。

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※錆びた跨線橋を渡って、長万部温泉街に向かった。


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日本縦断徒歩の旅【東日本編38】石谷~八雲

ステーションビバークを決め込んだJR石谷駅。
眠れないまま、長い夜が明けた。

ちゃっかりと待合室にテントを張ったことはよかったが、貨物列車が通るほぼ一時間毎にスピーカーから「列車が通過します」の案内が響き、通過と同時に巨大な地震が発生したように駅舎が揺れた。
また、駅の真ん前には国道5号線が走っており、トラックの騒音が一晩中止むことはなかった。

明け方、眠れないないまま外に出てみると、眼前に広がる内浦湾にはイカ釣りの漁り火があちこちに灯り、そこには絵に描いたような幻想的な風景があった。

まぁ、これが見れただけでも帳消しだろう。

午前6時、テントを撤収して出発。
昨日に続いて国道5号線を北上する。
函館から札幌を結ぶ大動脈とあって、早朝なのに交通量が半端ではない。
白線の内側を歩く私のすぐ傍らを、騒音を撒き散らしながら大型トラックが疾走していく。

石谷駅にはトイレはあったが手洗いがなく、洗顔ができなかった。
一時間歩いて石倉駅に着いたが、ここも水道どころかトイレそのものがなかった。
結局、顔も洗えず歯も磨けず、山越の関所があったという八雲町の山越駅まで来てしまった。

予定では山越駅から近い『噴火湾パノラマパーク』のオートキャンプ場で幕営するつもりだったが、まだ正午前だったこともあり、先に進むことにした。

ラーメン店で昼食を取ると、寝不足で疲れがでてきたのか歩くペースも落ちてきた。
体が休むことを要求している。
布団の誘惑に負け、八雲町の民宿を予約することにした。

残りの8キロをのんびりと歩く。
さすがに北海道、からりと晴れているのであまり汗もかかず、頬にあたる風も爽やかである。

八雲町から長万部まで続く国道はホタテ街道というだけあって、側溝には何故かホタテの貝殻がたくさん落ちていた。

14時半、八雲駅近くの民宿に到着。

まずはひと風呂浴びて、ひと眠りだ。

■2020年9月19日 北海道森町~八雲町 37683歩 24.49キロ
■民宿まるみ
■晴れ

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※午前5時。石谷駅からイカ釣りの漁り火が見えた

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※朝焼けの駒ヶ岳

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※一夜を過ごした石谷駅

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※札幌の表示がでてきた。

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※駒ヶ岳が背後に大きく見えた。

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※馬頭観音があった。

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※2014年に撮影済みのホーロー看板。北海道で伊勢の看板があることが謎である。

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※熊出没中。

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※北海道らしい風景が続く

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※蝦夷の歴史がこの地にあった。

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※ホタテ街道というくらい国道沿いには貝殻が落ちていた。

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※クジャク蝶?でしょうか。

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※今日の昼食。金太郎ラーメン(950円 八雲町・金太郎)

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※これから歩く、果てしなく続く海岸線。

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※八雲駅が近づいた。

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※ボリュームたっぷりの民宿の夕食。


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日本縦断徒歩の旅【東日本編37】仁山~森~石谷

雨が小降りになるのを待って、8時半に出発。
国道5号線は交通量が多く、歩道を歩いていても濡れ鼠状態。
靴の中までびしょ濡れである。

大沼公園を過ぎても雨は止まず、雨雲レーダーの予報では11時には雨が上がるはずだが、益々雨足が強くなっている。

正午近くになって、眼前に駒ヶ岳が見えた。
中腹から上は雲に隠れているが、雄大な裾野がよく見えている。

振り返ってみると、日本縦断の旅を始めてから悪天に阻まれて、見えるはずの山が見えないまま、その存在を感じつつ歩いてきた。
山形では鳥海山はまったく見えず、青森の岩木山は裾野が少しだけだった。
天気が回復した明日は駒ヶ岳がきれいに見えるだろうか。

森町に入ると雨も上がり、薄日も射してきた。
『道の駅You・遊・もり』には広大な公園が隣接しており、テントを張るには絶好のポイントだったが、まだ時間が早くもうひと踏ん張りできそうなので、そのまま国道5号線を北上することにした。

国道は、JR石谷駅の手前にあるトンネルと、線路の上を通過する跨線橋の部分がなかなかのいやらしさだった。
440メートルのトンネル内には幅50センチ程度の歩道しかなく、疾走してくるトラックの風圧に耐えながら壁を伝うように通過した。
また、跨線橋については歩道がなく、とにかく急いで脱出することを考え、老骨に鞭打って150メートルを走り下った。

どちらもクルマが来なければ何でもないが、交通量が半端ではない。
まったく息が抜けずに、緊張感を持続させながらの対応だった。

さて今夜の宿であるが、JR石谷駅(無人駅)でステーションビバークをすることにした。

駅舎の前でガムを踏んづける(それも、両足とも)という失態をしたが、この駅舎、レトロでなかなか渋い。
待合室に置かれたノートには、徒歩や自転車でこの駅に立ち寄った旅人のメモがあった。
日本一周や縦断の人もいた。

とっぷり日が暮れ、すでに4時間ばかり待合室にいるが、到着した4本の普通電車はいずれも乗降客なし。
22時33分の最終まであと2本。
ありがたく一夜の宿をいただこう。

それにしても、駅寝をするのは何十年ぶりだろうか。

青春時代を思いだす(笑)

■2020年9月18日 北海道七飯町~森町 46224歩 30.04キロ
■JR石谷駅 ビバーク
■雨のち曇り

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※雨の仁山駅を通過すり函館本線の電車。

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※国道5号線。大沼公園の蓴菜沼を左に見る。


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※雨に煙る駒ヶ岳と大沼。

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※大沼を抜けるとラッキーピエロがあった。

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※天気が回復してきた。駒ヶ岳が大きく姿を現した。

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※森町の道の駅に隣接した公園

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※国道5号線を行く

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※歩道の幅が狭く、いやらしかったトンネル。

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※駒ヶ岳が近づいてきた。

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※今夜の宿、無人駅の石谷駅。レトロな駅舎である。

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※石谷駅のホームから。

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※今夜の夕食は森のいかめし。

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※寒くなってきたのでテントを張らせてもらった。どうか大目に見てほしい。(許してください)


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日本縦断徒歩の旅【東日本編36】函館~仁山

午前8時、函館駅前から出発。
北海道の旅が、いよいよ始まった。

天気は雲っているが、予報では午後から晴れるようだ。
さすがに北海道、半袖のTシャツでは少し肌寒い。

国道227号線を歩くが、まず目指すのがフェリー埠頭。
昨日、青森から入港したが、函館駅までの区間をバス移動したので、少し遠回りになるが立ち寄ることにした。
歩きにこだわる身には、たとえ1センチたりとも線を途切れさせたくないのが、その理由。

北斗市に入ってすぐに『ハセガワストア』を発見。
よぉ~し、これで今日の昼メシが決まった。

『ラッキーピエロ』と並ぶ『ハセガワストア』は、函館では知らぬ人がいないくらいの超有名店。
名物は『やきとり弁当』。
函館を代表するソウルフードである。
函館に出張すると夜食によく食べていたが、まさかここで出逢えるとは思わなかった。
スペシャル弁当600円をテイクアウトし、ザックに入れて歩き出す。

国道沿いには屋根付きのバス停留所があるので、11時を過ぎたのを見計らって、弁当を広げた。
今回の旅では昼食はできるだけ飲食店で土地の料理を食べようと贅沢なことを考えていたが、うまい具合に昼時に店を見つけることが少なく、コンビニのパンやおにぎりというパターンがどうしても多くなっている。
また、飲料については常時2本のペットボトルを持つことにしている。
秋田県では自販機が15キロに渡ってなく、熱中症の恐怖にさらされので、こればかりはザックが重くなってもいたしかたない。

さて、今日のトピックスとして書き留めておくことがある。
国道227号線を北上していくなかで、徒歩で日本縦断中という神奈川県の若者に出会った。
宗谷岬から野宿をしながら歩いてきたという。
年内には九州の佐多岬にゴールをしたいという意気込みに感心した。

私が歩き旅の人に出会ったのは、彼で二人目である。
コロナの影響があるにせよ、冒険心をもったチャレンジャーが少ないことに寂しさを感じる。
一日に40キロ以上も歩く彼とは比べものにならないが、ペースは遅くても目指すところは同じ。
必ずや日本列島に一本の線を引こうと思う。

今夜は、大沼公園の南のJR仁山駅近くにあるニヤマ温泉で泊まることにした。
GO toトラベルで一泊二食3700円という激安料金、しかも夕食はボリュームたっぷりのジンギスカンという謳い文句に負けてしまった。

…ということで、
露天風呂に浸かり、地元のご老人と世間話をし、ジンギスカンをワッセ、ワッセとひたすら食いまくり、ゴロンと布団に寝転んでいる。

これを、【極楽】と言わずしてなんというのだろう。

明日は少し距離を伸ばしてみたい。

■2020年9月17日 北海道函館市~北斗市~七飯町 32588歩 21.18キロ
■湯元ニヤマ温泉ホテルNKヴィラ
■曇りのち晴れ


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※函館駅前から北海道の旅がスタートした

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※函館といえば、やっぱりコレでしょう。

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※昨日、入港したフェリーターミナルに立ち寄った。

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※函館市民はみんな知ってるハセガワストア。

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※ハセガワのやきとり弁当。

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※国道277号線を歩く

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※北海道らしい雄大な田園風景が広がった。

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※県道96号線から集落がある脇道に入ると、明治9年に建てられたという茅葺き民家があった。

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※取り残されたような無人駅。JR仁山駅。

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※今夜は一人ジンギスカンを楽しんだ。


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日本縦断徒歩の旅【東日本編35】青森⇒函館

昨夜は東北赴任時代の元同僚と、青森市内の居酒屋とスナックではしごをし、時間を忘れて飲んだ。

2年ぶりの青森だが、コロナは北の町にも深刻な影響を与えているようで、青森駅正面から直線に伸びる夜のねぶた通りは閑散としており、飲み屋街の人通りもまばらだった。

酔いが回るにつれ、元同僚は「ねぶた祭りが中止になったことが、大きなショックだ」と、何度もこぼしていた。

実は、つい10日前に秋田で同じ話を聞いた。
秋田の場合は『竿燈祭り』や『土崎祭り』だったが、東北人にとっては、祭りは心のよりどころであり、人生そのものだというのもうなずける。
経済的なダメージは図り知れないが、それ以上に精神的な支えがなくなったことが辛いのである。

来年のねぶたは、最大規模になることを願わずにはいられなかった。

さて、今日は北海道に上陸した記念すべき日になった。
青森駅前のホテルを出て、あおもりベイブリッジを渡り、フェリー埠頭まで歩く。
スタートの日にふさわしく、対岸の北海道までが遠くに見えた。

午前10時に津軽海峡フェリーに乗船。
乗客は少なく、フリースペースの部屋もガラガラで貸し切り状態だった。

青森から函館間の新幹線が開通してからも出張で何度も函館に渡ったが、船で渡るのは実に42年ぶりである。
19才の夏、青函連絡船の旅が最初で最後であった。
石川さゆり『津軽海峡冬景色』がヒットしていた頃で、青森港でも函館港でも、どこからともなく、風に乗ったメロディが流れていた。
どちらも演歌が似合う街なのである。

13時40分、函館港に到着。
ここから宿泊予定の函館駅まで6キロの距離があるが、明日の行程で再び同じ道を戻ることになるので、バスで移動することにした。

函館駅近くで北海道担当時代にお世話になった元同僚と待ち合わせ、食事をした。
スープカレーが美味い『吉田商店』。
出張時に何度も通った店だが、相変わらずの美味さだった。

元同僚はテレワークでのマネジメントの大変さと、先が見えないコロナ禍での仕事について苦労しているようだった。
退職して半年も経つと、そんな話も自分とはまったく無縁の別世界の出来事に思えてしまう。
あまりにも変わり身の早い自分に、改めて驚くのだった。

2年ぶりに訪ねた函館駅前は大きく変わっていた。
インバウンドを当て込んだ大型ホテルが何棟もできていたが、そのうちの一つはいまだにオープンが延期になっているという。

以前にはなかったマックスバリュで食料を調達し、ホテルに投宿。

明日からは新たなステージのチャレンジが始まる。
月末のハローワークと人間ドック、歯医者の予約日までに帰るという面倒なことは忘れて、のんびりと北海道を楽しもうと思う。

■2020年9月16日 青森県青森市~北海道函館市 7992歩 5.19キロ
■スマイルホテル函館駅前
■晴れ


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※あおもりベイブリッジからの風景

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※青函連絡船八甲田丸が係留されていた。

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※ベイブリッジから見た埠頭方面。

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※フェリー埠頭で。

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※函館『吉田商店』チキンスープカレー

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※函館駅前に立った。いよいよ北海道の旅が始まる。


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日本縦断徒歩の旅【東日本編34】浪岡~青森

眠れぬまま朝を迎えた。

今思えば、テントを張った場所が悪かった。
道の駅の外れにある児童公園の東屋は狙い目としては良かったものの、自販機のすぐ後ろにテントを張ったばかりに、一晩中うるさく唸るモーター音に辟易した。
更に、東屋はすぐ上にある展望台にいたる途中にあり、午前0時を過ぎても、何組ものアベックがテントの前を行ったり来たり。
そればかりか、展望台からは何やら悩ましい(笑)話声まで聞こえてくる…これではおちおち寝れたもんじゃない。
もっとも、道の駅で野宿しようと思っているのが大きな勘違いなんだけど。

…というわけで、本日もこのところのワンパターンになってしまった、朝方降りだした雨が止むのを待って出発。

通勤時間に重なった交通量が多い国道7号線を北上する。
青森まであと23キロである。
思えば、新潟からずっとこの7号線を歩いてきている。
今となっては、相思相愛の仲である(笑)。

国道を歩いて思うのは、日本はクルマ社会だとつくづく感じること。
そもそも国道はクルマのために設計されており、歩く人にはやさしくできていない。
歩いている人など皆無と言っていい。

十分に幅広い歩道がとってある区間もあるが、反面、草刈りがされておらず、背丈ほどの雑草が繁茂し、真っ直ぐ歩けない歩道もある。
今日歩いた国道7号線の大釈迦峠に至る一部区間は歩道がなく、路肩に張り出した雑草を避けて歩いたが、私の右肩をかすめるかどうかのギリギリのタイミングで乗用車が走り抜けていった。
人の命をなんとも思っていないのか。

彼らにしてみれば、こんなところを歩いていること自体、ナンセンスで自殺行為と思っているのかもしれない。
事故にあっても自業自得、まさに自己責任なんだろう。
もっとも自分が逆の立場になったとき、歩行者を守りぬくことができるだろうか。

ほうほうの体で国道を離れ、県道247号線に入ると、すれ違うクルマも大幅に減って、のんびりと歩くことができた。
いつの間にか、空はすっかり晴れ渡り、赤トンボがのどかに翔ぶ風景があった。
ただ、昼時を過ぎたというのに飲食店がなく、結局そのまま青森駅近くまで来てしまった。

出張時によく足を運んだ『大西』さんの味噌カレー牛乳ラーメンを食べ、改めて青森まで来たことを実感した。

さて、長かった東北の旅のゴールであるが、これはやっぱり、青森県庁や市役所ではなく、青森駅。
東北の北の玄関口であり、北海道という更に北に向かうスタート地。
自分にとっては、『津軽海峡冬景色』の青森駅でなければならぬ。

そんな思いを込めて、午後2時に青森駅前に立った。

明日はここから北の大地、北海道への旅が始まる。
日本縦断徒歩の旅はようやく全行程の1/3が終わったに過ぎない。

旅がますます面白くなってきた。

■2020年9月15日 青森県青森市 35925歩 23.35キロ
■ホテルパサージュ
■雨のち晴れ


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※雨の国道7号線を歩く

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※国道沿いには遺跡もあった。

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※青森市内が近づいてきた。

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※マメの痛みは幾分和らいできたが、テーピングは外せない。

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※季節はそろそろ秋だが、気温は高く汗だくになった。

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※調べてみたら、この虫はウマオイというらしい。

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※コスモス乱れる県道を歩く

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※悔い改めなければなるまいか…。

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※しばし、バス停で憩う。

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※初めて見るタイプの鳥居である。

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※こんな指標一つにも青森県に来たことを実感する。

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※2016年に撮影したホーロー看板が貼られた小屋。健在で何より。

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※青森駅が近づいてきた。

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※青森名物、味噌カレー牛乳ラーメン。

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※青森駅にゴールした。


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日本縦断徒歩の旅【東日本編33】大鰐~黒石~浪岡


耳をつんざく雷鳴と、激しく窓を叩く雨音で目覚めた。

雨に捕まって三日目。
温泉宿で贅沢な休養もできたことだし、今日は何としても出発するつもりだ。

8時に小雨に変わったのを合図に、二日間お世話になった宿を出た。
女将さん曰く、
「あの山が見えたら、雨が上がりますよ」
なるほど、山の稜線が見え始めている。
なんでも昔からの言い伝えだという。

大鰐温泉を目指して国道7号線を歩くが、交通量が多く、トラックが通るだけで傘が飛ばされ、水はねで全身が濡れるのがうっとうしい。

地図で小さな集落を抜ける脇道を見つけ、大鰐温泉への近道になると確信して入ってみたが、リンゴ畑の中で迷ったあげく、途中で道が行き止まりになり、双六のように再び降りだしに戻ることになってしまった。
距離にして2キロの損だ。

右足のマメの痛みは、一歩を踏み出すたびに、まるで活け花で使う剣山に足を乗せているようだ。
特に歩き始めが辛い。
痛みに慣れ始めると麻痺してくるのか、それともドMなのか、痛みを忘れて歩いている自分がいる。

大鰐温泉街を抜けて、国道7号線を離れ県道13号線に入った。
無人販売所で一個100円のリンゴを買い、昼食後のデザートとして重くなるのを承知でザックに入れる。

13時を回ると雨も上がり、黒石市に入った時には青空が出てきた。
雁木のこみせ通りで有名な中町は何度も訪れているので観光はパスし、そのまま県道を急ぐ。

気温は20度で快適なウォーキングといきたいが、マメの痛みがそれを妨げる。
黒石市の外れにあった運動公園でリンゴを食べながらマメのチェックをし、蒸れた靴や靴下を乾かした。

今夜は浪岡町の国道7号線沿いにある道の駅で野宿することにし、途中のスーパーで買い出しをして、小雨が降りだした国道を急いだ。

すっかり暗くなった18時半、『道の駅なみおか』に到着。

この旅、三度目のテントを張った。

う~ん、ビールが喉に沁みわたる。

■2020年9月14日 青森県大鰐町~黒石市~青森市 50314歩 32.07キロ
■道の駅なみおかアップルヒル テント泊
■雨後晴れ

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※大鰐温泉に向かう道を間違え、リンゴ畑の中で右往左往した

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※しつこく雨が降る中、男温泉街を抜けた。

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※国道7号線沿いには手の届くところにもリンゴが…。

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今夜は無人販売所でリンゴを買った

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※県道13号を歩く。雨が降ったり、止んだり。

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※黒石市に入ると晴れ間が出てきた。黄金色の田んぼが目にまぶしい。

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※黒石市のマンホールはこけしのデザイン。

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※リンゴをかじったが血はついていなかった(古い!)

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※学生服のホーロー看板が貼られた廃屋。

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※岩木山が見えた

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※振り返ると、こけしがあった。

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※夕暮れが迫る頃、青森市(浪岡町)に入った。

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※『道の駅なみおか』で野宿


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日本縦断徒歩の旅【東日本編32】大鰐停滞

山の中の温泉宿に連泊している。

マメの状態がよくない。
せっかくの温泉なのに湯船に浸かることもできず、スリッパも履けず、手すりに掴まって長い廊下や階段の登り下りをしている。

天気は予報通り、昼頃から崩れてきた。
雷鳴がとどろき、部屋の窓から見える杉の木が大きく揺れて、雨粒が激しく窓を叩いている。

休養は正解だった。
浴衣で布団に転がり、日がな一日を、テレビを見たり本を読んだりして過ごす。
洗濯もできたし。

こんな贅沢、ないわなぁ…。

この宿、料金もリーズナブルで料理も美味い。
家族経営ということで、昨夜は他の泊まり客とスタッフの皆さんとで、酒を酌み交わした。
オーナーは現役のライダーで、ライダーや一人旅にも人気の宿というのもうなずける。
昨夜も茨城と宮城県からのリピーターがいた。
歩き旅をしている私の話も、酒の肴として盛り上がった。

さて、明日の天気は回復するだろうか。
青森市まであと二日。

雨でも、出発しようと思う。

■2020年9月13日 青森県大鰐町
■正観湯温泉
■雨

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※まるで琵琶湖のようなカタチのマメができた。痛みで温泉も入ることができなかった。

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※正観湯温泉の豪華な夕食


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日本縦断徒歩の旅【東日本編31】大館~碇ヶ関~大鰐

昨日の31度から一転して、気温18度の朝を迎えた。
小雨が降るなか、大館駅から昨日ゴールした白沢駅に移動する。
土曜日とあって弘前行きの普通電車はガラガラだった。

ザックカバーを着け、雨具の上下を着て、傘を指して歩き始める。
陣場集落を過ぎると雨が強くなってきた。

緩やかな登りを黙々と歩き、矢立峠を越え、11時に青森県に入った。
しかし、喜びもつかの間。
県境を越えた途端に歩道が無くなり、疾走するトラックのすぐ脇を緊張感を持ちながらひたすら歩くことになった。

強い風が吹く小雨のなか、碇ヶ関の町に入り、町で一番古いという大衆食堂で名物の自然薯ラーメンを食べ、大鰐町にある予約した宿に向かった。

今日の行程はわずか23キロだが、そろそろ疲れが出てきているので、こんなもんだろう。

15時に山の中の一軒宿に着き、部屋に通されすぐさま痛む足を確認する。
右足の裏にまるで琵琶湖のような形をした大きな水ぶくれができていた。
痛いわけだ。
小石を踏むだけでもズキンと響いた。
直径5センチもあるマメは、大きさではこれまでの最高ランク。
これからの旅を考えると、先が思いやられそうだ。

さて、明日も雨の予報である。
急ぐ旅でもなく、湯治まがいの連泊も悪くない。

■2020年9月12日 秋田県大館市~青森県平川市~大鰐町 34461歩 22.39キロ
■正観湯温泉
■雨時々くもり

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※小雨が降るなか出発

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※羽州街道が通る集落には一里塚があった。

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※新潟からの距離が400キロを超えた

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※長走風穴館という高山植物が自生する施設があったが、あいにく閉館していた。

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※温泉旅館だろうか、草に埋もれ廃墟になっていた。

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※軌道跡が残っていた

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※バス停の待合で。靴下を脱いで足を乾かす。

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※青森県に入った。

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※碇ヶ関の町を歩く。

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※三笠食堂(碇ヶ関)の自然薯ラーメン。700円

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※今日も無人販売所を見つけた

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※本日の宿 正観湯温泉

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※久しぶりの豪華な食事


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日本縦断徒歩の旅【東日本編30】鷹巣~大館~白沢

旅に出て7日目。
恐れていたマメができてしまった。
更に右足のふくらはぎに痛みが出てしまい、湿布を貼って、ロキソニンを飲んで出発した。

マメについては皮膚が固くならなければ痛みは消えない。
靴を変えても靴下をあれこれ悩んでも、これまでの経験ではマメのリスクはそんなに変わらない。
長距離の歩き旅にはマメはつきもの。
毎日恒例となる水疱の処理とテーピングが面倒だが、しばらくの我慢だ。

今日は午前中は気温も25度前後で歩きやすかったが、午後を回ると31度になり、いつものように汗まみれの歩きとなった。

鷹巣の市街地を抜け国道7号線を進むが、交通量が多い国道は排気ガスと騒音で、できれば長くは歩きたくない。
脇道があれば積極的に迂回、道草をしていく。
JR早口駅前の道には、一様にシャッターが下りた古い商店が連なり、誰も歩いていないし、猫も横切らない静かな昼下がりがあった。

大館の市街地に入ると、さすがに忠犬ハチ公の街。
町起こしだろうか、ハチ公のモニュメントがそこかしこにあった。
マニアなら写真に収める遊びも楽しいだろう。
駅前の有名なハチ公像はもちろんのこと、商店の看板や橋の欄干、歩道のタイルにまでハチ公のデザインが溢れていた。

そうそう、ハチ公の生家という案内板もあった。
生家つながりでついでに書き留めておくと、国道7号線沿いには小林多喜二の生誕の地もあった。
多喜二は治安維持法の犠牲となって獄死したプロレタリア作家である。
高校生の頃、『蟹工船』を始めとする作品を夢中になって読んだ。

東北地方には太宰治や宮沢賢治、石川啄木、三浦哲郎等有名作家がたくさん出ている。
雪深い土地ならではの環境と創作活動の関連性があるのかもしれない。

今日のゴールは大館から国道7号線を7キロ北上したJR白沢駅となった。
そこからバスで大館駅まで戻り、駅前のホテルに投宿した。

明日はいよいよ青森県に突入だ。

■2020年9月11日 秋田県北秋田市~大館市 42553歩 27.56キロ
■ホテルルートイン大館南
■雲りのち晴れ

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※道の駅鷹巣には足湯もあった

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※青森が近づいてきた

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※秋の風景でしょうか。

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※早口駅前の道を歩く。誰にも会わなかった

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※大入とは…無人販売の野菜

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※雑草に埋もれた廃墟があった。

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※小林多喜二の生誕の地。チャップリンのほうが目立っている。

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※本日の昼ごはん

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※大館は忠犬ハチ公の街

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※国道7号線を白沢地区に向かうと、湿原を見ることができた。

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※今日のゴール、白沢駅


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日本縦断徒歩の旅【東日本編29】鶴形~二ツ井~鷹巣

始発電車で昨日ゴールした鶴形に向かう。
二ツ井駅を過ぎると、大雨のため電車が止まってしまい、鶴形駅には18分遅れで到着した。

雨は本降りの様相で、古い駅舎の波板屋根を激しく叩いている。
誰もいないがらんとした待合室で、雨具の上下を着て、ザックが濡れないように真っ赤なカバーを着けた。

折り畳み傘を片手に出発。
昨日までは日除けに大活躍していた傘が、ようやく雨の出番となった。

国道7号線に出ると、あっという間に疾走するトラックの餌食になってしまった。
跳ねたしぶきが、バッツシャ、バッツシャと容赦なしに降りかかる。
頭のてっぺんから靴の中までびしょ濡れだ。

国道は山間部に入ると歩道が無くなる区間が続き、後ろからドカンとやられないように傘を揺らしながら歩いた。
私としては合図のつもりだが、ドライバーにしてみれば、(なんで、人が歩いているの?)…と思ったに違いない。
富根駅近くでようやく歩道が出てきたが、除草をしていないので、歩道の役目を為していなかった。

二ツ井の市街地に入り、スーパーのイートインで濡れた雨具を乾かし、ついでに靴下も脱ぐ。
かつ丼を食べながら、無料のお茶をがぶ飲みした。

店を出ると雨が上がっていた。
天気の回復は急速で、古い町並みが残る通りを歩く頃にはすっかり青空となっていた。
二ツ井は2005年にホーロー看板探しで訪れたが、その時に撮影したレトロな看板がずらりと並んだ商店はまだ健在であった。

今日の予定は雨を見越して鷹巣のホテルを予約したが、二ツ井の町外れにある道の駅に立ち寄ってみると、素直に早まったことを後悔した。
道の駅には畳敷の休憩スペースもあって、十分に仮眠可能だった。

国道7号線を離れ鷹巣の町に向かうと、見渡す限りの広大な田園風景が広がった。
鷹巣は北秋田においての大穀倉地帯のようだ。
お米は『あきたこまち』だろうか。
もっとも、それしか知らないので…。

16時、鷹巣のホテルに到着。
小さな町のホテルだけあって、競争もないので“殿様商売”である。
Go toトラベルの対応もなく、素泊まりで5800円だった。

部屋の壁も薄く、隣室のシャワーの音や配水管に流れる水の音がうるさくて仕方がない。

まぁ、一晩ぐらい我慢してやろう。

■2020年9月10日 秋田県能代市~北秋田市 42283歩 27.48キロ
■ホテルニュー松尾
■雨のち晴れ

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※鶴形集落で。昨日に続き、しょうき様発見。

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※雨の国道7号線。歩道は草ぼうぼう。

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※ありがたく雨宿りに使わせてもらった

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※米代川を渡って、二ツ井の町に入った

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※二ツ井の町並み風景

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※銭湯があった。

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※15年ぶりの再会。

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※県道317号線。右が歩行者用トンネル

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※道の駅ふたつい。快適できれいな施設だ

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※道の駅には二ツ井地方で伝わるしょうき様が展示されていた。

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※白神山麓のあんこ餅を食す

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※前山地区には蕎麦畑があった。しかし、蕎麦屋は見当たらない

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※JR前山駅。しばしまどろんだ

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※田園風景に貨物列車が映える

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※黄金色の輝き

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※夕暮れが迫り、田んぼアートならぬ田んぼシルエット

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※鷹巣の町が近づいてきた

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※秋田内陸縦貫鉄道の電車がやってきた


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日本縦断徒歩の旅【東日本編28】琴丘~鶴形

寝苦しく、汗まみれの熱帯夜が明けた。

夜中に激しい雷雨に見舞われたが、駐車しているトラックのエンジン音が気になり、テントを建物の軒下に移動していたおかげで運よく濡れるのを免れた。

ぼんやりした寝不足の頭でテントを撤収し、6時45分に出発。
国道に出た途端、生暖かい空気が体を包みこんだ。
どうやら、今日も気温が高くなりそうだ。

国道7号線を北上し、鹿渡駅を過ぎたところで県道217号線に入る。
三種町の特産品・じゅんさいの沼を見ながら、県道4号線に合流し黙々と歩いていく。

東能代に続くこの道はアップダウンが多く、ウォーカー泣かせである。
登りは息が切れ、下りでは膝がガクガクしてくるので始末が悪い。
県道と平行して羽州街道が通っており、『日本奥地紀行』を書いたイザベラ・バードが旅した歴史の道としても知られている。
国道ばかり歩いていても新たな発見はないが、秋田音頭で有名な桧山納豆の桧山地区には、江戸時代に造られた松並木もあり、樹齢200年という巨木も見ることができた。
更に滑稽だったのは、田んぼに突然現れたずらりと並んだ案山子。
遠くから見ると、人にしか見えない。
どれもリアルで面白い。
この集落の人たちは遊び心満点だ。

今日のペースは遅く、午後2時にようやく24キロを超えた。
暑さは昨日よりも和らいだが、それでも30度を超えているようだ。
ここまでにペットボトルをすでに5本空にした。
昨日は風呂も入れなかったので、体は汗みどろだ。
寝不足も手伝って体も重く、足取りもきつくなってきた。

さすがに二日連続の野宿は辛い。
国道7号線に出たのを機に、明日以降の行動を考慮して少し短いが鶴形駅で切り上げることにした。
早速、楽天トラベルでホテル予約を検索してみたが、能代、鷹ノ巣とも空室はなく、JRで40分先の大館のホテルを予約することになってしまった。

明日は早朝出発となるが、今夜の安眠のためなら仕方あるまい。

■2020年9月9日 秋田県三種町~能代市 39357歩 25.58キロ
■ホテルルートイン大館南
■晴れ

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※県道4号線。交通量が少なく快適

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※刈り取りを待つ田んぼの風景

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※公園の東屋でしばし涼む。

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※県道と平行して羽州街道が通っている

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※街道沿いの旧家の軒天には見事な彫刻があった。

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※そろそろ秋も近い

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※【太平山】と刻まれた石を奉る。幾度も見かけた。

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※江戸時代に整備された松並木。桧山地区で。

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※これはある意味、怖い。

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※こんなのまであった。

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※鶴形地区は十割蕎麦の里

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※しょうき様が奉られていた。鶴形地区

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※本日のゴール、鶴形駅


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日本縦断徒歩の旅【東日本編27】土崎~八郎潟~琴丘

土崎のホテルを7時30分に出発。
今日も朝から暑い。
交通量が多い国道を歩いているので、なおさら暑さを感じる。

デイサービスの建物の日陰になったスペースを借りて休んでいると、まさに絵に描いたような秋田美人の職員さんから声をかけられた。
靴下まで脱いだテーピングだらけの足を見て、「大丈夫ですか」ときた。
勝手に休んでいる私に注意をしてくるのかと思っていたが、さにあらず。
やさしく声をかけてくれた彼女にいたく感動したのであった。

甲子園で一躍有名になった金足農業を右手に見ながら進み、大きく迂回する国道を避けて、大清水の交差点から県道104号線に入った。

すでに正午を回っているが、飲食店もなく、空腹と暑さにヘロヘロになりながら八郎潟に向かう。
景色が開け、広大な田園風景に囲まれていることに気づいた。

シャッターチャンスとばかりにスマホを向けていると、傍らにクルマが止まった。
降りてきたのは、一昨日会ったばかりの会社のメンバーだった。
仕事中に通りかかって、ザックを背負った変な人に、もしや…と思ったそうである。
しばらく立ち話をして、写真を撮ってもらった。
偶然とはいえ、良い思い出ができた。

コンビニで買ったざるそばをJR井川さくら駅の駅舎で食べたが、図書の貸し出しコーナーやテレビまである冷房が効いた立派な待合室だった。
思わず泊まりなくなったが、残念なことに午前0時にシャッターが下りるということだった。

さて、今夜はどこに泊まるか…地図を睨んで候補を2つに絞った。
1つ目は鯉川駅近くにある三倉鼻公園。2つ目は『道の駅ことおか』。
八郎潟駅を過ぎ、どちらの目的地まで最後になるコンビニで今夜と明日の朝食の買い出しをし、更に重たくなったザックを背負って歩きだす。

三倉鼻公園はちょっとした山の頂上にあり、汗だくになって登ったが、頂上近くに駐車場があるだけで、トイレもなく、なによりまったく人気がなく、山の霊気を感じてパスすることにした。
ただし、付け加えておくと駐車場からの展望は広大な八郎潟を見渡すことができる絶景だった。

…ということで、今夜は『道の駅ことおか』でテントを張った。
暑さと蚊の襲撃にイラついている。
更に追い討ちをかける、駐車しているトラックのエンジン音。

明日は能代を目指すが、この暑さ、いい加減にして欲しい。

■2020年9月8日 秋田県秋田市~八郎潟町~三種町 48569歩 31.56キロ
■道の駅ことおか テント泊
■晴れ

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※朝から交通量が多い国道7号線を歩く

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※可憐な花が目を楽しませてくれる。金足あたり。

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※八郎潟が近くなると、広大な田園風景となった

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※後ろ姿を撮ってもらった

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※羽後街道の一里塚があった

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井川さくら駅

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※どこまでも続く田園風景

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※午後4時でこの気温

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三倉鼻公園からの八郎潟の展望

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※北緯40度を超えた

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※今夜のねぐら

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日本縦断徒歩の旅【東日本編26】下浜~秋田~土崎

今年最高の36.1度を記録した秋田市。
台風の影響によるフェーン現象ということだが、よりによって、私が歩いているときにこんな記録が生まれなくても。
9月としても過去最高の数値のようだ。

JR秋田駅から昨日ゴールした下浜駅まで戻り、7時20分スタート。
太陽はすでに高くにあり、半袖の腕をジリジリと焼く。

新屋までは国道7号線を行くが、途中で道を外れ浜田の集落に入った。
旧街道が通る集落内には本陣跡や庄屋の屋敷跡、古い神社もあって見飽きない。

しかし、暑さは容赦ない。
日陰を見つけては休むことを繰り返し、大森山公園を越えて新屋の町に入った。
日吉神社から始まる古い町並みには、今も生活用水に使われている湧水や石仏も残っており、ここが能代につながる街道だったことを物語っていた。

『ツバキ醤油』のホーロー看板が掲げられた醤油醸造元を見つけ店内に声をかけると、温厚そうで上品な女将さん登場。
その昔、ご先祖が金沢から北前船でこの地にやってきたという歴史に始まり、店に伝わる調度品等を見せていただくことになった。
話好きの女将さんになかなか“離して”貰えず、(困ったな~)と思ったとき、突然思い出した。
なんとこの店には2008年にホーロー看板探しで訪れており、今とまったく同じように女将さんに捕まったということを(笑)。
まったくマヌケな話であった。

想定外の道草で時間を食ったので少しピッチを上げて歩くが、雄物川を渡ってから国道7号線に出る頃にはとんでもない暑さになってきた。

昨日も暑かったが、今日はその比ではない。
コンビニに飛び込んであずきバーを頬張り、廃屋の日陰で座り込みペットボトルを一気飲み、バス停の待合で涼んだ。

昼時になり、国道7号線沿いでようやく見つけたラーメンに入った。
暑い時に熱いラーメン。
もう、やけくそである。
汗みどろででかいザックを背負った私を見て、「暑くて大変でしたね」と言いながら、店員さんは一番涼しい席に案内してくれた。

土崎まであと2キロ、更に先に進むか迷ったが、建物に設置された電光板が気温36度と表示されているのを見たとき、心は決まった。

土崎にあるホテルを予約し(禁煙が満室だった)、チェックインまでの間、土崎の町を散策。
土崎祭りの伝承館を見たり、シャッター街となっている商店街を歩き、土崎港に立ち寄りホテルに入った。

今日は暑さのおかげで距離を伸ばせなかったが、熱中症で倒れるよりはましだろう。
天気予報は明日も危険な暑さを伝えている。

さて、どこまで行けるだろうか。

■2020年9月7日 秋田県秋田市 32737歩 21.27キロ
■ホテルルートイン秋田土崎
■晴れ

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※下浜から国道7号線を北上する。すでに肌を焦げ付かせる暑さだ

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※浜田の集落にあった本陣跡

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※石仏が佇む旧街道が通る新屋

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※新屋。今も生活用水に使われている湧水。

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※新屋の町並み

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※醤油醸造元に残っていたホーロー看板

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※雄物川の風景

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※雄物川を渡る。歩くと揺れる橋だった。

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※昼食はがっつりいった。禁断のダブル炭水化物

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※土崎伝承館

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※土崎祭りの山

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※土崎の町を歩く

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※ババヘラソフトクリーム

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※土崎港ポートタワーを仰ぎ見る


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日本縦断徒歩の旅【東日本編25】西目~下浜

児童公園に張ったテントは思いのほか快適で、松林を揺らす風の音を聞きながら眠ることができた。

朝陽が公園の遊具を照らし始めたのを合図に、6時出発。
道の駅に立ち寄ると、休憩所の軒下にはライダーのテントが一張りあった。

天気予報では午後からの気温が34度になるというので、涼しい午前中に距離を稼ぐことにし足早に歩きだす。
国道7号線は海岸線に沿って真っ直ぐ北に向かっていく。
子吉川を渡り、由利本荘市の市街地を抜けると、真っ青な空とそれに負けないぐらいの群青の海に、男鹿半島が遠くに浮かんでいた。

正午前に道の駅岩城に到着。
ちょうど20キロ歩いてきた。
ここでテントを張る予定だが、併設しているオートキャンプ場は休業しており、時間がまだ早いこともあって、更に進むことにした。

しかし、この判断は間違っていたのだろうか。
時刻が午後を回ると、予報通りの酷暑となった。
ぬぐってもぬぐっても、汗が止まらない。
暑さに我慢できずに途中からズボンの膝下をファスナーで切り離し、半ズボンにして歩いているが、容赦なく太陽が肌をジリジリと焦がしていく。

オアシスのようなバス停の待合で、ベンチに座って朝から3本目のペットボトルを一気呑み。
汗に湿った靴下を脱いで、ビーチサンダルに履き替えて足を投げ出した。

それにしても暑い。
遥か南の九州では台風10号が大暴れし、甚大な被害を出しているというのに、遠く離れた北国で暑さに参っている自分がいる。
つくづく、日本は広いと思う。

かげろうが揺れる国道を汗を滴らせながら、視線はテントが張れそうなポイントを探していく。
海水浴場という手もあるが、遮る木陰もなくギラギラと反射する砂浜を見ると食指が動かないのだ。
あーだ、こーだと難癖をつけながら、テント場は一向に見つからないまま、JR下浜駅まできてしまった。

出発してからここまでちょうど30キロだ。
暑さとテントが張れそうそうもないことを理由に、秋田駅前のホテル泊まりに変更することに決定。
今回の旅は積極的な野宿と息巻くも、わずか二日目にてホテル泊という体たらくになってしまった。

下浜駅からはバスで秋田駅に行き、GO TOトラベルのおかげで激安料金で泊れることになったホテルに投宿し、縦断の旅二日目が終わった。

チェックイン後、東北赴任時代にお世話になった同僚5名(女性)がホテルを訪ねてくれた。
マスク姿でしばしの再会を楽しむというサプライズのオマケがついた。
ただ、一人の名前がどうしても思い出せず、すまないことをしてしまった。
もっとも、名字を教えられたら、速攻で下の名を思いだすという変なオヤジであった。
そうそう、自慢じゃないが私の特技は、女性の名前をフルネームで覚えることだった(笑)。

明日は再び下浜に戻って、秋田市を目指す。

■2020年9月6日 秋田県由利本荘市~秋田市 45209歩 29.38キロ
■コンフォートホテル秋田駅前
■晴れ

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※子吉川を渡る。由利本荘市

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※日本海を左手に国道7号線を北上する。遠くに男鹿半島が見えた

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※ロシア漁民の遭難碑があった

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※休憩の都度、靴下を脱いで足を労る

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※巨大な風力発電の風車がガタゴトと軋みながら回っていた

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※道の駅岩城。昼時とあって混雑。昼メシにありつけなかった

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※道の駅岩城から見た日本海

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※青森まで222キロ。ゾロ目である

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※かつての同僚たちに再会。餞別をいただきました。


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日本縦断徒歩の旅【東日本編24】西目

午後16時9分、JR西目駅(秋田県)に降り立つ。8時間の列車の旅はさすがに長かった。

前回リタイアした『道の駅にしめ』まで国道7号線を歩く。
田んぼが黄金色に輝き、風景はすっかり秋色に変わっている。

30分で道の駅到着。
忘れもしない、7月に足を痛めて泣く泣くリタイアした場所だ。あれから約2ヶ月、ようやく戻ってきた。
今回はテントを担いできたので、積極的に野宿をするつもりだ。

日没まではまだ時間があるので、テントが張れそうな場所の目星をつけから、道の駅の敷地内にある『湯っこランド』という温泉施設で汗を流した。
隣接しているマックスバリュで食料を買い出し、暗くなったのを見計らって、目星をつけていた児童公園でテントを張った。

缶ビールを呑みながらブログの更新を始めたが、気温が下がらず、汗だくになっている。
更に追い討ちをかける憎っき蚊の襲撃。
アルコールで火照った肌が美味いのか、テントに侵入した奴らに何ヵ所も刺されてしまった。

今夜は、暑さと痒さのダブル試練の夜となりそうだ。

■2020年9月5日 秋田県由利本荘市 3530歩 2.51キロ
■道の駅にしめ近くの児童公園でテント泊
■晴れ

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※東京駅でご贔屓の『シウマイ弁当』を仕入れて秋田新幹線に乗り継いだ

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※車窓から見える景色は一面の黄金色。大曲付近

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※羽越本線西目駅に降り立つ。長旅だった

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※前回歩いた国道を道の駅目指して進む。すっかり秋景色。しかし、気温は30度超え。

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※再スタートの道の駅に到着。明日から長い旅が始まる

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※児童公園でテントを張った


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旅を再開します

明後日から中断していた日本縦断徒歩の旅を再開することにしました。

7月21日に京都にゴールした後、この一月半、暑さを避けてひたすら自宅にこもる毎日でした。
トレーニングとして毎日10キロを歩いてきたので体はなまっていませんが、亀の甲羅のようにカチカチだった足の裏のマメはいつしかなくなり、体重も1.5キロほど増えました。
コロナのほうは、私が住む岐阜県は県独自の緊急事態宣言が出されたこともあり、8月31日をもって県外への移動自粛要請もようやく解除されました。
とはいえ、外に出る以上、感染のリスクは避けて通れません。
“うつらない”“うつさない”を肝に銘じて、極力人に接触しないように心がけて旅を開始しようと思います。

さて、これまでの足跡を振り返ってみると、
自宅がある岐阜県から北は秋田県の由利本荘市、西は京都市までの約830キロを歩いてきました。(下図の赤線ライン)

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日本列島の1/3にも満たない距離です。
当初の計画ではコロナがなければすでに7月には宗谷岬にゴールしていましたが、軌道修正して年内の完歩を目指したにも関わらず、7月には足を痛めて秋田でリタイヤ、さらにこの猛暑で中断という状況になってしまいました。
年内の完歩は諦め、これから冬に向かう北海道は来年に先延ばし、今年は北は青森まで、南は鹿児島の佐多岬までをチャレンジすることにします。

毎月2回のハローワーク通いと持病の定期診察があるので、長期の日程が確保できないのが残念ですが、細切れのように線を延ばしていきたいと思います。

まずは、青森を目指します。

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8月の読書

猛暑だった8月は、どこにも行かずに自宅で過ごす毎日でした。
ここぞとばかりに、片っぱしから積ん読を崩していました。
読んだ本は21冊。
相変わらずの乱読、久しぶりのハイスコアでした。

8月の読書メーター
読んだ本の数:21
読んだページ数:5988
ナイス数:78

おまもり―ホロコーストを生きぬいたある家族の物語おまもり―ホロコーストを生きぬいたある家族の物語感想
ユダヤ人絶滅収容所は数多くあるが、この本の舞台となったのはドイツのベルゲン=ベルゼン。アウシュヴィッツのようなガス室はなかったが、チフスや栄養失調で多くの命が失われたという。また主人公一家が難民として移送されたオランダの収容所についても触れている。
ホロコースト関連の本に共通する生存者の証言はどれも凄惨を極めるが、この本は解放当時10才だった少女の証言をもとに編集されており、児童書として中学生でも理解できる内容となっている。戦争の悲惨さを伝える資料として広く読んで欲しいと思う。
読了日:08月31日 著者:リラ パール,マリオン・ブルーメンタール ラザン
京都の流儀―もてなし篇― (翼の王国books)京都の流儀―もてなし篇― (翼の王国books)感想
リタイアする前、出張のANAの機内で毎月楽しみにしていた機関誌のお気に入りシリーズ。2作目の今回も魅せられてしまった。知らない世界を居ながらにして知ることができるのは読書の最大の魅力であり、楽しみ。それが自分が棲む日常からかけ離れているほど嬉しい。活字を通して花街のしきたりに触れ、舞芸妓さんたちの美しい写真を見るだけでも価値がある。『翼の王国』の連載は続いているので、シリーズ3作目の上梓が待ち遠しい。
読了日:08月30日 著者:徳力龍之介
読書の価値 (NHK出版新書 547)読書の価値 (NHK出版新書 547)感想
第四章【読書の効用】のなかで著者曰く~本には、日常から距離を取る機能がある…まったく同感。それを体感したくて私は多くの時間を読書に当てている。気になるのは電子書籍の動向。著者が言う、紙からとって代わる時代は近いのか。日々、本棚を眺めることで心の平安を得、至福の時間を過ごすフェチな自分にはそんな未来はゴメンである。
読了日:08月30日 著者:森 博嗣
色街を呑む!―日本列島レトロ紀行 (祥伝社文庫)色街を呑む!―日本列島レトロ紀行 (祥伝社文庫)感想
レポにある色街の選択が、メジャーな飛田新地を除いてマイナーなのが良い。私もいくつか訪ねたことがあるが、地元の人も行かない路地の奥のそんな場所で、著者が『結界』という言葉で表現しているように、その場に立つと空気が変わることを実感している。
著者の、色街で呑むというこだわりと目的はどこにあるのか最後まで分からなかったが、『結界』を越えた異空間での緊張感と、正体を忘れるくらいまで呑むことで、それを解き放つ酒の力による魂の弛緩を求めていたのかもしれない。全編を通して酒で亡くなった著者ならではの名レポだと思う。
読了日:08月30日 著者:勝谷 誠彦
無能の人・日の戯れ (新潮文庫)無能の人・日の戯れ (新潮文庫)感想
つげ義春の作品は忘れた頃に思い出しては頁をめくっている。
なかでも『無能の人』の連作は最高傑作だと思う。著者を投影した主人公には、先が見えない虚無で退廃的なやるせなさの中に、流されながらも生きていくしたたかさが見える。この“やるせなさ”を感じとることが私にとって、一連のつげ作品に共通している魅力だと思う。
読了日:08月29日 著者:つげ 義春
停電の夜に (新潮文庫)停電の夜に (新潮文庫)感想
これまで自分がもっていた短編小説の概念が変わったと思える作品集。短編には起承転結のストーリーが当たり前で、短いながらもオチが必要だと思っていたが、この作品集に共通するのはそんなことはどうでもよい、心地よい余韻。なかでも『三度目で最後の大陸』が、情景がありありと浮かぶようで、叙情的でグッときた。
読了日:08月29日 著者:ジュンパ ラヒリ
京都の流儀 (翼の王国books)京都の流儀 (翼の王国books)感想
ANAの機関誌『翼の王国』に連載されているコラムですが、出張に行く機内でいつも楽しみに読んでました。単行本化にあたり加筆・修正されているので、文章もいくぶん短くなっているようです。
さてこの本、これまでもこれからも、私には一生縁がないであろう花街のお茶屋のしきたりや舞妓遊びなど、京都の雅な一面を知ることができて貴重です。写真も雰囲気が良くてセンスを感じます。
読了日:08月25日 著者:徳力龍之介
限界集落ーMarginal Village限界集落ーMarginal Village感想
写真の中のご老人たちの表情が印象的。特に目が良い。深いシワにも人それぞれの生きざまが表れているようだ。寂寥感が漂う写真を見ていると限界集落の存在は国の貧しさの象徴でもあり、ただ朽ちるがままに放置する行政側に憤りを感じずにはいられない。
読了日:08月23日 著者:梶井照陰
津山三十人殺し―日本犯罪史上空前の惨劇 (新潮文庫)津山三十人殺し―日本犯罪史上空前の惨劇 (新潮文庫)感想
あまたある犯罪本のなかでも名著ではないだろうか。歴史の闇に埋もれていた事件を戦時下での当時の風俗、社会背景を織り混ぜ、多角的に検証し、掘り起こした著者の努力に敬意を表したい。されど、“死人に口なし”、犯人の苦悩と狂気の内面までは永遠に捉えられない。蛇足だが、この事件は過去何作もの『八つ墓村』の映画・TVドラマでの重要なテーマになっているが、吉岡秀隆主演で2019年にドラマ化された再現シーンが一番リアルだったと思う。


読了日:08月23日 著者:筑波 昭
川上弘美書評集 大好きな本 (文春文庫)川上弘美書評集 大好きな本 (文春文庫)感想
書評の要諦は読書欲を刺激する一点にあり、読者がすぐ書店に行って買いたいと思うように誘導する…と、ある作家の著作解説に嵐山光三郎が書いたが、著者の文章は前置きが長くて、回りくどくて、癖がある。購買意欲をそそる万人受けの分かりやすい表現ではなく、面白味も少ない。短文であるのに最後まで読む気がしない。新刊の新聞書評や解説だからこそ、これでいいのかな?と思ってしまった。
読了日:08月21日 著者:川上 弘美
野蛮な読書野蛮な読書感想
初めて著者の作品を読んだ。あらためて文章の旨さに舌を巻く。
奇しくも私と同じ年齢。エッセイにラインナップされた本には私の世代でも時代が古い獅子文六、宇能鴻一郎、池部良といった往年の渋い作家や写真家の作品もありその幅の広さに驚く。
私も大好きな山田太一『異人たちとの夏』や棟方志功『板極道』が紹介されており、思わずニヤリとしました。
読了日:08月18日 著者:平松 洋子
日本列島縦断歩き旅-宗谷から佐多へ-日本列島縦断歩き旅-宗谷から佐多へ-感想
還暦を迎えた著者が85日間で日本列島を北海道から鹿児島まで徒歩で縦断した記録。同様な徒歩旅の本は多くあるが、何よりも日記形式で昼食のリンゴ一個の値段まで詳細に記録した内容が後に続くチャレンジャーたちへの貴重な資料となること請け合いである。著者あとがきで、旅の中で宿や食事、洗濯、トイレといった衣食住の心配から解放されることがなく雑念に支配されたと語っている反面、日本の風景の美しさや接した人々の寛容さにも触れている。そんな意味では3000キロの旅は人生の記憶に残る大きなチャレンジであったに違いない。
読了日:08月17日 著者:方波見 光彦
ヤマケイ文庫 山怪 山人が語る不思議な話ヤマケイ文庫 山怪 山人が語る不思議な話感想
マタギや山里に住む人々が語る、山で体験した不思議な話が多く収められているのが新鮮。現代版の『遠野物語』のようです。
30年以上登山をしてきた私ですが、一度もこうした経験はないです。鈍感なんでしょうね。

読了日:08月17日 著者:田中 康弘
実践! 多読術  本は「組み合わせ」で読みこなせ (角川oneテーマ21)実践! 多読術 本は「組み合わせ」で読みこなせ (角川oneテーマ21)感想
多読はともかく、併読は3冊が限度かな。
著者のように最後まで読みきるのは10~15%という贅沢な読み方はできず、面白くなくてもつい最後まで読んでしまう、貧乏性です(笑)。
お金があれば新刊を追っかけたいが、この本も10年前に出された鮮度が落ちた本。
読了日:08月14日 著者:成毛 眞
なぜ八幡神社が日本でいちばん多いのか 最強11神社―八幡・天神・稲荷・伊勢・出雲・春日・熊野・祗園・諏訪・白山・住吉の信仰系統 (幻冬舎新書)なぜ八幡神社が日本でいちばん多いのか 最強11神社―八幡・天神・稲荷・伊勢・出雲・春日・熊野・祗園・諏訪・白山・住吉の信仰系統 (幻冬舎新書)感想
普段何気なく訪れ、何のこだわりもなく参拝している神社。
この本は神社の分類、御神体、歴史、分布、祭礼と、神社のことを分かりやすく体系的に多くの疑問に応えてくれた入門書という位置付けかな。タイトルの八幡神社の内容には特化していないのがちょっと残念ですが、神社の全体像を知る上には勉強になります。
読了日:08月13日 著者:島田 裕巳
マンボウ思い出の昆虫記 虫と山と信州とマンボウ思い出の昆虫記 虫と山と信州と感想
私が読書に目覚めたのは中学生の時に『どくとるマンボウ昆虫記』を読んでから。それから早50年。著者没後に出されたこの本はファン必読の書だと思います。昆虫と山への愛着ばかりでなく、旧制松高時代に寄稿された小編には、美しく流れる文章に並々ならぬ才能を見ることができます。後年発表された『谿間にて』のモチーフになったエッセイや、巻末に収録されている『思出之昆虫記』は虫への愛が溢れており、著者の新たな側面を見ることができました。
読了日:08月09日 著者:北 杜夫
てっぺん 我が妻・田部井淳子の生き方てっぺん 我が妻・田部井淳子の生き方感想
唯川恵『淳子のてっぺん』つながりで読む。一時代をリードした稀有なアルパインクライマーである夫婦とも、登山家ではなく“登山愛好家”“山屋”と称しているところが謙虚で好感が持てる。田部井淳子さんが生涯を山屋であり続けた裏には著者の献身的な支えがあったことに、たぐいまれな夫婦愛を見た思いでした。
運もありますが、私の知ってる限りでも登山史に残る実績を残した山屋で還暦を過ぎて死ぬ間際まで山を登り続けた人はそんなにはいないです。困難なルートに挑み続けた登山家たちのほとんどが山に逝っていますね。
読了日:08月08日 著者:田部井 政伸
お好みの本、入荷しました (桜庭一樹読書日記) (創元ライブラリ)お好みの本、入荷しました (桜庭一樹読書日記) (創元ライブラリ)感想
読書日記シリーズ三作目。今回もマーカー片手に読みたい本をチェック。どんどん積ん読が増えていく。
今更ですが、著者の小説は一冊も読んでいないので、そろそろと思い、『私の男』と『赤朽葉家の伝説』を購入。
…といっても、チェックして買った本が順番待ちしているので、ページをめくるのはまだまだ先になりそうです。
読了日:08月07日 著者:桜庭 一樹
淳子のてっぺん (幻冬舎文庫)淳子のてっぺん (幻冬舎文庫)感想
この小説の主人公・田部井淳子さんの足跡についてはいくつかの著作を読んできたので大方知っていたが、小説として読むと、また違った側面を知ることになって新鮮だった。クライミングで使うシットハーネスは、その昔ゼルブストといっていたが、文中で出てきたので思わずニンマリしました。
読了日:08月06日 著者:唯川 恵
書店はタイムマシーン (桜庭一樹読書日記) (創元ライブラリ)書店はタイムマシーン (桜庭一樹読書日記) (創元ライブラリ)感想
読書日記の第二弾。今回も読みたい本をマーカーでチェックしながら読了。
山口瞳『血族』、フィリップ・グランベール『ある秘密』などをチェック。
それにしても著者の読書愛に驚く。ご飯を食べるように本を読んでいる。そして、取り巻く編集者たちの本好きにも脱帽。日記には直木賞受賞のいきさつもあって今回も楽しく読めた。
読了日:08月04日 著者:桜庭 一樹
売春島 「最後の桃源郷」渡鹿野島ルポ売春島 「最後の桃源郷」渡鹿野島ルポ感想
渡鹿野島のことを知ったのは40年近く前だろうか。当時、若く血気盛んな友人たちから、武勇伝のごとくこの島で遊んだ話を幾度なく聞かされたことを覚えている。非合法の売春によってこれといった産業もなかった島は潤い、多くの住民はその恩恵を受けたわけだが、離島に限らず、地方都市や過疎の村にしかり、現代の日本は高齢化と産業の衰退によって凋落の一途をたどっている。単なる風俗レポートではなく、この作品はそんな日本の光と影を冷徹な目で表現してくれたと思う。
ちなみに、上原善広著『辺境の路地へ』にもこの島のレポが書かれている。
読了日:08月03日 著者:高木 瑞穂

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[ 2020/09/01 ] ▼読書 | TB(0) | CM(0)