長期投資家が「買い場待ちはNG」と脅す中、なぜ私は買い場待ちをしているのか、または、個人としていくら投資するのが適切かという話 - 斗比主閲子の姑日記

斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

長期投資家が「買い場待ちはNG」と脅す中、なぜ私は買い場待ちをしているのか、または、個人としていくら投資するのが適切かという話

 前の記事で、

「現金が2000万円貯まってしまったが、何にお金を使うと幸福度が上がるか」 - 斗比主閲子の姑日記

私の場合は、アセットアロケーションとして二世帯住宅の家を除いてリスク資産(投資信託)の比率が70-80%ぐらいにするようにしています。例えば投資できるお金が2000万円あったら1400-1600万円を投資して残りは現預金で持つイメージですね。長年投資をしてきて、これぐらいのリスクであれば許容できると理解しているのと、リーマンショックやコロナショックみたいな買い場がいつか来てくれないかなという期待で投資信託全振りはしていません。

と書いたら、次のようなコメントがありました。 (id:muchonovさん。私がかなり信頼しているはてなブックマーカーの一人)

「現金が2000万円貯まってしまったが、何にお金を使うと幸福度が上がるか」 - 斗比主閲子の姑日記

長期投資のアドバイスは大抵「買い場待ちはNG」と脅すので、買い場の話は新鮮。/寄付でお手軽に幸福感が得られる件については、自分も以下増田の後半で書いたことあります https://anond.hatelabo.jp/20131115132145

2020/12/03 13:02

私が10年ぐらい20個ぐらいの長期投資家のブログを定期購読していて、私と同じような発想を持っている人はちらほらは見かけるんですが、たしかにメジャーではありません。というわけで、何でこんな発想なのかをもう少し詳しく書きます。

そもそも私のアセットアロケーションはかなりリスクを取ってる

そもそも、私のアセットアロケーションではリスク資産(株式の投資信託)が70-80%です。これは私と同じぐらいの年齢の人からすればかなりリスクを取っているほうだと思います。

よく個人投資家界隈では100-年齢がリスク資産の標準的な水準と言われていまして、発想は年を取れば取るほど、リスクに耐えられなくなり、また、安定収入へのリスクが出てくるため、大体そんな感じだろうというものです。特に根拠はないので、これを何の疑問もなく無邪気に本気で推奨しているファイナンシャルプランナーとか本があればまず疑ってください。安心の山崎元さんもそう言ってます。

「100マイナス年齢方式」アセット・アロケーション - K-ZONE money(ケイゾンマネー)

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ただ、大枠の方針としては大体そんなものだろうと私は考えていて、結果的にこんな水準になっている人は個人投資家界隈では多い印象です。

そうすると私が現在アラフォー(サバを読んで40歳)とすると、リスク資産は100-40で60%ぐらいでいいんじゃという話になります。でも、私はリスク資産70-80%ですから、比較すれば高い。

あと、日本人に限れば、日本人は不動産以外のリスク資産に全然投資しませんから、日本人全体から見たら、余剰資産のうちリスク資産比率70-80%というのは狂気の沙汰に近い数字です。私の周囲の人たちを見ても、そう感じます。普通に現金100%の人がいる。

20-30%のリスクフリー資産でも生活防衛資金を優に上回ってしまう

すでにリスク取りまくっているわけですから、もう投資なんてしなくてもいいわけです。

ただ、リスク資産以外の20-30%のリスクフリー資産がかなりの金額になっています。リスク資産とリスクフリー資産を合計して仮に1億円とすれば、リスクフリー資産が2000-3000万円になるわけです。あくまで仮にです、仮に。

通常、投資に回さない生活防衛資金は無収入でも1-2年ぐらい暮らせる金額と言われてますので、それからすると2000-3000万円はあまりに多額です。我が家では多く見積もっても800万円あれば十分です。

さらに、我が家は姑付きの持ち家がありますし、夫婦共働きですから私が無収入になってもパートナーの収入もあります。

ですから、私個人が生活防衛資金を多額に用意する必要がそんなにありません。それに、投資信託は流動性高いので、別に1億円が5000万円に暴落しても現金化はできます。いざとなれば現金になるのだから生活防衛資金ぐらいは余裕である。

ということで、狂気のリスク資産比率100%にしてしまっても別にいいんじゃないかと考えているわけです。

でも、リスク資産比率100%にするのはちょっと怖いので、投資するタイミングは少し狙ってるわけです。

どうせ張るなら信用収縮期に

個人投資家としてもそうだし、仕事で株式市場をずっと見てますから、10-15年周期でバブルが来るのを知っちゃってるんですよね。

なぜバブルとその崩壊が起きるかっていえば、リスク許容度が緩みきって、その資産から得られるリスクリターン水準を大幅に上回る値段がついて、リスクが顕在化して崩壊するってことで。

今は金融緩和が世界的に続いていて金余りになっていることもあって世界的にどこもほとんど株高になっちゃってるんですが(本当はコロナ危機でリスク収縮するはずが、世界の中央銀行が金融緩和をさらに進めて、さらに金余りが進んだ)、機関投資家はまだしも、自分のリスク感度を認識していない個人投資家がもっと株式市場に参入すれば、何かの危機で一気にガタッと来ることはあるんだろうなと考えています。妄想です。

だから、せっかくリスク資産比率100%にするなら、信用収縮が一気に来たときにやりたいなと考えているわけです。不況期はcash is kingですから。

本当は今年の2月以降にもっと下がったらリスク資産比率100%に持っていくつもりだったんですが、結局戻ってしまって諦めました。

追記

上のように書いたことで、私が2月の暴落時に一切買っていないと思われた方がいたようなので補足すると、

まだリーマンショック級ではないけど恐怖指数も上がっているし、美味しいケーキを食べ臨時で株を買い増し消費をする - 斗比主閲子の姑日記

臨時で株式の投資信託を買いましておきます。

もっとも暴落した2/29に200万円ぐらいは買い増しておきました。ただ、リスク資産比率100%になるぐらいの1000万円単位の投資は、さすがに暴落時の短期間ではやらなかったということです。

リスク資産比率の上げ方としては3月下旬で次のように書いたように、

「一生に6度ぐらいの大バーゲン」だから、富裕層として暴落してる国内REITを臨時買いし、毎月の積立額を2倍に設定した - 斗比主閲子の姑日記

それはそれとして、今はすべての金融商品がジェットコースターみたいに乱高下している中で、あと1年間ぐらいは「一生に6度ぐらいの大バーゲン」が続くと考えて、毎月の投資信託の積立額を2倍に変更しておきました。アセットアロケーションとしては現金1割・リスク資産9割ぐらいまで1年ぐらいかけて現金比率を下げていく(リスク資産を買っていく)つもりです。

1年ぐらいかけて9割ぐらいまでいければいいなと思っていました。ただ、その後の高騰を見て、結局積立額を減らし、今はリスク資産比率70-80%ぐらいの状態ということです。

さすがに10年以上個人投資家をしていると自分のリスクの感度は分かっているので、投資スタイルはほぼ固まりました。この辺は人それぞれのスタイルがありますね。

締め

以上、私がなぜ買い場待ちをしているかの理由でした。

そもそもどれくらい投資をするか、リスク資産の比率にするかというのは完全に人それぞれですから、言わずもがなですが、あくまで私はこういうスタンスだって話です。珍しい話かもしれないので書いてみました。

なお、投資の話を書くと、必ず「投資は邪悪」「投資を推奨するのも邪悪」という人が出てくるので、そういう人に対しては、別に私は他人に投資をしろと強制していませんし(できませんし)、別に推奨もしていないことは書いておきます。

さらにいえば、投資をしない人を批判もしていませんし、批判する気もありません。投資記事にモヤモヤする人はnot for youですので、「こんな人間がいるんだな」ぐらいの心持ちで眺めるか、一切私の記事を読まないことを"お勧め"します。一般向けではありません。

そして、私は長年の資産課税増税派であることも何度言っても伝わらないので書いておきます。私が唯一相互フォローではなくフォローしているのは、資産課税強化を狙うIMFです。

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※画像は私のTwitterのフォロワー画面から

最後に、一括投資について、

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※画像はAmazonの山崎元さんの本へのれビューから

こんな批判をする人は投資の許容度が低いと考えるといいですね。

私は例年通り来年年始めもNISA枠は一括投資をする予定です。

年始めの一大家事である、家族全員分のつみたて・ジュニアNISA枠の一括投資が完了した - 斗比主閲子の姑日記

※投資の本は最近はずっとこれをお勧めしてる