横浜市の教育委員会が、市の教員のわいせつ事件の裁判で、教育委員会の職員を50人、延べ525人業務として傍聴させていたことが報道されていました。
横浜市教委 教員のわいせつ事件裁判で職員動員し傍聴席埋める | NHK | 事件
2019年から2024年の今年までの、教員が児童や生徒にわいせつ行為をした事件4件の、横浜地裁の11回の公判で、傍聴席を埋めるために職員を動員していたそうです。
動機は被害者児童・生徒のプライバシーを守るためということですが、プライバシーを守るのは教育委ではなく、裁判所の仕事です。また、毎日新聞の報道では、教職員が加害者でない事件では、職員の動員はしていなかったそうです。児童・生徒のプライバシーを守るという点では同じはずなのに、不思議!
横浜市教委 教員による児童への性犯罪公判で職員動員、一般傍聴妨害 | 毎日新聞
ただし児童生徒が被害者であっても、教職員が加害者になっていない、わいせつ事件では動員をかけてはいなかった。
ここまでの情報から、記者が裁判を傍聴し記事にすることで、市教員の不祥事が報道されることを恐れたのが真の動機ではないかと考えてしまうのは私だけでしょうか。(小町話法)
実際、横浜市の教員の不祥事は非常に多くあり、しかも、増加傾向にあります。2018年度から2022年で、多くの懲戒事案が発生しており、わいせつで18件、セクハラで9件です。
横浜市教員 処分件数高止まり 最多要因はわいせつ事案 | 瀬谷区 | タウンニュース
この中には2年半で151人の児童を盗撮していたものも含まれています。
女子児童のべ151人盗撮 小学校元教諭に有罪判決 横浜地裁|NHK 首都圏のニュース
横浜市の教育委は隠蔽体質なのではないかと思い、こんなことをしているようなら、他にも問題が起きているのではないかと調べてみたら、
今年3月に、4年前の2020年3月の横浜市立中学の生徒の自殺がいじめが原因だったと認定した第三者報告書で、市教育委員会の隠蔽体質が批判されていました。
「自殺の原因はいじめ」第三者委員会が認定 横浜市の女子中学生へのからかいやLINEブロック:東京新聞 TOKYO Web
からかいをしていた男子生徒から事実関係を詳しく確認しなかったことや、継続的な支援をしなかったことなど学校側の対応の問題も指摘した。市教委が、学校による調査報告から「いじめ」の文言を削除するよう指導したことには「誤っているというほかない」と断じた。
学校がいじめと記述したものを教育委員会が削除するように指導していたって、ちょっと信じられません。隠蔽体質の極みです。
ちなみに、第三者報告書の原文はこちらです。中学校と教育委員会の不作為を丁寧に批判しています。5人しか聞き取らず、さらには自殺した生徒が名指しした生徒の聞き取りを行っていないとか、調査をやる気がないのがよく伝わってきます。
この件について、横浜市議会で、無所属の横浜市議会議員の井上さくらさんが教育長を糾弾しています。2020年の事案を早期に調査すべきものを調査していなかったこと、また、他の横浜市の児童・生徒の自殺事案について調査が後手後手になっていることが主なポイントです。
2024.3.22 予算特別委員会 いじめ重大事態 教育長の法違反 - YouTube
※画像はYoutubeから。井上さくらさんのWebサイトで元ファイルを探すも見つけられず、低解像度になっています。
で、この糾弾された教育長は、2018年4月に就任し、今年3月末に任期満了で退任しているのですが、冒頭の職員動員の報道では、
こうした動員については、当時の横浜市の教育長に判断を仰いだ上で始めたとしています。
同じこの教育長が、教員のわいせつ事件の裁判で職員動員の判断をしたということです。
こう言ってはなんですが、教員のわいせつ事件の裁判に教育委員会の職員を動員しているような無駄な働き方をしていたら、児童・生徒のいじめ調査に手が回らないのは理解できるところです。私の中での優先順位では、明らかにいじめの調査の方が重要ですが、教育長の中ではそうではなかったのでしょう。
ちなみに、教育長の名前で検索したら、就任当時の2018年の記事では、
横浜の新教育長に就任する鯉渕氏 福祉や医療分野と連携進める考え | 政治・行政 | カナロコ by 神奈川新聞
いじめ対策については、原発いじめ問題を契機とした重大事態の調査結果報告書の公表が、当該校以外も含めた課題の共有につながると強調。教員の働き方改革に向けては「今は先生が問題を抱え込み、一人で頑張り過ぎている印象。市全体の力を生かしたい」と述べた。中学生向け配達弁当「ハマ弁」の喫食率向上にも意欲を示した。
私も以前に取り上げた横浜市の原発いじめ問題の件に触れていたり、教員の働き方改革には熱心なようで、
原発事故で横浜市に自主避難していた男子生徒への「いじめ」に関する第三者委員会の報告書を読んで思ったこと - 斗比主閲子の姑日記
2023年の中教審では、働き方改革の先行事例として報告をしていたりしています。
教員の働き方改革に取り組み、それが評価されていたとしたら、教員の不祥事の増加やいじめ事案の発生は不都合な情報です。働き方改革が間違っていたとも指摘されかねないですから。
私の見方が間違っていて、本当に児童・生徒のことを考えて職員に裁判を傍聴させていたのかもしれません。だとしたら、いじめの調査も児童・生徒のためになりますから、同様にリソースを費やすべきです。2022年に横浜市の同じ中学で生徒2人が自殺した件の調査が1年以上経過して終わっていないなんて、ありえません。
横浜の同じ学校で生徒2人自殺 文科省が市教委に調査開始指導|NHK 首都圏のニュース
今日はこんなところです。ではでは!