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今年最後のスーパームーン、
スーパーストロベリームーン2021は2回の撮影で挑んだ
1回目は6月24日早朝に自由の女神のもとに沈みゆくスーパームーン
撮影現場は月の入りの場所が
先月のスーパームーンとほぼ変わらないこともありマンハッタンの南からに決める
3:15AMに起床し、自宅出発の準備をする
体感温度は65℉(18℃)、湿度59%
※I Phoneより
少し湿気のある感じはするがまだ気持ちの良い撮影環境
自宅を出発しCiti Bikeに乗り込む
※I Phoneより
Battery Park近くで自転車を返却するDockが空いてないことを知り少し手前で返却
そこから15㎏の機材を担いで現場まで歩く
撮影現場近く、
今回は横構図で撮りたいと決めていたので他のフォトグラファーとは少し場所が違い、周りに誰もいない
他のフォトグラファーは自由の女神のトーチとスーパームーンを縦構図で重ね合わせる為、
少し西側に黒い影がいくつか見える
セッティングをしていると後ろから足跡が聞こえる
「他のフォトグラファーが来たのかな?」
と、後ろを振り返り、暗い中目を凝らしてみているとバックパックなどの荷物を持たずに歩いてくる
これはちょっとやばいかな?と警戒する
というのは、通常フォトグラファーなら大きなバックパックや
まだ夜が明ける前の撮影なのでたいがい三脚などの影が見えるはずだが、近づいてくる男は何も持たず手ぶらである
絡まれて機材を壊されたり、ナイフや銃を用いる窃盗だとどうしようかと考えつつセッティングを進める
近くに来て声を掛けられる
「あんたはフォトグラファーか?」
「フォトグラファーって凄いよね」
「写真を撮るのにいろんなテクニックや知識を持ってるんだろ?」
「俺には出来ないなぁ、で、何撮ってるんだい?」
などと話しかけてくる
ただの酔っぱらいか、隙を狙って何かもくろんでいるのかよく分からない
こちらも早く撮影に入りたいため、あまり込み入った会話にならないよう、出来るだけ相手の機嫌を損ねないよう
言葉を選びつつ質問に答える
しばらくすると、少し離れたところから同じように自由の女神を見つめ、
そして去って行った
少し不気味な雰囲気は残っているが、周りを見る限り近くには誰もいなさそうなので
テストシュートをし、撮影に入る
その1枚目がこちら
4:09AM、月の入り50分前のカット
煌々と輝く満月の下に雲が気になる
また先月のように自由の女神の近くまで迫ると雲の中に消えてゆくのか?と心配になる
※I Phoneより
4:23AM、雲を抜けて下がってくる月も美しく感じながら撮影
雲の間を抜ける瞬間も綺麗なのでもう1台のカメラでそのシーンを押さえる
右側のカメラが撮影しているのがお分かりだろうか?
Behind the Scene
そのシーンはこちら
少しずつ月が下りてくるに従い構図を決め直し撮影を続ける
4:35AMの1枚、月の入り24分前
Behind the Sceneはこんな感じ、
月の色も徐々に白から黄色、黄色からオレンジに変わりつつある
※I Phoneより
4:40AM、そろそろMaxになってくる
暗くてよく見えないが、この下に雲がなければと願う
※I Phoneより
そして、このブログの表紙の1枚が撮れる
※I Phoneより
撮影の裏側はこんな感じ
※I Phoneより
今回の撮影では雲に隠れず自由の女神のもとに沈みゆくシーンを最後までうまく捕えれた
沈みゆくシーンをタイムラプスでご覧になりたい方はYoutube Linkをクリックしてください
一通りの撮影が無事終了する頃、一人のフォトグラファーが近くに来て撮影し始めた
セッティング中に来た男とは明らかに違い、
大きなバックパックを担ぎ、カメラのついたままの三脚を持っている
「Good Morning」と声をかけ、
お互いに撮影しながら話していると彼は非常にLucky Guyであることが分かる
シアトルに住む彼は昨晩フライトがキャンセルになり1日もてあます
ホテルでニューヨークのことを調べていると、
どうやら今朝のスーパームーンが自由の女神と重なることを見つけたらしい
しかも、彼はもともとシアトルでスーパームーンを撮り続けており、
この直近4回のスーパームーンはシアトルでの天候不良のため自分の思ったスーパームーンが撮れていないと言う
そして、今日この場所に来てニューヨークのランドマークと共にスーパームーンを撮影できた
「昨日のフライトキャンセルがなければ、今日ここで撮れなかった」
「僕はなんてラッキーなんだ!」
と、彼のラッキー話で朝から盛り上がる
そんな話をしていると、自由の女神の上の雲が朝焼けでピンクに染まり
Lucky Guyを祝福しているかのような綺麗な色に染まった
その時のカットがこちら
※I Phoneより
彼とは笑顔でお互いに握手を交わしそれぞれの帰途に着く
この日の早朝はこれで終了。
そして、2回目の撮影
同日、夜の撮影はクライスラービルと合わせる計画をしていた
今晩もNYは快晴の予定
夕方近くに念のため天気予報をチェックする
すると、ニューヨークは快晴だが、Long Islandの東の方で雨が降るという予報
まさか・・・
そう、「月とニューヨーク」をテーマに撮り続けている者にとって欠かせないのは
「ニューヨークの景色に溶け込んでいる月」を撮ること、
また、もう一つの拘りとして
「月のクレーターなどの表面」と「ニューヨークの風景」を同じ画角内に入れることである
「クレーター」と「風景」を合わせるには月が出て間もない時間(20~40分)くらいの間に撮影しないと
月が明るすぎになり「白飛び」を起こすか、
周りの風景が暗くなりすぎ、月だけの写真になってしまう
話を戻すと、
Long Islandの東の方で雨が降り雲が大量にあるということは、東の低い空に雲が溜まり
満月が出るのは東側なので月の出 直後は雲に隠れて見えないということ
そしてその雲を抜けるころには月の高度が高くなりすぎる
そうするとあたりが暗くなり
「月のクレーター」を撮影するシャッタースピードでは風景が暗すぎて写らないという状態が起こる
でもこんなことを心配してもしょうがないので出かける準備をし、
19時前に自宅出発
東の空を見上げるとマンハッタン内からは東側の雲はなく一面の空
「取り残し苦労か‥」と思い直す
体感温度70℉(21℃)、湿度50%、気持ちが良い
少しきつめの風を気にしつつ地下鉄に乗り込む
NJ側に到着し、路面電車に乗り換え目的地の駅まで向かう
※I Phoneより(19:45)
最寄りの駅で降り、階段で崖の上まで上がる
上からマンハッタンを見渡すと
やはり想像していた嫌な予感が迫っていた
※I Phoneより(19:59)
「これ以上雲のラインが上に上がってこなければいいのだが‥」
と、願いながら撮影現場へ向かう
無事到着し、セッティング
月の出14分前、テストシュートがてらカメラを構え、
再度東の空を見上げてみると少しずつ雲が広がり位置が高くなってきている
※I Phoneより(20:39)
ここまで雲の位置が高くなってきているとクライスラーと合わせることは諦めエンパイアステートビルに照準を変える
月の出より10分後、
空が晴れていればそろそろ見えても良いころなのだが、全く出てくる気配を見せず
それよりか完全にエンパイアステートビルの上まで雲が覆われてしまった
「これでは月のクレーターと景色を合わせるのはほぼ難しいな」
とぶつぶつ独り言を空に投げる
※21:03撮影
ちなみに「The New Yorker Hotel」のネオンサインも
最近開発が進むハドソンヤードのビル群の陰に隠れてほぼ見えないのが分かる
何か少し時代が変わったようなかんじがした
21:26、少し空に動きが見える
エンパイアステートビルの左側、雲と雲の間に細い細い一筋のラインが入る
エンパイアステートビルの左側が突然明るくなり始める
そして空が割れ月が見える
「ここで出るのか!?」
と月にピントを合わせようと試みるが雲の層が思った以上に分厚く姿を現せず断念
次の動きが起こったのは21:34、
月の出から41分後、この時間まで来ると周りの景色が相当暗くなり
シャッタースピードを稼ぐためISOを上げてゆくが、ノイズが気になってくる
月はエンパイアの真後ろまで昇ってきておりまだ雲からは抜けそうにない
21:37、少しずつ雲の層が薄くなり徐々にスーパームーンが見え始めてくる
それでもまだその姿を見せてくれない
21:42、
雲と雲の間に大きなスペースができ始め、ようやく全貌を現してくる
21:45、月の出から52分後
通常なら月のクレーターとエンパイアステートビルとの露光は合わないが、
なんと雲がフィルター代わりになってくれクレーターが見えるカットが撮れる!
21:46、少し位置をずらしてもう1カット
エンパイアとの共演時間は2分ほどで終了し、さらに高く昇ってゆく
何とかメインの撮影を無事に終えることが出来ほっとする
レンズを変え、川面に映る月光の美しさも捕える
新しく建設されているハドソンヤードも入れ、この1枚を最後のカットにして終了
前回のBlogでも書いたが、
あの時あの場所で刻々と変わりゆく気象条件の中、自分自身と戦い、最大の努力をしたと思う
山羊座の満月ありがとう。
自由の女神のもとに満月が沈みゆくシーンをご覧になりたい方はこちらをご覧ください。